ついに退院 !酸素マスクから解放

 
 皆様、ご無沙汰でした。
 肺高血圧症の検査入院が予定より長引いてしまいましたが、本日退院してまいりました。
 
 これまで、検査入院1回。薬事治療のための入院1回。カテーテル手術のための入院3回。
 昨年から計5回ほど入退院を繰り返してきましたが、いちおう今回で手術入院は終了のめどが立ちました。

 でも、今回の検査入院はちょっと面倒でした。
 首に穴を開けてカテーテルを通すのは、鼠径部から通していくより肺に近いので肺の血管に到達する距離は短いのだけれど、部分麻酔なので、オペを担当する先生が力づくで管を差し込んでいく状況が分かるんですよね。

 ググッとカテーテルが血管に入っていく感触は、別に痛くはないんだけど、怖いんだよね(笑)。
 
 困るのは手術中に尿意が頻繁に生じること。
 処置中にずっと点滴される造影剤のせいだと思うんですけど、この尿意を我慢するのが辛い。

 2時間に及ぶ検査の最後に待っていたテストは、なんと “自転車漕ぎ” 。
 手術台に寝たまま、足だけ自転車のペダルに固定されて、寝たまま自転車を漕ぐわけ。
 
 これは体に負荷をかけた状態で、肺機能を調べるというテストなんだね。
 で、負荷をかけた状態で血中酸素濃度を測って、90を割ると危険な兆候。
 まぁ、結果的に90台を割ることがなかったんで良かったけれど、まぁ、きついテストでね。最初は軽いペダルが漕ぐうちにどんどん重くなっていくわけよ。

 終わりの方は、こっちも歯を食いしばって必死の形相。
 処置をしてくれる周りの医師さんや看護師さんも、「1,2、1、2 … 」と掛け声をかけて応援してくれるんだけど、その「1、2 … 」の2拍子のリズムが、こっちのペダルを漕ぐリズムと合わないわけよ。
 だから、せっかくの周囲の応援だったけれど、こっちは自分自身でリズムを刻んで、頭の中で「1、2、3、4」と4拍子でペダルを漕いだけどね。

 これらの検査を終えた結果、手術前より肺機能が回復していることが判明して、ようやく日常生活のうちで、昼間だけ酸素マスクから解放されました !
 酸素を吸引するのは、夜寝ているときだけ。
 まぁ、ここのところ外に出ているときはけっこう酸素マスクを外して行動していたのですが、ついにそれが正式に許可されました。  

 検査の結果、「PA」の「M」の値が「17」という数字に落ち着いたことを教えられました。
 (↑ 何のこっちゃかよく分かりませんが … )
 この値が「20」を超えると、いわゆる “肺高血圧” ということになるのだそうです。
 普通の人の場合は、この値が「15」程度だとか。
 もちろん普通の人よりまだ肺の機能が回復していないのですが、「肺血栓」という病名は免れたようです。

 検査手術はあと1回ほど、今年の10月末に検査入院が予定されていますけれど、昨年から続けてきたこれまでの手術はなんとか終了の時期が見えてきました。
 もちろん今後もずっと外来の検査が続くのですが、それはもうしょうがないですね。
 それと、薬も一生飲み続けなければならないものがあるそうです。

 ひとつ心配なのは、「肺高血圧症」という病気が治ったということは難病指定から外れることになるんだけれど、そうなると、月22万円の薬代が免除されていたという優遇処置はどうなるんだろうか?
 それがちょっと不安です。
 
  

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テリー伊藤さんのキャンピングカー観

 
 キャンピングカーに強い関心を抱いている著名人を一人選んで表彰する「キャンピングカーアワード」も今年で5回目を迎え、2月に開かれた「ジャパンキャンピングカーショー2017」(幕張)の会場で、タレントのテリー伊藤さんが2年連続で表彰を受けた。

 はたして、テリーさんはキャンピングカーに対して、どのような思いを持っているのだろうか。
 3月中旬に「名古屋キャンピングカーフェア2017」のトークショーで語られた談話の中から、彼のキャンピングカー観を拾ってみた。


 
 「小さい車に関心がある」
 とテリーさんはいう。
 「特に軽キャンピングカーは最高」
 とも。

 というのは、昨年テリーさんは「キャンピングカーアワード」の表彰を受けたときの副賞として軽キャンピングカー(インディ727 写真下)を1年間貸与され、それで遊んだ経験があるからだ。

 テリーさんは、どんなふうに軽キャンピングカーを使っていたのだろう。
 
 「翌日が休みという日には、僕は軽キャンピングカーでそのまま仕事に行っちゃうんですよ。
 そして仕事が終わったら、もうそのまま家に帰らずに遊びに行きましたね。
 僕は三浦半島が大好きなので、仕事場から海を見に行くんですよ。
 そして、そのまま海辺の駐車場で過ごして車の中に寝ちゃうの」

 そして、朝は港町の定食屋などで朝食をとり、洒落たカフェなどを見つけてゆっくりコーヒーを飲みながらくつろぐ。
 近くに温泉があるようだったら、一風呂浴びてから、家路に着く。

 そんな仕事場と遊び場の両方をつなぐ車として、どこにでも泊まれる軽キャンピングカーは実に便利だったという。

 「小さくてもポップアップルーフでしたから、中で立つこともできるしね。本当に使いやすい車でした」
 とテリーさん。
  
 今年貸与されたのは、長野県のキャンピングカーメーカー「フロットモビール」社が開発した「シュピーレン」(写真下)。

 「この車は軽キャンピングカーよりも大きいんですけど、普通のワンボックスカーよりは小さくて、実に取り回しがいいんです」
 と、テリーさんは、今年借りることができたキャンピングカーをすっかりお気に入りののご様子。

 借りたばかりなので、まだこのシュピーレンで遊びに行ったことはないという話だったが、とりあえず次の休みが取れたらこの車で、「軽井沢に行ってみたい」という。
 お洒落な高原の町でありながら、大自然にも近い軽井沢は、特にテリーさんの好きな街の一つ。
 「この車もお洒落なスタイルなので、軽井沢の街には合うんじゃないかな」
 と頭の中には、すでに使っているときのイメージを浮かべているようだった。
  
 テリーさんの好みのキャンピングカーは、コンパクトで取り回しがよく、都会でも田舎でも自在に使える車。
 仕事する場所が都心に集中するため、地下駐車場や立体駐車場でも難なく停められる車であることが条件。

 そういう車なら、仕事が終わったときに気分転換する場所も簡単に探せるという。
 最近は、都心にもキャンピングカーで遊べる場所が増えたとも。

 「東京でもウォーターフロント … つまり、お台場や豊洲の方にはキャンピングカーで入場できるバーベキュー場のようなものも整備されていて、なかなか楽しめるんです。
 そういう場所に行けば、もう停めたキャンピングカーの窓から、海の向こうに広がる大都会の摩天楼が見えるんです。お洒落ですよ」
 

 そういう都会に憬れる一方、テリーさんは、実はかなりのアウトドア派。
 「僕は家族の多い家に育って、兄弟も5人いたから、家には寝る場所すらなかったんです。
 だから僕が寝ていたのは押入れ(笑)。
 そういう習慣が身に付いているから、狭いところで寝袋などにこもって寝ている方が落ち着くんですね(笑)。
 だから車も小さい方がいいし、テントなどで寝るのも大好き」

 家にいるときも、ときどき庭にテントを張って、寝袋で寝ているという。
 
 「僕はね、都会も好きだけど、自然も好きなんです。キャンピングカーというのは、都会と自然をつなぐ魔法の乗り物ですよね。
 だから、僕はね、自然の中に入ったら文明生活を一切忘れるようにしているんです。
 だって、自然を<見る>ということは、神様が創ったものを<見る>ことなんですよ。
 人間は都会を造ることはできたけれど、自然は創れない。人間には花とか、昆虫とか、動物とか、命のあるものは造れないでしょ。それは神様しか創れないものなんです」

 そういう自然を見るための “道具” がキャンピングカーであるという。
 キャンピングカーで自然に触れることは、都会生活でこびり付いてしまった “心のアカ” を掃除する行為だとか。 

 都会の楽しみ方を心得ながら、自然を深く愛するテリーさん。 
 キャンピングカーの使い方をほんとうによく分かっていらっしゃる方だ。
 

関連記事 「テリー伊藤氏にシュピーレンを貸与」
 
 

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ユニクロのダメージジーンズのCM曲が評判

 

 ユニクロのダメージジーンズのCMが評判のようである。

 

 踊っている女の顔のアップから始まる。
 舞台は、どうやら深夜のガソリンスタンドらしい。
 

 女は、誰もいない室内で踊り続ける。
 しかも、空気が流れるかのように、優雅に。
 
 給油している男が、部屋のなかで踊っている女の存在に気づく。


 室内に向かう男。
 戸外に出ようとする女。


 すれ違い。

 そのシーンに、
 「ジーンズは、どこまで心を解放できるのか」
 というナレーションがかぶさる。


 
 男と女が絡み合う場面はまったく描かれず、男と女が動いた後に巻き起こる “空気の絡み合い” だけが描かれる。

 女はなぜ一人で踊っていたのか。
 その女に、男は何を感じたのか。
 すべて謎。 

 映画のワンシーンのような、ドラマチックでミステリアスな映像。
 お洒落なCM表現だと思う。

 このCM画像を印象深いものに仕上げている秘密はその音楽にある。
 夜のしじまに溶け込むように、けだるく、たゆたうように流れる甘いスローバラード。

 歌っているのは、Donnie & Joe Emerson(ダニー&ジョー・エマーソン) 。
 曲名は「Baby(ベイビー)」。

 信頼できそうなサイト情報によると、ワシントン出身の兄弟デュオが1979年にリリースした自主制作アルバム『Dreamin’Wild』に収録されていた曲だという。
 ところが、その後30年間まったく話題にもならず。

 2008年に、有名なレコードコレクターが、ようやくこの隠れた名曲を発掘し、アリエル・ピンクのカバーバージョンなども登場して、ようやく世の中に知れ渡るようになったとか。
 2012年には、アルバムも再度発売されたらしい。 

 YOU TUBEを周遊すると、同デュオが『Dreamin’Wild』というアルバムに収録したと思われる他の曲がいくつか散見される。
 いかにも70年代風のサウンドで、私などは、それなりに懐かしい思いに駆られたけれど、特に印象に残るものはない。
 もし、「Baby」という曲がなかったら、彼らのアルバムはそのまま永遠に埋もれたままになっていたかもしれない。

 しかし、「Baby」という曲だけは新鮮だ。
 夜の冷気が漂ってきそうなクールさが、現代的だ。
 特に、この “退屈なとりとめのなさ” がいい。
 モノクロの画像に合いそうなアンニュイ感があって、お洒落だと思う。
 間接照明の光を浴びたキャンピングカーの室内で、「曲」というより、「サウンド」として、夜ひっそり聞いていると気分がよくなりそうだ。
 
 

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ヴェルサイユの宮廷庭師

 
庭園のコスモロジー

シネマ漂流(映画感想記) No.13 
『ヴェルサイユの宮廷庭師』 2015年公開
 
 
人類初のテーマパーク !?

 今から300年前に造られた「ヴェルサイユ宮殿」は、実に不思議な空間である。
 それは、“おとぎの国” を実現するために造られた人類初のテーマパークだったのかもしれない。
 広大な敷地内は、どこを見渡しても、まるでディズニーリゾート。
 これほど莫大な建築費をかけながら、これほど生活感覚の乏しい宮殿というのは、ほかにない。


 
 特に、あの庭園を埋め尽くす幾何学模様の光景を見ると、人間が触れてはいけない “宇宙の法則” を図面化したもののように感じられて、めまいのようなものを覚える。
 
 そんなことを常に感じていたものだから、WOWOWの番組表で『ヴェルサイユの宮廷庭師』という映画タイトルを見つけただけで、それがどんな映画なのかも分からないまま、反射的に録画の予約ボタンを押していた。
 
 
庭園とは “失われた楽園” の復活

 ヴェルサイユ宮殿は、17世紀の後半に、「太陽王」といわれたルイ14世が建てたものである。

▼ 映画のなかの「ルイ14世」(中央)

 
▼ 「鏡の間」

 「宮殿」というから、建築物の方が “主役” に思われがちだが、あの施設の本当の主役は庭園である。
 実際に、宮殿を建設する以上の労力が庭園の造営に注がれたといわれている。
 宮殿建築に割かれた労働者の数は25,000人。
 それに対し、庭園の噴水建設に割かれた労働力は、建物よりも1万人以上も多い36,000人であったとも。


 
 この『ヴェルサイユの宮廷庭師』という映画のなかで、ルイ14世に扮した役者(アラン・リックマン 写真下)がこういうのである。

 「庭園とは、エデンの楽園を追われたアダムとイブが、自分たちの故郷を取り戻すための場所だ」

 聖書において、原初の人間であるアダムとイブは、神との約束を守らなかったために罰せられ、人間にとって理想郷とされるエデンの園を追われたことになっている。

 なのに、ルイ14世はその “楽園” を、人間の手で取り戻そうというのである。
 すなわち、ヴェルサイユ宮殿の庭園を造るということは、人間を罰した神への挑戦なのだ。
  
  
建築士の男と庭師の女との恋
 
 ストーリーは、ルイ14世の命を受けて “楽園” の建設に励む庭園建築家と、その助手を務めることになった女性庭師の話という形を取っている。

 男の名は、アンドレ・ル・ノートル。
 ヴェルサイユ宮殿の庭園をデザインした建築家として名が残っている人らしい。
 女の方は、サビーヌ・ド・バラ未亡人。
 こっちはどうやら架空の人物のようだ。

 彼らは、具体的にどのような仕事を任されたのか?
 ヴェルサイユの庭園そのものは完成していたのだが、一ヵ所だけ、国王や貴族たちがお忍びでくつろぐ野外の舞踏場のデザインが残っていた。

▼ 映画の終了間際に完成した野外舞踏場。水のないところに水道管を埋めて自然の滝が流れるように配置している

 その頃の国王のいちばんの関心事は、自分の自慢の庭の中のそのエリアをどう創造するかという一点にのみに集中していた。
 庭全体をデザインしたアンドレも、最後に残った野外舞踏場の作業がこれまでの工事とはまったく性格が異なることを感じていた。

 工事責任者のアンドレには、自分の仕事に助言を与えてくれる有能な助手が必要だった。
 彼がその助手を募集し、その面接に応じたサビーヌ・ド・バラ未亡人と出会うところから、この話は動き始める。

▼ 正装して面接会場に訪れるサビーヌ

 面接の現場で、2人は、お互いの造園に対する思想がまったく違うことをすぐに知ることになる。
 それは2人の対立をも生み出したが、仕事を進めていくにしたがって、お互いに共感し合うようになる。
 つまり、恋愛が発生する。
 そして、幾多の障害を乗り越えて恋愛を成就させ、その仕事ぶりもルイ14世に讃嘆されて幕を閉じる。
 
 
秩序ではなく、カオス(混沌)を !

 出会いがあり、互いに使命(ミッション)を受け、障害が降りかかり、それを克服して恋が成就する。
 話の流れは、ハリウッド映画流のハッピーエンドパターンであるが、その底に流れているものは、“世界観の対立と融合” というかなり硬派なテーマである。

▼ 一見、フランス貴族の優雅な日常を描いた “おとぎ話” のような映画なのだが ……

 
 
 どういう世界観の対立なのか?
 アンドレとサビーヌが面接の現場で顔を合わせたとき、アンドレは彼女に向かって、こう尋ねる。
 「景観の秩序を重んじるか?」
 

 
 この質問の意味は、ヴェルサイユ宮殿の庭というのは、幾何学模様のように精密な秩序の上に成り立っているのだが、「お前はそれを理解しているのか?」ということなのである。
 
 それに対して、サビーヌはこう答える。
 「秩序の重要性は理解しています」
  
 彼女は、答をその一言だにとどめて、ほんとうに言いたいことには口を閉ざす。
 すなわち、
 …… 秩序の重要性は理解しているが、庭園というものは秩序だけでは成り立たない。秩序と、その秩序を壊そうとするものとのせめぎ合いの中から、本当に面白いものが生まれてくる ……
 彼女はそう言いたいのだ。
 
 アンドレは、サビーヌの沈黙の意味を理解してしまう。
 そして思う。
 …… この女に任すと、ここまで造り込んできた庭園デザインを台無しにするリスクもある。だけど、行き詰った仕事に突破口を設けるには、彼女に賭けてみるのも手だ ……
 
 サビーヌは、庭園の “秩序” にいったい何を加えたかったのだろう?
 
 それは「混沌」である。
 実は、この映画の原題は「A Little Chaos (小さなカオス)」である。
 カオスとは、日本語に訳すと「混沌」だ。

 私流の言葉に言い直すと、すなわち「ノイズ」である。
 彼女は、庭園のデザインを面白くするには、「秩序(静けさ)のなかに混沌(ノイズ)を導入しなければならない」と言いたいのだ。
 
▼ 原題は「A Little Chaos (小さなカオス)」

 
 
カオス(混沌)とは自然なり
 
 では、その「混沌」とは、具体的に何を指すのだろうか?
  
 それは「自然」である。
 ヴェルサイユ宮殿の庭には、植栽も池もあるが、それは人間の手によって積み木細工のように配置されたものばかりで、本来の「自然」というものは皆無だ。
  
 サビーヌにとっては、それは「退屈」以外の何ものでもない。
 もし彼女が雄弁家ならば、こう言ったことだろう。
 
 「ヴェルサイユの人工的な庭というのは、自然を征服できると思い込んでいる人間の愚かさの象徴であり、むしろ手つかずの “自然” こそが神のもたらすより大きな “秩序” なのだ」 … と。
 
▼ ヴェルサイユ宮の庭

 
 ここには、二つの考え方の対立がある。
 一つは、アンドレやルイ14世の主張する「理性の力」で自然をねじ伏せ、自然の中に人間的な秩序を打ち立てようとする考え方。
 もう一つは、サビーヌの主張する「混沌とした自然」を受け入れることで、人間と自然が共存するような世界を目指す考え方。
 
 前者が意味するのは、合理的で明晰なフランス的思考が支配する世界だ。
 後者が意味するのは、経験則と直感を重んじるイギリス的な感性が支配する世界。

 つまり、この映画は、フランス的知性とイギリス的感性の衝突を描いた映画なのだ。
 
 
頭脳的なフランス人
経験的なイギリス人

  
 フランス人とイギリス人の世界観の違いは、まさに度量衡の取り決め方などに象徴的に表れている。
 たとえば、「子午線の長さの1千万分の1をもって1m」とするなどという規則の決め方は、フランス人でなければ思いつかない。

 “子午線の長さ” などといっても、誰もそのスケールを実感的にイメージすることなどできない。
 その代り、そのような基準値を定めることは、人を沈黙の重みで押し殺すような科学的説得力がある。
 フランス人は、こういうクールで抽象的な理念が好きなのだ。

 それに対して、イギリス人は、人間が肌触りとして感知できるような経験的なものを好む。
 それが度量衡にも表れていて、たとえば、「1フィート(30.48cm)」というのは(大男ではあるが)人間の足裏のサイズである。
 また、重量を計るときの「ポンド」という単位は、「大麦1粒の重さから換算して人間が1日に消費する食料の重さ」を割り出したものだといわれている。

 何事もにおいても、イギリス人は、生物が自然環境のなかで生き抜くときの皮膚感覚を思考の軸に置いている。
 
 
幾何学的なフランス庭園
写実的なイギリス庭園

 
 このことは、庭園デザインそのものに、二つの考え方があることも示唆している。
 その一つが、合理的で明晰な秩序を思考するフランス式庭園。
 その突出した例がヴェルサイユ宮殿の庭であるが、それとはまったく異なる理念で造形される庭園があって、それを「イギリス式庭園」と呼ぶ。
 
▼ イギリス式庭園を愛する人たちが、造園の模範として憬れたクロード・ロランの風景画

 
 イギリス式庭園とは何か。
 それは、自然の景観を尊重して、人間の作為をできるだけ排し、人工と自然の交わりぐらいをバランスよく配合させていく庭園形式である。
 今日一つのブームなっている「ガーデニング」などは、イギリス式庭園の思想を受け継ぐものだ。
 
 そして、それこそ、まさに、この映画のヒロインであるサビーヌ・ド・バラ夫人の思想そのものというわけだ。 
 映画自体は、甘い “糖衣錠” でくるんだラブロマンスそのものであるが、それは体裁だけであって、実は、フランス庭園のイデオロギーとイギリス庭園のイデオロギーがぶつかり合って、交じり合い、新しいものに生まれ変わっていく過程を描いたドラマなのだ。
 
 監督・脚本は、イギリス人のアラン・リックマン。
 彼は自ら俳優としても、ルイ14世役で映画に出ている。
 
 サビーヌを演じた女優のケイト・ウィンスレットもイギリス人俳優。
 アンドレを演じたマティアス・スーナールツはベルギーの役者だが、それ以外の脇役の大半はイギリス人で占められている。
 ヴェルサイユが舞台であることからして、フランス人が作った映画のように思われがちだが、実は、これはイギリス映画なのである。
 
▼ 役者としてルイ14世を演じ、かつ映画の脚本・監督を引き受けたイギリス人のアラン・リックマン

 
 
イギリス女のメランコリー(憂鬱)
フランス女のコケットリー(媚態

  
 そういう視点で、この映画を振り返ってみると、一見、きらびやかなフランス宮廷風俗を描いたような映画に見えながらも、あちらこちらにイギリス的メランコリー(憂鬱)が顔を覗かせている。

 たとえば、ヒロインのサビーヌの表情。
 いつも思いつめたような緊張をたたえた彼女の顔からは、メランコリーの影が消えることがない。
 この顔は、伝統的なイギリス人好みの顔なのだ。 
 

 下は、19世紀のイギリスで、ラファエル前派の画家として活躍したロセッティの描く女(「プロセルビナ」)。どこかこの映画でヒロインを演じたケイト・ウィンスレットと似てはいまいか。

▼ ロセッティ 「プロセルビナ」

 イギリスの女はたくましく生きる。
 もちろん、フランスの女もたくましく生きる。
 しかし、「たくましさ」の質が違う。
 フランス女は、自分の望みを実現するためには、時に男を上手に利用してまでもスマートに生き延びる。

 それに対して、イギリスの女は、自分の野心を実現するためには、ゴツゴツと社会とぶつかる。
 男ともよくぶつかり、時として自分の方が折れてしまい、悩んだり泣いたりする。
 ロセッティが描くのは、そういう「憂愁」を理解しているイギリス女なのだ。

▼ ロセッティ 「窓辺の少女」

 
 この映画に登場するサビーヌ・ド・バラン夫人も、「メランコリックなイギリス女」の系譜に入る。
 彼女たちは、常に自分たちの力の届かない世界と戦っている。
 そのことへのいら立ちと、不安と、緊張と、疲労が、彼女たちの表情を覆っている。
 だからこそ、イギリス女たちには、自然による “癒し” が必要なのだ。
 家庭のなかに “自然” を取り込もうとする「ガーデニング」という園芸文化を生み出したのは、イギリスの女たちである。

▼ サビーヌ役のケイト・ウィンスレット

 イギリス人の描く女は、たとえ少女であろうとも憂いがある。その目には、成人したときの労苦をすでに知っているような憂いが漂う。
 
▼ ジョン・エヴァレット・ミレイ作 「ベラスケスの想い出」

▼ ジョン・エヴァレット・ミレイ作 「花嫁の付き添い」

▼ ロセッティ作 「レディ・リリス」

 
 
今日的な「恋愛」の原型は
ヴェルサイユ宮殿で生まれた

 
 上のイギリス人画家たちが描く憂鬱なイギリス女たちに比べ、フランス人の描くフランス女は明るく、屈託がない。

▼ フランソア・ブーシェ作「春」(部分)

 
 彼女たちは、どんな相手に対しても、その心理の軌跡が手に取るように分かるからだ。
 あどけない顔をしていても、宮廷文化になじんだ少女たちは、物心がついた頃から貴族の男たちと交わす恋のゲームのルールを知り尽くしてしまう。
 だから、成人すれば、男のどのスイッチを、どう押せば、どこのライトが点滅するのか、すべて見えてしまうのだ。

▼ ヴェルサイユ宮での貴族たちは、男も女も恋愛ゲームに明け暮れた(映画「マリー・アントワネット」)

  
 下はルイ15世の愛妾として、フランス宮廷で権勢を奮ったポンパドゥール夫人。
 華やかさと美貌、機知とファッションセンス。女としての武器をことごとく手に入れた彼女は、この時代、もっとも人々の注目を集めた女性だった。
 そして、ヴェルサイユ宮殿の宮廷文化を今日に残るまでに洗練させた “影の実力者” だった。

▼ フランソワ・ブーシェ作「ポンパドゥール夫人」(一部)

 下は、同じくフランソワ・ブーシェが描く少女(「オダリスク」)。フランス宮廷で生きる女性たちは若い頃から国王や貴族の男たちの気を引く姿勢を自然に身に付けてしまう。

 同じ女性ながら、絵画的表現に写し取られたイギリス女性とフランス女性ではこれだけの違いが出てくる。
 フランス女の洗練されたセンスと思考様式は、たぶんにフランスが地理的にも歴史的にもイタリア・ルネッサンスの文化と近かったということが挙げられるかもしれない。

 我々が今日、ドラマや小説、さらに流行歌などから学んでいる「恋愛」というものの原型は、このヴェルサイユ宮殿で暮らした貴族や女官たちが繰り広げた心理ゲームから生まれている。


  
 彼らフランス人セレブたちの恋愛哲学というのは、次のようになる。
 
 「恋愛といえどもゲームであるから、駆け引きが必要だ。駆け引きの基礎は “計算” だから、そこには常に合理的でクールな分析力と洗練されたテクニックが必要となる」
 
 そう感じているフランス人の恋愛は、いつもヴェルサイユ宮殿の庭のような華麗さを帯びる。
 そこには、お互いの心理の底までは見せない仮面舞踏会のような楽しさがある。


 
 しかし、イギリス人にとっては、そういう恋愛は「つまらない」ものらしい。 
 彼らはこういうだろう。
  
 「恋愛は、山あり谷ありという大自然に似た起伏のある心理状態をいくつも重ねていくことによって燃え上がっていくものだ。ヴェルサイユの庭のような、超フラットな幾何学模様の世界からは情熱的な恋愛など生まれない」
 
 そういう考え方にも一理ある。
 二つの考え方のどちらに共感できるか。
 この映画をつくったイギリス人たちは、ただの恋愛ドラマと思われがちなストーリーに、ひそかにそんな大それたテーマまで潜り込ませたようだ。
 
  
参考記事 「官能美の正体 (ロココの秘密)」(フランス美術について)
  
参考記事 「ターナー、光に愛を求めて」(イギリス美術について)
 
参考記事 「ロイヤル・アカデミー展を観る」 (イギリス美術について)
  
参考記事 「クロード・ロラン」
 
   

カテゴリー: アート, 映画&本 | 11件のコメント

「キャンプ イン カー」板谷社長インタビュー

  
今レンタルキャンピングカーが面白い ‼
  
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レンタルキャンピングカーがブームに
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 今レンタルキャンピングカーに注目している人が増えている。
 「キャンピングカーを買うのではなくて、借りる」
 そういう風潮が台頭してきているのだ。
 
▼ レンタルキャンピングカー会社「キャンプ イン カー」が貸し出している「ナッツRVのグランツ」(九十九里有料道路)

 もちろん、これまでも、レンタルキャンピングカーのニーズはあった。
 しかし、乗用車のレンタカーと比べると、レンタルキャンピングカーの料金が高めであったことや、キャンピングカーで遊ぶというライフスタイルも浸透していなかったため、これまでは利用者の数も少なく、レンタル業務だけで採算が取れるほどの企業も出現してこなかった。

 ところが、様相がガラッと一変している。
 ここ数年、レンタルキャンピングカー業務に進出する業者の数が増加の一途をたどり、これまでレンタル事業にそれほど積極的ではなかったRVメーカーからも、新規にレンタル部門を立ち上げて、積極的にレンタル業務に乗り出す企業が現れるようになってきた。

 そこには、今後レンタルキャンピングカーの需要が伸びるという様々な計算が働いている。
 たとえば、インバウンド。
 年々増加傾向を強めている外国人観光客の間に、いま宿泊施設の問題が浮上している。
 観光地の宿が取りにくい状況が生まれつつあり、今後2020年に東京オリンピックが開催される頃には、さらにその問題が深刻化するのではないかといわれている。

 もう一つは、外国人旅行者のなかで、リピーターとして何度か日本を訪れたり、詳しい観光情報を取得した人たちの中には、既成のパックツァーでは飽き足らず、自分自身の “足” を確保して自分たちで旅行計画を立てたいと思う人が増えてきたことだ。
  
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人々のニーズが多様化してきた
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 これらのニーズを満たすのものとして、今レンタルキャンピングカーがにわかに脚光を浴びているのだ。
 特に、欧米のキャンピングカー先進国の観光客は、日本人以上にキャンピングカーを操る生活に慣れている。
 また、中国、香港、台湾、韓国、東南アジアなどの富裕層のなかには、若い頃に欧米に留学し、そこで運転免許を取得したり、キャンピングカーライフを楽しんだりする生活を経験している人が多い。
 だから、彼らが日本でレンタルキャンピングカーを扱うことは、われわれ日本人が考えている以上に楽なのである。

▼ アメリカ人観光客などはキャンピングカーの扱いに慣れている

 さらに、国内の市場においても、レンタルキャンピングカーへのニーズは高まっている。
 キャンピングカーでキャンプ場に行ってバーベキューを楽しんだり、温泉めぐりの足に使うといった従来の用途とは別に、市民マラソンのようなスポーツイベントの基地として使ったり、あるいは野外フェスティバルの宿泊施設として使うという新しいニーズが台頭しており、これまでキャンピングカーとはほとんど無縁だった人々がキャンピングカーの存在に注目するようになってきた。

 そのような種々のニーズが発生して、にわかに活気づいてきたレンタルキャンピングカー業界。
 今回は、その業界をけん引している若手グループのホープ「株式会社レヴォレーター」(レンタル事業部門名『CAMP IN CAR キャンプ イン カー』)の板谷俊明さん(写真下)に、レンタルキャンピングカー事業の現状とその将来性をおうかがいした。

▼ 株式会社「レヴォレーター」の板谷俊明さん

 
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キャブコンから軽キャンピングカーまで。
どんなキャンピングカーでもレンタルOK

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【町田】 レンタルキャンピングカー部門を作られたのは、いつ頃からですか?

