ラ・ストラーダに見る欧州車の思想

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 ヨーロッパの名門ビルダーである「ラ・ストラーダ」社のハイグレードバンコンバージョンを導入し、日本における輸入車ディーラーの中でも独特のポジショニングを獲得している株式会社リンクス。

 その代表を務める三原幸富さんは、単に欧州キャンピングカーの専門家であるだけでなく、欧州の一般乗用車に対する知識も豊富。さらに、ヨーロッパの経済、文化、歴史についても、詳しい知識と鋭い批評眼を備えたたぐいまれなる教養人である。

▼ 三原幸富氏

 その三原さんに、新型ラ・ストラーダの魅力を語ってもらうと同時に、ベンツとBMWにおけるメーカーの思想的差異、スーパーカーの本質、さらにはドイツ人の民族性が培ってきたドイツの重工業の特徴など、他の自動車メディアでは語られることのない幅広い見地に立ったお話をうかがうことができた。
 
 取材時間も長く、国産キャンピングカーの分析や芸能界の裏話など、話題も多岐に渡ったが、その骨子となる部分だけセレクトして、皆様にも紹介する。

《目次》
① フィアット・デュカトの驚異的な進化ぶりに、まず脱帽
② 欧州の成熟したマーケットが支える極上の室内装備
③ 国産車と欧州車では、なぜ走りがあれだけ違うのか
④ 日本にも、再び欧州車に熱い視線が集まる時代が来る? 
⑤ “広大なガラパゴス”を形成するアメリカ大陸のアメ車マーケット
⑥ 機械類の「メカニズム」は、あいかわらずドイツの独壇場
⑦ 重工業の発展を支えたドイツ人気質
⑧ 海洋民族のイタリア人、イギリス人が商業を発達させたわけ
⑨ アメリカで台頭してきた“新貴族階級”
⑩ エリートの出世コースを断念した庶民のサクセスモデルが、今の芸能界
 
 
フィアット・デュカトの驚異的な進化ぶりに、まず脱帽

▼ ラ・ストラーダ 2015年モデル

【町田】 ベース車のフィット・デュカトもモデルチェンジを受けて、ラ・ストラーダもニューモデルになったわけですが、新型ストラーダの特徴はどんなところにあるのでしょうか。
【三原】 前モデルと比べて、あらゆるところがリファインされたといっていいでしょうね。
 まず、ベース車が変わって、走りに一段と磨きがかかりました。特に走行安定感がすごく増してきました。ハイウェイの直線路はいうに及ばず、中国自動車道のようなアップダウンとコーナーの多い道でも、160km程度の巡航速度では微動だにしないという感じです。
 国産の高級ミニバンも、直線路だけなら追従してきますが、コーナーに入ると、もうこのストラーダを追うのを諦めてしまいますね。
 もともとストラーダはバンコンながら、高速走行を意識したつくりの車なんですよ。ボディ側面などにも、風の抵抗を削減するようなフラッシュサーフェス化が図られていて、モーターホーム専用のアクリル窓が取り付けられています。
 ヨーロッパ車の高級モデルといわれるもの中にも、ボディ側面の窓にはトレーラー用のものを取り付けているものもあるのですが、ストラーダはバンコンでありながら、モーターホーム専用の埋め込み式ウィンドウを装着して、空気抵抗の削減に努めています。 

▼ ラ・ストラーダ フロントビュー

 
【町田】 やはり、ベース車の進化もそうとう影響しているわけですね。
【三原】 そうですね。前モデルのフィアットと比べて、エアコンがすごく効くようになりましたね。停まってアイドリングしているだけでも効く。それは架装部分の断熱の徹底さにも負うことが大きいんでしょうけれど。
 猛暑の季節を外せば、アイドリングでフロントエアコンを回すだけでも十分な冷却効果が得られます。
 もちろん、冬でも快適。床もダブルフロアになっているし、窓部分はアクリル2重窓。だから暖房効果も完璧です。

▼ トイレ スペース

【町田】 今回のモデルのレイアウト的な特徴は?
【三原】 レイアウトは前モデルのスタイルを踏襲しているので大きな変化はないのですが、装備関係においては、年々改良が加わえられています。
 今回の大きな特徴は、天井に設定されたシーリングベッド(プルダウンベッド)なんですね。手動なんですが、とにかく操作が簡単。軽く降りてきて、奥行きもヘッドクリアランスもたっぷり。

▼ シーリングベッド
 

【町田】 このベッドはエマージェンシー用と考えていいんですか?
【三原】 シニア夫婦が2人で旅するときは、リヤベッドで寝ればいいので、シーリングベッドの方はファミリーで使うときに使用すればいいと思いますが、リヤベッドを折りたたむと、そこが広いカーゴ空間になるんですよ。自転車などの遊びのギアを積めるようになっている。その場合は、このシーリングベッドを使えばいいと思います。
 
