猫ブーム

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 猫ブーム
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

 
 「猫ブーム」だという。
 どこかのテレビで報道されていたけれど、これまで日本のペット飼育率では、犬の方が多かったのだが、この2015年に、ついに猫が犬を追い越したとか。

 チラッと見ただけだから、それが正しい情報かどうか分からない。

 ネットで検索してみたけれど、まだそれを裏付ける情報は見い出せなかった。
 ペットフード協会の「2014年度 全国犬猫飼育率調査」を見る限りは、まだ犬の方が多かった。
 それによると、全国の推計飼育頭数は犬・猫合計で2,061万5,000頭。
 そのうち犬が、1,087万2,000頭。 
 猫が、974万3,000頭。

 犬の場合は、前年の1,153万4,000頭から約66万頭減となったのに比べ、猫の飼育頭数は、前年比99%とほぼ横ばいで推移しているとのことだったので、今年あたりは猫が追い越したとしても不思議ではない。

 実際に、視聴者の目をキャッチすることに敏感なテレビCMでは、犬に比べ、猫の登場する比率がものすごく高くなってきているような気がしてならない。

 たとえば、Y ! mobileのCMの登場する “ふてネコ” 。
 ちょっと前に、この猫が、風呂に入って、
 「♪ もしもぉ~、私がぁ~、家を建てたならぁ ~」
 と調子っぱずれの歌を唄っている映像(↑)が流れていたが、次のシリーズでは、その猫が「ガラケー回収」の軽トラを運転して、街を流しているというもの(↓)。

 「お前、アクセルとブレーキに足が届いているのかよ?」
 という突っ込みも要らないほど、ダルそうなハンドルさばきがリアルである。

 で、このCMの面白いところは、街を流している猫の視線が、二人組の女子高生の姿をチラッと捉えているところだ。
 CM構成上、何の意味もないカットである。
 だけど、この猫が、その二人組の女子高生をどんな気持ちで眺めていたのか、すごく気になる。
 
 ガラケー回収車を運転する猫が、もし人間の中年オヤジぐらいの年だとしたら、
 「へへへ、可愛いなぁ。ピチピチしてやがる」
 なんて思ったのかしら。

 とにかく、CMに猫が登場すると、それだけで、画面にただならぬ空気が流れる。
 商品の宣伝とは関係なく、「この猫、今どういう気持ちなんだ?」と考えさせるような “物語” が生まれるのだ。

 逆にいうと、人間社会の中にすっかり組み込まれた犬と違って、猫はCMの構成を危うくするような、“不穏な” 雰囲気がある。
 それが、猫の魅力なんだろうと思う。

 猫が人気ペットのトップに躍り出た理由は何か?
 それは、猫が抱える「不条理感」だと思うのだ。
 
 昔から、「猫と女は呼ばない方に寄ってくる」なんていう箴言があったけれど、呼ぶと嬉しそうに尻尾を振って駆けてくる犬と違って、猫は心の内を明かさない。常に、「こいつ何を考えているんだ?」と、人を悩ませるような行動をとる。
 猫好きな人間は、そこに猫の自由さや、優雅さや、神秘性を感じるらしい。

 サバンナのライオンやアマゾンのワニなどを、命を張って撮り続けた動物写真家の岩合光昭さんは、最近は猫一辺倒。
 「ネコは分からないから魅力的なんです。しぐさを見ていると飽きないし、ずっと見ていると、いい表情をしてくれる」

 岩合さんが世界各地を回り、猫と同じ目線から猫の生態を撮影する『世界ネコ歩き』(NHKBSプレミアム)は、いまでは “癒し系” 番組として人気が高い。

 その岩合さんに言わせると、
 「猫に好かれるには、猫が嫌がるようなことは絶対しないこと。けっして早く動かない。猫の邪魔をしない。そして現地の言葉で挨拶して、『いい子だね』『男前だね』『美人だね』と褒めちぎります。猫は人間の気持ちを声音で聞き分けられるから、感情を込めて言うと、たいてい機嫌よくしてくれます」
 …とのこと。

 この言葉は、ある意味で、猫が人間にとるスタンスを表している。
 つまり、「けっして気は許さないけど、害が及ばないかぎり、近づくのを許す」ということなのだ。
 主人はあくまでも自分の方。
 「人間は自分の機嫌をよくするために存在している動物」
 猫がそう思っているとしたら、まぁ、なんと高貴な生き物であることか。