【板谷】 3年前(2014年)ですね。自分自身がアウトドアが好きなものですから、アウトドア市場を開拓しようと思って、「Outdoor For Everyone」というキャッチを掲げて、幅広くアウトドア事業を展開するつもりだったんです。
 しかし、初心者をいきなり野山で焚き火するような「アウトドア」に引っ張り込むのはハードルが高いだろうと判断し、レンタルキャンピングカーを用意して、まずはそのハードルを低くしようと思ったんですね。
 そうしたら、意外とそのレンタル事業が好調だったので、ならばもっとこの分野を拡大しようかと思ったのがきっかけですね。
 
▼ 「キャンプ イン カー」で貸し出している車種の一例(バンテック ジル4WD)

 
【町田】 現在、レンタカーとしてストックされている車両は何台ですか?
【板谷】 68台です。
【町田】 それはすごい !
【板谷】 スタートしたときは3台でしたけれどね。拠点数としては全国で15拠点になります。
 各拠点では配車サービスもやっておりますので、ご連絡いただければご指定の場所まで車をお届けすることも可能です。また、引き取りサービスもやっています。
 拠点数が増えてきたので、そのうち乗り捨てをやりたいんですよ。東京で借りた車を京都で返すというような。
 そうすれば、お客様の便宜をもっと図っていくことになると思います。

▼ 拠点紹介
http://camp-in-car.com/kyoten/

【町田】 用意されている車種はどんなものが多いんですか?
【板谷】 キャブコン、バンコン、バスコン、トレーラー、軽キャンピングカー、輸入モーターホーム。何でもあります。
 変わったところでは、バイオトイレとシャワーを備えた車もあります。
 こういう車を業者さんが使って、もう1台、調理機能を充実させたキッチンカーと組み合わせると、どんな場所でも「ホテル」のようなサービスが可能になるんですね。
 そういう試みも新しい観光事業を立ち上げるときのヒントになるかな … と。
 また、こういう車両は災害時の生活防衛の拠点としても機能しますしね。

▼ バイオトイレ&シャワー機能を持った日産アトラス

▼ 「キャンプ イン カー」で貸し出している車種の一例(水陸両用トレーラー)。水にも浮かぶので釣りなどにも最適。災害時の津波などに襲われたきの緊急避難車両としても使える

【町田】 現在、レンタルキャンピングカーを借りるお客様層は?
【板谷】 6割がファミリー層。2割がグループ利用。残りの2割が学生さんのような若者たちといったところですね。

【町田】 その人たちが借りる目的としては、どんなものが多いんですか?
【板谷】 当初の狙いであった “アウトドアユース” というのは意外と少なくてですね(笑)、夏休みや年末年始の帰省に使うとか、大勢で借りて有名な観光地に行くとか。あと学生さんたちは卒業旅行みたいな使い方が多いですね。
 だから今のところ予約もGW、夏休み、年末年始に集中しています。
  
………………………………………………………………………… 
ロックフェスティバルや合コンの会場にも
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【町田】 新しい使い方として注目できるような例はありますか?
【板谷】 若者たちの間では、「フジロック(Fuji Rock Festival)」のような野外コンサートを楽しむときに、宿代わりにキャンピングカーを借りる人たちが増えています。
 あのイベントもものすごく人気が出てきて、今では周辺の宿を取るのも難しくなってきているんですね。もちろん会場でテントを張るのも大変になってきています。そういうときに、「キャンピングカーを借りられて楽だった」という声はよく頂戴します。

▼ 「キャンプ イン カー」で貸し出している車種の一例(三菱キャンター AtoZ アーデンスペンド4WD)。パリダカでも参戦できそうなヘビーデューティー仕上げ

【町田】 ほかにはどんな使用例が報告されていますか?
【板谷】 市民マラソンのようなスポーツイベントの基地として使うという例も多いですね。あとはママチャリだけのレースとか(笑)。自転車競技も多様化してきて、ママチャリでないと走れないという競技もあるんですね。
 それと、目立って増えてきたのが芸能界系の使用。野外ロケのときに芸能人の休憩室とか更衣室として使われるケースですね。
 最近の面白い例としては、合コンの会場というのもありました(笑)。都心のバーや居酒屋を会場にするのではなくて、景色の良い郊外に集まって合コンするというのもブームなんですってね。

▼ ママチャリレース

【町田】 なるほど。最近は女子が積極的にアウトドアに進出するようになりましたね。そういう女子たちがキャンプ場などで食事を楽しむときに、お目当ての男子たちを呼ぶんですってね。
 で、料理などを作らせて、気にしている男の子がどれだけ家事に協力的なのか、あるいはどれだけ料理が上手なのか見極めるんですって(笑)。

▼ キャンプで楽しむ若者たち

 
【板谷】 なにごとも女性の方が積極的な時代になってきましたね。つまり、男の地位は相対的に後退している。
 でも、そういうときというのは、逆にいうと、男の腕の見せ所が生まれる機会なんですよ。キャンピングカーをカッコよく使いこなすというのは男の復権につながるんじゃないでしょうかね(笑)。
 うちでも「できるパパはカッコいい」(PAPA PRESENTS)というキャンペーンを展開して、各種のサービスを提供しているところです。

▼ PAPA PRESENTS
http://www.papap.jp/
 
▼ PAPA PRESENTS

   
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シンプルな方が使いやすい
レンタルキャンピングカー

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【町田】 昔は「キャンピングカー」というと複雑な機構のものもありましたけれど、最近のキャンピングカーはシンプルなものが増えていますから、経験のない男性がいきなりキャンピングカーに乗っても、そんなに戸惑うことはなくなりましたね。

【板谷】 そうです。特にレンタルキャンピングカーの場合は、“超シンプル” な作りでいいと思います。今やトイレなどは道の駅や高速道路のSA・PA、コンビニなどでもありますから、車内に設ける必要はない。
 バーナーもカセットコンロを置くだけで十分。必要なのは暖房機器のFFヒーターぐらいでしょうか。
 装備をシンプルにして、貸し出すときのコストを安くして、レンタル料金を低く抑える方が重要でしょうね。
 結局、装備よりもベッドメイクが簡単であるとか、掃除が行き届いていて、常に車が清潔に保たれていることが大事なんですね。

▼ シンプルなキャンピングカーの部類に入るバンコン

【町田】 お客様には、レンタルキャンピングカーを使って、今後どんな遊び方をしてもらいたいですか?

【板谷】 最初の話に戻りますけれど、私としては皆さんにもっとアウトドアを楽しんでほしいと思っています。 
 そのため、うちはチェア、テーブル、シュラフ、焚き火台、ランタンといったアウトドア用品やロードバイク、マウンテンバイクなどのレンタルギアも用意しています。さらに、将来はヨットのレンタルなども始めたい。

▼ 「キャンプ イン カー」で用意しているレンタルギア
http://camp-in-car.com/gear/
  
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インバウンド対策も万全
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【町田】 今後は、インバウンドにも力を入れていくんですか?

【板谷】 そのとおりです。そうなってこそ、レンタルキャンピングカー業も文化事業となっていくと思っています。
 いま外国から来られる観光客の人は、ものすごく日本の文化に関心を持っていらっしゃる。なかには既成の観光案内に頼らず、自分たちの足を使って日本文化を掘り起こすということまでやっている。
 レンタルキャンピングカーというのは、そういうときの足として最適なんですね。好きなときに、好きな場所に車を停めて、自由に休憩しながら、心行くまで趣味を掘り下げられるから。

▼ 「海外の人に日本文化を知ってほしいですね」と板谷さん

【町田】 外国人にキャンピングカーを貸す場合の障壁のようなものがありますよね。交通ルールの違いとか。そのへんはどうサポートされるんですか?

【板谷】 それに関しては、英語バージョンとか中国語バージョンという形で、独自のマニュアルを作っています。そのときに、日本における交通ルールなども全部載せます。
 国内に来られた観光客にそういう資料をお渡しするのでは間に合わないので、海外にもサーバーを置いて、海外のネット情報として流すようにしています。
 いま外国人観光客に日本のスキー場が人気なんですよね。雪を知らない外国人もいっぱいいますから、彼らは雪を見るだけで楽しいんです。
 そういう案内もできるように、うちの会社にも英語をしゃべれる専門スタッフを置いて、直接情報のやりとりができるようにしています。

▼ スキー旅行にも活用されるレンタルキャンピングカー

  
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レンタル用の車両提供をオーナーの方々にお願い
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【町田】 この事業に今後の課題があるとしたら、それはどういうものですか?
【板谷】 とにかく、うちの会社の課題をいうと、まず台数を増やすことですね。現在68台ですが、これを400台にまで増やしていくと、売上げ金額の計算から一部上場のめども立ちますから、そこまでは頑張りたいと思っています。

【町田】 台数を増やすというのはけっこう大変なことですよね?

【板谷】 ただ、うちはちょっと変わった方法を採用しておりまして、うちの資金だけで物件を買い揃えるのではなく、キャンピングカーを共同購入していただく方を集めて、「それをレンタルキャンピングカーとして貸し出しませんか?」という提案をしているんですよ。
 これを「シェアリングシステム」と名付けています。車両の名義はうち(株式会社レヴォレーター)となりますが、複数の人が共同運営されるので、一人当たりの負担額は少なくてすみます。
 また、現在個人でキャンピングカーを保有されている方にも、「使用しない期間があれば、それをレンタルキャンピングカーとして貸し出しませんか?」というお誘いもしています。これを「フランチャイズオーナーシステム」といってます。
 現在私たちが管理している68台というレンタルキャンピングカーのうちの30台はそういう形式ですね。
 台数が増えれば我々の売上げも伸びますし、車両を提供してくださる方々にも利益分配できます。

▼ FCオーナー募集
http://camp-in-car.com/fc/
  
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「買う」から「借りる」の時代が始まる
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【町田】 レンタルキャンピングカー業界としての将来的展望はいかがですか?
【板谷】 時代の空気として、「必要なものは買う」時代から、「必要なものは借りる」という時代へと流れているように感じます。
 いま断捨離などというムーブメントが起こっているように、自分の周りに所有物をたくさん抱え込むというのはカッコ悪いという風潮が生まれつつあります。
 そういう時代には、使うときにだけ必要なものを借りるというスマートさがますます要求されてくるように思います。

▼ 「これからは使うときだけ借りる」という時代になるのではないか、と語る板谷さん

 
▼ 「キャンプ イン カー」で貸し出している車種の一例(東和モータース「カービィR2B)。取り回しのよいコンパクトなライトキャブコン

【町田】 このままレンタルキャンピングカー事業が盛んになっていくと、これまでエンドユーザー向けのキャンピングカーを製作して販売していたRV業界との関係はどう変化していきそうですか?
 
【板谷】 私はキャンピングカー製作部門とレンタル部門は、今後はますます相互依存関係を強めていくようになると思っています。
 とにかく、いちばん重要な課題は、キャンピングカー全体の市場規模を大きくしていくことです。
 それには、まずキャンピングカーを安い料金で一人でも多くの人に知ってもらうことが大事。その分野を引き受けるのが我々レンタルキャンピングカー業界だと思っているんです。
 そうしてキャンピングカーに関心を持つ層が増えることによって、個人で買いたい人も増えるでしょうから、RV製造業の方々のお仕事も安定していく。
 そうなってくれば、我々もより安いレンタル用車両を入手することができる。そういう協力関係がこれから強固になっていくと思います。
  
  
レンタルキャンピングカーCAMP IN CAR
http://camp-in-car.com/
 
全国レンタルキャンピングカー情報ネット 「レンタルキャンピングカーネット」
http://www.rental-camper.jp/
 
 

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ボナンザ「コンパス23TK」

 
▼ ボナンザ「コンパス 23TK」

 アメリカのモーターホームシャシーが世代交代を始めている。
 長らく “巨体” を誇っていたアメリカンモーターホームも、近年の省エネ志向の波に逆らえず、ようやくダウンサイジング化が始まったが、その影響を受けて、クラスCモーターホームシャシーとして圧倒的なシェアを誇っていたフォードエコノラインのE450とE350のうち、E350が姿を消し、代わりにメルセデスベンツ・スプリンターや、クライスラー・ラム・プロマスターといった軽量小型の次世代モーターホームシャシーが台頭するようになった。

▼ メルセデス・スプリンターシャシーを使ったソアー・モーターコーチの「シェスタスプリンター」

 エコノラインシリーズのE450が残っているのには理由がある。
 30フィートクラスのモーターホームになると、さすがにスプリンターやラム・プロマスターでは許容荷重が不足してしまうからだ。そのクラスでは、いまだにヘビーデューティーなE450の独壇場となっているという。
 しかし、それ以下の23フィート、24フィートクラスのモーターホームは次々と次世代シャシーに移行し、しかもその大半はメルセデス・スプリンターに切り替わったと聞く。

 次世代シャシーへの切り替えが進むなかで、近年評判がいいのがフォード・トランジットのカットウェイシャシーである。
 このシャシーはディーゼルエンジンでありながら、エンジンの搭載方向は縦置きで、駆動方式はFRというアメリカ人好みのスペックを維持しており、「フォード」というアメリカンブランドへの親近感も手伝って、モーターホーム関係者やユーザーの人気は上々。

▼ フォード・トランジットを採用した「コンパス 23TK」の室内

 しかも、後輪がダブルタイヤということで、耐荷重的にも信頼性が高く、走行安定性がいいことも評価ポイントになっているという。
 米国の大手メーカーの一角を成すウィネベーゴ社も、このトランジットベースの「フューズ」を製作して、そうとうな人気を集めている。

 このほどボナンザが扱うトランジットベースの「コンパス 23TK」を製作したビルダーは、クラスAモーターホームの「ベガス」でおなじみの 「ソアー・モーターコーチ」社である。

▼ コンパス 23TKの外形

 
 同社の親会社は、あの「エアストリーム」や「ジェイコ」というアメリカンRVの有名ブランドを傘下に収めた「ソアー・インダストリーズ」だ。
 「ソアー・インダストリーズ」の創業は1980年。
 その年に「エアストリーム」を買収。以降、全米のRVメーカーを次々と統合して、2016年には「ジェイコ」社も買収し、今や全米一どころか「世界一のRV企業」といわれるほどの規模を誇るようになった。

 また、同じグループ内での統廃合も活発に行われ、「コンパス 23TK」を製作する「ソアー・モーターコーチ」も、実はグループ内の二つの企業の合併から生まれている。
 親会社の「ソアー・インダストリーズ」の傘下にあった「デイモンモーターコーチ」と「フォーウィンズ・インターナショナル」が2010年に合併し、グループ名の「ソアー」の名を冠して「ソアー・モーターコーチ」という新会社として発足したのだ。

 新しく生まれた「ソアー・モーターコーチ」は、「ソアー・インダストリーズ」グループのモーターホーム部門の中軸に位置付けられる存在だけに、そこで製作される「コンパス 23TK」は、アメリカにおいても新世代モーターホームナンバーワンの期待がかかっている。

▼ 「コンパス 23TK」フロントビュー

 この車においては、まず省エネ時代の要請を反映したコンパクトなサイズが歓迎されているようだ。
 全長7.16m。全幅2.28m。
 アメ車だけに、さすがに国産キャブコンよりは大きいが、このサイズなら日本の道路事情にも適合し、駐車場選びにもそんなに困らない。

▼ 「コンパス 23TK」サイドビュー

 エンジン性能に対する評価も高い。
 ボナンザの比留間武社長は、1号車を運転したときの第一印象を次のように語る。

▼ ボナンザ比留間武社長

 
 「運転する前は、アメリカのディーゼルエンジンに対する懸念というものがありましたので、エンジンフィールはどうかな … と思っていたのですが、このトランジットに乗ってみて驚きましたね。とにかく音が静か。静粛性においては、もうガソリン車とほとんど変わりません。
 それでいて、アメ車らしくパワフルで、スムースで快適な走りが楽しめます」

 フロアプランに関しては、日本人にもなじみのあるオーソドックスなスタイルのものが導入された。
 すなわち、リビング部に対面対座シートが設置され、通路を挟んで、その反対側にキッチンというレイアウト。リヤには、常設ダブルベッドとトイレ・シャワールームが設定される。

▼ 使いやすいオーソドックスなフロアプラン

▼ 外から見たスライドアウトルーム

 最大の特徴は、このリビング部が約50cmスライドアウトし、そうとう広いフロアが出現することだ。

▼ スライドアウトさせると、室内が50cm以上広くなる

▼ 大人4人がゆったり座れる対面対座式ダイネット

 ダイネット部はベッドメイクすることが可能で、ベッド展開すると165cm×105cmの子供用ベッドが生まれる。

▼ リヤベッドの方は広大。188cm×125cmという大人2人分の就寝が可能になる


 
▼ リヤベッドの隣はトイレ・シャワールーム。清水タンク容量は113㍑あるから、シャワーの水を出すのにそれほど神経質になることはない

▼ コンパクトながら機能的にレイアウトされたキッチン。丸形のステンレスシンクは深さもあって使いやすい。2口コンロは耐熱ガラスカバー付き

 エクステリアで特徴的なのは、アームレスのサイドオーニング(写真下)。
 オーニングを支えるフレームがないので、その下で椅子・テーブルを並べるときの自由度が高くなる。
 しかも、ボタン一つで出し入れできる電動式。
 LED照明付きなので、オーニング下の明るさも確保される。

▼ エクステリアTVも設定されているので、オーニング下でのテレビ鑑賞も可

 室内のカラーコーディネートや家具の質感は、落ち着いて上品なヨーロッパタイプ。
 車両サイズ的にも、日本に入ってきている欧州のフィアット・デュカト系モーターホームと変わらないので、輸入車を検討している人には選択肢が増えたことになる。

 魅力あふれる新世代アメリカンモーターホームが登場したことによって、アメ車とヨーロッパ車の新しい競争が始まったといえるが、軍配は果たしてどちらに上がるのか。興味は尽きない。
 
 
コンパス23TK 基本スペック

車両名:Thor Motorcoach COMPASS 23TK
車両タイプ:クラスC
ベース車:フォード・トランジット
エンジン種類:3.2㍑ 直列 5気筒ディーゼルエンジン
エンジン出力:138kW(185hp)/3000rpm
エンジントルク:474N・m(48.4kgf・m)1500~2500rpm
燃料種類:軽油 
駆動方式:2WD/FR
ミッション: 6速AT 
車両サイズ:7163mm × 2286mm × 3175mm(ルーフエアコン含む)
室内高:2032mm
車両重量:4700kg
車両総重量:6123kg 
積載許容重量:1423kg
乗車定員:6名
就寝定員:4名

主要装備
助手席回転シート/SRSエアバッグ/クルーズコントロール/エマージェンシースタートシステム/リヤダブルタイヤ/フレームレススモークプライバシーガラス/電動シェード付天窓/電動アームレス3.5m LED付きサイドオーニング/脱着式LPガスボンベ(日本製5kg×2)/5000ポンドヒッチレシーバー/外部シャワー/外部スピーカー/エクステリアTV/3600w発電機(onan)/外部収納(717㍑)/ルーフエアコン(AC100V)/ディープサイクルバッテリー×2/USBチャージャー/デジタルテレビアンテナ/電動スライドドア(奥行50cm)/LPガスFFヒーター/パワーベンチレーター/32インチTVブルートゥース対応DVDプレイヤー付き(リビング)/24インチTVブルーレイ&DVDチューナー付き(リヤベッドルーム)/電子オーブンレンジ/ガラスカバー付き2バーナーガスコンロ/ 3 Way冷蔵庫(150㍑)/カバー付きステンレスシンク/清水タンク113㍑/グレータンク141㍑/ブラックタンク107㍑/リヤダブルベッド(188cm×125cm)/ダイネットベッド(165cm×105cm)/ナビゲーションシステム/360度オムニビューシステム他
  
車両本体価格 13,860,000円(税抜き)
  
ボナンザHP URL: http://www.bonanza.co.jp/
 
   

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ファンルーチェ「エル・ニド」

 

 ファンルーチェは、日本でも屈指の信頼性の高いキャブコンを開発するメーカー。
 ハイエースをボディカットした「セレンゲティ」や「パタゴニア」といったキャブコンでは、強度や剛性を確保する鋼製スペースフレーム工法を採用し、またカムロード系には強化フレームで補強するなど、常に安全性の高い車両開発を心掛けていることは、すでに多くのメディアやユーザーが評価しているところである。

 同社は、2005年に中国の大連工場で、最初のキャブコンである「セレンゲティ」を製作。
 当時はまだ製造社名を「レクビィ名古屋営業所」と名乗っていたが、後に「ファンルーチェ」という独立ブランドを立ち上げ、「パタゴニア」、「ヨセミテ(シリーズ)」、「ウラル(シリーズ」)など、数々の意欲的キャブコンを開発して、今やキャブコンメーカーとして不動の地位を確立している。

▼ エル・ニド type W の室内

 そのファンルーチェが世に送り出した初のライトキャブコンが「エル・ニド(El Nido)」だ。
 ボンゴベースのキャブコンとしては後発になるが、先行する競合他車と比較すると、その車格、価格帯、装備類などにおいて、非常に明確なポジショニングを目指していることが見えてくる。

 まず、コンセプトが明確である。
 「ライトキャブコンのなかの上級車種」

 外形デザイン、内装コーディネートだけを見ても、一目でその狙いが「ハイグレードな車両開発」であったことが伝わってくる。

▼ エル・ニド typeW

 特に、外形フォルムとその塗装には力が入っている。
 カムロード系の一般的なキャブコンよりも骨格が整った美しいフォルム。
 メタリック塗装で仕上げられた重厚な下まわり。
 エントランスドアなども、一目で高級なパーツが選ばれていることが分る。

▼ エル・ニド type RE

 そのハイグレード感をしっかり主張しているのが、フロントビューのバンク部とボディ壁面に力強く浮かび上がる「funluce」のロゴデザインだ。
 とにかくヴィジュアル的な訴求力を明確に打ち出した車である。 

 次に、レイアウトパターンも明確。
 競合他車のなかには、家族構成や年齢層などを想定してあらかじめいくつかのレイアウトパターンや内装色を用意しているものがあるが、この「エル・ニド」の場合、レイアウトパターンは鮮やかにくっきりと二つだけ。

 すなわち、就寝機能を充実させたリヤ2段ベッドを持つ「タイプW」と、リヤエントランスを採用して広々としたダイネットを実現した「タイプRE」。

▼ タイプW

▼ タイプRE

 こういうふうに、2パターンに明確にセグメントされている方が、選ぶ方は迷わなくてすむ。
 乗車定員と就寝定員ともにどちらも6名なので、ファミリーだろうが夫婦2人だろうが、それぞれ自分たちの好みでフロアプランを選ぶことができる。

 この二つのフロアプランの狙いを強いて挙げるとすれば、就寝機能に重点を置くか、リビング空間の快適さに重点を置くかという違いになる。
 
 就寝機能に重点を置くとすれば、断然「type W」という選択になる。
 なにしろ、リヤに、ベッド展開する必要のない固定ベッドが用意されているということは、いちいちテーブルをベッドなどに変えなくても、疲れたらそのまま横になれるということなのだ。

▼ タイプW

 
 さらにいえば、4人家族までなら、お酒を飲んだ後にダイネットテーブル上の食器やコップ類を残したまま、バンクベッド組とリヤベッド組に2人ずつ分かれて そのまま寝ることができる。
 そこに、このリヤ2段ベッドスタイル(type W 写真下)のレイアウトの良さが集約されるのだが、エントランススペースやキッチンカウンターとダイネット空間を共有しなければならないため、type REに比べると、リビング空間は狭くなる。

▼ タイプW

 それに対し、広々とした開放的リビングを実現しているのが、リヤエントランスタイプ(type RE 写真下)。
 こちらは、エントランスドアを後ろに追いやったため、リビングそのものを広くとることができている。対面対座ダイネットの横にロングソファーが設定してあるので、大人数が集まって談笑できるというのも、このタイプの強みだ。

▼ タイプRE

 このロングソファーは、夫婦2人で使ったりするときも便利だ。
 買い物から帰ってきたときに、“とりあえず” の荷物置き場になるし、本格的に寝るのではなく、ちょっとだけ仮眠を取りたいときに、ゴロッと横になることもできる。

 「type W」と「type RE」。
 どちらがいいかは、ほんとうに使う人の好みによる。
 個人的には、視覚的な開放感が得られるREタイプの方が好きではあるが … 。 

▼ タイプRE キッチン

 価格は、両タイプとも、それなりの装備を付けるとなると、乗り出しで500万円台に届くこともある。
 しかし、その作りの質感といい、充実した装備内容といい、ある程度の出費に当然見合った内容が伴ってくる車だ。
  
 
エル・ニド 基本概要 》 

車両名 El Nido(エル・ニド)
車両タイプ キャブコン
ベース車 マツダ ボンゴトラック
排気量 1800cc
最高出力 102ps
燃料の種類 ガソリン 
駆動方式 2WD(FR)/パートタイム4WD
ミッション AT 
車両サイズ 4860mm×1930mm×2880mm
乗車定員 6名
就寝定員 6名
 
ファンルーチェHP URL: http://funluce.com/
 
 

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かまやつひろし『どうにかなるさ』

 
 ムッシュかまやつさんの訃報を今朝聞いた。
 好きなミュージシャンだった。
 私の年だと、彼が「ザ・スパイダース」に加盟してソロ活動に入るまで、ほぼリアルタイムで追いかけていることになる。

 めちゃめちゃ洋楽のエッセンスを理解されている方で、スパイダース時代の「フリフリ」とか「バンバンバン」などは、軽薄でアホな歌だと思われていたが、あれなんかはまさにデビューしたての頃のローリングストーンズ経由のブルース、ロックンロールそのものだった。

 「ノーノ―ボーイ」などは、初期レノン&マッカートニーのバラードと比べても遜色がない。
 カントリー&ウエスタンのテイストをつかみ取るのもお上手な方で、「どうにかなるさ」などという曲は、日本人が作った最高のカントリー&ウエスタンであると思う。

 昔、この曲のことをブログで取り上げたことがある。
 かまやつひろしさんを偲んで、その記事をここに再録する。

…………………………………………………………………………
「どうにかなるさ」 2010年3月6日 

 キャンピングカーの中の「独り宴会」が好きである。
 仮に泊まるところが、RVショー会場の駐車場であっても、酒と音楽があれば、窓の外の風景が無味乾燥だろうが、話し相手がいなかろうが、まったく苦痛ではない。
 

 
 ただ、酒はなくても、音楽がないと、ちと淋しい。
 だから、どんな短い旅でも音楽ソースだけはいっぱい持っていく。
    
 この前、名古屋のショーに出向いたときは、長島温泉の駐車場に泊まって、かまやつひろしの『どうにかなるさ』を何度も聞いた。
  

  
 
日本初の本格的カントリー&ウエスタンソング
  
 昔、この歌を聞いたとき、日本ではじめて「日本語のカントリー&ウエスタン」が生まれたと思った。
 それほど、作曲したかまやつひろしは、カントリー&ウエスタンのエッセンスというものを、よく捉えたように思えたのだ。
 当時の日本語のポップスは、どんなに洋楽の意匠を盛り込もうとも、どこかで歌謡曲の匂いがポロっと表れてしまっていたが、この曲にかぎっていえば、歌詞が日本語であることを除けば、純度100%のカントリーのメロディが再現されていた。
 
 で、このたび改めて歌われている言葉に注目してみたのだが、これがけっこう味わい深い歌詞なのである。
 
 こんな歌詞だ。
 
 ♪ 今夜の夜汽車で、旅立つ俺だよ
   あてなどないけど、どうにかなるさ
   あり金はたいて切符を買ったよ
   これからどうしよう。どうにかなるさ 

 
 主人公は、いったいどういう人間なのだろう?
 考え出すと、興味がどんどん膨らみ始めた。
 
 
主人公はどんな男なのだろう?
 