▼ リヤベッド。マットを畳めばカーゴ空間になる

▼ ラ・ストラーダ リヤビュー

 
欧州の成熟したマーケットが支える極上の室内装備

【町田】 基本的に、この手のバンコンは、ヨーロッパでは夫婦2人仕様になるわけですよね。
【三原】 そうです。しかし、運転席・助手席が回転するので、セカンドシートを挟んで対面すれば、日本ではファミリーでも十分に対応できます。
 ただ、ちょっとセカンドシートに大人2人が並んで座ったまま400kmから500kmという距離を移動するのは、少し狭いような気もします。その対策もいま検討中ですが、現状でも、子供2人が並んで座るのなら、まったく問題はないです。

▼ セカンドシート
 

【町田】 収納スペースが豊富なことも特徴なんですね。
【三原】 その通りですね。キッチン周りにも床下にも、いたるところに収納スペースが確保されている。

▼ キッチン

【三原】 面白いのは、キッチンの下側に付いている収納棚ですが、これを引き出すと、スライドドアを開けたときにテーブルの機能を持っているんですよ。椅子などを置けば、ドアの外でコーヒーぐらい飲める。椅子を出さなくても、エントランスステップを椅子代わりに使うこともできますね(笑)。

▼ エントランス ステップ

【三原】 とにかく、本当に細かいところまで使い勝手が向上しています。エントランスドアに付いている網戸。これなども前モデルと違ってプリーツ式のものが採用されているんですよ。開閉も楽になって、風が当たってもガタつかない。

▼ エントランス網戸
 

【三原】 同じように、運転席サイドのブラインドも、窓枠にぴったりとハマるプリーツ式になっていて、操作性も楽になったし、見た目にも収まりがいいですよね。
 ま、このあたりはストラーダ社の創意工夫というよりは、ヨーロッパのRVパーツメーカーが開発したものですけど、ヨーロッパ全体を通したときのキャンピングカー生産量が多いから、部品サプライヤーも、どんどん新技術が投入できるわけですね。

▼ 運転席・助手席のブランド

【町田】 やっぱり生産量が多いということは、パーツメーカーもスケールメリットが追求できるために、開発コストのかかる新技術でもどんどん資金を投入できるわけですね。
【三原】 それを思うと、日本の国内マーケットだけで勝負しなければならない国産ビルダーさんたちは大変だと思いますよ。欧州のキャンピングカーは、市場規模の大きさが後押ししてくれるので、どんどんレベルを上げていきますから。
 
 
国産車と欧州車では、なぜ走りがあれだけ違うのか?

▼ ラ・ストラーダ外形

【町田】 現在の国産キャンピングカーと、欧州のキャンピングカーを比較したとき、最大の違いは何ですか?
【三原】 やはり、ベース車のパフォーマンスですね。これだけはどうしようもない。交通環境の差がそのまま反映しているともいえるんですよ。
 とにかく、ヨーロッパでは、どんな場所でも車を速く走らせるような環境が整っている。フランスなどでは、一般道路でも、住民のいる市街地を離れてしまえば、90km走行が一般的。道路の中央にセンターガードがあるような片側2車線の道ならば、120km巡航も許されています。
 高速道路に上がると、それが130km走行になるんですね。そのような道を、普通の車はみな150kmでクルージングしています。

【町田】 でも、スピードオーバーの取り締まりはあるわけですよね。
【三原】 向こうでスピードオーバーというのは、100kmオーバーのことをいうんです。フェラーリとか、AMG(アーマーゲー)のチューンナップ車のなかには300kmですっ飛ばす車もあるんですよ。
 そうなると、ネズミ取りのような取り締まりはもう無理なんですね。だから警察官も高い所から双眼鏡で見張っていて、300kmあたりで走っている車は、スピードガンで取締りをやっている場所に無線連絡を入れ、そこで速度を計測させておいて、後日罰則を課す。
 ヨーロッパでも、さすがに100kmオーバーというのは危険なので、ほとんど一発で免許取り消しになるようですね。

【町田】 ということは、欧州車はみな最低150kmぐらいのクルージングが楽にできるような設計になっているということなんですね。
【三原】 AMGやブラバス、アルピナなどというチューンナップカーは、最高速度が250~280kmぐらいに設定されていて、その速度域でも普通に走れるように設計されています。
 だから、ドイツ車の場合は「最高速度」という表現をあまりしない。みな「巡航速度」といっている(笑)。

▼ AMG

【町田】 そんな速度でも、素人が安全に走れるんですか?
【三原】 やはり緊張はしますね(笑)。でも、ベンツとかBMWのような車は、普通のドライバーでも安全に走れるように設計されているんですよ。
 もちろんメーカーによって、ハンドリングの味付けはみな異なるんですが、それぞれの伝統的な思想がそこに反映されているんですね。
 たとえば、ベンツのSクラスぐらいの高級車は、向こうでは「お爺ちゃんのスポーツカー」などと言われているんですが、これは体力と俊敏な反射能力が衰えてきても安全に走れる車という意味なんです。
 僕は、ずっとBMに乗っていたので、ヨーロッパでベンツを走らせたとき、最初は恐いくらいにハンドルが切れる車だと思ったんです。
 しかし、コーナーでも絶対にお尻を振ることがない。忠実にタイヤが路面をトレースしていくんですね。まさに “お爺ちゃん” でも大丈夫。どんな人でも専門的な運転テクニックを必要としない。

