バンコンのナローボディは激戦区

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 国産キャンピングカーは、主にキャブコンとバンコンの2種類に大別できる。
 その両者の違いは、普通の人から見れば、次のようなイメージで見られるだろう。
 概してキャブコンといえば、いかにも “キャンピングカー然” とした車体の大きなキャンピングカー。
 それに対し、バンコンは、ワンボックスカーをベースにした小型のキャンピングカー。
 たぶん、「キャブコン」、「バンコン」という言葉を覚え始めた人たちは、漠然とそのようなイメージを頭に思い浮かべると思う。

 もちろん国産キャンピングカーには、そのほかにもマイクロバスをベースにしたバスコンがあり、トレーラーも作られている。
 だが、比率でいえば、圧倒的に多いのは、キャブコンとバンコンの二つである。

 今年度のJRVA(社団法人 日本RV協会)の調査によると、2014年度に生産された国産キャンピングカー4,434台のうち、セミフルコンなども含めた「キャブコン」が1,263台。「バンコン」が1,651台となり、その二つのジャンルで過半数を超える2,914台を記録している。

 このように、数としては、いちばん生産台数が多いバンコンではあるが、最近のキャンピングカー展示会などを回ってみると、ここのところ、そのバンコンにおいては小型化が進行していることが分かる。
 200系ハイエースが出た当初は、ほとんどの展示車が5.3mを超えるスーパーロングであった。しかし、最近はハイエースシリーズの中でも、4.7m内に収まった標準ボディのバンコンが目立つようになってきた。
 
 このサイズであるならば、特に出窓を張り出すなどの加工をしていない限り、全長4695mm、全幅1695mmに収まるので、普通の5ナンバーサイズのミニバン程度の大きさになる。
 全高は、居住性を確保する意味でハイルーフ仕様が多く使われるため、だいたい2.2m台から2.3m台。
 なかには立体駐車場への出入りを意識して、2m未満の標準ルーフを採用しているものもある。

 このようなバンコンの “コンパクト化現象” を、バンコン専門メーカーはどのように見ているのだろうか。

 全国ブランドとして有名な「ウォークシリーズ」で知られるドリーム・エーティー(北海道・帯広市)では、近年標準ボディの「ウォークⅡタイプC」を開発して好評を博している。
 同社の浅野秀弘社長(写真下)は、このような小型ハイエースに注目が集まる理由を、次のように述べる。


 
 「小型のナローボディを求める需要は、昔からあったと思うんです。ただ、われわれ業者の方が、それに気づかなかったんですね。
 というのは、ハイエースでもスーパーロングの方が広く使えるし、充実した装備も搭載できる。だから、お客様にもそういう車の方が喜ばれるだろうと、単純に思い込んでいたんです」

 ところが最近になって、ナローボディの車を求める声が非常に多くなってきたというのだ。
 その一つの理由は車庫事情。つまり、大きな車では自宅の車庫に入らないというもの。
 スーパーロング級ともなると、全長5,380mm、全幅1880mm。車高も2.3mを超えるので、家の駐車スペースだけでなく、出かけたときの駐車場探しにも支障が出ることもある。
 そのスーパーロングに替わるものとして、多少居住空間は狭くなるが、車庫に入るサイズの標準ボディを求める声が出てきたということなのだろう。

 しかし、浅野さんによれば、車庫事情もさることながら、それ以上に奥様が運転するケースが増えてきたという現象も見逃せないという。
 
 「私たちは北海道という広い空間で車を作っているからあまり気づかないんですが、本州に降りてきて、大都市に入ると駐車場も狭くなり、道路も狭くなる。
 特に、西の方に行けば、関東よりも道の狭い場所も増えてくる。
 そういう場所で、運転に不慣れな女性がハンドルを握るとなると、やはり大きな車は辛い、という判断も出てくるのでしょう」

 そこで、ドリーム・エーティーが開発したのが、ウォークⅡタイプCという車だ。
 これは、ハイエースの標準ボディをベースに、全長4695mm、全幅1695mm、全高2240mmという扱いやすいサイズに収めたバンコンで、ずばり夫婦2人の長距離旅行用コンパクト・キャンピングカーといえるものだ。

 長旅ともなれば、夫婦で運転を交代しながら移動する機会も増える。
 そういうときに、奥様が運転席に座ってもプレッシャーを感じないサイズというのは、やはり重要だと浅野氏は指摘する。
 
 ウォークⅡタイプCには2種類のレイアウトがあるが、定年退職をしたご夫婦が長距離旅行を計画するときは、そのうちの「コの字トランクタイプ」が適しているという。
 このトランクタイプは、シート下がみな収納庫になっているため、長期旅行に必要な着替え、小物類などを整理するときに、実に便利。