 面白いのは、主人公のキャラクターだ。
 切符を買うのに、「あり金をはたいてしまい」、「これからどうしよう」とつぶやいているわけだから、彼には危機管理能力というものがまったくないことが分かる。
 
 しかし、それでもこの男は「どうにかなるさ」と開き直る楽天性を備えており、少なくとも、うつ病患者が多いといわれる現代では、ちょっと考えられないようなキャラクターだといえそうだ。
 それにしても、そのとき彼は、いったいいくら持っていたのだろう。
 
 今だと、青森県から山口県まで、新幹線を使っても3万円ぐらい。
 この歌が生まれた時代では、3000円といったところか。
 
 その程度の金をつぎ込んで、「使い切る」と表現するいうことは、彼の給料は、現代に換算すると月15~16万程度か?
 
 いったいどんな仕事をしていたのだろう。
 手がかりは2番の歌詞にあった。
 
 ♪ 仕事も慣れたし、町にも慣れたよ
   それでも行くのか どうにかなるさ
   1年住んでりゃ 未練も残るよ
   バカだぜ、おいらは どうにかなるさ

  
 歌の雰囲気からは肉体系の仕事が連想されるが、ドヤ街の殺伐さも感じられないので、建設系ではないのかもしれない。
 仕事に慣れるのに1年かかっているところをみると、単純労働というよりも技術系の仕事であることも推測される。
 
 
主人公はどんな恋愛をしていたのか?
 
 住む場所は、どんなところだったのだろう。
 「町に慣れた」と言っているところをみると、そんなに複雑な大都会ではない。
 生活圏も広そうではない。
 仕事場とアパートの距離も短く、その間に居酒屋が数軒という小さな地方都市が目に浮かぶ。
 

 
 気になるのは、2番のサビの部分。
 
  ♪ 愛してくれた人も 一人はいたよ
    俺など忘れて、幸せつかめよ
    一人で俺なら、どうにかなるさ

   
 この恋人は、はたしてどんな女性だったのだろう。
 
 まず、考えられるのは、行きつけの飲み屋のママさんとか従業員。
 しかし、夜汽車の切符を買ってしまうと金さえ残らないような給料のことを考えると、そんなに足しげく飲み屋に通っているとは考えにくく、ひょっとしたら「棟梁の娘さん」 …というような、仕事を通じて日常的に会っていた女性と考えてもいいだろう。
 
 気になるところは、相手が「愛してくれた」… のに、主人公が応えてやらないことだ。
 こういう場合、三つのパターンが考えられる。
 
 ひとつ。
 相手は美人でもなく、性格的にも合わなかったというケース。
 どっちかというと、男の方がストーカー的に追いかけ回されたというパターン。
 その場合は、男が逃げ出したということになる。
 
 二つ。
 男の片思い。
 この場合は、 「これ以上追いかけ回すと、はっきりとフラれるな」という危機感から、相手をあきらめてしまうというケースが想定される。
 つまり、自分の自尊心を傷つけないように、「愛されている」という思いを維持したまま、最終的な破局から目をそらすという心の動きが想定される。
 そうなると、「俺など忘れて幸せつかめよ」というのは捨てゼリフとなる。
 
 三つ。 
 最初から、恋が成就しないことが分かっている相手。
 つまり、身分違いの女性。
 彼女は、良いところのお嬢さんで、高学歴で高収入の男のもとに嫁ぐことが決まっている。
 
 そうなると、歌詞で使われているボキャブラリーからして、あまり高学歴とは思えない主人公に嫁ぐことなど、親が絶対許さないということになり、それを解っている男は去るしかない。
 
 この解釈がいちばん自然であり、歌の雰囲気とも合う。
 私は、この女性は、主人公の勤める会社の社長令嬢だと推定した。
 
 たぶん、彼女には親が進めた縁談があったのだ。
 彼女は、それを破談にして、主人公と一緒になる決意を固めている。
 当然、親子の関係はこじれ、家庭も職場も収拾がつかなくなる。
 そういう事情を解ったからこそ、主人公は、あり金はたいて、急遽、夜汽車に乗る決意を固めたのだ。
 
 これは、カントリー&ウエスタンによくあるパターンといってもいい。 
 日本の演歌でも、“股旅もの” は、このパターンを踏襲する。
 洋の東西を問わず、古典的な人情劇の中軸を担っていたテーマである。
 
 
人口流動が歌をつくる
 
 こういうテーマが現実性を帯びて感じられる社会というのは、どういう社会なのだろうか。
 
 人口が流動的に動いている社会である。
 カントリー&ウエスタンという音楽は、「家族や村という共同体に縛られず、旅の空の下で死ぬ男」を歌ったもので、その根底には、人口が流動的に動く開拓期の精神風土が反映されている。
 さらに、20世紀の初頭、不況下のアメリカでは各地に放浪労働者がたくさん生まれ、彼らが当時インフラ整備されつつあった鉄道網を使い、日雇い労働者として全米に散らばっていったという歴史的事実も、その後のカントリー&ウエスタンを支えるバックボーンとなった。
 

 
 このような「人が動く時代」では、「住み慣れた町」を離れ、夜汽車に乗って「あてなくさまよう」ことすら、希望であったかもしれない。
 
 世界の大衆音楽の中で、「ロンリー」とか「ロンサム」という言葉がもっとも多用されるのがカントリー&ウエスタンだといわれているが、その曲調は、どれも明るい。
 そこには、「町を去り、人と別れる」ことが新しい「出会い」を約束するという楽観主義が横たわっている。
 
 日本も、似たような「人が流動する」時代を迎えたことがあった。
 
 『どうにかなるさ』がつくられたのは1970年。
 … ということは、60年代の精神風土を色濃く反映した歌だと思っていい。
 
 
1960年代の楽天性
  
 60年代というのは、「集団就職」に象徴されるような、日本全域を民族大移動が襲った時代。
 1960年から1975年の15年間のうちに、東京、大阪、名古屋の3大都市圏には、1533万人の人口が流入したという。
  
 『どうにかなるさ』という歌は、恋人と別れても、別の町に行けば、また新しい出会いがあるというカントリー&ウエスタン風の楽観主義に裏打ちされた歌なのだ。
 
 歌詞をつくったのは、山上路夫。
 かまやつひろしの曲が先にできたのか、山上路夫の詞が先にできたのかは分からないが、両者の目指す世界がぴったり合ったという気がする。カントリー&ウエスタンの精神風土を、日本の土壌に置き換えた名曲だと思う。
 
 …… ってなことを考えながら、自分のキャンピングカーの中で、一人ダイネットシートにあぐらをかいたまま、グダグダと酒を飲む。
 至福の時。
 

 
    

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NHKドラマ『スリル ! 』の小松菜奈がいい

 
 もうダメだぁ ‼
 小松菜奈にメロメロだぁ。

 NHKの総合と、BSプレミアムで同時に放映されるようになった推理ドラマ『スリル !』。
 NHK総合で放映されるドラマを『赤の章』といって、小松菜奈が主人公となる。
 BSプレミアムの方は『黒の章』といって、山本耕史が主人公となる。

 それぞれ主役は違うのだけれど、メインキャストは同じで、菜奈も山本耕史も両方のドラマに絡む。

 小松菜奈の役は、警視庁の庶務係。
 普段の仕事は刑事たちの領収書をチェックしたりする雑用係に過ぎないのだが、現場の刑事みたいな仕事をしたいがために、小出恵介が演じる本物の刑事に絡みつきつつ、真犯人探しの推理を楽しむ。
 
 で、真犯人探しをいろいろやっているうちに、悪人側の弁護を引き受けたりするうさん臭い悪徳弁護士の山本耕史との絡みも出てくる。

 菜奈が主役の日が水曜日。22時25分から放映。
 山本耕史の主役の日は日曜日。22時から放映。 
 
 なんだか構成がとても、ややこしい !
 こっちも詳しく説明するのが面倒くさい。
 だけど、菜奈にメロメロだから、両方とも見なければならないので、とても忙しい。

 昔、このブログで小松菜奈のことを書いたことがある。
 (↓)
  「小松菜奈は美人か?」 (2015年5月11日)
 
 このとき、「小松菜奈が美人かどうかは微妙だ」と書いた。
 「北川景子とか松下奈緒、石原さとみなどを美人の基準に置いている人から見れば、小松菜奈は外れてしまう」
 と続け、
 「小松菜奈は美人か? ブスか?」
 という調子でブログ記事を構成したら、「小松菜奈ブス」という情報を拾おうとしていた人たちのニーズをものの見事にすくい取ったのか、アクセス解析の「検索キーワード」には、「小松菜奈ブス」「小松菜奈ブス」「小松菜奈ブス」 …… という言葉が集中豪雨のように降ったことがあった。(今でもときどき「小松菜奈ブス」という検索が入る)

 これには私自身が愕然とした。
 だって、その記事で、私は彼女のことを「ブス」などと一言も断定していないのだ。
 むしろ、これまでもてはやされた “既成の美人像” から逸脱していく彼女のビジュアルに、とてつもなく惹かれた、と書いたつもりだったのだ。

 世の多くの男性は彼女をどう見ているのだろう。
 私には、あのへんな顔が可愛く見えてしょうがない。
 今度の『スリル !』というドラマを観ていても、あの不思議な存在感を持った女の子の役は、小松菜奈だからこそ演じられると思うのだ。

 可愛くもあり、憎たらしくもあり、利口そうに見え、間抜けにも見え、純真そうに見え、腹黒そうにも見え、天使のようにも見え、小悪魔にも見える少女、……………… 。

 背反する世界を、透明な妖精のように行き来する女。
 彼女の心は、一瞬たりとも、同じところにとどまることはない。
 秒単位でデジタルに人格が変わっていく。
 そんな、テクノっぽいキャラクターと、あのとぼけたタヌキ顔が絶妙なマッチングを見せる。
 AI (人工知能)を搭載して、人間の相手をしてくれる恋人用ロボットがこの世に生まれてきたら、それはきっと小松菜奈みたいな顔をしているはずだ。
 

 
 すごいぞ、彼女は ‼
 いやぁ、もうメロメロだぁ ‼
  
、 
関連記事 「音楽と映像のミスマッチが生む詩情」(小松菜奈主演『渇き。』)
  
 

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スマイルファクトリー「オフタイム和(なごみ)」

 
 一見、地方の小さな軽キャンピングカーメーカー。
 扱っている車種も、せいぜい1ブランドか2ブランド程度。
 しかも、展示している車両には、大げさな架装が施されている様子もなく、「ベッドキットをさりげなく組み込んだ程度の車かな … 」

 などと、キャンピングカーショーの会場で、「スマイルファクトリー」という会社のブースを見たとき、知らない人はそう思う。

 しかし、そんなふうに思ったら、とんでもない !
 罰が当たる !

 軽キャンピングカーからハイエースぐらいのいわゆる “街乗りできるキャンパー” の世界で、おそらく、このショップほど実用的なアイデアを矢継ぎ早に投入し、緻密な設計のもとに商品づくりを進めている架装メーカーは、ちょっとやそっとでは見当たらない。

▼ スマイルファクトリーの開発するキャンピングカー

 
▼ 島根県にある「スマイルファクトリー」本社工場

 ショップの代表者を長藤隆司さんという。
 この業界に入る前は、大手自動車メーカーのメカニックとしての修練を積み、技術領域でその業界の指導的立場を任されてきた人だ。

 だから、この人のキャンピングカーの安全性や走行性に対する研究姿勢と知識量はハンパない !
 なかでも、足回りの研究に関しては、おそらく日本のキャンピングカー業界でも、彼をしのぐ人はほとんどいないはずだ。

▼ 長藤氏の実力のほどがいかんなく発揮されたキャンサス

 「キャンサス(camsus)」
 という名前を聞いたことがあるだろうか。
 キャンピングカー専用のサスペンションキットのことで、これを装着した車は見違えるほど走行安定性が高まり、乗り心地も向上。その効果のすごさはプロドライバーも認めている。
 その「キャンサス」を開発しているのが、この「スマイルファクトリー」の長藤さんなのだ。

▼ スマイルファクトリーが扱うショックの数々

 だから、このショップがリリースする軽キャンピングカーは本物だ。
 「キャンサス」の開発で培ってきた安全性への配慮が徹底しているからだ。

 実は、軽キャンピングカーの世界というのは、かなりシビアな世界である。
 なにしろ、軽量化とコスト削減に命を削っている軽自動車メーカーが過酷な市場競争の世界に送り出してくる商品なのだから、設計段階からコンマ数ミリ、コンマ数グラムのせめぎ合いのなかから生まれてきたといっていい。
 すなわち、工場のラインから出てきた状態がベストの状態。
 基本的には、そのノーマル状態から、何かを引いてもダメ。何かを足してもダメ。

 だから、本来ならば、軽キャンピングカーというのは、よほど知識のある架装メーカーでないかぎり、そんなに安易に手掛けられないものなのだ。
 そこのところを、軽キャンピングカーを開発する架装メーカーがよほど気をつけないかぎり、ベース車を提供する乗用車メーカーが気をもむような商品が出てきてしまう可能性だってないとはいえない。

▼ 軽キャンピングカーのベース車としてよく使われるスズキ・エブリィ

 その点、スマイルファクトリーの長藤隆司さんは、自動車工学の専門的な知識を踏まえながら、自社の軽キャンピングカー開発には実に慎重な態度で臨んでいる。
 たとえ、バッと見の外見がほとんどノーマル車のように見えても、それは安全性の確保をまず優先するがために導き出されたスタイルであり、近づいて実車をつぶさに観察してみると、どの部分にも驚くほど練り込まれたアイデアが注入されていることが分る。
 
 2017年2月に幕張で開かれた「ジャパンキャンピングカーショー2017」に登場した「オフタイム」の新バージョン「オフタイム和(なごみ)」もそのような1台だ。 


 
 「オフタイム」は、2007年にデビューしたスマイルファクトリーの主力軽キャンピングカーである。
 バージョンを重ねるたびに使い勝手を洗練させ、今回登場した「和(なごみ」は、ノーマルルーフのままで、大人4人が何の苦労もなく寝られるスペースを確保している。

 大人4人が “楽に(!)” 寝られるという構造を実現するには、ちょっとしたマジックが必要だった。
 2段ベッド(オプション)の先を、助手席側にはみ出させているのだ。
 それによって実現した上段ベッドのサイズは、長さ1800mm。幅は1200mm。
 天井までのヘッドクリアランスは600mm取られているから、ほとんど圧迫感がない。


▲ この助手席のシートを階段のステップのように使えば上段ベッドに昇るのも楽
 
 
 下のフロアベッドは変則的な長さになっているが、短いところで1800mm。長いところで2400mm。
 つまり、最低でも “1800×600mm” という就寝スペースが4ヶ所確保されているという計算になる。

 これだけ寝る場所を欲張っておきながら、なおかつ収納庫もおろそかにしていないというのが、この「和(なごみ)」のすごいところ。
 下段ベッドの下には、大容量の収納庫が ! (写真下)
 この収納容量は、前モデルの倍になっているという。

 2段ベッド状態にしたときに、さらに上下のヘッドクリアランスが欲しいときは、この収納庫をレスすることもできる。
 
▼ テーブルは “お座敷にちゃぶ台” スタイルでも使えるが、リヤゲートを開けたときに、その下にセッティングして、車外で使うこともできる

 この車の仕掛けはまだある。
 驚くなかれ !
 給排水システム付きの流し台があるのだ。
 

 軽キャンピングカーには、流し台をレスしているものがけっこう多い。
 室内寸法が狭いので、少しでもベッドスペースを稼ぎたいと思ったときは、流し台を省いた方が簡単にスペース効率を高められるからだ。

 しかし、ユーザーのなかには水回り設備を必要とする人もいる。
 たとえば、道の駅などで車中泊するとき、朝晩歯を磨いたり、洗顔したりするときに、トイレの洗面台を使うのが恥ずかしいときだってあるのだ。
 特に女性の場合、人の混んでいるトイレで顔を洗ったり、歯を磨いたりするのは気が引けるものだ。

 そんなユーザーの悩みを解消する意味もこめて、この「和(なごみ)」ではフォーセットもシンクも付いた立派な流し台が設けられている。

 ユニークなのは、その給水タンク。
 ペットボトルだ !
 2㍑のペットボトルがそのまま “給水タンク” になっている。

▼ 左隅にあるのが、ペットボトルの “給水タンク”

 すなわち、コンビニなどで2㍑の飲料水ボトルを買ってきて、フタだけ外し、そのままガチャッとシンク下の収納スペースに差し込むだけ。
 いつでも新鮮な水が供給されるわけだから、そのまま飲んでも大丈夫。

 こんなように、「オフタイム和(なごみ)」には、実用性を追求したユニークな機構が満載。
 もちろん、このシリーズの特徴でもあるベッドマットのハニカム構造も健在だ。
 マットの中空部分をハニカム構造にして、強度の確保と軽量化を図るというアイデアは、この「和(なごみ)」にも踏襲されている。
  
 “足回りの達人” が、安全設計とユニーク装備を追求して実現した玄人好みの軽キャンピングカー。
 この車をチョイスすると、ちょっとした “通” に見られるぞ。
  
  
スマイルファクトリーHP URL: http://smilefactory.sub.jp/blog/
 
 

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デザインが “語り始めた” アミティ

  
「橙香」「朱夏」「銀花」

  
「スペックの時代」から「ポスト・スペックの時代」へ
 
 日本のキャンピングカー文化が、まったく新しい局面を迎えている。
 一言でいえば、それは「スペックとして把握できるもの」から、「スペックとしては把握できないもの」への進化といえばいいのだろうか。

 これまでキャンピングカーの価値というのは、サイズや価格や性能値といった数値を比較することで決まるような傾向があった。
 市場が熟成していないと、そうなることが多い。
 消費者の経験値が浅く、製品の良し悪しを判定する基準が確立されていないときは、とりあえず数値を比べてその優劣を判断するしかないからだ。

 しかし、産業が成熟し、商品開発の歴史も厚みを増し、消費者の目も肥えてくると、次第に商品の評価軸は、スペックでは捉えられない領域に及んでいく。
 国産キャブコンのビッグメーカー「エートゥゼット(AtoZ)」の商品開発が、今そのような段階に進んでいる。
 
▼ 新しいデザインコンセプトを訴えたエートゥゼットの新型アミティ(「ジャパンキャンピングカーショー2017」の会場にて)

 このメーカーが重視し始めたのは、デザイン。
 
 デザイン作業の成果というのは、直接「スペック」には表れない。
 しかし、そのキャンピングカーがどのような性格を持つ車なのかという基本骨格を定めるのは、デザインの力である。
  
 
デザイン部門のアウトソーシングが始まる

 そのように、車のキャラクターを決める大事な仕事であるにもかかわらず、キャンピングカー開発においては、これまでデザイン作業がデザイン専門のプロに任されることはなかった。

 しかし、エートゥゼットは、昨年からキャンピングカー開発にプロのデザイナーを投入し、デザイン作業に本格的に挑戦し始めている。

▼ エートゥゼットの新型アミティの内装コーディネートを担当した小島真子さん

   
 同社の看板車種である「アミティ」の内装デザインをプロに依頼した意図について、同社の渡邉崇紀常務にお話を聞くことができた。
 
…………………………………………………………………………

女性はキャンピングカーのどこを見ているか?

【町田】 エートゥゼットさんは、昔からキャンピングカーの外形フォルムの造形にはかなり神経をつかっていらっしゃいましたね。
 また、内装デザインにも洒落たセンスを発揮されていたと思うのですが、今回インテリアコーディネートに社外からプロのデザイナーさんを招かれたというのは、どういう理由からですか?

【渡邉】 ここ最近、お客様がキャンピングカーを評価するときに、内装色とか家具の形状といったデザイン部分を重視している様子がすごく伝わってくるようになったんです。
 そこで、私たちも「シート柄などを自由にお選びいただけます」というように、お客様の好みに合わせて選択肢を増やしたんですね。
 しかし、「これ以外のものはないんですか?」とか「ほかの色はないんですか?」といった声が途切れないんですよ。
 “ははぁ … それって、皆さん今の品揃えでは満足されていないんだな” と思い至りまして、社内のスタッフだけでデザインを考えることの限界に気づいたんです。

【町田】 そういうお客様のニーズの背景にあるものは何だと思われますか?
【渡邉】 まずはキャンピングカー購入の決定権が、旦那様よりも奥様に移行してきたことが大きいと思います。
 男性は比較的、車の機能とか搭載される装備品の内容などに目が行きますが、女性の場合は内外装の色、家具形状など、車の持つ雰囲気のようなものに関心が向くんですね。
 そして、その車に漂う空気のようなものをパッと肌でつかみ取るところがあります。だから、展示会などで車を見たときも、奥様はエントランスから中を覗いた瞬間に「好き・嫌い」を判断することがあるんですね。

▼ 渡邉崇紀常務

 
 
“社長さんデザイン” の限界

【町田】 これまで、わが国のキャンピングカーでは、社外のプロデザイナーがデザインに関わるということは、あまりなかったですよね。
【渡邉】 そうですね。国産キャンピングカーの内装デザインは、基本的にその会社の社長さんがそれまで培ってきた自分のセンスでまとめあげるか、あとは輸入車の内装を真似ていくか。特に最近はヨーロッパ車の意匠を採り入れる傾向が強くなっていましたね。
 しかし、私たちはそういう流れから一歩抜け出して、プロの日本人デザイナーによる日本のキャンピングカーの内装というものをつくり上げてみたいと思ったんです。

▼ アミティLE

 
 
住宅インテリアの専門家がキャンピングカーを手掛ける

【町田】 今回「アミティ」を手掛けられたデザイナーさんというのは、どういう方なんですか?
【渡邉】 今まで主に住宅の内装コーディネートをやったいらっしゃった方です。一般住宅のほか、オフィスとかホテルの内装や、イベントなどの催事の飾りつけなど、非常に多方面で活躍されている方ですね。
 平成25年度、27年度、28年度の3回にわたって「インテリアコーディネーションコンテスト」のスタイリング部門で優秀賞も受賞されています。
 ほかにセミナーの講師を務めたり、執筆活動もされたり、テレビやCMにも出演される有名人ですね。 

▼ アミティのインテリアコーディネートを手掛けた小島真子さん

【町田】 いろいろな車種バリエーションがあるなかで、このアミティの内装をお願いした理由は?
【渡邉】 昨年たまたまベース車のマツダ・ボンゴがモデルチェンジしたため、アミティもモデルチェンジが必要になったのですが、どうせ新車を出すのなら、思い切って内装も大胆に変えていこうと … 。

【町田】 どんなふうに変えようと思ったのですか?
【渡邉】 ひとつは、やはり女性の感性にフィットする内装を打ち出していこうと。
 そういうことを、これまでは社内のスタッフがいろいろトライしていたんですが、われわれが手掛けると、けっきょく漠然と思い浮かべたイメージから先に進まないんですね。
 しかし、プロのデザイナーさんならマーケティングから拾い上げた豊富なデータをお持ちだろうし、そのデータを表現に生かす方法論もお持ちだろうと推測したんですね。
 
 
環境の変化をイメージさせるインテリア

【町田】 結果はいかがでしたか?
【渡邉】 見事に期待どおりの成果をあげてもらいました。でき上った現物を見ると、やはりわれわれが考えるようなものとまったく違うということが分りました。
【町田】 具体的には?

【渡邉】 彼女は内装のコンセプトメイクを、まず名前の決定から決めていくんですよ。
 最初にお仕事をお願いしたとき、たとえば30代から40代ぐらいの女性を意識した内装を創造するときに、“花” を意味する「フィオーレ」という内装名を考えてくれたんですね。
 そして、少し男性寄りのテイストを盛り込んだデザインには「ポルト」。
 ポルトとは「港」を意味する言葉で、その名の通り、ヨットやダイビング、釣りなどのマリンスポーツをイメージさせる躍動感を盛り込んだ内装になりました。
 その次に考えてくれたのが「ボスコ」。
 これは “森” を意味しておりまして、仲の良いファミリーを対象にした落ち着いてくつろげる空間を狙ったものですね。

▼ フィオーレ(花)

▼ ポルト(港)

▼ ボスコ(森)

【町田】 なるほど。名前が付くことによって、イメージが広がりますね。
【渡邉】 デザイナーの小島さんがおっしゃるには、名前もコーディネートの一部だというんですね。
 つまり、言葉が持っているイメージが人間の意識に脳内変化を起こし、それによって、人間の視覚も変わっていくんだと。
 そういう発想って、われわれキャンピングカービルダーが今まで持ちえない視点だったので、ものすごく勉強になりましたね。
 
【町田】 なるほど。言葉の響きが持つ喚起力って、人間が想像する以上に大きいんですね。
【渡邉】 そうなんです。そこで、今回はさらに一歩進めて、いよいよ日本人デザイナーによる日本人の美意識を追い求めた内装コーディネートを追求してみました。
 いま新型アミティに「LE」と「SPEND」という二つのレイアウトが生まれましたので、それに合わせた新しい意匠を小島さんにお願いしました。
 
  
春と秋の季節感を盛り込んだ「橙香(とうか)」
 
【町田】 以前の「フィオーレ(花)」、「ポルト(港)」、「ボスコ(森)」とはどう違うんですか?

【渡邉】 「フィオーレ」、「ポルト」、「ボスコ」というのは環境の変化に応じたセグメントでした。
 つまり、そういう環境の変化に応じて、いろいろなライフスタイルをアクティブに追求してほしいというもので、どちらかというヤングファミリーを想定したデザインだったんですね。
 しかし、今回はご夫婦で2人旅を楽しんでいらっしゃるシニア層に向けて、四季を楽しんでいただけるように、季節に応じたセグメントを試みてみました。
 そして、それぞれに「橙香(とうか)」、「朱夏(しゅか)」、「銀花(ぎんか)」というネーミングを与えました。

【町田】 全部漢字ですねぇ ! しかも、まるで日本の古典文学にも通じる響きがある !
【渡邉】 そうです。四季が鮮やかに移っていく日本の風土に合わせて、日本語の情感を大事にしようということで … (笑)
 まず、「橙香(とうか)」というのは、春と秋を代表します。
 春から秋までの長いあいだ咲いている「マリーゴールド」という花がありますよね。「橙香」はそのマリーゴールドの色合いや風情を象徴した名前なんですね。

▼ アミティSPEND「橙香(とうか)」

【渡邉】 この「アミティSPEND」というレイアウトは、ご夫婦の2人旅を意識した作りになっています。
 その最大の特徴は、リヤの大型固定ベッドですね。ご夫婦2人がゆったりと寝返りを打っても、まったく窮屈に感じられないようなダブルサイズになっています。その下が大型収納庫ですね。

▼ アミティSPEND「橙香(とうか)」 リヤダブルベッド

▼ アミティSPEND「橙香(とうか)」 ベッド下の大型収納庫

  
  
冬の旅に豊かな情感を盛り込む「銀花(ぎんか)」

【渡邉】 冬の季節を表現しているのが、「銀花(ぎんか)」ですね。
 これは文字通り、冬空を舞う雪の結晶を “花” に見立たてたネーミングです。
【町田】 風情がありますね。「冬」といいつつも、すごく温かい雰囲気です。

▼ アミティLE「銀花(ぎんか)」

【渡邉】 冬は寒い季節なんですけれど、だからこそ逆に、人と人が集(つど)うときの温かさみたいなものが恋しくなるんですね。
 だから、長年連れ添ったシニア夫婦にはいいのかなと(笑)。デザイナーの小島さんもそのあたりを狙っているのだと思います。
【町田】 ほんとうにカラーコーディネートが優しいトーンなので、落ち着きます。

【渡邉】 このアミティLEという車は、リヤエントランスを実現して、リビングの広さを追求したレイアウトなんですよ。
 だから、ご家族の多いファミリーに好まれると思っていたのですが、意外や意外、2人で使われる方に選んでいただくことが多いんです。
 おそらく、ゆったり座れるので、長旅も苦にならないとか、個室もあるので、トイレを付けようと思えば付けられるといったところを評価してくださるのでしょう。

【町田】 なるほど。確かに、そういうシニア夫婦の2人旅に合った内装ですね。カラーコーディネートも飽きがこない。

▼ アミティLE「銀化(ぎんか)」 ダイネットとリヤキッチン

【渡邉】 次が夏の季節を代表する「朱夏(しゅか)」。
 これは、夏の海辺を代表するブルーを基調に、燃える陽光を表す朱色のアクセントを添えるというコンセプトなのですが、実はまだこの内装は完成していないんですよ(笑)。
 だから、もうしわけないんですが、今は実車がないんです(笑)。
【町田】 けっこうです。それは次の楽しみに。
 
 
住宅の内装デザインと車の内装デザイン
の違いは「動く」か「動かない」か

【町田】 では、ここで実際に内装コーディネートを担当されたデザイナーの小島真子さんにお話をうかがいたいと思います。
 住宅の内装デザインのお仕事と、キャンピングカーの内装デザインの仕事を比べると、何がいちばん違うと思われましたか?