【町田】 BMWの場合は?
【三原】 BMの場合は、だいたいアンダーステアになるように設計されているんです。BMの設計人には「フロントミッドシップ」という概念があるんですね。フロントエンジンなんだけど、荷重を真ん中に据えて、回頭性を良くする。だから、アンダー気味になる。
 確かにベンツと比べるとシャープさはないけれど、逆にいうと、アンダーにすることによって、切り過ぎてスピンすることを防いでいる。
 メカ的には、ベンツの方がどんどん改良が加えられていて、2008年くらいにサスペンションもダブルウィッシュボーンからマルチリンクに変わっています。 
 それに比べて、BMの方は旧態依然としたメカを使っているけれど、バランスを取りながら、しっかりと熟成させていく。
 そのへんは、それぞれのメーカーの思想の違いというものがあるんですね。
  
 
フェラーリやランボルギーニは“走りの怪物”か。それとも置き物か 

【町田】 イタリアあたりのスーパーカーはどうなんですか? 速さでいえばベンツやBMよりは上だと思うんですが … 。
【三原】 フェラーリやランボルギーニは、最高速が300~350kmぐらいに設定されているといっても、それをずっと維持することはできないんですよ。ドライビングポジションがドライバーに無理な姿勢を強要するから。
 だから、アウトバーンなどを走っていると、フェラーリなどが一瞬のうちにAMGなどのチューンナップカーを抜き去るんだけど、少し走っているうちに、すぐ抜き返される。スーパーカーは、いくら最高速を自慢しても、それを長時間維持できない車なんですよ(笑)。
 あれは芸術的な置き物。停めて眺めているときのエクスタシーを味わう車ですね。 

▼ ランボルギーニ・ディアブロ

【町田】 車を高速で走らせるという考え方は、燃費の向上というテーマと矛盾しませんか?
【三原】 そのへんは、欧州車は研究し尽くされていますね。たとえば欧州車の場合は、下りに差し掛かってくると、燃料を最低限しか送らない機構を備えたものが多い。日本車の多くは、アップダウンが多い道を走ると、下りでアクセルを離しても回転が上がったままだから、燃費も悪くなる傾向があります。 
 自分はBMなどに長く乗っていたから分かるんですが、BMなどは、アクセルを離すとピストンが止まらない程度の最低限の燃料しか送らないようになっている。

【町田】 エンジン制御の面で、ものすごくシビアなコントロールがされているということなんですね?
【三原】 そうなんです。1980年代頃から自動車のエンジンにはどんどんコンピューターシステムが導入されてきましたけれど、その点、欧州車は本当にコンピューターをしっかり活用していることが分かる。これは専門的なプログラマーがどれだけ携わっているかという問題なんでしょうけどね。
 
 
日本にも、再び欧州車に熱い視線が集まる時代が来る? 

【町田】 そういう高速域を安定して走れる欧州車の伝統が、キャンピングカーのベース車にも反映しているということなんですね。
【三原】 その通りです。キャンピングカーのベース車となるベンツやワーゲンのトランスポーターでもそういう技術はそのまま取り入れられていて、日本のトラックよりは高速走行性能が高い。今ヨーロッパキャンピングカーの大半を占めるファイット・デュカトなども160km巡航が当たり前にできるような設計になっています。

【町田】 フィアットが増えてきたのに対し、ベンツなどのキャンピングカーベース車が減ってきた理由は何なんですか?
【三原】 ベンツは、フィアットのようなアルコシャシーを使って全長を伸ばすという方法を取っていないんですよ。
 ベンツのトランスポーターは3.5トン、4トン、あるいは8トンというように、メーカーが荷重容量で長さも決めてしまっている。
 で、3トン半以降は後軸はダブルタイヤになるんですが、値段が高くなってしまうので、キャンピングカーメーカーがあまり使わなくなってきたんですね。
 だから、かつて当たり前のようにベンツを使っていた高級クラスAなどが、今は「イベコ」だとか「マン」というシャシーに鞍替えしている。
 マンなどは6気筒で220馬力ぐらい出るんですね。ミッションなども12段変速とか16段変速。
 そういう多段ミッションを使うと、ちょっとした坂などは全く違和感なく上り下りできるので、ドライバーに負担をかけない。
 ヨーロッパではトラックですら、そういう進歩を遂げている。キャンピングカーベース車にもそういう流れが浸透しているわけですね。

【町田】 となると、これから日本でも輸入キャンピングカーが再び脚光を浴びる時代が来るのでしょうか。
【三原】 フィアット・デュカトのシャシーなどは、現地で200万円台で買えます。現在は排ガスなどの問題や関税がかかって、フィアットベース車のキャンピングカーでも原価で700万円台くらいになりますが、もしTPP法案などが成立して、それを機に関税が撤廃される方向に進んだり、あるいは排ガス規制が国際基準に統一されたりしてくれば、輸入車はもっと安くなる可能性がありますよね。
 そうなると、輸入キャンピングカーが再び勢いづくことも十分に考えられますね。