 
 特に、リヤの跳ね上げシートの下に広がる収納庫は、開口部1020mm、奥行き640mm、深さ350mmという数値を実現し、容量でいえば約200リッターの収納力を誇る。
 とかく荷物がかさばる長旅を快適にこなせるかどうかは、その車の荷物の収納力で決まるといっても過言ではないので、「コンパクトサイズ」と「収納力の高さ」を両立させた同車のキャパシティは大いに評価できるだろう。

WalkⅡ typeC(コの字トランクタイプ) 
ドリーム・エーティー有限会社
価格 3,600,000円~(税抜)
全長4695mm/全幅1695mm/全高2240mm
乗車6人/就寝3人
HP → http://www.dream-a-t.jp/

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 同じように、ハイエースの標準ボディを採用し、取り回しの良さを優先して開発されたバンコンに、オーエムシー(OMC)の「ちくら」がある。
 これも、運転に不慣れなドライバーの便宜を図って、小型サイズのハイエースロングバン(標準ボディ)をベース車を選んだものだが、かなりミニバンを意識した作りになっていることが特徴。

 すなわち、2列目・3列目シートが前向きになるので、乗車定員6人がみなワゴン感覚で移動できるようになっているのだ。
 このシートを倒してベッド展開すれば、1100×1850mmという2名用のフルフラットベッドが生まれる。

 ボディ右サイドにはスライド式引き出しベッドが格納されているので、それを使えば3名就寝が可能となる。
 引き出し式ベッドの広さは、1,850×700mm。大人1名がゆったり寝られる就寝スペースが実現する。

 3人就寝を可能にするベッドが備われば、それは夫婦2人で使うときにも重宝する。
 夫婦だけの旅なら、本来はフロアベッド一つで十分なのだが、最近は、夫婦が並んで一つのベッドに寝るよりも、別々のベッドを展開して、それぞれ分かれて寝るスタイルが好まれるという。

 隣りに並んで寝るのは、夏場は暑苦しいこともあり、相手のイビキに悩まされることもあるだろう。
 また、夜中に一人がトイレに立つような場合でも、寝る場所が分かれていれば、相手を起こすことなく起き上れるという理由も加えられるかもしれない。

 この「ちくら」は、上蓋式の冷蔵庫(15㍑)も完備して、装備類も充実。
 リヤスペースは荷室空間として機能しており、そこにはポータブルトイレも設定されているので、緊急時のトイレ使用も可能である。

ちくら
株式会社オーエムシー
価格 4,070,000円~(税抜)
全長4695mm/全幅1695mm/全高2340mm
乗車6人/就寝3人
HP → http://www.omc-camper.co.jp/

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 ナローサイズのバンコンということになれば、コストパフォーマンスと標準ルーフによる車庫入れの楽さにおいて、RVビックフットの「スウィング4.7」も見逃せない。

 同車は、RVビックフットのバンコンシリーズの中でも昔から定評があり、かなり根強い人気を保っている車だ。
 人気の秘密の主要部分を占めるのが、プライス的な魅力。
 300万円台で買える価格帯にありながら、40㍑電気冷蔵庫、電子レンジなどが標準装備。
 これらの装備が揃っていれば、車中泊車として使う場合にも、町のスーパーなどで買った冷凍食品をつまみに、冷えたビールを楽しむことができる。
 
 2015年からは、「4.7N」というニューバージョンが加わり、ますます商品価値に磨きをかけた。
 これは、従来の対面ダイネットを組んでいたリビングスペースを、横向きセカンドシートに進化させたもの。
 それによって、これまでのモデルよりもさらにベッドメイクの効率化と時間短縮が図られることになった。

 ベッドメイクは実に簡単。
 まずテーブルを外し、背もたれを手前に引く。
 そのマットをシューズBOXとダストBOXの上に載せる。
 あとはセカンドシート下のサブマットを隙間に埋めるだけ。

 こうして出来上がったフロアベッドサイズは1800×150mm。ダブルベッドサイズなので、大人2人が余裕で寝られる。
 また、車両全体を見渡したときに背の高い家具がないので、広々とした解放感が得られることも特徴となっている。

スウィングN 4.7
有限会社アールブイ・ビックフット
価格 3,620,800円~(税抜)
全長4695mm/全幅1695mm/全高1980mm
乗車6人/就寝2人(+子供2名可)
HP → http://www.rv-bigfoot.com/

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 ナローボディを使ったバンコンは、奥様の日常使いを意識したものが多く、当然、旦那さんが仕事に行っている間に、奥様が買い物や子供たちの送迎、あるいは女性同士のお茶会などに使われるケースも出てくる。
 また、週末には、祖父母・孫などを伴った小旅行に使われるケースも増えるだろう。