▼ 小島真子さん

【小島】 単純なことですが、「車は動く」ということです(笑)。
 というのは、最近の住宅で使われる家具類は、スタイリッシュでシャープなものになってきているんですね。
 もちろんそれは、色使いとかそういう部分にも表れているんですが、形状そのものもシャープになっているものがあるんです。
 そういうものを家具デザインに生かすと、確かにものすごく “今風” になるんですが、車は “動く” ものですから、そのままでは使えない。

【町田】 移動中に人が転んだりすると危ないという意味ですか?
【小島】 そうです。移動中に室内に立ったりすることもあるでしょうから、万が一転ぶことも考えて、形のシャープな家具というのは、まずダメですね。
 ではどうしたら、“今の時代” を感じさせながら、同時に、常に動いていく自動車の内装にも合ったデザインを創造していくか。はじめての経験でしたので、最初はずいぶん悩みました(笑)。

▼ 「銀花」のキャビネット類

【町田】 その問題をどう解決されたのですか?
【小島】 けっきょく家具形状はなるべく優しいものにして、色使いや素材感で “時代の風” を取り込んでいくという方法を採りました。
 さいわい、「今回の想定ユーザー層はシニアだ」というお話もうかがっていましたから、ならば精神的にも成熟した方々が買われるのだろうと推測して、日本の四季を、ちょっと “文芸的” に表現してみたいと思いました
 
 
四季の情緒を内装コーディネートに取り込む
 
【町田】 それが「橙香(とうか)」、「朱夏(しゅか)」、「銀花(ぎんか)」というインテリアパターンのセグメントですね。まるで万葉か古今和歌集にでも出てきそうな言葉ですね(笑)。

【小嶋】 分かっていただけるとうれしいです(笑)。
 要は、車の内装に、ひとつの “物語” を埋め込んでみたかったんですね。けっきょくキャンピングカー旅行というのは、皆さんそれぞれ自分の “物語” を探し求めていく旅だと思うんです。
 その物語を効果的に演出する舞台が、日本の場合は四季です。
 ならば、その四季がそれぞれ持っている情感を、さらに「キャンピングカーの内装」という “アンプ” を使って増幅してみたい。
 それが、今回三つのインテリアパターンをつくってみた動機です。
 
▼ 「橙香」のロゴを入れ込んだカーペットまで製作

【町田】 いやぁ、面白いお話でした。キャンピングカーにこういう要素を盛り込んでいくというのは、やはりキャンピングカー文化の成熟だと思うんですよね。
 文化が成熟していくと、「数値」のようなすぐ目に見えるものから、「情感」とか「気配」といったような、「数値」では測れない領域にまで人々の関心が向かっていく。
 世の中の流れが、今「モノ」より「コト」に向かっているとよく言われますけれど、たぶんキャンピングカー文化も、「モノ」から「コト」への移行期に当たっているのかもしれませんね。
 
 
エートゥゼットHP URL http://atozcamp.com/
小島真子さんのblog http://ameblo.jp/komajimako
 
  

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RVランド 阿部和英社長インタビュー

 
 キャンピングカー展示場としては国内最大級といわれる茨城県の「RVランド」。
 同社が広告で掲げる「キャンピングカーの楽園」というキャッチどおり、ここでは緑豊かな美しい空間のなかで、毎日掃除されてピカピカに輝く50台の展示車が来場者を待っている。 

 ここを統括しているのが、阿部和英社長(写真下)。
 1992年に先代(現・阿部和麿会長)が創設したこの展示場の運営を引き継ぎ、その事業内容を大幅に拡大・進化させて業界の発展にも大きく貢献。今やキャンピングカー業界をけん引する人材として将来を嘱望されている2代目社長だ。

 しかし、ここに至るまでの和英社長の歩んできた道は平坦ではなかった。
 一見、充実した資産を親から受け継ぎ、何ひとつ不安材料が見当たらない場所でスタートを切った人生だと他者からは思われがちだが、あまりにも大きな親の存在は、子供にとってはとてつもないプレッシャーになることがある。

 直接親から受ける厳しい叱咤もあっただろうし、その親の成功をねたんだ冷たい視線も業界の一部から放たれていたかもしれない。

 だが、それらを見事に跳ね除け、いまRVランドの2代目社長は、先代も、そしてキャンピングカー業界のこれまでの重鎮たちも果たせなかった大きな仕事をやり遂げようとしている。

 存在感のある人間のもとには、それを慕う人材も集まってくる。
 業界の若手グループの間で、いま和英社長に絶大な信頼と期待を寄せる人の輪は日増しに大きくなっている。

 このたび、その昇る朝日のような興隆期を迎えている同社長にロングインタビューを試みることができた。
 
 業界における現在のRVランドの “独走” は、先代が果たした偉業だけでは説明がつかない。
 そこには、2代目の和英社長の力が大きく関わっていたのだ。
 
 冷静に先を見つめ、慎重に情勢を分析し、果敢に決断する。
 経営者としての才覚をいかんなく発揮する同社長。
 その原動力となっているものはいったい何なのか?
 そこには、とてつもない波乱万丈のドラマが隠されていた。
 
 話の続きは、こちらで(↓)
 キャンピングカースタイル「メーカーインタビュー RVランド」
 
http://camping-cars.jp/taidan/2037.html
 
 
RVランドHP URL: http://www.rvland.co.jp/
 
 

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NTBの「SINOBI」と「ASAKAZE」

 
 
黒いボディの圧倒的な存在感

 2017年の2月初旬に幕張で開かれた「ジャパンキャンピングカーショー」の会場で、ひときわ来場者の視線を集めた1台の車があった。
 
 装甲車を思わせる直線基調のフォルム。
 精悍なフロントフェイス。
 闇よりも深い黒に塗られたボディが、旺盛なエネルギー感をはらんで見学者を圧倒する。
 見るからに、「ただものではない !」と思わせる威容だ。

 この “黒い悪魔” の名は「SINOBI (しのび)」。

 なるほど !
 日本の「忍者」をイメージした車名なのだから、黒装束なのはよく分かった。
 だけど、この黒 …… 、こっそり活動する忍者にしては、ちょっと目立ちすぎじゃね?
  
  
あえて内装を省いたモデルを展示
  
 「SINOBI」は、いすゞビィーカム(Be-cam)をベース車にして、従来のキャブコン製作とはまったく異なる開発思想で取り組んできたNTB(日本特種ボディー株式会社)の新型車である。
 つまり、「SAKURA(さくら)」、「ASAKAZE(あさかぜ)」に続くキャブコンの第3弾としてリリースされた車で、基本的には、先に開発された「ASAKAZE」の性格を受け継ぐ車だ。

▼ 「SAKURA」

▼ 「ASAKAZE」

 が、「ASAKAZE」ゆずりであるのは、そのベース車がビィーカムの2.0t ワイドであるというところまで。
 中身はまったく違う。
 というか、「SINOBI」には、中身がない !
 ショー会場でこのキャブコンの車内を覗き込むと、そこにはガランとした空洞が待ち受けているだけだった。

 ショーの開催までに内装が間に合わなった新型車の場合、ときどき室内がドンガラのまま展示される車がある。
 しかし、どうやらそれとは違うようだ。

 「SINOBI」に秘められた “忍術” の真意を、NTBの蜂谷慎吾社長(写真下)に尋ねてみた。

…………………………………………………………………………
完全オーダーメイドの「SINOBI」

【町田】 ずばりお聞きしますが、この「SINOBI」に内装が組み込まれていないのは、どういう理由からなのでしょう?
【蜂谷】 この車は、お客様から完全オーダーをいただいて、そこから内装を組み上げていく車なんです。
 つまり、完全ワンオフ車。住宅でいえば “注文建築” ですね。
 そのため、先入観を払しょくするために、あえて内装を省いているんですよ。

【町田】 それにしても、黒い塗装の外装がすごいインパクトをみなぎらせていますね。
【蜂谷】 ちょっとどぎついくらいのところを、わざと狙ってみようかと(笑)。ただ、厳密にいうと「黒」ではないんですよ。
 ショー会場のような屋内では「黒」に見えてしまうかもしれませんが、実はグリーンメタリック塗装です。明るい陽射しのもとに置くと、実に鮮やかなグリーンメタとリアルカーボンのコントラストが美しく映えます。


【町田】 それにしても、大胆な色使いですね。
【蜂谷】 目立つようなカラーにしたのは、外板色も自由に選べるということを訴求したかったんですね。現在の「SINOBI」は、オプションとなるグリーンメタの塗装仕上げになっていますが、標準色は「ASAKAZE」や「SAKURA」に使っている白です。またオプションでカーボンを貼ることもできます。

【町田】 カーボンを貼るとどうなるんですか?
【蜂谷】 強度が増すんですね。窯に入れて焼くドライカーボンにすると、さらに強度が上がるんですが、広い部分をカバーするとなると、釜で焼くことはできないので、一部だけになりますが。


 
【町田】 なるほど。ところで、なぜ “完全ワンオフ車” という設定にしたのですか?
【蜂谷】 やはり従来のキャブコンでは物足りないと思われるお客様がいっぱいいらっしゃるからなんですね。
 走行性能、安全性という車両としての基礎的なところから、レイアウト、電装系のシステム、種々の搭載機器など、キャンピングカーに対する自分の理想像を思い描いていらっしゃるお客様はけっこういらっしゃいます。
 そういう方々のニーズを汲むとなると、どうしても完全オーダー車にならざるを得ないんですね。

【町田】 御社が2年前に出された「SAKURA」は、そのあたりのニーズを満たそうという意図で開発されたものでしたよね。

▼ 「SAKURA」

【蜂谷】 そうです。「SAKURA」などは、それなりにお客様からの要望を受け入れるスタンスで臨んでいます。
 ただ、「SAKURA」などの基本レイアウトは、われわれNTBが考えるもっとも使いやすいものなんですね。「ASAKAZE」もそうです。われわれからすれば、それらの基本レイアウトや仕様は、ベストであるという自負はあります。
 それでも、ご自分の頭の中にすでに理想のキャンピングカーのイメージを組み立てていらっしゃる方は、既存のキャブコンの仕様では満足されないんですね。

【町田】 そういうリクエストに応えるために用意された車種が「SINOBI」であると?
【蜂谷】 そうです。「SINOBI」は、お客様自らが自分自身にとって使いやすいレイアウトや仕様を実現するためのモデルなんですね。
 われわれNTBは、そういうお客様のご要望をしっかり聞き入れて、車検上や安全性に問題がないかどうかを一点一点ずつ確認しながら、お客様の「夢の車」を実現させるサポートをさせていただくということになります。
  
  
内装サンプルは「ASAKAZE」を参考にしてほしい

【町田】 でも、まったく “叩き台” がないと、いくら理想の仕様が頭のなかにあっても、それを施行者にうまく伝えられない人もいるんじゃないですか?
【蜂谷】 そういう方に「ASAKAZE」の内装を見ていただきたいんですね。それをサンプルにして、具体的に「どこをどう変更したいのか」というリクエストやアイデアを頂戴できれば、われわれも作業しやすいですから。

▼ 「ASAKAZE」外形

▼ 「ASAKAZE」内装

 
【町田】 具体的にどういうリクエストが出てきそうですか?
【蜂谷】 「SINOBI」の全高を見ていただくとお分かりになると思うのですが、「ASAKAZE」よりもルーフが15cmかさ上げされているんですよ。
 それはなぜかというと、床を高くしたいというリクエストが出てきたときに対応するためなんですね。
 床を高くすれば、たとえば床暖房などを組み込むこともできます。
 現在のところ、まだどのような床暖房システムがいいのか検討中ですが、電気式のものや温水式のものなど、いろいろ試験を重ねている最中です。

【町田】 では、掘りごたつ仕様などもできそうですね。
【蜂谷】 できます。床を畳仕様にして、中央に掘りごたつを設定するなどということも可能です。 
 また、長旅になると、ランドリーなどない地方を旅しなければならないこともあるでしょうから、そういうときのために小型のドラム式洗濯機を搭載するといったようなアイデアもあります。
 
 
リチウムイオンバッテリーの実用化も間近
 
【町田】 そういう場合の電源は?
【蜂谷】 リチウムイオンバッテリーを計画しています。まだ公表できないのですが、マイナス20℃ぐらいの場所でも問題なく充電できるような高性能リチウムイオンバッテリーを考えています。すでにキャンピングカー以外の分野では実績のあるものですけどね。

【町田】 「SINOBI」は、「ASAKAZE」のスペシャルバージョンという位置づけだということですが、それに先行する「SAKURA」と「ASAKAZE」の関係は、どういうように考えればいいのでしょうか?
【蜂谷】 「ASAKAZE」は、「SAKURA」の “強化バージョン” といってもいいのかもしれませんね。

▼ 「ASAKAZE」外形

 
【町田】 どこが強化されたのですか?
【蜂谷】 一言でいえば、許容荷重ですね。同じいすゞビィーカムでも、「SAKURA」は1.5 t シャシーで、「ASAKAZE」は2.0 t ですから、「ASAKAZE」の許容荷重はそうとう増えています。

【町田】 どのくらい増えたといえるんでしょう?
【蜂谷】 500kgは増えてますね。その分、架装できる内容物がそうとう豊かになりました。
【町田】 たとえば?
【蜂谷】 鉛バッテリーなども、「SAKURA」では100Ahのものを四つ入れていたんですが、「ASAKAZE」では、190Ahのものを四つ入れられるようになりました。
 それもできるだけ床の下の方に搭載して、低重心を心掛けるとともに、左右に振り分けて、重量バランスを取るようにしてあります。
 
▼「ASAKAZE」外形

  
  
「ASAKAZE」の内装がハイグレードになった秘密

【町田】 そのようにしてバッテリー容量が上がってくると、電気の消費量にもゆとりが出てくるわけですね。
【蜂谷】 そうですね。バッテリーを普通に使っていれば、空になるまで使い切ることが少なくなるので、安心感は増したと思います。
 「SAKURA」の場合は、100Ahが四つでしたから、2日ぐらい使い込むと、少し走行充電して電気を溜めなければなりませんでした。しかし、「ASAKAZE」では2泊3日ぐらい大丈夫になりました。

▼「ASAKAZE」内装



 
【町田】 許容荷重が増したことによって、ほかにどんなメリットが生まれましたか?
 
【蜂谷】 家具などの質感を高めることが可能になりましたね。たとえば「SAKURA」では、いくらシャシーにビィーカムを使ったとしても、搭載機器で許容荷重がいっぱいになってしまったら意味がないわけですから、家具にもなるべく重いものを使いたくなかったんですよ。
 たとえば家具扉に「曲げ合板」などを使えば質感が高くなることは分かっていたのですが、「曲げ合板」は重量があるので、「SAKURA」では多用できなかったんですね。
 しかし、「ASAKAZE」ではビィーカムの2.0 t ワイドシャシーになったので、多少重量が増えても質感の高い家具を投入できるようになりました。

【町田】 いやぁ、ほんとうに「ASAKAZE」の内装は素晴らしいです。ものすごく高級感がありますね。

【蜂谷】 ありがとうございます。「ASAKAZE」では、家具類にどういうLED照明を当てていけば高級ホテルのようなグレード感が出るのか、そういうところにもかなり気をつかいました。
 たとえば、キッチンの人工大理石の天板を照明で透かせて、ほわっと浮かんで見えるように設定するとか。

▼ 「ASAKAZE」内装

【町田】 その試みは成功しているように思えます。「SINOBI」の内装を考えるときに、「ASAKAZE」がサンプルになるのだとしたら、「SINOBI」の内装デザインにもそうとうグレードの高いものが現れてきそうですね。

【蜂谷】 基本的に、この車はフルオーダーになりますから、お客様からご指定をいただければ、ヨットなどに使われるチーク材とか、後はほんとうに普通のルートでは入手が難しくなっている高級木材などで家具を作ることもできます。
 シートなども、高級車に使われるコノリーレザーを取り寄せることも可能です。
 また「SINOBI」1号車では、熱などに弱いといわれるPVC家具ではなく、自動車用に開発された現時点では最高と目される新素材による家具製作も試みるつもりです。

【町田】 いやか、ほんとうに楽しみにですねぇ。次の機会には、ぜひ内装を見てみたいと思いました。
 
 
…………………………………………………………………………
海外雄飛も射程に入れて

 「SINOBI」に関しては、その開発の陣頭指揮を執られたNTBの江田敏夫会長(写真下)にもお話をうかがうことができた。
 この車にかける江田会長の熱い胸の内を聞いた。

【町田】 「SINOBI」というのは、忍者のことですよね。忍者といえば、いま外国人観光客に絶大な人気を誇っています。NTBさんの場合は、これまで自社製品に、「SAKURA(桜)」、「ASAKAZE(朝風)」というように外国人にも解る日本語の名前を付けてきています。
 そこには、海外の人の目を意識したキャンピングカーを作っているというお気持ちがあるのでしょうか?

【江田】 いずれは海外マーケットに打って出てみたいという夢はあります。日本にも欧米のモーターホームに負けないしっかりしたキャンピングカーがあるよ、ということを、海外の人に訴えてみたいですね。
 もちろんハードの面で、外国製モーターホームと比べても遜色のないものを作っているという自信はあります。
 しかし、それだけでなく、私は日本の「文化」を売りたいんですね。
  
  
日本文化のエッセンスを盛り込んだキャブコン
 
【町田】 日本の「文化」を売るというのは、どういう意味でしょうか?
【江田】 たとえば、日本に来られた欧米の観光客を見ていると、みな浅草に行って、伝統的な日本の団扇とか、扇子だとか、人力車などを見て面白がっているんですね。
 要は、昔からある日本の風物がエキゾチックに感じられるのでしょうね。
 だから、この「SINOBI」に関しても、思い切って伝統文化のテイストを盛り込んだ仕様を作ってみて、それをプレゼンしたいと思っています。

▼ 「ASAKAZEI」内装

【町田】 それは、どんなデザインになるのでしょう?
【江田】 室内を畳にして、襖(ふすま)を置いて、そこに写楽の役者絵や広重の「東海道五十三次」のようなものを描いたっていいと思っています。
 そして、日本文化の神髄は「静けさ」にあるということを訴えてみたい。

【町田】 静けさ …… ?
【江田】 アメリカのモーターホームなどは、エアコンを駆動するときにジェネレーターを焚いたりしますよね。
 しかし、私どもが開発しているキャブコンに搭載しているクーラーシステムでは音がしない。そういう電装システムを確立しているからですね。
 そういった排ガスも出ないし、騒音も出ないエアコンシステムは、もちろん「エコロジー」という観点から訴求することも可能なんですが、私はそれを「静けさ」を尊ぶ日本文化の精神という点から訴えたい。
 「古池やカワズ飛び込む水の音」という、あの松尾芭蕉の句に込められた静寂と清涼感を外国人に感じさせたい(笑)。

【町田】 面白いですねぇ !
【江田】 そういう方向を目指して、より洗練されたキャブコンが誕生したら、私はそれに「MIYABI(雅)」というネーミングを授けて、そのときこそ海外に持っていきたい。そんな夢を抱いています。
  
NTB(日本特種ボディー)HP URL :http://www.ntbcamp.com/

 
 
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バンテック「シーダ(Cyda)」

 
バンテックブースのデザインに秘められた意味

 キャンピングカーに対する開発者たちの意識が変わってきている。
 ここのところ、ものすごくそれを感じる。
 それを一言でいうならば、「目に見えないものの深さ」に気づいてきた、ということなのだろうと思う。
 
 言葉を変えていえば、「スペックとして表現できる」ものから、「スペックとして表現できないもの」へ。
 すなわち、キャンピングカーメーカーが、いよいよ「物」の世界から人間の「心」の世界に迫り始めたのではないかという気がするのだ。

 そのことが象徴的に表れたのは、今年の2月初旬に幕張で開かれた「ジャパンキャンピングカーショー2017」のブースだった。
 バンテックのブース。
 人気車種を取り揃えたバンテックブースは、いつもながらショーの会期中を通して大盛況だった。
 

 しかし、ふと人波が途絶えたときにこのブースを眺めると、何もない空間が贅沢に取られていることが分る。(写真下)
 主催者側に支払うブース料は、車を置く “コマ数” で決まってくるわけだから、空間だけ確保して何も置かないというのは、とてももったいないことである。

 だが、バンテックのブース作りを担当したスタッフにいわせると、この “無駄な空間” には意味があるというのだ。
 それは、「何もない空間に雄弁に語らせたかった」ということらしい。
 つまり、そこに浮かび上がった “意味のない空間” こそ、開放感、快適感、贅沢感を演出するための “計算され尽くした舞台” だったのだ。
  
 
「リゾート」と「観光の違い」

 今回のバンテックブースのテーマは「バンテックリゾート」。
 つまり、このスペースは、バンテック車をただ展示するだけではなく、車と一体となったリゾート気分を感じてもらうためのスペースだったと担当者は語る。

▼ 「バンテックリゾート」を謳ったシンボルマーク

 「リゾートと観光は違います」
 と、ブースのコンセプトメイクを手掛けたバンテック広報課の露木伸也氏はそう述べた。

 「同じ旅行でも観光というのは、限られた時間のうちに訪問地をどれだけ消化できるかという性格を持っています。
 それに対し、リゾートに滞在するということは、訪問地をある程度限定してしまう代わりに、出向いた場所を心ゆくまで味わい尽くすという意味があります。
 つまり観光は、おカネを出して “訪問地の数を買う” こと。
 一方リゾートで遊ぶのは、くつろぐための “時間を買う” ことだというふうに私は思っています」

 露木氏によると、バンテックのブースを「バンテックリゾート」というテーマでまとめたのは、見学者にそこが贅沢な時間が流れる場所だと感じてもらいたかったからだという。
 そして、バンテックのキャンピングカーは、常にそういう時間を約束するツールとして存在していることを訴えたかったとも。

 前置きが長くなりすぎた。
 ここでは、実際にそのような思想から生まれてきた車を1台紹介したい。

 「シーダ」(写真下)
 バンテックが新型ボンゴトラックをベースに開発したライトキャブコンである。

 この車の狙いは、「お客様に贅沢な時間を味わっていただくこと」。

 開発者インタビューで、シーダを設計した同社の木嶋伸介氏(写真下)は、ショー会場でブース作りを担当した露木氏と同じことを言った。

…………………………………………………………………………
「シーダ」は「ジル」のダウンサイジング版

【町田】 「シーダ」は、いま激戦区といわれているライトキャブコンの分野に投入されたキャンピングカーですが、この分野は、昔からしっかり認知されている数々の競合他車がひしめきあっています。
 「シーダ」はそのなかで、かなり後発の部類に入ります。
 そこでお聞きしたいのは、バンテックさんは先行するたくさんの競合車に対し、この「シーダ」をどのように差別化したのか?

【木嶋】 確かに、「シーダ」はライトキャブコンのなかでは後発ですから、認知を得られるのまでに多少の時間がかかるかもしれません。
 しかし、これまでのライトキャブコンとは違う思想で造られた車だと思っていますので、後発であることはあまり気にしていません。

【町田】 今までのライトキャブコンと違うというのは、どういう意味ですか?

【木嶋】 早い話、これは当社の「ジル」あるいは「ジルクルーズ」とほぼ同じものなんですよ。それらの “ダウンサイジング版” と考えてくださると分かりやすいかもしれません。
 つまり、パーツ類などは、できるだけ「ジル」クラスで使われているものと同じ物を使用していますし、品質感においても、「ジル」系と比べて遜色のない仕上げを心掛けています。
 そういった意味で、「シーダ」はサイズ的にはライトキャブコンに入るのでしょうけれど、グレード的には高級キャブコンの範疇に入る車だと私たちは思っています。

【町田】 「ジル」と同じようなパーツ類というと、どういうものが挙げられるのでしょう?
【木嶋】 アクリル2重窓などがそうですね。エントランスドアも、ジルレベルでなければ採用しないヨーロッパ製のハイグレードな扉を付けています。
 断熱材の素材や封入の仕方も「ジル」と変わりません。
 さらに、ご希望があれば「ジル」のようなトリプルバッテリーも装備できるスペースを用意しております。


 
 
「室内が広く感じられる」という空間マジック

【町田】 なるほど。それで他のボンゴベースのキャブコンより多少価格が上がっているんですね。
【木嶋】 そうですね。これまでのライトキャブコンの世界では、どうしても価格が安いということが一つの “バリュー” になっていました。
 しかし、この「シーダ」に関しては、価格の安さは “バリュー” のなかには入りません。
 それよりも、他のライトキャブコンにはない新しいバリューを創造してみたかったんですね。

【町田】 たとえば?
【木嶋】 「空間の広さ」です。
 もちろん、カムロードクラスのキャブコンと比べると、ボンゴは小振りなので、実寸では「ジル」や「コルド」のような室内寸法は取れません。
 でも、この「シーダ」をお求めになられる方は、「本当はジルやコルドが欲しかったけれど、家の車庫が狭かったからシーダにした」という方が多いと思われますので、室内空間だけは「ジル」や「コルド」クラスの広さを感じられるような車にしたかったんです。

【町田】 確かに実寸としてはジルなどよりは狭いのでしょうけれど、スペースが広く取れていると思わせる秘密は?(笑)

【木嶋】 視覚的な仕掛けもけっこう採り入れています。たとえばエントランスから入ってきたときに室内を広く感じていただけるように、テーブル高を少し低めに設定しています。テーブルの実寸値は「ジル」と同じですが、そうすることによって、視覚的な広さが確保できるんですね。

【木嶋】 また、サードシートのひじ掛けにも工夫を凝らしました。
 ひじ掛けがあると、座っているときはとても楽なんですが、このひじ掛けがいつも持ち上がっていると、エントランスから入ってくるときに視覚的な圧迫感が生まれるんですね。
 そのため、ひじ掛けを埋め込み式にしてあります。

【町田】 なるほど。そういう緻密な設計によって、けっこうゆったりしたサロンが生まれているわけですね。マルチルームやクローゼットまで設けているというのに、そんな狭い感じがしない。まさに空間のマジック !(笑)
 
 
多目的ルームの意外な効用

【木嶋】 ライトキャブコンにおいても多目的に使えるマルチルームが欲しいといわれるお客様はけっこういらっしゃるんですね。
 やはり、家族で使うといっても、奥様やお嬢様は、着替えするときに扉の閉まる個室があった方がいいと思うでしょう。
 ここには緊急用のポータブルトイレを置くことができますが、緊急時にそれを使うとなったら、やはり扉が閉まる方がいいですよね。
 また、こういうマルチルームは収納庫としても使えますし、ヒーターのダクトを回してありますので、乾燥室としても使えます。

▼ マルチルーム

【町田】 これは自分の経験ですが、いくら仲が良い夫婦だといっても、同じ空間で寝泊まりしている期間が2週間を超えて3週間目ぐらいになってくると、さすがに息がつまってくるんですね。
 そういうときに、息抜きの空間として個室があるとすごく気分的に楽です。別にそこに閉じこもらなくたっていいんです。
 「いざとなったら、一人でこもれる空間がある」と心に思うだけで、ふっと気分が軽くなりときがありますね。

【木嶋】 なるほど。3週間以上の長期旅行ではそういうこともあるんですね。
 ま、個室に関してはいろいろな考え方もあると思いますので、今後この車のバリエーションを増やすときには、リヤのベッドスペースを広げる代わりに、個室を省いたレイアウトなども考えてもいいと思っています。
 
 
かなり欲張った就寝スペース

【町田】 現状でもリヤベッドはかなり広い方じゃないですか?
【木嶋】 以前、「アトム」というライトキャブコンを発売していた時代があったんですが、そのときには「リヤベッドが狭い」というお声をかなりちょうだいしましたので、今回はそれよりベッドを広くとっています。

▼ リヤ2段ベッド

【町田】 どのくらい広くなったんですか?
【木嶋】 このベッドは、頭の部分がゆったりしていて足先が狭くなっているという変形ベッドなのですが、以前のものと比べて最大50mm程度は広くなってますね。
 ベッドマットはすべて外れるように作ってあるので、マットを外せば背の高い荷物を入れることもできます。

【町田】 就寝定員は何人取れたのですか?
【木嶋】 リヤベッドが上下2段で大人2人。バンクベッドは縦横どちらの方向でも1860mm取れていますので、大人2人は大丈夫。お子様なら3人寝られます。
 さらにダイネットもベッドメイクすればお子様1名が寝られます。
 そういうわけで、子供を入れた6人家族の就寝スペースがあるのですが、構造要件上の就寝定員としては「大人4名」ですね。 

【町田】 このくらいコンパクトな空間ならば、エアコンも効率よく冷えるでしょうね。
【木嶋】 そうですね。かなり効率はいいと思います。インバーターエアコンなので、消費電力もそれほど大きくないですしね。
 
 
画期的なバッテリー残量計

【町田】 もしトリプルバッテリーにしたら、このエアコンは電源供給のないところでどのくらい持ちますか?
【木嶋】 外気温によって変わってきますけれど、だいたい4~5時間程度じゃないでしょうか。キャンプ場やRVパークで20Ah程度のAC電源が引ければ、まったく問題ないですけどね。
 また、寝るときには26℃か27℃ぐらいの温度設定にしていただければ、外気温と室内温が同じぐらい温度になったときに自動的に停止してくれますので、消費電力も少なくなると思います。
  
【町田】 夏場はエアコンの問題があるから、電気の消費に関しては皆さん神経をつかいますよね。特にバッテリーが弱っていると、FFヒーターをかけることすら心配になるときがある。
【木嶋】 でも、今はなかなか優れたバッテリー残量計出てきたんですね。それを使うと、車全体の消費電力を正確にチェックして、バッテリーがあと何時間電気を供給できるかということを具体的に表示してくれるんです。
 
▼ 新タイプのバッテリー残量計(右)

【町田】 それは便利ですねぇ !
【木嶋】 これはなかなか優れたバッテリー残量計で、ジル系などには標準で装備されています。安心して電気を使用していただくには欠かせない装備ですね。
  
  
ターゲット層はアクティブなヤングファミリー

【町田】 シートの分割式背もたれの部分の色を一部変えたりして、かなりお洒落なインテリアコーディネートを試みていらっしゃいますが、ずばりターゲットユーザーは?