▼ ラ・ストラーダ 運転席周り
 

“広大なガラパゴス” を形成するアメリカ大陸のアメ車マーケット

【町田】 輸入車といっても、今の話は欧州車に限られるようですが、アメリカの場合はどうなんでしょうか。
【三原】 アメリカでも、燃費の向上が大きなテーマとなってきて、キャンピングカーでもダウンサイジング始まっていますね。
 ただ、アメリカの場合は、燃費を向上させても、そういう車がマーケットで売れるからという意識が強いだけて、車そのものの進化という方向には目が向かない。
 そもそも、アメリカにおいては、自動車というのは伝統的に「庶民の足」なんですよ。だから、ヨーロッパ車のように高性能なマシンを開発して、そのパフォーマンスを楽しもうというお金持ちのマーケットを意識していない。
 なぜなら、車にそのようなレベルを求めるアメリカのお金持ちはヨーロッパ車を買うから。

【町田】 かつて一世を風靡したアメリカの高級乗用車が凋落したのに、ベンツとかBMがいまだに高級車のイメージを保っているのは、そういう理由によるんですね。
【三原】 ベンツにしてもBMにしても、生産台数だけで見ると、とても世界で生き残れるような台数ではないんです。
 なのに、その2社が “高級車メーカー” として存続できるのは、利益率がいいからなんですよ。アメリカのセレブの間にしっかりしたマーケットがあるから。
 ただし、多くのアメリカ庶民は、そういう車まで必要としない。アメリカの自動車メーカーも、裾野が広い庶民のマーケットの方が大事だから、ヨーロッパ車のような繊細なハイメカを追求しない。
 言ってしまえば、アメリカ車というのは、アメリカ大陸という “広大なガラパゴス島” だけに生息している乗り物なんですよ(笑)。

▼ ヨーロッパ車とは異なる独特の進化系を歩んだアメリカ車

【町田】 なるほど。確かにあそこは広大な“ガラパゴス島”かもしれないですね。自動車レースだって、F1ではなく、インディ500のようなローカルレースの方に人気が集まるし、スポーツだって、アメフトやらベースボールというのは、あまりヨーロッパでは普及しない。
 自動車だって、緻密なヨーロッパ車に比べると、排気量だけものすごい大味な車が多いですよね。
【三原】 そうなんです。アメリカはヨーロッパと違って、平坦な直線路が多いから、コーナリング性能などを試すような機会も少ない。
 そうなると、無人の荒野を走破できるような耐久性があれば充分。そして、ハイメカを追求するコストを、“速そうな” イメージを付加した外形デザインに向けた方が庶民には売れる。(笑)。

▼ フォード・マスタング

【町田】 確かに、アメリカのスポーツカーは伝統的にそういうスタイルですよね。
【三原】 そもそも自動車が誕生したときから、その傾向が現れていましたね。最初に自動車を開発したのはドイツのダイムラーだったけれど、市場を広げたのはアメリカのT型フォードでした。
 T型フォードはベンツに比べると質は落ちたかもしれないけれど、大量生産によるコスト減によって価格帯を抑えたため、世界中に自動車を普及させることに成功しましたから。

【町田】 どんな商品においても、大量生産によるスケールメリットを追求して、価格を抑えるという販売戦略を打ち立てたのは、アメリカですもんね。
【三原】 ええ。基本的にアメリカは「買い替えの文化」の国なんですよ。アメリカの商品は製造コストを抑えるから売価も安く設定できる。だから消費者は、モノが壊れたり、飽きたりしたら、ちゅうちょなく新しいものに買い換えることになるんですね。
 つまり、「使い捨て」によって、消費マインドをリフレッシュさせていくという発想。それがアメリカの資本主義経済をドライブさせていく原動力になったんですね。
 そのアメリカの市場モデルを上手に取り入れたのが、戦後の日本(笑)。日本も使い捨て文化の国になりつつあって、ガラケーが時代遅れとなると、すぐみんなスマホに切り替える(笑)。
 
 
機械類の「メカニズム」は、あいかわらずドイツの独壇場
 
【町田】 確かに、そういう傾向も顕著になりましたけれど、日本には “物づくり” の伝統があって、カメラや時計などは、ステイタス性を帯びた世界ブランドになっていると思うんですが … 。
【三原】 でもそれは、小型の精密機器だけの話ですよね。軍事用の大型マシンを除けば、やはり超大型の機器はすべてドイツにその原型があるんですよ。
 石炭の採掘システムだって、現在の最新型のものはドイツで考案されている。高速道路のトンネルなどを掘削するシールドマシンも、その原型はやはりドイツ製。そういう機械を使うと、トンネルの中でも3車線が取れるような広い穴が掘れる。
 日本のシステムも追いついてきたとはいえ、そういう民間の大型機器は、もとをたどると、だいたいドイツから生まれているんですね。
 確かに、産業革命の口火はイギリスが切ったけれど、重工業分野で、現在に至る産業構造の基盤を確立したのはドイツなんです。
 