 そういうことを考えると、レクビィの新型ポシェットは、なかなか魅力的な内容を備えている。
 なにしろ、キャンパー専用車をベースにしたときの乗車定員は7名。ロングバンGLベースの場合は8名までが走行中は前向きに移動できるようになっている。

 この新型ポシェットの特徴は、リヤ側に上段ベッド(op.)を設定したときも、これまでより広いサイズが取れるように改良されたこと。
 
 リヤ上段ベッドを設定したときの広さは1500×1000mm。小さな子供が寝るには十分なスペースといえるだろう。
 これは、今まで天井まで届いていたリヤ間仕切りをカウンタートップ付近で抑えたことによって実現したもの。
 追加ベッドを仕舞うときは、左サードシートの背面ボード裏側に重ねて立てかけられるようになっている。

 さらに、この2段ベッドには、1500mmの室内幅を保ちながら簡単な家具変更によって、奥行きを1500mmまで延長できるベッドもオプションとして用意されている。
 この構造変更は購入後も可能なので、その必要性が出てきたときに改めて検討することもできる。

 また、このポシェットで特徴的なのは、“アウトドアテーブル” 。
 実は脱着式のダイネットテーブルが、リヤゲートを上げたときのフロア下側に接続できるようになっていて、そこに椅子などを持ち出せば、そのまま “野外ダイネット” が生まれるというもの。

 リヤゲートには、オリジナルの「リヤゲートタープ」を吊り下げることも可能なので、夏の暑い日差しが降り注ぐ日でも、快適なアウトドア空間を満喫できる。

ポシェット
株式会社レクビィ
価格 3,879,000円~(税抜)
全長4695mm/全幅1695mm/全高2320mm
乗車8人(キャンパー専用車7人)/就寝3人
HP → http://www.recvee.jp/

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 これまで、トヨタ・ハイエースの諸例を見てきたが、日産のNV350キャラバンをベースにしたバンコンでも、ナローサイズが見直されてくるようになった。アネックスがこの春にリリースしたコンポーザーがそれだ。
 

 この車は、アネックスの創業50周年を記念して、同車の定番モデル第一号として製作した初代コンポーザーのコンセプトを復活させようとしたもの。
 すなわち、ドイツの往年の名車ウエストファリアのスタイルに則って、車体の右側にロングカウンターを持つキッチンユニットを配し、スライドドア前のスペースをゆったり取るというコンセプトが追求されている。
 当然そこにダイネットを展開したときは、大型テーブルを擁した使い勝手のいいリビングが誕生することになる。

 このNEWコンポーザーのベースになったのが、日産NV350キャラバンのナローボディ。
 全長4695mm、全幅1695mm。全高はスカイライトルーフの高さを入れなければ2400mm。トヨタ・ハイエースの標準ボディとほぼ同じサイズだ。

 このショートボディを採用した理由を、アネックスのカタログでは、次のように語っている。
 「室内機能の充実を優先した結果、最近のバンコンバージョンはワイドボディが主流になっていますが、田舎道や市街地には狭い道が多く、ナビの案内する道がだんだん狭くなって不安を感じたことはないでしょうか?
 そういう観点で考えれば、日本全国津々浦々くまなく廻ってみたい旅行者にとって、ナローサイズは重要な選択肢の一つです」

 ということで、コンポーザーでは、「くるま旅に必要な設備をNV350ナローにパッケージングし、外観は小さく、内部は広く」という矛盾した課題に挑戦し、「最適解をぎりぎりまで探求した」と、アネックスはいう。

 矛盾の解決策としてコンポーザーに採用されたのが、オリジナルFRPハイルーフ。
 同車において、ゆったりした室内高を確保するためには、けっきょくハイルーフを自作するしかなかった、というのがオリジナルルーフの開発に踏み切った理由だ。
 つまり、日産キャラバンにおいては、ハイルーフ仕様は全長5mのスーパーロングにしか設定がなく、今回ベースにしたかったナローキャラバンにはそれがなかったことが挙げられる。
 また、ハイエースの場合は、いちおうナローボディにもハイルーフの設定はあるものの、室内高が1590mmしか取れず、十分な居住性が得られないと判断したからだという。

 このアネックスのコンポーザーなどを見る限り、ナローボディのバンコンにも、新意匠・新技術導入の動きがひたひたと押し寄せてきていることが分かる。
 今後のバンコン開発の新しい傾向を探るには、まず、このナローサイズの動向を見定めることが重要になってくるかもしれない。

コンポーザー
株式会社アネックス
価格 5,300,000円~(税込)
全長4695mm/全幅1695mm/全高2460mm
乗車4人/就寝定員大人2名+子供2名
HP → http://www.annex-rv.co.jp/
 
 
 
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発売 日版IPS 東京都文京区湯島1-3-4 TEL:03-5802-1859
発行 自動車週報社 
 
 

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