【木嶋】 やはり、ジル系よりは少し年の若いご家族ですね。基本的に、まだ親と一緒に遊びたがるぐらいのお子様がいらっしゃる家庭をイメージして設計に臨みました。
 実は、私たちは、ショー会場にお越しいただいた方にアンケートを調査をしているんですよ。
 そのデータを分析していくと、かつては60歳代のお客様が圧倒的に多かったのですが、最近は50代から40代ぐらいの来場者が増えているんですね。
 そういう調査も踏まえた上で、ターゲットとするお客様の年齢を少し下げてもいいのかな、と判断しました。

【町田】 子供のいるヤングファミリーを想定したのなら、アウトドアユースも念頭におかれたんじゃないですか?
 
 
アウトドアでの使用も意識した装備
 
【木嶋】 そのとおりです ! 道の駅のコンクリートの駐車場で仮眠を取るような使い方も確かにいいんですが、できればこの車は、豊かな自然が広がるキャンプ場などで、親子が心行くまで遊んでくれるような使い方をしていただきたいと思っています。

【町田】 アウトドアを意識するとなると、装備内容なども違ってきますか?
【木嶋】 そうですね。たとえば車外でもシャワーを使えるように、ギャレーのフォーセットなどはエントランスの外まで伸びるようにしてありますし、マルチルームも、アウトドアで濡れたりした荷物をそのまま積んでもいいように防水仕様にしています。

▼ 伸縮型のギャレーのフォーセット

【町田】 子供が独立してしまったシニア夫婦だって、アウトドアは気分転換になりますよね。普段は道の駅や高速のSA・PAで泊まっていても、たまにキャンプ場などに泊まると、やはり気分がリフレッシュしますものね。

【木嶋】 そうですね。ましてやお子さんにとって自然に接するというのはものすごく感動的な体験になると思います。
 個人的なことですが、私も小さな子供をたまにキャンピングカー旅行に連れていくのですが、コンクリートの駐車場で泊まるときと、自然に囲まれた環境のなかで泊まるときでは、もう顔の輝きが違うんですね。自然に接するときは、体そのものから生気が立ち上ってくるのが分かるんです。

【町田】 それは素晴らしいな。いま学校も事故などが起きることを懸念するのか、昔のような臨海学校とか林間学校のような行事を取りやめてしまいましたよね。
 そうなると、子供を自然に親しませることができるのは親だけになってしまう。
 そのときに、「自然と出合うためのキャンピングカーライフ」という視点が再び注目されてくるかもしれませんね。


 
 
人間にとっていちばんの「贅沢」
は自然のなかで憩うこと

【木嶋】 最近、生活のなかで、いちばん贅沢なものとはいったい何だろう、とよく考えるようになったんですね。
 たとえば贅沢な時間、贅沢な遊び、贅沢なつきあい、贅沢な食事 … 。
 昔だったら、おカネをかけていけば、いくらでも贅沢の質を上げることができるように思っていたんですが、最近は、人間にとっていちばんの贅沢は「自然のなかで心地よい時間を持てることかな … 」などと考えるようになってきました。

【町田】 ああ … 分かります。どんなに美しい都会のネオンを眺めようが、空気の澄んだ場所で、空一面を覆う星空を眺めるときの贅沢にはかなわない。

【木嶋】 そういうことなんです ! キャンピングカーの外に椅子とテーブルを持ち出して、ランタンの灯りのもとで家族そろって食事を摂る。
 そういう家族のイベントは、今のサラリーマン家庭からどんどん消え去ろうとしている気がするんですね。


 
【町田】 それを、キャンピングカーライフで取り戻す !
 
【木嶋】 私がそんなことを考えるようになったのは、デュセルドルフのキャンピングカーショーを見学に行ったとき、ついでに向こうのキャンプ場を視察してからなんです。
 そこに来られていたキャンピングカーユーザーのサイト作りが素晴らしいんですよ。
 どのサイトでも、自分のキャンピングカーの周りをイルミネーションなどで飾り、その前には美しい花が咲いている小鉢を並べたりして、見事に自分たちのキャンピングカーライフを楽しんでいる。その姿を見ていて、「あ、贅沢とはこういうことだ」と気づいたんですね。
 
【町田】 そういう話を聞くと、キャンピングカー旅行にはもっと豊かな可能性が秘められているという気持ちになりますね。
 

繊細な間接照明がつくり出す
異次元の美的空間

【木嶋】 もちろん、キャンピングカーには “機動力を持ったホテル” という性格もありますから、目的地に行くまでの緊急仮眠場所として、高速道路のSA・PAや道の駅を利用される方は、今後も増え続けると思います。
 しかし、仮にコンクリートの “味気ない駐車場” で休むようことになったとしても、せめて車内だけは贅沢な空気に満たしてあげたいと思うんですよね。
 「シーダ」ではそのための快適装備はぬかりなくセレクトしているつもりですし、心理的な面での雰囲気作りにも神経を注ぎました。
 たとえば、メインライトを落とした後の間接照明の数、明るさ、位置などの調整。それにはそうとう試行錯誤を繰り返しました。
 
【町田】 確かに、間接照明がきれいですね。
【木嶋】 ありがとうございます。照明類では操作性も上げなければなりませんので、テーブルの上のダウンライトもタッチセンサー式にして、指先一つで3段階の調光を選択できるようにしています。
 
【町田】 確かに、キャンピングカー空間に安らぎを求めるとなると、間接照明はとても大事ですよね。
【木嶋】 そうなんです。この車には、エントランスから入ったときに足元を照らすように、キッチンカウンターの角に縦型LED照明も付けているんですが、実用性を考えると、ここは明るくしたいところだったんですね。しかし、光が強すぎるとまぶしくなる。
 そこで、管の中にわざと抵抗を入れて、照明の色を落としているんです。
 
▼ 縦型LEDライト

【町田】 ほぉ、芸が細かい !
【木嶋】 そのように光の効果を確かめながら、心地よい空間を演出していくというのは数値としては測りにくい作業なので、けっこう難しいですよね。調整する人間の感受性みたいなものも問われると感じました。
 
 
「価格」から「デザイン」へ移行してきた
キャンピングカー評価

【町田】 でも、時代はだんだんそういう方向に向かっていくんでしょうね。
 開発者の繊細な神経が要求される作業を通じて、ユーザーの方もようやくキャンピングカーの深い “味わい方” を身に付けていくということだと思うんです。
 要するに、これからは、キャンピングカーの評価も、スペックで表示しやすい世界から、スペックだけでは表示しきれない微妙な世界へ移行していくのではないかな。
 今がその過渡期だと思います。

【木嶋】 はぁ、なるほど。… そういうこと関連するのかどうか分かりませんが、私たちがショー会場で見学者の方々から行っているアンケート調査においても、今までとは違った傾向が出てきているんですね。
 
【町田】 それは?
【木嶋】 「キャンピングカーを買おうと思われたときに、何にいちばん関心が向きますか?」という調査なんですけれど、少し前までは「価格」という答がいちばん多かったんですよ。
 ところが、最近トップに上がってきたのは「デザイン」、あるいは「居住性」なんですね。
 
【町田】 そうか。ユーザーの方も「価格」というはっきり数字で表されるものから、「デザイン」のように、よりデリケートでセンシティブなものに関心を向け始めたということなんですね。
 下手をすると、私たちキャンピングカーメディア側の人間の方が、もうユーザーやビルダーの進化に追いつけない時代が来ているのかもしれない。うかうかしていられないですね(笑)。
  

 
 
《 シーダ 諸元 》

ベース車 マツダ ボンゴトラックGL(2WD・4WD)
エンジン型式 直4 DOHC 16バルブ
最高出力 75kW(102ps)/5,300rpm
最大トルク 147N・m(15.0kgf-m)/4,000rpm
ミッション 5速AT
乗車定員:7名 就寝定員:4名
全長 4,860mm/全幅 1,950mm/全高 2,820mm
車両本体価格 5,378,400円~(税抜き)
  
バンテックHP URL http://www.vantech.jp/
  
  
バンテック関連 過去ログ
※ それぞれの記事はその年度における “最新情報” ということになっています。
 
「新型ジル520誕生」(2015年)

「バンテック『ルネッタ』」 (2015年)

「CORDE BUNKS」 (2015年)

「バンテック京都店オープンとバンテック車の開発思想」 (2015年)
 
 

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テリー伊藤氏にシュピーレンを貸与

 
 キャンプやアウトドアが好きで、キャンピングカーにも強い関心を持っている著名人を一人選び、その人を表彰するという行事がある。
 毎年2月に開かれる「ジャパンキャンピングカーショー」の会場で行われる「キャンピングカーアワード」がそれだ。

 そのアワードも今回で5回目を数え、今年は2年連続でタレントのテリー伊藤さん(写真下)が選ばれた。


  
 テリーさんは現在7台の車を保有する大のカーマニアとして知られ、キャンピングカー遊びにも一家言を持っている “RV通” として、キャンピングカー業界やファンからも熱い視線を送られている。
 それだけに、テリーさんが登場する「ジャパンキャンピングカーショー」のイベントステージには多くの報道人が集まった。

▼ 「ジャパンキャンピングカーショー」のイベントステージ

 毎年、このアワードにおいて話題になるのは、表彰された人に副賞として1年間無償で貸与されるキャンピングカー。
 ここで選ばれる車は、いわばその年にもっとも話題になりそうな “旬” の車であることを意味し、選ばれた車に関しては、メディアもユーザーも熱い視線を注ぐことになる。

 その注目の車に選ばれたのは、長野県のキャンピングカーメーカー「フロットモビール」社が開発した「シュピーレン」(写真下)。

 同車が選考された過程においては、アワードの表彰を受けるテリーさんの意向も反映されたといわれ、いわばテリーさんが求める「この1年使ってみたいキャンピングカー」ということになる。

 同車がテリーさんに選ばれた理由は何だったのか。
 「シュピーレン」を開発した「フロットモビール」の高森裕士社長(写真下)に、アワードの対象車に選ばれた感想などをうかがってみた。

【町田】 アワードに「シュピーレン」が選ばれて、まずはおめでとうございます。
【高森】 ありがとうございます。
【町田】 テリーさんがこの車を好意を持った理由は何だと思いますか?
【高森】 テリーさんのお仕事先が主に都心なので、どんな駐車場にも入る気楽な街乗り用のキャンピングカーを希望していらっしゃったという話でした。

【町田】 じゃ、シュピーレンのサイズなどはぴったりですね。
【高森】 そうですね。実はテリーさんは2年連続アワードを受賞されたのですが、去年貸与されたのが軽キャンピングカーだったんですね。
 で、1年使ってみて、軽キャンピングカーの良さを十分ご理解されたようなので、今年は軽よりもう少し大きめのサイズの車を使ってみたいというご意向だったようです。
 さらに、私たちの車はベッド展開も楽だったことをご評価いただいたようで、それも選考理由の一つになったという話を聞いています。

【町田】 それはうれしい話ですね。ところでこの1年、テリーさんにはどんな使い方をしてもらいたいと思っていますか?
【高森】 やっぱりお忙しい方なので、そんなに長期間のキャンピングカー旅行は無理だと思いますが、お仕事の合間にでも、気分転換に海の見える場所などに出向いて、ゆったりとした気分になっていただきたいですね。
 また、野外ロケなどで、自分の出番が回ってくる間の休憩室として、ベッドで仮眠など取っていただければいいとも思っています。
  
 
シュピーレンに新レイアウト誕生
 
 高森社長にいわせると、テリー伊藤氏に限らず、最近は “軽キャンピングカー以上 & ハイエースキャンパー未満” というこの車のサイズに独特の価値を見出すユーザーがとても増えてきたという。

 キャンピングカーショーの会場で、主に軽キャンパーを見に来てお客さんが、実物を見て「狭い」と感じ、次にハイエースのバンコンを見て「大きすぎる」と感じ、迷っている間にこのシュピーレンのブースにたどり着いて、
 「あ、まさにぴったりの大きさだ !」
 と喜ぶ人が増えてきた、と高森氏は語る。

 同氏がシュピーレンを手掛けてから5年。
 生産累計でも100台を突破した。
 
 「うちみたいな小さな会社で100台を超えたというのは大変名誉な出来事なんです。やっぱりそれだけ多くのお客様に認めてもらったということが、我々従業員の励みになります」
 と、高森さん。

 そのシュピーレンに新型レイアウトが加わった。
 名称を「1+(プラス)1人掛けバタフライシート仕様」という。

 これまで同車には、主に三つのレイアウトが用意されていた。
 一つ目は、「1人掛けバタフライシート」(写真下)と呼ばれるもので、助手席の後ろに1人掛けシートを置き、その横に2名座れる横向きシートを置くというもの。乗車定員は前向きの3名までだが、いちおう最大5名分のシートが用意されることになる。
 
▼ 1人掛けバタフライシート仕様

 二つ目は、「2人掛けバタフライシート」(写真下)と呼ばれるもので、フロント席の後ろに大人2人が前向きに腰掛られるシートを配しているところに特徴がある。
 これだと乗車定員の4名全員が前向きに座ってドライブすることができる。

▼ 2人掛けバタフライシート仕様

 三つめが「3人掛けバタフライシート」(写真下)。
 これは2列目に、前向き3名が座れるシートを用意したもので、乗車定員が5名となる。

▼ 3人掛けバタフライシート仕様

  
 
1+1人掛けバタフライシートが追加
 
 上記の三つに対し、このほど「1+1人掛けバタフライシート」(写真下)というタイプが追加された。これは、セカンドシートが単座のバタフライシート2脚によって構成されるというもの。
 乗車定員は4名までだが、シートが1脚ずつ独立しているので、「2人掛けバタフライシート」に比べると、2列目に座る人たちの姿勢もかなりゆったりしたものになる。

▼ 1+1人掛けバタフライシート仕様

▼ 「1プラス1人掛け」では4人全員が前向き走行が可能になる

 さらに、このレイアウトの場合、シートアレンジの操作が楽。3人掛けバタフライなどと比べると、単座シートの方が軽くて操作性も良いのでベッドメイクなども楽にこなせる。

▼ ベッドメイクも簡単

▼ さらに、セカンドシート1脚だけ残して、もう一方はベッド状態にしてしまうことも可能

 この新しく加わった「1+1人掛けバタフライシート」の価格は、2WDのATで、3,180,000円(消費税8%込み)。
 詳しくは下記を。
 
 フロットモビールHP URL : http://flott-m.com/
  
 

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RVビックフット「スウィング W 4.7」

 
オリジナルハイルーフのおかげで
標準ボディで4人就寝


▲ 新しく出たハイルーフバンコンの「スウィング W 4.7」

 バンコン人気のもっともベーシックな部分を支えているのが、ハイエース標準ボディのロールーフ(写真下)である。

 その特徴は、普段使いができること。
 駐車場を選ばない。
 見た目も低重心でカッコいいので、遊び心をくすぐられる。
 そして、そこそこの装備を盛り込んだ車種が300万円代から出回っており、400万円代まで手を伸ばせば、そうとう充実したキャンピングカーが手に入る。

 というわけで、ハイエースナローボディのバンコンは、ガテン系の若者からヤングファミリーのお父さんまで、けっこうな人気を集めている。

 バンコン/バスコンのプロショップであるRVビックフットは、古くからこの分野で先行しており、スウィング N 4.7という標準ボディのロールーフバンコンの販売を好調に続けている。

▼ スウィング N 4.7

 しかし、ロールーフバージョンの場合は、「寝る」という機能を追求するとなると、やはり十分な満足が得られない。
 ダイネットをベッド展開して得られる就寝スペースは、せいぜい大人2人。
 独身男性や若いカップルが、たまに車中泊を楽しむ遊びグルマとしてなら十分に機能するが、子供ができたりして家族単位で使うとなると、とたんにキャパシティ不足を感じてしまうものだ。

 それを解消するために、RVビックフットがこの春に開発したのが、スウィング4.7のハイルーフバージョン。
 「スウィング W 4.7」と呼ばれるこのニューモデルは、人気商品の「N 4.7」と同じ全長・全幅を維持しながら、同社がオリジナル開発したハイルーフで屋根上げされているため、全高で520mmアップ。室内高1800mmを達成し、立ったまま着替えができる居住性を獲得した。 

▼ スウィング W 4.7外形

▼ スウィング W 4.7内装

 
 この全高アップで何が実現されたのか。
 ルーフの内側に2段ベッドが設定できるようになったため、大人4名就寝が可能になったのだ。

▼ 2段ベッドが展開できるハイルーフ

 前述したように、全高以外のサイズは「N 4.7」と変わらず。
 すなわち、長さが4690mm、幅が1690mmなので、高さ制限のある立体駐車場以外なら、コンビニだろうが、コインパーキングだろうが、どんなところにでも駐車が可能。

▼ コインパーキングに収まるサイズ

 つまり、これ1台で買い物、通勤、子供たちの送迎となんでもこなしてしまうほか、もちろん4人就寝が可能になったことにより、車中泊やキャンプにも絶大な威力を発揮する。

▼ 頭上が高くなったので、リビング部の圧迫感がなくなった

  
▼ 右サイドのカウンターにシンク、冷蔵庫。左サイドのカウンター下に電子レンジなどが収まるスペースがある

 ルーフ高があるので、将来的にエアコンなどの様々な装備を組み込むスペースも維持される。
 ハイエースを作り続けてきたRVビックフットらしい、素晴らしい着眼点を持った新バンコンだ。
 
 
《 スウィング W 4.7 概要 》

ベース車 レジアスエース ロングバン
      (+RVビックフットオリジナル スーパーハイルーフ)
エンジン 直4DOHC ガソリン
排気量 1998cc 
最高出力 100kW(136ps)/5600rpm
最大トルク 182N・m(18.6kgf・m)400rpm
ミッション 6速AT
駆動方式 2WD(FR)
乗車定員 6(7)名
就寝定員 4名
全長 4695mm/全幅 1695mm/全高 2500mm
車両本体価格 4,770,000円(税抜き)
  
 
RVビックフット HP URL http://www.rv-bigfoot.com/
 
 

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タコス「NV ジャック(NV jack)」

  
復活「男の美学」 !
 
 「タコス」というキャンピングカーメーカーは、増ひろ子さんという女性店長をスタッフの中軸に据えてから、とても商品バランスの良いショップになった。

▼ 「タコス」増ひろ子店長

 たとえば、現在同社の主力車種となっている「ハナ」シリーズなどは、彼女の発想がなければ、とても今のようなチャーミングな商品に育っていなかっただろう。
 女性に好まれる商品は、やはり女性の感性が発揮されなければ輝きが生まれない。
 そんな “当たり前のこと” が同社の「ハナ」などを見ているとよく分かるのだ。

▼ ハナ

 では、増ひろ子さんが店長になる前、社長の田代民雄さん(写真下)は一人でどんな車をつくっていたのか。
 ずばり、“男の車” ばかりだった。


 
 タコスというのは、どちらかというとキャブコン開発が得意なビルダーで、「ウィズ」、「ウィズ525」などという、アウトドアで使う遊びのギヤを積載できるスペースを持ったようなキャブコンが得意中の得意。
 
 この会社が、まだ「グローバル東京支社」を名乗っていた昔、グローバルのキャブコンに大型収納庫とバゲージドアを加えるというオリジナル車両を作りあげ、それに「タコス仕様」という名前を付けて売っていた。
 だから “タコス仕様” といえば、バイクや自転車、サーフボードや釣り道具が満載できるアウトドア仕様のキャブコンを意味した。

▼ タコスのキャブコン「ウィズ」

 田代氏ご本人の趣味もアウトドア。
 キャンピングカーを売りながら、時間があればバイクで放浪し、野山に張ったテントのそばで焚き火などを一人で楽しむ。

 とにかく “男の遊び” が好きなタコス社長の田代民雄さん。
 ここしばらくは「ハナ」などの売れ行きが好調なので、“男ぐるま” が前面に出てくることはなかったが、ついに我慢できなくなったらしい。
  
  
「NV ジャック」に込められたテーマとは?
  
 この春にデビューした「NV ジャック(NV jack)」は、久しぶりに田代氏の “男のロマン” が噴き出してきたことを感じさせるキャンピングカーである。

 といっても、この「NV ジャック」は、別に遊びのギヤを積んだりできるような車ではない。
 日産NV200バネットバンを使ったハイルーフ仕様のコンパクトなバンコンに過ぎない。

 だが、スタイルを見ると、男だけに分かるような “カッコよさ” が前面に押し出されている。

 鋭角的にスラントしたNV200のノーズに合わせるように、ハイルーフの前面が同じ角度の弧を描く。
 ルーフ部のリヤエンドも、直角に落とし込まれたリヤドアと同じ角度でストンと切れる。

 まさに、真っ直ぐな直線路を、空気を切り裂くようにひたすら走り抜くという意志がみなぎっているスタイルだ。
 バイクや自転車などを積み込むラゲッジスペースはないものの、このスタイルには、「走る喜び」をピュアに追い求める男っぽい嗜好が秘められている。
 
 
男は “艶消しの黒” だ !
 
 内装も、男の嗜好を満足させるような、渋い “艶消しの黒” 。
 もちろん内装色は顧客の好みに応じて、「ハナ」のような女性好みのファンシーカラーに替えることもできる。

 しかし、この “黒” の使い方に対するこだわりを見ていると、もう最初っから田代社長の頭には、「男のブラック」以外の選択肢は念頭になかったことが分る。

 装備類は、基本的にシンプルだ。
 キャンピングカーらしい装備といえば、ボディ右サイドに小振りなギャレーがあるのみ。

 ギャレーには、外部シャワーとして使える伸縮性を持ったフォーセット。浅めのシンク。そして鏡。あとはカセットコンロ。

 ここにあるのは、簡素であることを美学とするストイックな男のギャレーだ。

 … というか、まぁこれ以上大げさなギャレーを載せるのはスペース的にも無理であるという判断から生まれた工夫であるのだけれど、そういう構造的な要請を、あたかも “美学” であるかのように信じ込ませるのが田代社長の「タコスマジック」なのである。

 で、さらに “男っぽい” のは、そのギャレーがワンタッチ操作で格納されて壁側に折りたたまれ、ベッドメイクするときの邪魔にならない工夫が施されていることだ(写真下)。
 ここにも、「便利な道具を人に見せるのは恥だ」というストイックな男の美学が隠されている。



 … というか、まぁ、これも「ハナ」で女性たちから好評だった構造上の工夫の一つであるのだけれど、それを “渋い黒色” でコーディネートし、車を変えただけで、男の美学っぽく演じてしまうところが憎い。

 もともと、この「格納式シンク」は車中泊の朝など、女性が顔を洗ったりするものとして設けられたもので、だからこそ「鏡」も付いているのだけれど、男性だって車中泊の朝は鼻毛が伸びることが多いので、鏡は必要だろう。

 ちなみに、ギャレーを格納すると、フロアベッドの広さは1850×1350mmとなる。 
 
 
男同士で初恋の女を語ろう
 
 乗車定員は5名で、就寝は大人2名+子供2名。
 ハイルーフで屋根上げした分、そこに子供2人が寝られるルーフベッドが設けられるようになっているのだが、長さが1800以上取れているので、寸法的には大人でも問題ない。
 ということは、大人4名だって寝られないこともないのだ。

 オプションとなるが、運転席と助手性には、後ろ側に回転するシートを選ぶこともできる。
 そうなると、フロントシートとセカンドシートを向かい合わせる対面対座ダイネットも可能になる。

 奥さんとの2人旅もいいけれど、こういう車ならば、男の子との2人旅もいいだろう。
 あるいは、昔の親友を呼び出し、ダイネットテーブルにウィスキーグラスや氷などを並べ、淡く消えた初恋の女のことなど語り合うのもいいのではないか。

 この車のカタログのキャッチには、
 「疲れたら、JACKに寝かせてもらえればいい」
 というフレーズが書かれていた。

 男の “子守歌” になってくれるような車を目指した開発者のロマンが、その言葉からにじみ出てくる。
 
 
《 NV ジャック 諸元 》

ベース車両 日産NV200 バネットバン
エンジン種類 直4DOHC ガソリン
最高出力 80kW(109ps)/6000rpm
最大トルク 152N・m(15.5kgf・m)4400rpm
ミッション 4AT(5MT)
駆動方式 2WD FF
全長 4430mm/全幅 1700mm/全高 2330mm
乗車定員5名/就寝定員大人2名+子供2名
   
 
タコスHP URL http://www.tacos.co.jp/
 
   

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レンタルキャンピングカー「マクレント」

  
2017年は日本のレンタルキャンピングカー元年
  
 日本のキャンピングカー文化が大きく変わろうとしている。
 2017年という年は、後世そう記憶されるような年になるのではないか。

 2月初旬に幕張で開かれた『ジャパンキャンピングカーショー』では、車両開発においても、そしてインフラ整備においても、日本のキャンピングカーライフというものが大きく変化していくことを感じさせるたくさんの “兆候” が噴き出していた。

 その変化はよく観察しないと分からない。
 特に車両開発の部分では、一見、何も新しいものがなかったようにも見える。例年2月のショーをにぎわせていた、“あっと驚くような新車” というものがほとんど登場していなかったからだ。

 しかし、奇をてらった印象を伴う新型車・新機構が影を潜めた代わりに、目を凝らしていくと、どの車も、使い勝手の追求や装備類の精度アップ、さらにデザインの洗練度などにおいて驚くほどの進化を見せていた。
 個々の車両については、今後少しずつ紹介していくことになると思うが、今回はキャンピングカーそのものではなく、2017年度のキャンピングカーを使う環境面の劇的進化の一例を紹介したい。

 それは、レンタルキャンピングカー。

 今回のショーを特徴づけた大きな要素のひとつに、キャンピングカーをレンタルすることで広がる新しいキャンピングカーライフを提案する動きが、かつてないほどの活気を見せたことが挙げられる。

 イベントステージとフードコートが設置された館では、その半分がレンタルキャンピングカーを案内する業者のブースで占められていたし、その館外の駐車場では、実際に稼働しているレンタル車を並べた試乗会も催されていた。

▼ 「ジャパンキャンピングカーショー2017」でレンタルキャンピングカーのブースが集まった一角

▼ レンタルキャンピングカーでは、ペット同伴の旅行も可能なキャンピングカーを貸し出す業者の登場

 それらのレンタル事業を個々に紹介する記事も少しずつこのブログに取り上げていくつもりだが、ここではその初弾として、ヨーロッパのレンタルキャンピングカー会社「マクレント」の日本進出の情報をお伝えしたい。
 
 
欧州最大手レンタルモーターホーム会社「マクレント」
 
 「マクレント(McRent)」とは、2004年にドイツでスタートしてレンタルモーターホーム会社である。
 当初は8ステーション約360台のレンタル車で事業を始めたが、10年ほどのの間に大発展を遂げ、2016年には、ドイツ、フランス、イギリス、イタリア、オランダ、スペイン、ポルトガル、エストニア、フィンランド、アイルランド、アイスランド、ノルウェー、ポーランド、スウェーデンなど15ヵ国の68ステーションの拠点を構築する欧州最大手のレンタルキャンピングカー会社に成長した。

 そして、この2017年1月にはついにアメリカへ進出。
 さらに、この2月からは、日本でもレンタル事業が開始されることになった。
 
 実は、この「マクレント」の日本進出を日本のキャンピングカー産業が発展するための起爆剤にしようと考えている人がいる。
 このたび「マクレントジャパン株式会社」を立ち上げ、その会長として就任した高橋宣行氏(かーいんてりあ高橋社長)である。

▼ マクレントジャパン(株) 高橋会長

 氏は、レンタルキャンピングカー事業が日本のキャンピングカー文化に新しい血を流入させ、日本人のキャンピングカーライフを劇的に変えるものだという確信を持っている。
 幕張ショーの会場で、その高橋氏に、レンタルキャンピングカー事業にかける熱意のほどをうかがった。

▼ マクレントジャパンがリリースするレンタルキャンピングカー車のモデル(業者向け)

  
…………………………………………………………………………
キャンピングカーは「買う」から「借りる」の時代へ

【町田】 レンタルキャンピングカー事業を始めようとした動機は、どこにあったのですか?