 
重工業の発展を支えたドイツ人気質

【町田】 ドイツでそのような重工業が発達していた理由は何なんでしょうか?
【三原】 三つぐらいの理由があると思いますね。一つには、ドイツがイギリスやフランスに比べて後進国だったこと。
 近代になっても、ドイツは国の統一が遅れたため、先進国のイギリスが産業革命を起こして綿織物などの軽工業を発達させても、それを指をくわえて眺めざるを得なかったんですよ。
 仕方なく、ドイツ人は、世界中の人が手にとって喜んでくれるような商品を諦めて、いきなり鉄道や道路建設、さらには工業製品を作り出すための機械システムといった重工業の道に進んだんですね。

【町田】 ああ、なるほどね。結果的に、それがドイツの産業を興隆させたわけですね。
【三原】 それともう一つは、重工業を発達させるための鉄資源がしっかり確保されていたこと。
 ドイツ産業の要は製鉄業なんです。特に南ドイツでは純度の高い鉄鉱石が採れるんですよ。BMなんかの拠点があるバイエルン地方ですよね。
 フランスにおいても、東側のアルザス=ロレーヌ地方は優良な鉄鉱石の産地として知られ、工業が発達してきたけれど、19世紀末に起きた普仏戦争でドイツ側がこの地方を手に入れた。それによって、製鉄を基盤とする工業社会のモデルがドイツにもたらされたんですよ。

【町田】 普仏戦争でドイツが勝ったのは、ビスマルクが首相を勤めていたプロイセンの時代ですよね。
 そういえば、ビスマルクの有名な演説に「ドイツの未来を切り開くのは、演説や多数決ではなく、鉄と血だ」というのがありますよね。
 「血」というのは兵士の血。「鉄」というのは鉄器 … つまり武器。
 確かに、重工業の最たるものは軍事機器ですものね。政府もそれには金に糸目をつけないから。
 19世紀からドイツはそういうように、重工業に力を入れようとした国だったんですね。

【三原】 そうそう。で、ドイツの工業が発達して三つ目の理由は、やはり国民性でしょうね。
 基本的に、ドイツ人のメンタリティーというのは、農民体質なんです。ゲルマン人の大移動の時代から、ドイツ人は森のなかで小さな農地を切り開き、半農半牧のような生活を送ってきたんですね。
 農民体質というのは、毎年同じ田畑を耕すルーティンワークによって支えられますから、勤勉性が身について、無味乾燥な工場労働にも耐えられるんですね。

【町田】 誠実、勤勉、真面目というドイツ人の印象はそこから来たんですね。
【三原】 そうなんですよ。僕は海外の人がちが集まるパーティーなどにもよく出かけたんですが、食事が終わると、フランス人やイタリア人はみな男女が手を取り合ってダンスなど始めるわけ。
 しかし、ドイツ人グループだけは、そういう光景をひたすら眺めるだけで、フロアの中央には踊り出ていかない。ただ食べて、飲んで、議論するだけ(笑)。
 
 
海洋民族のイタリア人、イギリス人が商業を発達させたわけ

【町田】 開明的な海洋民族と、慎み深い陸の民族の違いかな。
【三原】 そう。イギリス人やイタリア人は完全な海洋民族じゃないですか。
 だいたい利益を求めて海の向こうの国々と交易を始めるような人々は、みな博打好きなんですよ。
 なぜなら、「投機」というのは “博打” のことだから。
 当然、それにはハイリスク・ハイリターンを伴うんだけど、そこからイギリス人の貪欲なアドベンチャー精神や、イタリア人の明朗闊達なキャラクターが生まれてくる。

【町田】 森の中に潜んで暮らしてきたドイツ人は、生真面目に一歩一歩確実に前進していくことを好むと … 。
【三原】 人間的には退屈な人種かもしれないけれど、そういうドイツ人の粘り強さが、今日のドイツの産業を支えるエートスになっているんでしょうね。
【町田】 ああ … 。日本人も似ているのかな。
【三原】 基本的に農民の精神構造をベースに持っている民族だからね。こういう民族性は、価値観が単一なものに巻き込まれる可能性が高くなるんですよ。
 だいたい、みんな制服に弱いんだよね。
 軍隊などでも、一糸乱れぬ規律を守ることをいとわない。同じ民族が団結しあうという精神に染まりやすいんですね。

【三原】 それに対して、海洋交易を経験して、異民族や異文化の存在を知り尽くしてきたイギリス人やイタリア人というのは、地球上にはさまざまな文化や信仰を持って生きている人々がいる、ということを知った人々なんです。
 だから、思想や心情を異にした人々が政治に参加するときは、民主主義を採用するしかない、ということを肌で理解している。
 しかし、ドイツ人は基本的に、異文化や異民族を排除しようとしていた歴史があるんです。彼らは「単一民族」、「単一言語」、「単一思想」を好むわけ。
 ヒットラーのナチス政権などはその最たるものではないでしょうか。ナチスは「アーリア人の純血」というテーマを掲げ、それに属さない異民族のユダヤ人やロマ人を排斥したり、追放したり、虐殺したりしたものね。

【町田】 今でもドイツのネオナチに心情的に肩入れする人たちは、移民を排除しようとしますね。
【三原】 そうね。でも今のドイツ人の多くは、ナチズムの悪夢を経験しているから、人種問題や異文化理解などに関しては、きわめて冷静かつクレバーな対応をしていると思いますよ。
 