 犬と猫が人間の暮らしに関わるようになった歴史は同じように古いのだが、すっかり人間社会のルールを身に付けた犬と違って、猫は、どれだけ人間とつきあっても「野性の精神」を失わないのだそうだ。
 つまり、天変地異に見舞われて、飼い主がエサを与える余裕を失っているとみるや、猫はさっさと飼い主のもとを去り、食える環境を求めて去っていく。
  
 手なずけようにも、手なずけられない存在。
 そこには、「自分がそうなりたい」という人間の願望が投影されている。

 自由気ままで、わがままなペットに人気が集まるなんて、それだけ現代人の抱えるストレスは高まってきているのかもしれない。
 
 
参考記事 「猫の表情」 ← 猫好きの人にお薦めの画像集

参考記事 「猫の正体」

参考記事 「人生はニャンとかなる」

参考記事 「お猫様の時代」

 
 
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ, ヨタ話   パーマリンク

猫ブーム への6件のコメント

  1. 木挽町 より:

    「手なずけようにも、手なずけられない存在。そこには、「自分がそうなりたい」という人間の願望が投影されている。」 ズバリ。ストライク。その通りだと思います。犬や猫など命がある生き物を飼ってしまうと、いずれ亡くなったときの供養とか年忌法要が面倒で大変なので飼わないことにしていますが、会社には「犬」のようなサラリーマンがたくさんいるので飽きません(笑)。もしかしたら猫は飼いたくないけど、犬は飼いたいと思っている経営者が多いからなのでしょうか。経営者が人を使う実力が乏しいことの表れなのかもしれませんね。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      >>「会社には『犬』のようなサラリーマンがたくさん …」
      笑えました。
      なるほど。

      >>「手なずけられない猫は飼いたくないけど、手なずけられる犬なら飼いたいと思っている経営者が多いから …」

      ああ、その通りかもしれませんね。
      実力のある経営者なら、自由気ままに生きているような猫的人間をうまく泳がせて、彼らの突拍子もないアイデアやら自由な発想を取り出していくんでしょうけれど、それは経営者の度量が大きくないと難しいことなのかもしれません。

      でも、これからの時代には、「野性の魂」を忘れない猫的人間の創造性が必要になるような気もします。
       

  2. 木挽町 より:

    今朝気が付いたのですが、勤務先のビルの1階ホールに「介助犬以外のペットは当ビルには入れません」という看板が出ていました。とはいうものの、ビル内のオフィスには「犬」がたくさんいます。どうも入館ルールが守られていないようです。もしかしたら、仕事ができない社員の身の回りの世話をするの「介助犬」なのかもしれませんね(笑)。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      木挽町さんのコメントは、いつもユーモアに満ちていて、とても楽しめます。
      いつもありがとうございます。

      犬の忠義心や生真面目さは大切かもしれませんが、最近の「犬」は自己保身から忠義を装うような種類も増えているようですね(笑)。

      いやぁ、「犬たちよ、もっとアグレッシブに生きろ」と言いたいですね。
      テレビCMでも、猫派に押され、犬が活躍するCMは、唯一ソフトバンクの白い “お父さん” だけ。淋しい限りです。
       

  3. 猫の話をしていらっしゃるようなので、
    嗅ぎつけてやってきました。

    犬は、人間に餌をもらうと、
    神様からご飯をもらった、と思い、
    猫は人間から餌をもらうと、
    神様に対する捧げ物なのだな、と思うらしいです。

    猫社会では、相手の目を見ないのが礼儀です。
    相手の目を見るのはけんかを売っていることなので
    仲良くなりたければ、目を閉じて見せれば、
    敵意を持っていないことを分かってもらえます。
    そうしたからといって仲良くしてもらえるかどうかは
    猫の気分しだいですが。
    あと、猫とお近づきになりたい欲を持ち過ぎないことと、
    猫が気分が乗ってない時は無理強いしないことです。
    まあ、やはり、女性と一緒です。

    • 町田 より:

      >いとうゆうこさん、ようこそ
      凄いですねぇ !!
      さすが猫漫画を描かれていらっしゃるだけあって、猫の習性をよく御存じですね。

      ああ…なるほど…と悟りました。
      私は路上で、よく野良猫に挨拶したり、敬礼したりしているんですけど、そうすると連中は、みな警戒したような目つきで、「ば~か。なれなれしく声なんてかけるんじゃねぇよ」とにらみ返してくるんですね。
      でも、それは、こちらが猫の礼儀を知らなかったからなんですね。

      なるほどな。女性といっしょか。
      「猫と女は呼ばない方に寄ってくる」とか、男たちはよくいいますけれど、猫と女性は、男にとって永遠の謎。だから惹かれるのかな。
       

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">