【マクレントジャパン 高橋】 欧米のキャンピングカーの普及率というのは、日本に比べてものすごく高いわけですが、そこで稼働しているキャンピングカーの3割は、実はレンタルキャンピングカーなんですね。
 それに対し、日本では10万台弱といわれるキャンピングカー保有率のなかで、レンタルキャンピングカーの占める台数はやっと1,000台に届くか届かないかといったところです。
 つまり、日本は、レンタルの分野でまったく遅れをとっていると思ったことが、この事業を始めようと思った動機の一つです。

【町田】 高橋さんはキャンピングカービルダーとして、個々のエンドユーザーに供給される完成車を納品されているわけですよね。そういう従来から続けてこられた事業と、新しいレンタルキャンピングカー事業は、今後どういう連携を保っていくのでしょうか?

【高橋】 おそらく、その両者が上手に組み合わされることによって、われわれキャンピングカー業界の成長がより加速するのではないでしょうか。
 というのはですね、キャンピングカー業界というのは、確かに毎年右肩上がりで成長してきました。
 しかし、その伸び率は正直にいって、まさに “微増” という言葉でしか表現できないほどゆるやかなものなんですね。
 むしろ、私は飽和状態に近づいてきているんではないかという懸念すら持っています。
 たとえば、このショー(「ジャパンキャンピングカーショー2017」)でも、ご覧のとおりたくさんの見学者がいらっしゃるわけですが、こういうショーで実際に車を購入される方々というのは、いつも全体の1~2%程度。
 つまり、現状のままでは、キャンピングカーを購入される層はもう頭打ちになりつつあるのではないかと思っているんです。

【町田】 そういう状況を、レンタルキャンピングカー事業が打破していくと?

【高橋】 そうです。これまでのように、ビルダーとして完成車を売り続けていくことには限界があると。
 たとえばね、私はショーの開催中、休憩所などに行って、休んでいらっしゃるご夫婦の話などをそれとなく聞いているんですよ(笑)。
 すると、旦那さんはけっこう車を買う意欲が旺盛でも、必ず奥さんがこういうのね、「あなたね、こんな高い車を買ったって、年に何回乗ると思うのよ」って。

【町田】 なるほど。奥様というのは一般的に消費行動において慎重ですからね。
【高橋】 でも面白いのはね、キャンピングカーの購入に消極的な奥さんが必ずいう一言があるんです。それは、「使いたいときだけ借りることはできないの?」(笑)。

【町田】 はぁはぁ、そこに “勝機” があると !

【高橋】 そうなんです。テレビや新聞などのメディアを通じて、キャンピングカーの露出度が飛躍的に高まってきているために、興味を持つ人々は確実に増えている。
 ただ、まだ経済状況が先行き不透明なため、みな購入までに踏み切れないんですよ。
 だったら、まずレンタルキャンピングカーを利用することで、キャンピングカーライフの楽しさや面白さを実感してもらおうと考えたんです。そういう経験を積んで、もし奥様もキャンピングカー旅行を気に入られたなら、それこそ夫婦ともども気持ちよく購入に踏み切ってくれるのではないか、と。
 
 
海外のレンタル事業者がアドバンテージを持つ理由

【町田】 「マクレント」という海外のレンタルキャンピングカー会社と提携された理由は何ですか?

【高橋】 ひとつはインバウンドのお客様も考えたからですね。日本人の間にレンタルキャンピングカーという存在が認知されたとしても、それだけでは、稼働率の飛躍的向上は期待できない。
 なぜなら、日本人の休暇状況を考えると、盆・暮れ・正月・ゴールデンウィークに休みが集中するけれど、それ以外はまとまった休みが取れない。そうなると、休みの日以外にはレンタルキャンピングカーが稼働することもない。

▼ 「マクレント」のヨーロッパの拠点

【町田】 その点、外国人観光客は、日本の休暇システムには縛られないと?

【高橋】 そうです。彼らは夏・冬関係なく、日本を訪れてくれる。しかも、欧米などの観光客はキャンピングカーの扱いに慣れている。外国人が日本でキャンピングカーを借りる場合、比較的長期になるというデータがすでにあります。
 逆にいうと、インバウンドのお客様を取り込まないかぎり、このレンタル事業の大きな成長は期待できないと思います。

【町田】 なるほど。そのためには「マクレント」のようなワールドワイドでレンタル業を行っている業者さんのノウハウを採り入れた方がいいと?

【高橋】 そのとおりです。実際に海外のお客様を相手にする場合、たとえば英語表記の案内書や説明書を適宜用意しなければならない。そういう事業に慣れない私たちが、それを一から始めるのはけっこう大変なんです。
 しかし、外国のレンタル事業者なら、英語、フランス語、イタリア語などのさまざまな言語に分かれたパンフレット類の制作・配布にも慣れているし、レンタル車の使い勝手を説明する英語の動画のようなものもふんだんに準備している。
 さらに、日本の観光を計画している外国人に、「日本に行けばマクレントの支社があります」という形で大々的にアナウンスしてくれる。これが大きいと思います。

▼ マクレントジャパンのレンタルキャンピングカー専用車の内装

 
 
外国人に日本のレンタルキャンピングカーをどう説明するか?

【町田】 なるほど。海外の事業者と提携すると、実にさまざまなメリットがあるわけですね。
 ただ、日本の交通システムや交通ルール、またキャンピングカー泊を受け入てくれるインフラ面などで、外国と日本ではかなりの違いがあります。そのことに戸惑う外国人利用者もいると思うのですが、それに対する対応は?

【高橋】 まず、英語のビデオを作ります。そこに日本でキャンピングカーを使うときのノウハウを収録する。それを「マクレント」のネットワークを通じて、日本でレンタルキャンピングカーを使う計画を練っている人たちに事前に見てもらう。
 また、日本に来られた方々には、使い勝手を説明した動画をレンタル車に搭載してあるDVDプレイヤーで確認してもらうようにします。

【町田】 その場合、実際にレンタルキャンピングカーとして供用する車両はどのようなものになるのですか? 欧米の人向けの輸入車になるのですか? それとも国産のキャブコンとかバンコン?

【高橋】 そこがこのビジネスの要(かなめ)になるところなんですが、ずばり国産車をメインに回していくつもりです。
 しかし、これまで出回っている国産車とはまったく違うものが必要になると考えています。

【町田】 それはどんな車両なんですか?

【高橋】 実は、すでにそういう車両として案内できるプロトタイプのモデルが完成しています。
 それに関しては、「マクレントジャパン」の共同経営者であり、実際にレンタル用車両の開発を担当されたM・Y・S ミスティックの佐藤正社長が説明されるのがいいかもしれませんね。
 
 
レンタルキャンピングカー専用モデルの特徴
 
▼ MYS ミスティック 佐藤社長

 
【町田】 というわけで、「マクレントジャパン」が提案するレンタルキャンピングカー用モデルについて、少しお話をうかがいたいのですが。
【佐藤】 はい。
【町田】 まず、このモデルは、一般客が自家用車として購入したいと希望すれば買えるものなんですか?
【佐藤】 いや、今のところ個人に販売する予定はないです。あくまでも、これは「マクレントジャパン」が貸し出すレンタルキャンピングカー専用モデルです。
 
▼ マクレント専用車外形

【町田】 エンドユーザー向けに製作するキャンピングカーと、このようなレンタル用キャンピングカーでは、内容的にどこが違うのでしょう?

【佐藤】 最大の違いは、“規格” がバラバラか、それとも統一されているかということですね。
 つまり、エンドユーザー向けのキャンピングカーなら、そのお客様の要望に応じた自在なレイアウト、装備類が許されるわけですが、レンタルキャンピングカーの場合は、なるべく同じレイアウト、同じ装備類で統一されていた方がいろいろと便利なんです。

【町田】 どういうふうに便利なのでしょう?

【佐藤】 まず、お客様の立場から考えると、いろいろな場所でいろいろな会社の車を借りても、使い勝手がみな同じなら安心して使えますよね。
 車が変わると慣れるまでに時間がかかりますが、同じ車なら慣れるまでの苦労がなくなる。だから、楽しむ時間が増える。
 いっぽう、扱う側からすれば、同一規格の車ならば、マニュアルを統一化できますので、トラブルがあっても、どの部分が原因となったトラブルかすぐ分かる。パーツを用意するのも楽。
 そういうメンテナンス性・サービス性の効率化を図る上で、車両の規格が統一されていた方が断然いいんですね。
 
 
構造をシンプルにしてサービス性を向上させる

【町田】 よく分かります。… では、どういう特徴のある車なのか、簡単にご説明いただけますか。

【佐藤】 つくりは全体的にシンプルです。まず外壁はうち(M・Y・S ミスティック)が作り慣れているアルミのサイディングです。FRPキャビンを架装するという手法もあるのですが、アルミの方が部分補正しやすい。仮にどこかにぶつけても、その部分だけ取り外して修正し、また貼ればいいだけですから。
 
【町田】 ベース車にライトエーストラックを選んだ理由は?

【佐藤】 やはりキャブコンにした場合、日本の道路事情や駐車場事情を考えて、コンパクトな仕上がりを維持できるということが大きかったですね。
 これなら、全幅約1.9m、全長4.8m。まずどんな道にも入っていけるし、どんな駐車場でも停められるでしょう。
 それに、万が一転倒した場合でもフレームがありますから、車体の損傷をある程度防いで原型を保つことができると思っています。
 
【町田】 走りはどうなんでしょう?

【佐藤】 高速道路で100km巡航するならばまったくのストレスはないです。しかし、それ以上のスピード … たとえば120km以上になると「ちょっと怖い」と感じる程度のセッティングにしてあります。そうしないと、キャンピングカーの運転に慣れていない人にはかえって危険。そういう基準で足回りを組んでいます。
 
【町田】 内装の特徴を。

【佐藤】 内装もいたってシンプル。装備としては、バンクベッド、冷蔵庫、シンク、電子レンジ、FFヒーターといったところですね。、
 レンタルキャンピングカーは、キャンピングカーに慣れていない人が使うので、よく壊されるという話が多いんですね。そこで、壁や床も傷つきにくい部材を使い、壊れた場合でも簡単に補修できるようにしてあります。
 電気設備なども極力簡単にしてあるし、ヒューズの位置や配線などもメンテしやすいように分かりやすい場所に配置しています。

▼ 室内全景

このままではレンタル用キャンピングカーがすぐに足りなくなる

【町田】 この先は会長の高橋さんにおうかがいした方がいいのかもしれませんが、現在、「マクレントジャパン」の代理店さんを募集されていらっしゃいますが、その場合、代理店契約を結ばれた業者さんには、みなこの車両を買ってもらうということになるんですか?

▼ 高橋会長

【高橋】 いえいえ、そういうことはまったくないです。ここに用意した車両は一つのサンプルにすぎません。あくまでも、「レンタルキャンピングカー用車両として一番使い勝手がいいスタイルです」という提案材料の一つとして考えてもらえばいいです。
 だから、代理店になられた方は、それぞれご自分のお店の方針に適した車両をご用意いただいてもまったくかまわないわけです。
 ただ、その場合も、できれば規格だけは統一してほしいというのが希望なんですね。ベース車やグレードは異なっていても、統一マニュアルが使えるように、レイアウト、装備品、配線系統などは統一してほしい。その方が製造やメンテナンスの効率が飛躍的にアップしますから。

▼ キッチン周り

【町田】 確かに、そのとおりですね。でも統一規格を実現するというのは、現状ではなかなか難しそうですね。

【高橋】 でも、そこをクリアできるかどうかが、今後のレンタルキャンピングカー事業が発展するかどうかのカギになると思います。
 けっきょく、レンタルキャンピングカー業界が抱える最大の問題は、この事業が拡大していったときに、レンタル用の車両が圧倒的に足りなくなるということなんですね。
 この状態で推移していくと、もうすぐにでも “タマ不足” がはっきり見えてくると思います。

【町田】 そうなった場合、他のレンタル業者さんも困ることになりそうですね。

【高橋】 そうなんです。だから、今のうちに各ビルダーさんにレンタル用キャンピングカーの製作をお願いしたいんですよ。
 そして「マクレント」の趣旨にご賛同いただける業車さんの中で、製造能力を持っている企業さんには、ぜひとも統一規格のレンタル用キャンピングカーを製作してほしい。
 たぶん、キャンピングカーのレンタル事業がこの調子で推移していけば、500台1,000台という車両がすぐにでも必要になってくるでしょう。
 しかし、今のわれわれのようなビルダーの生産能力では1社がすぐに500台用意するなどとても無理な話なんです。
 でも、ビルダー1社がそれぞれの生産能力に応じて、プラス2台とかプラス3台増産していくのなら可能なんです。
 たとえば、国産ビルダー100社が5台ずつキャンピングカー専用モデルを作るとしましょうか。そうなると、あっというまに500台そろう。
 そういうことが実現して、はじめて国内のレンタルキャンピングカー事業の未来が開けてくるでしょう。
 そして、そういう事業が着実に進展していけば、日本のキャンピングカー産業全体が飛躍していくと思います。

マクレントジャパン専用モデル 詳細

【ベース車】 トヨタ ライトエーストラック
【排気量】 1.500cc
【最高出力】 97ps
【燃料】 ガソリン
【駆動方式】 2WD FR
【ミッション】 4AT
【乗車定員】 6名
【就寝定員】 6名
【全長×全幅×全高】 4,800×1,890×2,700mm
【主要装備】 収納庫/ルーフベンチレーター/遮光カーテン/給水タンク(19㍑)/排水タンク(19㍑)/電子レンジ/外部電源/サブバッテリー(105Ah×2)/コンバーター(100V → 12V)/インバーター(2.0kW)/冷蔵庫(40㍑)/FFヒーター(ベバスト)/ステンレスシンク/LED照明(4ヶ所)/走行充電/スライド式バンクベッド他
 
 

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ニートRV「ウィネベーゴ・フューズ」

 
「フューズ」に見る “融合” の思想

 北米モーターホームにまったく新しい風が吹き始めた。
 長らくアメリカンモーターホームのカットウェイシャシーとして使われていたフォード・エコノラインがフェイドアウトしていったなかで、その後継機種として位置づけられたフォード・トランジット(350HD)がいま圧倒的な存在感を示し始めている。

 そのトランジットをベースに開発された新世代モーターホームの筆頭が、「ウィネベーゴ・フューズ(Winnebago Fuse)」である。

▼ 「フューズ」エクステリア

 米国ウィネベーゴ社によって開発されたこのクラスCモーターホームがアメリカでデビューしたのは、今から1年半ほど前。
 日本においては、昨年12月に、ウィネベーゴ社の正規代理店である(株)ニートRVの内覧会にてお披露目され、2017年2月の「ジャパンキャンピングカーショー」(幕張)で国内デビューを飾った。

▼ 「フューズ」インテリア

 「フューズ」という車名に込められた意味は何だったのか?

 ジャズやロック、ソウル、ポップスなどが融合した音楽を “フュージョン” と呼ぶように、「フューズ」とは、異なるものが溶け合って融合した状態を指す。
 名前に込められた意味をたどっていけば、開発者たちがこのモーターホームに込めた “思想” のようなものが浮かび上がってくる。
 
 すなわち、「アメリカンモーターホーム文化」と、「ヨーロッパRV技術」の融合。
 「革新的テクノロジー」と、「伝統回帰デザイン」の融合。
 そして、「誠実なエコ志向」と、「奔放な遊び心」の融合。

 そのような、それぞれベクトルの異なる個性が、「ウィネベーゴ・フューズ」という一つの完成度の高い “作品” に収れんしていくのを見てしまうと、まさに目の前で奇跡が起こったような気分になる。

▼「フューズ」エクステリア スライドアウトルーム

 
 
ついにディーゼルエンジンを採用
 
 では、突出した個性同士が融合し、より高次な技術的表現に昇華した具体例を見てみよう。

 まず、エンジン。
 “パワーストローク” というニックネームを持つ高性能エンジンが採用されている。
 3200cc ・直列5気筒
 コモンレール・ターボディ-ゼルエンジン
 最高出力137kW(185ps)/3000rpm
 最大トルク474Nm(48.4kg-m)/1500~2500rpm
  
 スペックこそエコノラインに及ばないものの、注目すべき点が一つ。
 もうガソリン車ではないのだ。

 ここに至るまでの道のりは長かった。
 ヨーロッパでは乗用車から商用車、RVに至るまでディーゼルエンジンが主流になってきているというのに、これまでアメリカ人はずっとガソリンエンジンにこだわり続けてきたからだ。

 この「フューズ」が生まれる前、ウィネベーゴ社は、欧州車のフィアット・デュカトの派生形であるクライスラー・ラム・プロマスター3500をベースにした「トレンド」というクラスCと、「トラバト」というクラスBを発売していた。

▼ ウィネベーゴ「トレンド」

 「トレンド」、「トラバト」のエンジンはガソリン。
 本来がディーゼルエンジンのデュカトベースでありながら、わざわざガソリンエンジンに換装して使っていたのである。

 それは、長い間、原油を安価に手に入れることができたアメリカの消費構造がもたらした “習慣” であったが、たぶんに、快楽・快適を愛するアメリカ人の生理から来るものもあった。
 すなわち、アメリカ人は、「エコ」とか「燃費」を意識してディーゼルを選ぶヨーロッパ人の “我慢を強いられる文化” よりも、ガソリン車の “スカッとさわやか” な運転感覚の方を好んだのである。

 しかし、フォート・トランジットでは、ついにパワーユニットを、欧州のディーゼル車では当たり前となっているコモンレールディーゼルエンジンに替えた。
 このエンジンは、排気ガス規制への対応のために生まれてきたような性格を持っており、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)、NOx(窒素酸化物)などの排出量を低レベルに抑えているところに特徴がある。
 
 
アメリカ人はやはりFR車が好き
 
 このように、環境問題にシビアなスタンスを取るヨーロッパ流エンジンを採り入れながらも、トランジットは、一方ではアメ車らしい豪快な乗り味を忘れなかった。駆動方式には、車体の下でプロペラシャフトが回転していく力動感をみなぎらせたFRが選ばれたのだ。

 やはり、アメリカ人は、前輪が大地を引っかいて前進するようなFFよりも、後ろから力強く車体を押していくFRの乗り味が好きなのだろう。

 また、コーチ部分の架装重量が増えすぎると、FF車はフロントタイヤに掛かるトラクションが減って路面との摩擦係数も少なくなるため、駆動力が不安定になりがち。
 そのため、雪道などではFRより不利になる場合もある。
 FR車にこだわったのは、自動車大国アメリカのこだわりでもあったのだ。

 ここにパワートレーンにおける「アメリカ人の嗜好」と「ヨーロッパ技術」の融合が見えてくる。

▼ 「フューズ」フロントフェイス

 それはトランジットの “顔” にも表れている。
 エコノライン(写真下)の角ばったボンネット形状に比べ、トランジットはノーズがスラントしているため、どこかセミキャブオーバー風のフロントマスクに見える。
 しかし、ボンネット内部にはしっかりと縦置きエンジンが貫かれている。

▼ エコノラインのエクステリア(ウィネベーゴ・アスペクト)

 「フューズ」の縦置きエンジンというのも、アメリカ人好みだ。
 それはFRとの相性が良いからだ。
 前述したことに関連するが、FRならばFFに比べて前後の重量配分が安定し、その分、自然な乗り味が得られる。
 これもアメリカ人らしい嗜好といえるだろう。

 また、後輪がダブルタイヤになっていることも、耐荷重性能を上げることにつながり、トランジットのモーターホームシャシーとしての信頼性を高めることに貢献している。
 
 
運転席はトラックではなく乗用車
  
 運転席まわりの “光景” も変わった。
 インパネのデザインは、トラックではなく、もう乗用車である。
 ステアリングなどは、スポーツカーを思わせるほど、小径だ。
 
▼ 「フューズ」のインパネデザイン

 
 さらに、助手席には回転ベースが採用され、23Tなどでは、ヨーロッパ車のように、テーブルを挟んでセカンドシートと向き合う対面ダイネットを形成することもできる。 

 トランジットに搭載された先進技術は、これにとどまらない。
 たとえば「レーンキーピングシステム」。
 これは、運転中、気づかぬうちに進路から外れ、うっかり道路の白線を踏むとステアリングが微振動を発して警告する安全装置だ。
 また、登坂中に、ブレーキペダルからアクセルペダルに踏みかえる際、ペダルを一瞬離しても、坂道における停止状態をキープする「ヒルスタートアシスト」も組み込まれている。
 
 
内装はアメリカントラディショナル
 
 繊細にして、大胆。
 アメリカ的な磊落(らいらく)さと、ヨーロッパ的な緻密さを “融合” させたこの「トランジット」というベースシャシーに、ウィネベーゴ社は、またそのキャラクターにぴったりの内装を創造した。

 一言でいえば「ネオ・クラシック」。
 ニートRVの広報媒体によると、
 「アメリカン・トラディショナル」。
“古き良き時代にさかのぼった” といってもよいくらいの復古調デザインが強調されているという。

▼ 「フューズ」インテリア

 このことは、アメリカンモーターホームでありながら、ヨーロッパデザインを強く意識した「ウィネベーゴ・トレンド」(写真下)などと比べると分かりやすい。
 「トレンド」では、プラスチック家具などを採用し、無機質な合理性を強調したデザインが採り入れられていたが、「フューズ」では、アーリーアメリカンカラーの木目家具を主体とした温かい内装テイストが復活した。

▼ 「トレンド」インテリア
 
 
 
クラシカルではあるが、レトロではない
 
 しかし、「フューズ」の内装はクラシカルではあるが、レトロではない。
 デザインにおける「アメリカ回帰」は、しばしばレトロの方向に走っていくことが多いのだが、「フューズ」はレトロの対極にある「格調」を重視している。

 「レトロ」のベースとなるものはポップ感覚(↓)である。

▼ ポップ感覚に満ちた愛らしい形のティアドロップ型のトレーラーなどの人気が復活しているのも、レトロ感覚

 しかし、デザイン上の懐古趣味にはもう一つあり、それが「ネオ・クラシック」だ。古代ギリシャ建築を模したホワイトハウスの建物のようなデザインといっていい。

 では、「フューズ」の伝統回帰は、具体的にどのようなところに現れているのか?

▼ オーバーヘッドキャビネット

 たとえば、オーバーヘッドキャビネット。
 扉が引き戸だ。
 日本人にはなじみのある家具形状といってもいいが、最近モーターホームの世界では、このようなスライドドアは影を潜めていた。
 従来のキャビネットドアは、ラウンドした扉部分をポンと押すだけで自動的に開く構造のものが主流であった。
 しかし、「フューズ」では、それをあえて昔風のスライドドアに戻している。収納作業の安定感を取り戻す意味と同時に、クラシカルな意匠の格調を重んじた配慮といえる。

▼ 「フューズ」のキッチン

 キッチン周りのデザインも、テーマは “融合” 。
 アートっぽい弧を描く不定形の2口コンロは、完全にヨーロッパ風。
 カランの首がフレキシブルに曲がるフォーセットの形状もヨーロッパ調。
 それでいて、実用的な深さを保ったシンクは、アメリカンモーターホームの美点をそのまま継承している。
 
 
個性的なフロアプラン
 
▼ ニートRVが導入した「フューズ」のレイアウトは2パターン。上が23A。下が23T。23Aは前側のリビング部分がスライドアウトして延長されるタイプ。23Tは、リヤ側のベッドスペースがスライドアウトして広がるタイプ。



  
 ▼ 23Aのレイアウトでは、リヤにスライディングドアで仕切られるトイレ・シャワーコンパートメントが配置される。シャワーパンが広いので、散歩から帰ってきた大型犬などの足を洗ったりするときに楽だ。

 ▼ 2ドア冷蔵庫はノアコールド製の静音型。モーターなどの可動部分がないRV専用タイプだ(3ウェイ 150㍑)。

 ▼ 23Aのリビング。ベッドメイクすると、幅810mmのベッドで二つ生まれる。左側のベッドは、延長マットを埋め込むと全長2030mmまでサイズアップする。

 ▼ マットレスの下には、「フロリー・デラックス・スリープシステム」と名付けられた “快眠を約束する” 構造のベッドシステムが採用されている。

 ▼ キッチンキャビネットと床の間に、空間が設けられている。この隙間に足の指先を入れられるようになっており、キッチンの立ち仕事が続いたときに生じる腰痛などの原因を取り除くようになっている。


 
 
Make America Great Again
  
 「フューズ」で追求されたクラシカル志向は、ウィネベーゴ社に限ったことなのだろうか。
 ニートRVの猪俣慶喜取締役によると、「伝統回帰」は最近のアメリカンモーターホーム全体の傾向だという。

▼ ニートRV 猪俣取締役

 「ウィネベーゴも “トレンド” においては、ヨーロッパ車を意識したFF車をベースのモーターホームに手を染めましたが、やはりアメリカ人は伝統的なFRのフォードシャシーに乗りたいんですよ。
 内装も、“トレンド” のような近未来的でクールな意匠よりも、人のぬくもりを感じさせる温かいデザインの方が好まれる。アメリカ人の生活感覚というのは、建国以来変わらないといえば変わらないのです」

 「アメリカ人の伝統回帰」といえば、すぐ連想されるのはトランプ大統領の掲げた「Make America Great Again(偉大なるアメリカの復活)」という言葉だろう。
 この言葉に共感した人たちが国民の半数近くにのぼったからこそ、彼は大統領になれた。

 このトランプ氏の掲げる “アメリカの復活” と、最近のモーターホームの伝統回帰は、どこかで通底しているものがある。

 われわれ日本人は、トランプ支持者の思想傾向を、ともすれば「保守化、右傾化、民族差別化」などというレッテルを貼って、あたかも政治現象のように捉えがちだが、アメリカ人の伝統回帰というのは、そんな尖ったものでも狂信的なものでもないのかもしれない。
 
 それは、かつてのアメリカ国民が、西部劇ヒーローのジョン・ウェイン(写真下)に憬れたような、ごくごく単純な「強いもの、頼りがいがあるものが好き」という悪意のないマッチョ信仰にすぎない。
 

 
アメリカのピックアップトラックブーム

 アメリカ人の無邪気なマッチョ信仰を示す例として、こんなものもある。

 2016年に、アメリカの女性を対象にし、「どういう車に乗っている男性が魅力的か?」と尋ねる調査が行われたという。
 その結果、「ピックアップトラックに乗った男性」という答が32%を獲得して、27%の「スポーツカーに乗った男性」を上回ったらしい。
 車がなければ移動も生活もできないアメリカでは、ピックアップトラックを持っている男は「頼りがいがある」と見なされる傾向が強いのだとか。