 
アメリカで台頭してきた “新貴族階級”

【町田】 ドイツでユダヤ人排斥運動が起こったときに、多くのユダヤ人がアメリカに亡命していきましたよね。そのユダヤ移民を受け入れることによって、アメリカの産業が振興したということをよく耳にするのですが。
【三原】 ナチス政権のドイツから逃げられたのは、ドイツの行く末を見極める力のあった知識人とかお金持ちだけで、庶民は取り残されたんですよ。
 でも、亡命した富裕なユダヤ人たちによって、アメリカに新しい産業がもたらされたのは事実です。
 ハリウッドの映画産業なんてのは、その代表例ですね。だから1950年代から60年代にかけて制作されたスペクタクル映画は、ほとんどキリストの生き様を描いた聖書を題材にしたものばかり(笑)。

▼ 1950年代スペクタクル映画の代表作「ベン・ハー」

【町田】 では、ユダヤ人たちが亡命した先のアメリカというのは、いったいどういう国なんでしょう。
【三原】 あそこはねぇ、「お金がすべて」という国なんですよ。だから、お金持ちが新しい “貴族社会” を形成しつつあるんですね。
 ヨーロッパの貴族社会を保証するものは、その人が先祖代々受け継いできた土地とか家柄とか社会的地位といったものじゃないですか。
 アメリカの場合は、それが「お金」に代わるんですよ。
 そもそもアメリカというのは、階級の固定したイギリスではどうあがいてみても生きていけないと思った人々がつくった国でしょう。貴族たちが牛耳っていた特権的な利益を、イギリスのルールに縛られない新大陸で手に入れようとした人々によって開拓された国ですよね。
 そういった意味で、アメリカでは、万人が平等でフラットな社会が生まれたんですけど、経済力が高まるにつれ、だんだん貧富の差が増大していってね。今では「金持ち」という新しい “貴族” グループが生まれつつあるんですね。

【町田】 確かに今のアメリカでは、“金持ち” が世襲されますものね。かつてのヨーロッパの貴族とおんなじなんだ。
【三原】 そう。アメリカには優秀な大学が集まった「アイビーリーグ」という連盟があるんですね。ハーバード大学、ブラウン大学、イェール大学などという名門校がこれに名を連ねているわけですが、この大学に入学するのに、もう金持ちの師弟じゃないと無理。だいたい卒業するまでに最低2千万円かかるんです。
 しかも、そこを卒業すればすぐにいい就職先が保証される。それが分かっているから学校側も奨学金などを簡単に支給する。回収のメドが確実に立つからね。
 だって、アメリカではアイビーリーガーと普通の大学では卒業して就職したときの初任給が違う。普通の大学では1万8千ドルぐらいなんですが、アイビーリーガーの場合の初任給は3万ドルぐらいからスタートするんです。
 そういう大学を卒業し、世界を牛耳る一流企業に就職していくエリートたちは、自分の子供にも同じような道を用意してあげる。だから子供は、確実に親の財産と名声と地位を世襲する。
 それって、新しい貴族社会の到来ですよね(笑)。 

【町田】 「アメリカはチャンスの国で、チャンスは誰にも平等に回ってくる」というのが、俗にいう “アメリカン・ドリーム” だったわけですが、実態は違ってきているということなんですね。
【三原】 「アメリカン・ドリーム」というのは、もう普通の庶民にとっては「はかない夢」でしかないわけね(笑)。アメリカの格差社会は確実に広がってきているし、固定化されてきています。
 でも、日本もそうなりつつあるんじゃないかな。

【町田】 アメリカ人の暮らしを、人生のサクセスモデルとして追求していく限り、そうなりますよね。
【三原】 日本においても、ビジネスマンとしての生き方だけでなく、スポーツや芸術・音楽に関しても格差社会化しているんですね。
 いまテニスでは、錦織選手に注目が集まっているけれど、彼だって実家の資産が彼のテニスプレイヤーとしての道を支えたわけですものね。親が小さい頃から世界の一流テニスプレイに接する環境を整えてあげて、海外にテニス留学もさせる。家にそういう資産がないと、世界で戦える選手が生まれないということなんです。
 世界のバレーコンクールで日本人の子供たちが優秀な成績を上げたといっても、彼らだって、小さい頃からエリートとして訓練される環境が整っていたわけでしょ。
 スポーツでも、音楽・芸術の分野においても、エリートとして活躍できる場が保証されるには、生まれながらの財力がものを言うということがはっきりしてきた時代になったんですよ。
  
  
エリートの出世コースを断念した庶民のサクセスモデルが、今の芸能界

【町田】 では、そういうエリートの出世街道を進めない庶民はどう生きたらいいのか(笑)。
【三原】 アメリカの場合は、貧困家庭に育った若者たちが向かうところとして、プロバスケットボールとか、ボクシングとか、そういったスポーツの分野がひとつの受け皿になっていますよね。
 日本は芸能界ですね。
 だってね、今のお笑い芸人の出身を見てみると、元暴走族とか元ヤンキーだったという人が多いんですよ。
 だから、良い大学に行って一流企業に進むことなどハナッから無理だと分かっている若い子たちは、最初から芸能界を目指す。
 バラエティなどに出てくる今の芸人たちの笑いの取り方って、地頭の良さと反射神経を武器に、相手をどういじって、仲間をどう笑わせるかによって決まるじゃないですか。
 そういう訓練をするには、学校のルールを離れたところで自分を磨くヤンキー的な集まりの場がいちばん適しているわけですね。