▼ アメリカのピックアップトラック

 ちなみに、「魅力的な男性が乗る車」をブランド別に集計すると、1位が「フォード」(16%)、2位が「シボレー」(13%)、3位が「ポルシェ」(11%)だったとのこと。
 
 リーマンショックによって壊滅的に落ち込んだアメリカの自動車販売は、その後順調に回復し、現在は年間1,750万台まで伸びてきたという。
 それをけん引したのはピックアップトラックであるらしい。2016年9月のデータによると、アメリカの自動車販売の51%がピックアップトラックを含むライトトラックだったそうだ。

 モーターホームシャシーにおけるフォード・トランジットの人気は、そういう “フォードトラックブーム” をも反映しているのかもしれない。
 
 
ウィベーゴ・フューズWF423A 概要
 
【ベース車】 フォード・トランジット350HD
【乗車定員/就寝定員】 4名/4名
【全長/全幅/全高】 7,350mm/2,320mm/3,110mm
【排気量】 3,200cc
【最高出力】  137kW(185ps)/3000rpm
【最大トルク】 474Nm(48.4kg-m)/1500~2500rpm
【ミッション】 6速AT
【駆動方式】 2WD FR
【燃料】 軽油
【車両本体価格】 13,500,000円(税抜き) 
【主要装備】 エアコン/冷蔵庫(3ウェイ)/ガス式FFヒーター/給水タンク(102㍑)/ブラックタンク(162㍑)/グレータンク(155㍑)/ビルトイン調理器具/温水シャワー/サブバッテリー/電動サイドオーニング/外部電源/ルーフベンチれーたー/ルーフエアコン/マリントイレ/遮光カーテン/ツインベッド/外部収納庫(654㍑)他

ニートRV URL:http://www.neatrv.com/

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キャンピングカーライフの新しい楽しみ方

 
「くるま旅クラブ」、
「車中泊パーク」、
「レンタルキャンピングカー」を徹底解析

 かつては、使いこなすにはそれ相当の知識や技量が必要だと言われてきたキャンピングカー。
 しかし、現在のキャンピングカーは乗用車の延長のようなものとして、購入したその日から気軽に旅行に出かけられるものが主流になってきた。

 それにはキャンピングカー技術の進歩も影響しているが、それだけではない。「RVパーク」や「湯YOUパーク」といったインフラの整備。「くるま旅クラブ」のようなユーザー組織によるサービスシステムの確立。
 さらにはレンタルキャンピングカーのようにキャンピングカーを試験的に体験できるビジネスが普及するなど、環境面での整備が進んできたことも大きい。

▼ RVパーク「道の駅・南きよさと」(山梨県)

 ここでは安全で快適なキャンピングカーライフを約束するそれらのシステムを徹底解析する。
 
 
キャンピングカーを購入したら
まずユーザークラブに入会

 
会員数6千5百人という日本最大の
キャンピングカークラブ「くるま旅クラブ」

 キャンピングカー旅行を「くるま旅」と表現することがある。
 観光旅行や温泉めぐり、あるいは釣り・スキーといった趣味を追求する車として扱うときの言葉だ。
 そのようなキャンピングカーに備わっている広がりのある世界をサポートするユーザー団体が「くるま旅クラブ」だ。

▼ くるま旅クラブ ロゴ

 現在、その会員数は約6千5百人。このクラブに入会すると、数々のキャンピングカー用施設が使えるようになるほか、JRVA(日本RV協会)が主催するキャンピングカーイベントに無料で入場できたり、フェリー料金の割引きが適用されるなど、数々の魅力的特典が得られるようになっている。

 さらに、昨年あたりから新しいサービスも加えられ、同クラブはまさに我が国のキャンピングカーライフを根底から支える大組織に成長。そのサービス内容の進化には目を見張るものがある。

▼ くるま旅クラブの会員に郵送される会報誌『旅楽』

 この「くるま旅クラブ」の会員システムには四つのタイプがあり、入会者はそれぞれ好きなものを選べるようになっている。

 いちばん手軽なのは「スタンダード会員」。
 年会費1800円/入会金1000円と基本料金も安い上に、主要都市で開催されるJRVA特別協賛イベントにも年1回だけ無料入場できるほか、フェリー料金の割引きがあったり、湯YOUパークなどが利用できるといった基本サービスが受けられるようになっている。

 この「スタンダード会員」のサービス内容に加え、ワンランク上のサービスを提供しているのが「プレミアム会員」だ。この会員になると、同クラブの会報誌『旅楽』などに添付されるプレミアムクーポンを利用することにより、RVパーク、湯YOUパークなどの施設でより魅力的な特典が得られるようになり、フェリー会社によってはお食事券やワインのプレゼントがあったりする。

▼ プレミアムクラブの会員証

 そのほかにも、キャンピングカーイベント会場に設定された特別休憩施設のプレミアムラウンジで、無料の軽食などを味わいながら優雅な休憩タイムを過ごすこともできる。
 プレミアム会員の年会費は5000円/入会金は3000円と多少高めだが、キャンピングカーイベントの会場にも会員証を提示するだけで何回も入場できるなどの特典がつくので、元を取るのも簡単だ。

 このように「プレミアム会員」と「スタンダード会員」ではそのサービス内容がガラッと変わってくるのだが、最初に入会するときは、はたしてどちらが得なのだろうか。
 
 
プレミアム会員はファーストクラス
スタンダード会員はエコノミークラス

 
 「くるま旅クラブ」の広報活動を手伝っている漫画家のさいばしんさんによると、「キャンピングカーの使用頻度によって異なってくる」という。

▼ さいばしん さん(ご自身が描かれた似顔絵)

 
 「プレミアム会員」はイメージとしては旅客機のファーストクラス。
 一方の「スタンダード会員」はエコノミークラス。
 すべてにおいてゴージャスで快適なのは「プレミアム会員」の方だが、キャンピングカー旅行はせいぜい年1回。キャンピングカーショーを見学するのも年1回程度の活動を予定している人ならば、料金の安い「スタンダード会員」で十分だという。
 
 一方、月に2~3回のキャンピングカー旅行を計画し、キャンピングカーショーも年に2~3回通うような人ならば、断然「プレミアム会員」の方がお得。
 プレミアム会員の場合は、先述したようにイベント会場に無料で入場できるほか、さまざまな “車中泊パーク” を利用する場合に料金割引きが適用されたり、特典が付いたりする。
 つまり、キャンピングカーの稼働率が高くなればなるほど、「プレミアム会員」のメリットが生まれてくる。

 この二つの会員タイプ以外にも、まだまだ魅力的なシステムがある。
 その一つが、キャンピングカーの購入を検討している人々に “お試し用サービス” を知ってもらうための「ビギナー会員」(年会費3000円/入会金0円)。
 
 また、キャンピングカーを持っていない人のための「ベーシック会員」というものもある。
 この「ベーシック会員」というのは、ミニバンやワンボックスカーのような乗用車ユーザーを対象にした会員制度で、昨年の6月に発足したばかり。
 年会費4000円/入会金2000円を払いさえすれば、キャンピングカーを所有していなくても「くるま旅クラブ」の諸サービスが受けられるようになっている。
 
 
キャンピングカーを買って
泊まる場所に困ったら、まずRVパーク

 このように数々の特典が設けられた「くるま旅クラブ」の会員制度だが、車中泊システムとしてはどのようなサービスが用意されているのだろうか。

 その代表的なものとして、まず「RVパーク」を挙げることができる。
 これはAC電源、お風呂、トイレ、ゴミ処理システムなどを備えたキャンピングカー向けの公認宿泊施設で、2012年7月に山口県・萩市に誕生した「RVパークたまがわ」を皮切りに、2016年12月現在全国に86ヶ所展開しているポピュラーな車中泊パークである。
 もちろん利用料金は発生するが、その金額は2000円程度に収められているケースが大半で、「お金を払っても電源やトイレが使える方がありがたい」と利用者からは好評だ。

▼ RVパークの電源システム(群馬のRVパークおおた)

 このRVパークができるまでは、キャンピングカーユーザーの多くは「道の駅」や「高速道路のSA・PA」の駐車場に車を止め、「仮眠をとる」という名目で夜を過ごしていた。

 しかし、それらの駐車場は特に “宿泊施設” として明記されたものではないためユーザーたちはどこか後ろめたい気分のまま休んでいた。

 RVパークはそのような道の駅や温泉施設の駐車場を有料を条件に「公認された宿泊施設」として解放したもので、そのおかげで、「誰にも気兼ねすることなく堂々と泊まれるようになった」とキャンピングカーユーザーからは大歓迎されている。
 
 
個性豊かなRVパークがぞくぞく誕生

 このRVパークも、最初のうちは「道の駅」の管理者たちの参入が目立っていたが、近年は旅館・ホテル、酒造メーカー、立ち寄り湯、バン工房、レストランなどさまざまな職種の管理者が参入し、それぞれの個性を生かしたユニークなRVパーク開発を進めている。
 
 たとえば、山梨県南アルプス市にある「やまなみの湯」は、12種類のお風呂を持った大型日帰り温泉施設で、富士山と南アルプスの山々を遠望できる雄大な景観を誇っている上、宿泊中のRVパーク利用者は何回お風呂に入ってもよいというシステムなので、なかなかの人気だ。

▼ RVパーク「やまなみの湯」の露天風呂

 
 愛知県犬山市にオープンしている「犬山ローレライ麦酒館」は、この地で地ビールの製造を営む酒造元の経営。
 ここに宿泊すれば、湯上りに作りたての地ビールを味わいながら、レストランで贅沢な料理を堪能することができる。 

▼ RVパーク「犬山ローレライ麦酒館」(愛知県)

▼ RVパーク「犬山ローレライ麦酒館」のレストランの食事

 
 昨年11月に、栃木県那須塩原市に生まれた「那須塩原エヅリン」は、隣にルアー&フィッシングが可能な釣り堀を構えたRVパークで、希望者があればプレミアムヤシオマスという貴重なマスを釣ることもできる。
 またここはゴミ回収業者が運営母体となっているため、不用になった自動車バッテリーや粗大ゴミなども回収するというサービスも行っている。

 西の方にいけば、「京都南鴨川RVサイト」がなかなかの人気。ここはJRVAメンバーの販売店である「バンテック京都」の営業敷地内にあるRVパークで、キャンピングカービルダー「バンテック株式会社」が経営母体となっている。
 
 ここの特徴は京都市内までのアクセスの良いこと。このRVパークに車を置き、バスなどを使って京都観光が楽しめるのが特徴だ。
 しかも敷地内にはランドリー、カセットトイレの汚水処理設備なども完備。さらに出入り口がパーキングゲート式なので24時間出入りが可能というこれまでのRVパークの常識を一歩超えたつくりになっている。

▼ 京都南鴨川RVサイト

  
  
湯YOUパークで「温泉&車中泊」
  
 このようなRVパークは、「くるま旅クラブ」の会員でなくても利用できるように、広く一般車両に門戸を開放しているが、「くるま旅クラブ」が用意している “車中泊パーク” というのはRVパークだけではない。
 他にも「湯YOUパーク」、「ぐるめパーク」、「とれいんパーク」、「民パーク」などといった「くるま旅クラブ会員」だけが利用できるさまざまな施設の整備が進んでいる。

 なかでも人気が定着したのが「湯YOUパーク」だ。
 これは日本全国の温泉旅館・ホテルの駐車場に自分のキャンピングカーを停めて車中泊し、お風呂はその旅館の入浴施設を使うというもの。

 RVパークと違って、必ずしもAC電源が整っているわけでもなく、ゴミなども原則持ち帰りとなるが、本来ならば旅館に泊まらなければ利用できないお風呂をゆったり堪能できるというメリットがあり、しかも事前に予約を入れれば、その旅館が宿泊客に供する食事が食べられることもある。

▼ 温泉は日本人にとって「魂の休憩所」だ

 この湯YOUパークのシステムを受け入れてくれる旅館・ホテルのことをJRVAでは「パートナー」と呼び、現在そのパートナー数が130件程度まで広がってきている。
 そのためキャンピングカー旅行中に「湯YOUパーク」を利用できる確率もそうとう高くなってきた。
 
 
新しい “車中泊システム” にかかる期待
 
 現在、「くるま旅クラブ」が力を入れているのは、RVパークや湯YOUパーク以外の新しい “車中泊システム” の開発だ。
 その一つに、レストランなどで食事をした後、その駐車場で車中泊できる「ぐるめパーク」がある。

▼ 料理を楽しめるRVパークもたくさんできてきた(画像はRVパーク犬山ローレライ麦酒館)

 
▼ RVパーク「やまなみの湯」の名物ラーメン

 キャンピングカー旅行の楽しみの一つとして、車内での晩酌を挙げる人たちも多い。
 その場合のツマミやサカナは、スーパーやコンビニで購入した惣菜などが多くなるが、「グルメパーク」ではシェフや板前さんの調理する本格的な料理に舌鼓を打ちつつ酒を楽しみ、酔った後は駐車場に停めた車でそのまま寝ることができる。
 このような「ぐるめパーク」は、現在全国で11ヶ所展開しており、今後はさらに増えていく予定だ。

 また、ローカル鉄道などの駅の施設内で車中泊し、車の旅と鉄道の旅を両方満喫できる「とれいんパーク」というものもある。

 この「とれいんパーク」はまだスタートしたばかりなので、現在認定されているのは茨城県ひたちなか市の「とれいんパーク磯崎駅」一件のみ。
 しかし、自分の車を「とれいんパーク」エリアに停めたまま2~3駅ほど電車に乗り、車窓から景色を眺めれば、ちょっとしたローカル線旅行の気分も満喫できる。鉄ちゃんにはうれしい車中泊パークといえるだろう。

 一方、のどかな農村、離れ小島、ひなびた港町など、普通だったら宿泊施設がないようなところでも車中泊ができる「民パーク」というシステムもある。

 これも新しく開発されたシステムなので、現在のところは佐賀県唐津市の「Glamping Cafe 3/16」があるのみ。
 しかし、ここは50平方メートルのアウトドアキッチンや16平方メートルのウッドデッキを備えた今流行のグランピング施設なので、施設内容はハイグレード。
 ロケーションも最高で、唐津湾、虹の松原などの眺望を楽しみながら食事もできるとあって早くも人気を集めている。
  
   
レンタルキャンピングカーという新しい楽しみ方が急浮上
  
 このような「くるま旅クラブ」のサービスが充実してくるとともに、キャンピングカーを持っていない人たちからも、キャンピングカーユーザーと同じようなサービス内容を享受したいという要望が高まってきた。

 そのような声に応えるために、「くるま旅クラブ」事務局が昨年の6月からスタートさせたのが「ベーシック会員」というタイプの会員制度だ。
 これはキャンピングカーではなく、ミニバンやワンボックスカーといった乗用車のオーナーでも入会できるようにしたものだが、受けられるサービス内容は「スタンダード会員」と変わらない。

 ただし、料金は多少高くなり、年会費4000円/入会費2000円となる。スタンダード会員のほぼ倍額となるが、もともと「スタンダード会員」や「プレミアム会員」の料金というのは、JRVAに加盟している業者からキャンピングカーを買ったことへの特典によって安くなっているために、この「ベーシック会員」の料金体系の方が入会金・年会費としては通常の額であると考えていいかもしれない。

 この「ベーシック会員」を設けた理由のひとつに、レンタルキャンピングカーを使った場合においても「くるま旅クラブ」が提供しているサービス内容を享受したいという要望が増えてきたことがあるという。
 前出の漫画家さいばしんさんはこう語る。
 
▼ さいば しん さん

  
 「くるま旅クラブというのは、基本的にご自分のキャンピングカーを持っていらっしゃる方々を対象としたクラブなんですが、キャンピングカーを持っていない方でも、レンタルキャンピングカーを使ってくるま旅クラブのシステムを利用したいと思われる方がおられたり、また1台のキャンピングカーで満足するのではなく、さまざまなレンタルキャンピングカーで気分転換を図りながらくるま旅クラブのサービスを受けたいという方もいらっしゃるんですね。
 ベーシック会員というのは、そういう方々にもお役に立てるプランだと思っています」
  
  
なぜレンタルキャンピングカー産業は元気なのか?

 さいばさんによると、このような形でレンタルキャンピングカーを利用している人々は確実に増えているという。
 その背景には、急なマーケットの拡大に対して、キャンピングカー業界の生産が追い付かないという状況が反映されているのではないかと、さいばさんは見る。

 「とにかく、現在キャンピングカーを買うとなると、人気車の場合は契約を結んでから1年ぐらい待たされるというケースも出てきています。
 待ちきれない人のなかには、“ならば中古車でいい” と思う人もいるだろうし、納車されるまではレンタルキャンピングカーでしのごうとする人もいらっしゃるでしょう。
 また、そういう流れとは別に、稼働率を考えると、キャンピングカーを買ってもそんなに運転しないだろうと思われる方もいらっしゃるでしょうから、そういう方は、“使うときだけレンタルすればいい” と合理的に考えるかもしれません。
 さらに、自宅の車庫が狭いのでキャンピングカーは入らないと判断された方もレンタルキャンピングカーを活用した方がいいと思うのではないでしょうか」
 
 
キャンピングカー利用者の意識変化が、
レンタルキャンピングカーブームをつくる

 このようなキャンピングカー利用者の意識の変化が「レンタルキャンピングカー市場」という新しいマーケットを生み出したと読んだ人がほかにもいる。
 日本全国のレンタルキャンピングカー情報をネットで展開しているアイビル株式会社の川田智志社長はこう語る。

 「レンタルキャンピングカーというと、今まではキャンピングカーを作ったり販売していた業者さんがメイン業務を補佐する事業として考えていたようなところがありました。
 しかし2年ほど前からは、これまでキャンピングカー事業に携わったことのない企業さんがどんどん参入してくるようになり、一種の “群雄割拠” 的な状況を呈するようになってきたのです」

▼ アイビルが管理している全国のレンタルキャンピングカー情報「レンタルキャンピングカーネット」。全国のレンタカー情報が集約されている便利なサイト

http://www.rental-camper.jp/
  
 そのようなレンタルキャンピングカー事業が活発化してきた理由の一つに、キャンピングカー利用者の意識の変化が反映していると川田さんは語る。
 つまり、これまでのキャンピングカーの利用法というのは観光旅行の足として使うかキャンプ場でキャンプすることが中心で、使用目的のメインは温泉巡りだった。

 「しかし、最近のキャンピングカー利用者は使用目的がとても広がっています」
 と川田さん。
   
   
今までとは違ったキャンピングカー
の使い方をする人が増えた

 たとえば最近多いのは市民マラソンに参加する人たちがその休憩や着替えをするための基地としてレンタルキャンピングカーを借りるというケース。
 また、アイドルの地方コンサートに行こうと決めた女性たちが、ホテル代わりにレンタルキャンピングカーを借りて、コンサート会場近くの駐車場に泊まるというようなケース。

 さらには、子供の誕生パーティーの会場として、家の庭に大型キャンピングカーを借りて、子供たちを喜ばせるというような使い方。あるいはお父さんたちがゴルフコンペに出かける際の宿代わり。

 そういうように、利用者の使い方が非常に多岐に渡ってきたことがレンタルキャンピングカーの需要に拍車をかけたと川田さんはいう。

 前出のさいばしんさんも、同じようにキャンピングカー利用者の意識の変化を指摘する。

 「最近キャンピングカーユーザーで増えているのは、1台のキャンピングカーを何人かで共同購入し、それをシェアリングするというケースなんですね。そうすればある程度の装備品を搭載した価格の高いキャンピングカーを買っても、各個人の出資額はリーズナブルなものになります。
 そしてその車を、仲間の誰も使用しないときは、レンタルキャンピングカー業者さんに貸し出す。そういう動きに呼応して、そのようにシェアされた車を活用するレンタルシステムを構築している業者さんも出てきています」
 とさいばしんさんは言う。
  
  
キーワードは “ゆるキャン”

 「キーワードは“ゆるキャン”ですね」
 とさいばさん。
 つまりは、ゆるい気分でキャンピングカー旅行を楽しむことだという。

▼ さいばしん さん

 「キャンピングカーだからといって、堅苦しい気持ちで使わずに、みんなでワイワイと楽しさを共有するという意識が利用者の間に生まれています。
 テントキャンプでも、今の新しい流れは “グランピング” に向かっています。
要は、手ぶらでキャンプに行き、豪華な施設で、ぜいたくな料理や宿泊を楽しむ。
 その分おカネもかかるけれど、気分は “楽ちん” 。キャンピングカー旅行でも、そういう “楽ちん” 志向が生まれていると思います」

▼ キャンピングカーによる温泉めぐりも大人気

 そういう時代の気分を反映して、「くるま旅クラブ」ならではのリッチなサービスを享受したいという人も増えているとか。
 そして、そういう旅のスタイルにはレンタルキャンピングカーが理想的。今後は「くるま旅クラブ」と「レンタルキャンピングカー」がコラボしたような新しいキャンピングカーライフが生まれてくる可能性が高い。

くるま旅クラブURL:http://www.kurumatabi.com/
レンタルキャンピングカーネット(アイビル)URL:http://www.rental-camper.jp/

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※ この記事は、(株)カー&レジャーニュースさんから原稿執筆のご依頼をいただき、2月2日発売の『週刊Car &レジャーニュース』(2536号)に掲載されたものを、同社のご許可をいただいて多少見出しや画像などを変え、blog用にリライトしたものです。

『週刊Car &レジャーニュース』

 「週刊Car&レジャーニュース」は1968年に創刊された由緒ある自動車専門紙。国内外の乗用車をはじめ、RV車 キャンピングカー、福祉車両、レーシングカーなど、車全般の最新情報に加え、カーエレクトロニクス商品や車載機器、自動車イベントなど、車を取り巻く幅広い情報を満載している人気メディア。
 発行は毎週金曜日。「東京モーターショー」、「東京オートサロン」などの自動車イベントはもとより、関東の主要キャンピングカーイベントの会場でも配布されている。

ホームページURL http://www.car-l.co.jp/ 
Car&レジャー 最新ニュース http://www.car-l.net/
 

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日産キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載車

 
 2017年2月初旬に幕張で開催された「ジャパンキャンピングカーショー」では、キャンピングカーテクノロジーの最新の姿を伝えるプレゼンテーションがたくさん試みられた。
 その一つが、リチウムイオンバッテリーを搭載した「NV350キャラバン “グランピングカー” (キャラバン・キャンピング特装車ワイドボディ)」である。

 グランピングとは、「グラマラスなキャンピング」を意味する造語で、いわばゴージャスで快適な究極のアウトドア。
 すなわち、高級ホテルのような華やかさと贅沢さを備えた住環境を、満天の星がまたたく大自然のなかで実現しようという試みのことをいう。

▼ 今回の展示車両のベースとなったキャラバン・ワイドボディ

 日産自動車のブースで展示されたNV350キャラバン “グランピングカー” とは、そのような “贅沢キャンプ” を、まさにキャンピングカーの車内で満喫しようというコンセプトで開発された車だ。

 では、その中身とは、いったいどのようなものなのか?

 エアコン、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、DVDプレイヤー、オーディオ、各種照明など、キャンピングカーで使用される電装機器はけっこう多い。
 しかし、一般住宅と違って、電力供給が安定しないキャンピングカーの場合は、それらの電装機器を使用する時間が限られてしまう。

 キャンプ場やRVパークのように、AC電源が供給される環境で泊まる場合は使用時間を気にすることなく安心して電気を使えるが、長旅になると、道の駅や高速道路のSA・PAといった電気の供給が受けられない場所で休まざるを得ないこともある。

 そうなると、搭載している電装機器を使うとき、その消費電力がどのくらい残っているかということを常に意識しなければならない。走行充電が不充分な場合は、電気がなくなる時間は意外と早く訪れる。
 
 そのような不安を解消するために、これまでサブバッテリーの増設やバッテリーを補充電するソーラーパネルの設置、あるいは発電機の搭載など、さまざまな工夫が試みられてきた。

 しかし、エアコンや電子レンジなどの消費電力の大きい家電品を駆動させようとすると、そういう従来型の電装システムは、どうしても克服すべき問題が多少残ってしまうのだ。
 すなわち、バッテリー増設といっても鉛バッテリーの場合は重量が増えるという問題が出てくるし、発電機の場合は騒音に対する配慮に神経をつかう。

 こういう問題を解消するために登場した救世主がリチウムイオンバッテリーである。

  ▼ 日産のリチウムインバッテリー

 これは従来の鉛バッテリーに比べ、
 ・重量が軽い
 ・充電効率がいい
 ・発電容量が大きい
 ・寿命が長い
 などといった数々のメリットを持ち、キャンピングカーが搭載する家電商品を、まさに家庭と同じように使えるレベルに引き上げる夢のバッテリーといっていいだろう。

 ただし、これまでキャンピングカー用に製品化されたものは、まだ開発されて数年しか経っていないために、いったいどの程度信頼できるのか、それを確かめる実証的データが乏しかった。

 もうひとつの問題は、価格が高いこと。
 リチウムイオンバッテリーの場合は、1システムで100万円代の半ばから後半までの価格帯を覚悟しなければならない場合もあり、いざそれを組み込んだ完成車を購入するとなると、さすがに躊躇する人もいた。

 もちろん、搭載家電のすべてがリチウムイオンバッテリーを軸として設計されてくるので、トータルで考えればリーズナブルな価格でもあるのだが、費用対効果を考えると、やはり二の足を踏む人もいただろう。

 そこで登場したこの「NV350キャラバン “グランピングカー” 」。
 この車が画期的なのは、自動車メーカーの日産がこの車両の保証を実現したところにある。
 つまり、バッテリー部分の点検、故障、メンテナンス、リコールなどもすべて日産自動車が責任をもって負うということなのだ。

 これが意味するものは大きい。
 すなわち、「保証を付ける」と言い切れるほど、製品が安定していることを意味するからだ。

 なにしろ、このバッテリーは、世界で23万台も走っているという電気自動車の「日産リーフ」に用いられているものなのである。
 世界中で23万台走っているということは、日産のスタッフが計算したところ、「約27億kmの走行テストを経験してきた」と言い直してもいいということになる。
 その間、不具合の生じたバッテリーはゼロ。
 当然、そのバッテリーを流用したNV350キャラバン・キャンピングカーは、絶大な信頼性を獲得したものであると断言していい。

▼ 展示車に搭載されたリチウム・イオンバッテリー。整然と3系統に分かれている。非常にコンパクトに収まっているが、架装メーカーが勝手にこの位置を変えることはできない。

 では、このバッテリーを搭載した車を使うことによって、いったいユーザーはどういう恩恵に与かることができるのだろうか。

 キャラバンを使った数々のキャンピングカーを開発している「日産ピーズフィールドクラフト」の畑中一夫社長(写真下)は、こういう。

 「このバッテリーの総電力量は12kWh。これはとてつもない電気容量を確保したことになり、一度充電しておけば、電源供給のまったくない環境でも、エアコン、IH 調理器、電子レンジ、テレビ、DVDプライヤー、冷蔵庫などの電化製品を、2泊3日から3泊4日ぐらいまで、まったくストレスなく使うことができます」

 しかも、1.5kWを出力するバッテリーが3系統に分かれているため、消費電力の多い家電を同時に使うことができる。
 つまり、一つの系統でエアコンを回したまま、もう一つ系統で電子レンジを駆動させるなどといった芸当もできるようになったのだ。

 ただし、走行充電はできない。
 走行充電を可能にするシステム構築も可能だが、そこまで組み込むとなると機構も複雑になり、コストも膨れ上がってくるため、今回は見送られたという。

 充電する場合は、家庭のコンセントを使ったり、キャンプ場やRVパークなどでAC電源を借りて行うことになるが、所用時間はだいたい8時間程度。
 しかし、一度充電してしまえば、前述したように、2~3泊ぐらいならまったく問題のない電化生活を堪能することができる。

 この車、さて、車内で惜しみなく電気を使えるというメリット以外に、どんな楽しみ方があるのだろうか。
 前出の「日産ピーズフィールドクラフト」畑中社長は語る。
 
 「100Vのアウトプットがあるので、アウトドアで使えば、車自体を巨大なバッテリーとして活用することができます。
 たとえば、アンプなどにつないで野外コンサートもできる。
 また、山奥などの建設現場で工事を指揮する場所などに使うことも可能でしょう。電気の来ない場所でも、この車を1台持っていけば、IH 調理器や電子レンジを使って食事を作ったり、パソコン作業をしたりこともできます」