【町田】 なるほど。ヤンキーはけっして落ちこぼれではなく、それはそれで、エリートたちと同じような研鑽を積んでいるというわけなんですね。
【三原】 そうね。それも一つの新しいサクセスモデルだからね。
 この前テレビを観ていたらね、最近あまり見なくなったピン芸人 … 一発芸でいっとき人気者となった芸人が、自分が一番稼いでいた時代を回顧していたんですよ。
 ブームの頂点にいたときは、たった一つの芸で、月に2千万円のギャラをもらっていたんですって。
 彼は、その一発芸で半年ほどブレイクしたんだけど、その間に稼いだ額は1億数千万。サラリーマンの一生分ぐらいになりますよね。
 だから、一度大ブームを巻き起こせば、よっぽど破天荒な浪費をしなければ、その後再び大ブレイクが来なくても、なんとか生きていけるんですよ。

【町田】 うう~ん ……。でも、そうなるには随分下積みの苦労もあるんでしょうね。
【三原】 その下積みに耐えられる力を、「ハングリー精神」というのかもしれないね(笑)。
 
 
関連記事 「リンクス 『ラ・ストラーダ』 2014」

関連記事 「リンクス三原氏の語る『高級キャンピングカーのイメージが変わる時代』 」

参考記事 「ナチス芸術の空虚さとメランコリー」

参考記事 「ランボルギーニ・ディアブロ」

参考記事 「欧州キャンピングカーの深い快楽」
 
 

カテゴリー: campingcar   パーマリンク

ラ・ストラーダに見る欧州車の思想 への8件のコメント

  1. 木挽町 より:

    欧州車ならではの仕上がりですね。ユーロの動向やドイツ企業がメイン市場としている中国の人民元の動向、為替やトルコからの移民のドイツ製造業での労働賃金が気になりますね。ダイムラースも中国での現地生産を加速させるでしょうし、メルセデスベンツの東南アジアの工場(マレーシア等)の動向も注目でしょう。MANやIVECO、FIATなどの動向もおもしろそうです。なにはともあれ、このような対話形式の記事では、インタビュアーとしての発問が素晴らしいので関心しました。聞き方がうまいというか、タイミングというか、強引でなく、ごく自然な話の流れを大切にしつつ、それでいてよく考えられている発問だなあと思いました。

    • 町田 より:

      木挽町さん、ようこそ
      木挽町さんは、コメントの内容から察するに、おそらく自動車に関連したお仕事をされていると思うのですが、ほんとうにお詳しいですね。しかもハード部分のみならず、国際情勢を見据えた産業構造の中で捉えるという視点が備わっていて、いつも勉強になります。
      対象を捉える角度が仰角であったり、俯瞰であったり、広角であったりと、変幻極まりないところが木挽町さんのコメントの面白さですね。

      おっしゃるように、いま世界の自動車産業が(キャンピングカーも含め)中国市場に進出を図るスピードの加速度が高まっていますね。なにしろあの人口ボリュームですから、世界で最も広がりのあるマーケットといっていいでしょうね。

      ただ、自動車がどれだけ中国の富裕層に浸透したとしても、その自動車を語るジャーナリズムの整備が遅れそうな気がします。
      ハードな部分の解析は進むかもしれませんが、自動車を文化として語る土壌は、一夕一朝には生まれないように思ったりもします。

      どの分野においてもそうなのでしょうが、ジャーナリズムが機能するようになるには、ある程度の文化的成熟と、多少の退廃(?)がなければ面白いものが出てこない。

      ヨーロッパ車を語ることが面白いのは、“ヨーロッパの爛熟” が背景にあるからだという気がしないではありません。
      文化の若い国には、それがない。
      そういった意味で、日本のキャンピングカーもまだ発展途上なので、面白い「キャンピングカー読み物」が登場するのは、まだ少し先のような気もします。

      発問についての過分なご評価、ありがとうございます。
      もし、「発問」が良いと思われたとしたら、それは、そういう発問をうながす語り手の力量がそれを引き出したということなのでしょう。
       

      • 木挽町 より:

        「自動車がどれだけ中国の富裕層に浸透したとしても、その自動車を語るジャーナリズムの整備が遅れそう」「ハードな部分の解析は進むかもしれませんが、自動車を文化として語る土壌は、一夕一朝には生まれない」「ジャーナリズムが機能するようになるには、ある程度の文化的成熟と、多少の退廃(?)がなければ面白いものが出てこない」。まったく同感です。民度というかなんというか(時間とともに成熟するのでしょうが)。量としてだけはたしかに大市場なのですが、この先どうなるんだろうと、楽しみというか心配というか複雑な思いです。日本で自動車を文化として自由に語れることを誇りに思います。