 さらに、この車はシティユースにおいて絶大なる力を発揮すると、畑中社長は付けくわえる。

 「なにしろエアコンが自在に使えるので、夏の暑い盛りでも、出向いた先が冷房の効いた “オフィス” になるんですね。
 つまり移動事務所として使えば、快適な商談スペースや休憩室として活用できます。搭載した家電を使って簡単にお湯も沸かせますから、お茶出しなどもすぐにできますし、冷蔵庫で氷を作るのも簡単。景色の良い駐車場などに停めておけば、夜はバー代わりにお客様を接待できます」
 と同社長は語る。
 
 日産としては、この車を17年度のうちに実売に漕ぎ付けたいという。
 各ビルダーへデリバリするときの価格はまだ未定だが、ベース車両の価格に、バッテリー代として150万円程度を載せたものに収まりそうだ。
 国産キャンピングカーがまた一つ大きな飛躍を遂げそうなベース車の誕生である。
 
  
リチウムイオンバッテリー スペック
 
【総電圧】 360V
【定格出力】 2.0kW
【総電力量】 12kWh
【充電】 単層/交流/100V/50-60Hz
【充電時間】 8時間
 
 
参考記事 「キャンピングカーメーカー対談」(畑中社長ロングインタビュー)from 『キャンピングカースタイル』
 
関連記事 「リチウムイオンバッテリー搭載車 日産NV350キャラバン“グランピングカー”」from『キャンピングカースタイル』
 
 

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国産キャンピングカー用フィアット・デュカト シャシー

 
 2017年2月初旬に開かれた「ジャパンキャンピングカーショー」会場で、一般の見学者と、日本のRVビルダーの両方から熱い視線を集めた1台の車があった。

 イタリアフィアット社の商用車ブランドである「フィアット・デュカト(fiat Ducato)」のバンタイプボディである。
 写真で見てのとおり、中はがらんどうだ。
 

 この内装も組み込まれていないシャシーが多くの人の注目を集めたのは、「このボディを使って国産キャンピングカーを作ってみませんか?」という提案がFCAジャパンという輸入車ディーラーからなされたからだ。

 フィアット・デュカトといえば、1981年に導入されて以来、全世界で500万台以上生産されている商用車。
 スムーズで燃費のよいディーゼルターボエンジン(180ps)、乗用車ライクの運転感覚などに恵まれ、トランスポーターでありながら快適な操作フィーリングを実現した車として絶大な人気を誇っている。
 現在ヨーロッパにおけるキャンピングカーの4台に3台はデュカトであるといわれ、ベース車としての市場占有率は70%を超える。

, そのビッグブランドを使った “国産キャンピングカー” がついに誕生するのか?
 見学者の関心はその一点に集中した。
 
 その可能性はかなり高い。
 しかし、まだ決定されてはいない。

 というのは、輸入元のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパンが採算ラインとして算出している台数が年間 “数百台” 。1社年間80台程度購入できるRVディーラーが5~6社ほど名乗りをあげないと実現が難しい数値なのだ。
 
 FCAジャパンとしては、契約台数や販売システムに関する取り決めは、購入を検討する日本のRVディーラー各社との相談によって決定するというスタンスなので、具体的な展開があきらかになるのは、1~2ヶ月先ということになる。

 しかし、この車両に対する日本のビルダーたちの関心はそうとう高い。
 数社に聞いてみたところ、「うちは名乗りを上げるつもりだ」と明確な答えを返してくれた会社もすでに登場しており、決定を保留していると言いながらも、魅力的なシャシーであることを認める会社が相当数にのぼった。

 ちなみに、国産ビルダーたちは、このフィアット・デュカトのベースシャシーを具体的にどう見ているのだろうか。
 A社のB社長はこういう。

 「デュカトベースの完成車も日本にはそうとう入ってきている。しかし、デュカトの欧州キャンパーは、基本的にシニア夫婦向けのレイアウトになっており、乗車定員はせいぜい4人で、就寝機能も大人2人がゆったり寝られるような構造のものが多い。
 しかし、日本にはミニバン文化が根付いているため、キャンピングカーにも6人乗車を求める人たちがけっこういる。
 デュカトの内装を国内で組むことができれば、そういう日本人マーケットを意識したレイアウトが可能になる。
 また、現在3タイプの車高が用意されているが、そのうちの超ハイルーフを使えば2段ベッドも楽に組み込めるため、商品力はそうとう高くなる」

 C社のD社長はこういう。

 「せっかく国内で設計できるのだから、ヨーロッパ車のスタイルを真似するのは面白くない。やるんだったら畳敷にするなど、徹底した “和のテイスト” を追求するのも面白いのではないか。
 そのように日本人でなければ作れないものを創造して、逆に海外のショーに持ち込んでみるという手もある。
 仮にそれが売れなくても、海外のユーザーに日本車の造形力をアピールすることはできる。そうすれば、日本のキャンピングカーの認知度も広がり、海外マーケットが開ける可能性も出てくる」

 E社のF社長はこういう。

 「バンボディながら、キャブコンと同じレベルの居住性が確保できそうだ。そうなると、走行性において、これまでの国産キャブコンよりもそうとう安定した走りを持つキャンピングカーが生まれることになる。アイデア次第で、これまでの国産キャンピングカーの流れを変える車になる可能性もある」

 かなり好意的な評価が大半を占めたが、なかには導入そのものを疑問視する声もあった。

 G社H社長の弁。

 「キャンピングカーベース車として魅力あるシャシーであることは間違いない。しかし、1社80台という台数が要求されることになれば、RVディーラーが抱え込むオーダーとしては、かなりリスクが高い。1年目はよいとしても、売れ残った場合、2年目がないのではないか?」

 このように正直に不安を訴える業者もいることにはいた。
 しかし、それでも1~2台なら手掛けてみたいというのが大半の声だった。
 
 
 今回、バンボディだけの展示となったが、フィアット・デュカトにはキャブコン用のシャシーもある。そのなかには、リヤフレームに、定評あるアルコシャシーを採用するタイプも用意され、キャブコンベース車としてのデュカトは、海外ではバンベース車以上に評価が高い。

 はたして、キャブコン用シャシーの国内導入はあるのだろうか。
 FCAのスタッフは語る。

 「RVビルダーさんのご希望があれば、当然それも考えます。しかし、キャブコンシャシーにキャビンを架装するとなると、現状ではキャブコン製作に慣れたビルダーさんに限られてしまうのではないかと考えました。
 そのため、とりあえず今回は、バンコンを製作されているビルダーさんにも関心を持っていただけるようにバンタイプを出展してみました。
 とにかく受け入れ窓口を広くして、多くのビルダーさんに購入を検討していただきたいというのが私たちの意図でした」

 デュカトを買ったあとのサービスシステムはどうなっているのだろうか。

 FCAでは、この車の導入が決定したならば、パートナーを組んでくれる国内のビルダー/ディーラーと提携し、サービスネットワークを構築していく予定だという。

 サービス工場の機能としては、5m以上の室内高を持ち、耐荷重3~3.5トンのリフトを有していることが条件。
 そのようなキャパを持った認証工場に専用テスターを配備し、種々の工具なども用意してテクニカルトレーニングを受けてもらうことになるそうだ。

 パートナーを組むときの条件は厳しいが、FCAではパーツの安定供給はもとより、車両の保証やリコールの対応も考えているというから、購入後の信頼度は高いかもしれない。

 はたして、フィアットベースの国産キャンピングカーは誕生するのだろうか?
 もし、この “物語” が実現したら、それは国産キャンピングカーの新しい歴史の始まりともいえそうだ。

フィアット・デュカト概要(ボディサイズ L )

【車両寸法】 全長5998mm×全幅2050mm×全高2524mm
【室内寸法】 全長3705mm×全幅1870mm×全高1932mm
【エンジン】 直4 マルチジェット インタークーラー付ディーゼルターボ
【排気量】 2287cc
【最高出力】 131kW(177ps)/3500rpm
【最大トルク】 400Nm(40.8kgm)/1500rpm
【ミッション】 ATモード付6速シーケンシャル(コンフォートマチック)
【ハンドル】 右ハンドル
【車両重量】 2055kg
【燃料タンク】 90リットル
【駆動方式】 FF
【サスペンション】 前 マクファーソンストラット/後 リーフリジット
【燃料消費率】 15.1km/㍑
  
 

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織田信長はトランプだった

 
 あまりにも型破りの政権運営によって、ワイドショーにおける人気キャラのポジショニングを不動のものとした米国トランプ大統領。

 日本人の間にも、「怖い」、「下品」、「傲慢」、「不気味」、「反知性的」などというイメージが定着したトランプ氏だが、たぶんこの人の顔が日々のニュースから姿を消してしまうと、みんなかなりさびしい思いに駆られるのではなかろうか。

 つまりは、この人は人気者なのである。
 「嫌われ者」というのは、実は、隠れた人気者であることが多い。

 「いやなやつだ」、「顔も見たくない」、「早く失脚してほしいものだ」とその当時の人間からは嫌われつつ、200~300年ぐらい経つと、歴史上の人気者として祭り上げられているような人もいっぱいいる。

 実は日本にも、400年ぐらい前に、今のトランプ大統領のような人が登場している。
 織田信長がそれだ。

 信長は、今では「戦国の革命児」とか、「一足早かった近代合理主義者」などと言われてもてはやされているけれど、信長が登場したころは、世間の人々はみな彼のことをトランプのような人物だと見なしていた。

 実際、信長が桶狭間の戦いで今川義元を破るまで、ほとんどの大名や公家衆や庶民は、信長なんて人物を知らなかった。
 “天下取りレース” ではまったくの泡沫候補だったのである。

 義元と信長の関係というのは、民主党のクリントンと共和党のトランプみたいなもので、当時のメディアであった京都の公家衆の風聞では、「信長のような泡沫候補は、義元の敵としてリングに上がる前に、尾張地区の代表選の段階で領内の推薦も得られないだろう」なんていわれていたはずだ。

 ところが、わずかな兵を率いただけでの奇襲で、信長は圧倒的な兵力を誇る名門武将の義元を倒す。
 公家衆も、諸大名も、みな「アンビリーバボー !」と叫んだとことだろう。
 町から町へと商品を売り歩く商人たちも、「まさかの大逆転劇が起こりましたなぁ」などととわめきながら、町に入って行ったことだろう。

 そのうち、信長は「天下布武」、すなわち武力による天下統一をスローガンに掲げる。
 まぁ、戦国大名はみな「天下を狙っていた」などといわれるけれど、実際はそれぞれの領地を守るだけで汲々としていたに過ぎず、「天下統一」というのは、お祭りのときの景気づけの文言のようなものだった。

 だから、信長が本気になって「天下布武」などと言い出したとき、公家衆、諸大名、庶民は、「メキシコとの国境に壁を造る」といったような仰天発言を聞いたような気分になっただろう。

 彼はそのあと一向宗などの宗派に宗教弾圧を加えていくことになる。
 これなども、今のトランプ大統領のやり方に即していえば、彼の「反イスラム政策」と同じである。

 信長は既成の仏教勢力を嫌った。
 彼は、「宗教は魑魅魍魎の力に頼る非合理的なもので、国家を転覆させる悪だ」と断定していた。
 実際、当時の比叡山などは宗教的堕落もはなはだしく、僧兵の暴力沙汰なども話題になっていた。
 だから、対宗教戦を始める前に信長は、「これはテロとの戦いだ」などと言ったかもしれない。

 信長にとって、一向宗や比叡山のような既成仏教はその存在そのものが「悪」であり、南蛮の珍奇な文物をもたらしてくれるキリスト教は「善」であった。
 ふ~む … 。こういう単純な「善・悪二元論」で世の中を分ける方法もトランプ的である。

 とにかく、信長の天下取りプロセスは「野蛮」、「残虐」、「不意打ち」、「裏切り」の連続。
 「信長政権は、次はいったい何を狙ってくるんだろう?」
 と日本中の人々が戦々恐々と次の信長の打つ手を見守ることになった。

 このまったく予測のつかない信長政権の行動に、各大名、寺社勢力、公家衆は、みな信長政権とのパイプ作りに奔走した。

 ところが、信長政権を支えるスタッフは、みな無名の新人ばかり。
 政治のプロなどひとりもおらず、いってしまえば、信長をボスとした “暴走族” チームの構成員のような人ばかり。
 百姓上がりの人間もいれば、諸国を放浪していた浪人もいたりして、家柄や経歴を頼りにコネをつくっていた諸大名家の実務官僚たちはみな戸惑いの連続であった。

 問題は、信長の政治理念がどこにあるのか、誰も分からないことだった。
 それまでの戦国武将は、京にのぼって、天下統一の号令をかけるときは、一様に天皇家や将軍家などのご意向を尊重し、礼節と徳をもって日本を治めるという理念を掲げなければならなかった。
 
 それまで争った相手であっても、自分が天下と統べるようになった暁には温情を持って敵を許し、仲良く手を携えて平和国家の建設に邁進する。
 それが政治の理想であったのにもかかわらず、信長の主張はあくまでも「自国優先主義」。
 ま、「織田家ファースト」なわけね。
 敵を倒したら、そのリーダーには容赦なく切腹や磔を申しわたし、その所領はことごとく織田家とそれを支える閣僚たちがむさぼり尽す。

 要は、人々が信じてきた世の中づくりの法則が、信長には通用しなかったのだ。
 そもそも信長自体がいったい何になりたいのか、公家衆も諸大名も検討がつかない。 
 後世の歴史家は、信長の狙っていたのは西洋に絶対王政を樹立した「国王」のようなものではなかったか? などと類推するけれど、当時の日本人からすれば「コクオウって何?」ってな状態だから、とにかく信長が不気味に見えてしょうがない。

 だから、信長の敵になっては大変だとばかり、それまで敵対していた勢力も、雪崩を打って信長にひれ伏すようになる。

 しかし、平和を目指す外交においても、信長が相手となると緊張を強いられる。
 なにしろ、信長という人は、脅しの名人である。
 相手が閣僚クラスの人間であっても、少しでも気に食わないことがあると、「お前は首だ !」と怒号を発し、ときどき自ら剣を抜いて、文字通り「首」をはねてしまうこともあった。

 しゃべることに知性は感じられず、発言の大半は暴言。
 世の中を運営していく視点も、まずはビジネス優先。
 信長が、足利義秋を将軍につけてやったとき、義秋は御礼として「そちに副将軍の位を授けよう」と信長に申し渡した。
 しかし、信長は「副将軍」などという一銭にもならない名誉職を断り、琵琶湖の大津と草津に関所を造る許可をもらうなど、日銭が入るシステム構築の方を選んだという。

 その琵琶湖に、信長はやがて絢爛豪華な安土城を築く。
 成金趣味的なピカピカ趣味は、まぁ今でいうニューヨークのトランプタワーのようなものではなかったか。

 天下統一を間近に控え、信長は自分の部下に暗殺される。
 クーデーターを起こした明智光秀の真意がどこにあったか。
 それは現代でも謎とされている。

 しかし、毛利氏のブレーンを務めた安国寺恵瓊などは、
 「あれだけ人に憎まれていたんだから、いつかは人の恨みをかうだろう」
 と、その失脚を予言していたという。

 最近、トランプ大統領に関するネットの話題に、「暗殺はいつだろう?」などという物騒なものが上がってきているという。
 ま、嫌われ者には、そういうウワサが付きまとうものだ。

 しかし、トランプ氏に対しては、ひょっとしたら「100年後のヒーローか?」という期待がないわけではない。
 100年経てば、人の評価は変わるのだ。
 現代的な感覚で評価すれば、やっぱり織田信長って、カッコいい。
 
 私は、今のトランプ氏は嫌いなんだけど、でも、もし私が100年後の地球に生を受ける人間だとしたら、「21世紀に登場したトランプって、カッコいい男だったじゃん !」と手放しで評価しているかもしれない。
 
 

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アネックス 2017新車情報

 
 いよいよ2月2日(木)~5日(日)にかけて、アジア最大級のキャンピングカーイベントである「ジャパンキャンピングカーショー2017」が開催されます。

 昨年のこの時期、自分はちょうど肺高血圧症で入院していたため、ショーを見逃してしまいました。
 しかし、今年は酸素ボンベを付けながらも外出できるようになりましたので、ぜひとも見学に行こうと思っています。

 このショーは、なにしろキャンピングカー業界の今年1年のトレンドを告知する大規模なイベントであるため、各社とも力のこもった新型車を投入するようです。

 その出展メーカーのひとつ関西の有力ビルダーであるアネックスさんより、ショーに出品予定の新車情報をいただきました。
 そこで、皆様にもご紹介しようと思います。

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RICORSO

 まずは、同社の看板車種のひとつ、「RICORSO(リコルソ)」の2017モデルから。

 リコルソは、同社を代表するバンコンのひとつで、その狙いは「大人の2人旅を演出するモダンデザイン・トラベルワゴン」。
 この2017モデルの特徴は、使い勝手の飛躍的向上です。
 たとえば、ソファー後部に左右独立のリクライニングギアが新設され、お茶やお酒を楽しみながら、リラックスした気分でテレビなどを鑑賞できるようになりました。

 後部カウンターにFRPシンクとコンロが設置され、8ナンバー条件をクリアしたまま横座り定員が確保されています。

車両価格(税込)は下記の通り
RICORSO 2WD 4,550,000円
RICORSO 4WD 4,853,000円

詳しい情報は下記を
http://www.annex-rv.co.jp/lineup/ricorso2017.html

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Family Wagon

 次はファミリーワゴンの2017年モデル。
 この車のキャッチは、「積める! 遊べる! 寝られる !」
 シートには、これまでよりも100mmワイドな1500REVOシートが採用され、よりゆったりした座り心地が確保されました。
 
 2段ベッドも拡大され、その最大寸法は1730mm×1660mm。なんと従来比では長さで330mm、幅で20mmサイズアップとなりました。これにより縦方向(進行方向)で寝られるようになったことも大きいでしょう。

車両価格(税込)は下記の通り
FamilyWagon 2WD  4,300,000円
FamilyWagon 4WD  4,603,000円

詳しい情報は下記を
http://www.annex-rv.co.jp/lineup/familywagon2017.html

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FAMILY WAGON-SS

 コンパクトで取り回しのよいファミリーワゴンSSも、使いやすい小変更が加えられています。
 なかでも一番の特徴は、テーブルサイズの拡大。
 なんと旧モデルに比べ、その拡大率は80%アップ。具体的には、900mm×400mmとなり、従来比では、それぞれ320mmアップと60mmアップという計算になります。

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NS-W

 スタイリッシュなロープロファイルボディを実現したキャブコンのリバティーNS-Wにも新しい仕様が登場します。
 それが、NS-Wのフロントシート回転仕様。
 これはオプション設定となりますが、これによって、まさにヨーロッパ型キャブコンのレイアウトが可能になりました。

 回転シートのオプション価格は、259,200円(税込)。

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COMPOSERのリフトアップ仕様

 COMPOSER with FAMILYに、アウトドアテイストを盛り込んだリフトアップ仕様が追加されます。

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Urban Country TRIAL Model

 アネックスというメーカーは、これまでキャンピングカーの属性の一つとして付加されてきた「豪華」とか「ラグジュアリー」という価値観にとらわれない新しいテイストの車両をたくさん開発してきましたが、今年のテーマは「アーバンカントリー」。
 正式な発表はこの秋となるそうですが、この幕張のショーでは、COMPOSER with DOGをベースとしたその試作車が展示されるようです。

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なお、「ジャパンキャンピングカーショー2017」の概要は次の通りです。

【2017年 開催日時】 
2月2日(木) 10:00~12:00(プレス・ビジネス)/12:00~17:00(一般)
2月3日(金) 10:00~18:00
2月4日(土) 10:00~18:00
2月5日(日) 10:00~17:00
【会場】 千葉県千葉市美浜区中瀬2-2-1 幕張メッセ国際展示場1~4ホール
【問い合わせ先】 ジャパンキャンピングカーショー2017事務局
【TEL】 03-5464-8010
【アクセス】 
《電車》
(1) JR京葉線「海浜幕張駅」より徒歩5分
(2) JR総武線・京成線「幕張本郷駅」よりバス
《車》
(1) 東京都心・羽田空港方面から約40分/習志野I.C.((東関東自動車道)
または幕張I.C.(京葉道路)から約5分
(2) 新東京国際空港(成田)方面から約30分/湾岸千葉I.C.(東関東自動車道)
から約5分
【主催】 ジャパンキャンピングカーショー2017実行委員会
【後援】 テレビ東京、J-WAVE、千葉県、千葉市、アメリカ大使館商務部、スロヴェニア大使館
【入場料】
《前売券》・一般(高校生以上)/800円(税込)
      ・小人(小・中学生)/500円(税込)
《当日券》 ・一般(高校生以上)/1,000円(税込)
      ・小人(小・中学生)/600円(税込)
   ※未就学児無料
    ※障がい者手帳のご提示でご本人様と付き添いの1名様無料
     ・ペットケア費:1頭 500円 2頭以上 1,000円
     ・くるま旅クラブ会員:イベント入場チケット引換券提出で2名様まで無料
      (会期中1回限り)
【 ホームページ】 http://www.campingcarshow.net/
【イベント内容】 キャンピングカーの展示・販売、初心者のためのキャンピングカーセミナー、 旅行情報コーナー、キャンピングカー関連商品・RVパーツ及びキャンプ用品の展示即売ほか

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もう一つの真実

 
 前回、このblogで取り上げた『嘘の戦争』というTVドラマでは、詐欺師を演じる草彅剛君が、これから騙そうとする人間に対して決めゼリフのように使う言葉がある。

 それは、
 「僕は、嘘が嫌いですから」

 その言葉を、彼はおだやかな笑顔を浮かべながら、相手の心に寄り添うように、そぉっと舌の上で転がす。
 騙される相手は、その言葉から草彅君の誠実さを感じ取り、すっかり信頼してしまう。


 
 相手の胸元にがっちりと食い込んだ草彅君は、これ以上の誠実さは表現できないだろうというほどの優しい微笑みを浮かべながら、
 「大丈夫ですよ、お互いに頑張りましょう」
 などと相手の手を取ったりしながら、親鳥がヒナの体を温めるように、じわっと自分の体温で包み込んでいく。

 嘘を信じ込ませるというのは、ものすごく洗練された “芸” だ。
 誰にもできるものではない。
 相手の気持ちを読み、言葉を選び、間合いを取り、誠実そうな表情を作り、まさに、蛇が音もなく小鳥の巣に侵入するかように、ヌルリと相手のふところに体を沈ませる。

 名うての詐欺師というのは、同時に心理学者でもあり、脚本家でもあり、もちろん俳優でもある。
 そして、さらにいえば、本職以上にそれらの役を立派に勤め上げなければならない。
 相手を信じ込ませる嘘というのは、それほど繊細なものなのだ。

 が、このような “芸術的な嘘” の時代が終わろうとしている。
 いま大手を振って世界を席巻している嘘は、ナタを奮ってマキを叩き割るような暴力的な嘘だ。

 すでに、あちこちのニュースで報じられ、もう旧聞に属するかもしれないトランプ米大統領の就任式の出来事。

 就任式の見物者がオバマ前大統領のときと比べ、明らかに少なかったという報道がなされた。
 下記の写真がそれを示すもので、この写真こそが、オバマ氏の就任演説に集まった180万人という人の数に比べ、トランプ氏の場合は25万人にとどまったという事実を厳然と示す証拠となった。

 

 しかし、トランプ氏はこの写真を公表したメディアに激怒した。

 「マスコミは嘘をついている。俺の見たところ、観客は少なくとも150万人はいた。この嘘つきメディアは高い代償を支払うことになるだろう」

 と言い放ち、自分の報道官を通じて、
 「トランプ大統領の就任祝いに集まった人手は過去最高だった」
 と発言させた。
 
 事実をまったく無視した報道官の暴言に記者たちは目を白黒させながらも、「何を根拠にそう言えるのか?」と解答を迫った。
 報道官はそれには答えず、「以上で終わり ‼ 」とばかりに背中を向けて退場したという。

 気分の収まりがつかなかった記者たちに対し、今度は大統領顧問の女性が登場し、
 「先ほどの報道官は嘘をついたのではない。alternative facts(可能性のあるもう一つの真実)を述べたに過ぎない」
 と弁明したと伝えられている。

 もちろん、記者たちは猛烈に抗議する。
 「まさにそれは “嘘” という意味ではないか !」
 記者たちがそう詰め寄っても、けっきょく彼らが納得できるような答は、この顧問の口からも一言も発せられなかった。

 詐欺師の「繊細で芸術的な嘘(?)」の域をはるかに外れた、粗雑で暴力的な嘘が、ついに一国の国家運営をたばねる閣僚たちの口から発せられるような時代になったのだ。

 もちろん、ドラマの中で、詐欺師の草彅君が使うような “芸術的な嘘” の方が優れているなどと言うつもりはまったくない。
 どんな手法を採るにせよ、人を騙すことが悪いことであることはいうまでもない。 

 しかし、天才的な詐欺師のつく嘘は、少なくとも、騙す相手の “知性” を前提としていた。相手が嘘を見抜く知性を持っていることを認めたうえで、騙す方の巧妙な嘘が練り上げられていった。

 それに比べて、トランプ政権のくり出してきた嘘は、もう相手の「知性」への敬意も、畏れも、配慮もない。
 徹底的に無慈悲で、尊大で、冷酷で、傲慢な嘘だ。

 世界の政治の第一線で、そういう暴力的な嘘で真実を押し切ろうとする力が台頭してきたことを、われわれはいったいどう考えればいいのだろうか。

 世界の範となるような理想を掲げてきた国の新大統領が、子供でも見抜けるような嘘を平然とつき通し、それを正そうとする人々を高圧的に威嚇する。
 われわれは、そういう時代を生きなければならなくなった。

 トランプ大統領の顧問が、嘘を「もう一つの真実」と言い換えた「オルタナティブ・ファクツ」という言葉は、昨年の国際的流行語となった「ポスト・トゥルース(post-truth)」という言葉とも重なる。

 「ポスト・トゥルース」とは、直訳すると「脱・真実」。
 すなわち、「客観的な事実や真実が重視されない」状態を意味し、政治的な局面でこの言葉を使えば、
 「客観的な事実や真実を提示するよりも、嘘でもいいから個々人の感情に訴えかける発言を繰り返して人気を集める政治手法」
 … という意味となり、すなわち、いま話題になっている政治上のポピュリズム(大衆迎合主義)を指す言葉となる。

 ポピュリズムは間違っているのか?

 多くの “良心的な” メディアは、このようなポピュリズムが台頭する政治を、民衆の「反知性主義」の表れだと批判する。

 だが、政治家の嘘が大手を振って大衆の支持を得るような時代は、もう「知性」とか「反知性」のレッテル貼りでは語り切れなくなくなっているのかもしれない。

 そもそも、人間が言葉を覚えた瞬間から、「嘘」と「真実」は双子でしかなかったのではないか。
 映画監督の森達也は、あるテレビ番組で、「真実は視点」だと言い切った。
 「視点」をどこに置くかで、一つの事象がさまざまな解釈に分かれるというのだ。

 すなわち、人間にとって、「何が真実で何が嘘であるか」は、その人がどちらを信じたいかによって決まるということなのだ。
 
 今回のメディアと対決したトランプ氏の発言も、トランプ支持者にとっては “真実” となる。
 
 ネットがそれを “保証” する。
 すなわち、トランプ支持者は、「トランプの方が正しい」とか「トランプこそ正義だ」という検索用語でネットにアクセスすれば、たちどころにそれに呼応したトランプ派の発言が画面上にドッと溢れ出る。
 それを見た人は「世論はトランプ派が抑えている」と錯覚してもおかしくはない。

 また逆に、トランプ嫌いの人が、「トランプは嘘つき」、「トランプは横暴」などという検索ワードでネットにアクセスすれば、これまた、たちどころにそれに呼応した意見が大量に浮かび上がってくる。
 そうなると、それを見た人にとっては「世論は反トランプの声に満ちている」ということになる。

 人間は、自分が見たいものしか見ない。
 信じたいものしか信じない。
 昨年の流行語となった「ポスト・トゥルース」も、今回取り上げられた「オルタナティブ・ファクツ」も、けっきょくはそのことを指している。

 先の blog で、自分は元SMAP のキムタクに対して、かなり批判的な批評を書いたが、ネットを逍遥してみると、同じ番組の同じシーンが、キムタクファンには「さすが木村拓哉 !」と称賛できるほどカッコよく見えて、アンチキムタク派には痛ましく見えてしまうというように、まったく観察が分かれていた。

 そのように、支持者にしても、アンチにしても、どのどちらかが巨大は発言権を持ってしまえば、それがメディア的には「真実」として流布していく可能性は大きい。

 「嘘」と「真実」は、自分が持っていた基準だけでは判定できない。
 そんな当たり前のことを、今さらながら突きつけられている気分でいる。 
 
 

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