        • 町田 より:

          木挽町さん、ようこそ
          確かに、中国マーケットは大市場であることには間違いありませんが、なにしろ開放経済の社会になってから、40年弱ですからね。いわば資本主義経済の歴史が40年にも満たない国なわけですよね。

          それまで、「貧しくてもみな平等」という気持ちでいられた社会主義政策が葬りさられ、「人よりお金を儲けることが、人より幸せになれる」という資本主義社会の “拝金主義” 的な部分だけを盲信してしまうという、資本主義の歴史の浅さが、いま露呈しているように思います。

          19世紀にイギリスで資本主義が成立したばかりの時代も、そうとう無秩序で、労働環境も劣悪で、アンモラルな商法もまかり通っていたようですが、さすがに時を重ねるに従って成熟し(ある意味でずるくなり)、洗練された資本主義社会を形成していったようですから、中国の開放経済が人々の気持ちを安定させるには、まだ少し時間がかかりそうですね。

          そういう時代が訪れたときに、中国で自動車文化がどのように語られるのか。それはちょっと興味があります。

          現在のところは、乗用車でもキャンピングカーでも、見た目が豪華絢爛なものが富裕層に好まれているらしいのですが、それがより深いものに目覚めるようになるのか、それとも表層的な豪華さを極めていくことで、逆に欧米や日本とは異なる自動車の価値というものが生まれるのか。
          そのへんは、ジャーナリスティックな関心が大いにくすぐられるところですよね。
           

  2. スパンキー より:

    今回のインタビュー記事はダントツに面白いですね。
    キャンピンカーだけでなく、自動車に関するお国柄、歴史、人、文化など、
    バックボーンに関する話題って、広がりがありますからね。

    話し手と聞き手、どちらもベテランの掛け合いで秀逸。

    こうした記事が、街で売られている本にフツーに掲載されていたら、
    さらにマーケットも広がるのにと思います。

    そろそろ名画の解説のエントリーの時期ですよ!

    • 町田 より:

      >スパンキーさん、ようこそ
      ありがとうございます。
      一時期、故 徳大寺有恒さんと一緒に仕事をさせてもらって、自動車というものが、単なる機械の集積ではなく、その車を生んだ風土、歴史、文化の産物であるという考え方を、基礎から教わりました。

      だから、やっぱりキャンピングカーにおいても、そういう観点でお話をしてくださる方にはすごく魅せられます。三原さんという方は、そういう視点でキャンピングカーを語れる貴重な人材ですね。

      今回の取材は、本当はもっと具体的な固有名詞が飛び交う生々しい部分もあったのですが、読後の口当たりをよくするために、多少固有名詞を省きました。
      それでも、なんとか三原さんの言わんとしたテーマには、少し肉薄できたかもしれないという、かすかな自負はあります。

      美術解説のエントリーは、すでにラフ原稿としてはいくつかストックされているのですが、まだ練り込んでいないので、叙述を整えた後に披露させていただこうかと思っています。
      そんなものまでご所望いただき、光栄なことです。
       

  3. Get  より:

    今日は。
    先日親戚の男性から電話で、彼が新しい車を買ったと。
    すかさず ”何色?” と聞いて、シマッタ!
    電話口の向こうは ”えぇ、あ~、色?” と苦笑が伝わってきました。
    色はさて置き、車種を先ず尋ねるべきでした。

    その位、車に関しては関心も知識もありません。
    でもラ・ストラーダ、実に面白く拝読。
    諸氏のコメントもそれぞれが更に興味深い内容で、
    更なる講義を受けたようでした。
    こういうのいいですね!
    車に関しての教養書みたいで楽しめました。

    • 町田 より:

      >Get さん、ようこそ
      新車を購入したご親戚の方に、車種を尋ねる前に、「何色?」とご質問されたというのは、きわめて健全で常識的なご質問であるかのように思います。

      現在、一般的な乗用車というのは、“白物家電” 化してきていて、同じような価格帯であるならば、メーカーや車種を問わず、性能的な格差というのはほとんどなくなってきました。
      自動車好きな男性がマニアックに精査すれば、車種による違いは、語るべき大きなテーマになるでしょうけれど … 。
      そうでないかぎり、所有者の心をときめかせたり、飽きずに長く乗る気になったりするのは、案外「色」の違いであったりすることも多いように思います。

      乗用車がそのような機能的な同一性を獲得する時代になってくると、従来のような性能差を語るだけのジャーナリズムそのものが危うくなるようにも思います。自動車評論も形を変えざるを得なくなるでしょうね。

      そのときに、どういう切り口が読者を飽きさせないですむか。
      消費者のマインドが変わってきていることを、社会環境や経済構造の変化、あるいは自動車技術の進歩やIT 機器との関連、さらには文化やエンターティメントの変化を加味して語ることも必要になってくるかもしれません。
      あるいは、国々の伝統や歴史の差から説き起こすというのも手かもしれませんね。
      いずれにせよ、広い視野に立った総合的な知識と教養が自動車関連の読み物には要求されるようになるでしょうね。
      私も一読者として、そういうものを読みたいと思っています。
       

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