バンテック「ルネッタ」

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 この7月に、初の軽キャンピングカー「ピース」をリリースしたバンテック。
 国産キャブコンのリーディングカンパニー的存在である同社が軽キャンピングカーを開発したことは、業界やユーザーの間で大きな話題となった。

 ピースは、バンテックらしい洒落た作りとリーズナブルな価格設定で市場の高評価を得たが、同社の佐藤徹社長によると、
 「軽キャンピングカーというマーケットを研究するための試みという意味合いが強かった」
 とのこと。
 そのような謙虚な発言の裏には、実はとんでもない “隠し玉” が秘められていたのだ。

 それが、この10月の「名古屋キャンピングカーフェア2015 Autumn」でデビューした「ルネッタ (Lunetta)」である。

 「外装架装を施さない軽キャンピングカーとしての最高峰を狙った」と、佐藤社長が自信を持つだけあって、確かにルネッタは、あらゆる面でこれまでの軽キャンピングカーの常識をくつがえす新意匠をふんだんに散りばめた車になった。
 まさに、高級キャブコンを数多く手掛けてきたバンテックでなければ仕上げられない軽キャンピングカーといっていいだろう。

 このルネッタによって、同社は何を実現しようとしたのか。開発の陣頭指揮を執った佐藤社長に取材してみた。


 
  
高品質な軽キャンピングカーを目指して
 
【町田】 「ピース」を発表したときに、すでにこの「ルネッタ」の構想はあったのですか?
【佐藤】 そうなんです。私の頭の中では同時進行でした。
【町田】 ピースを先に出したのは、軽キャンピングカーマーケットをリサーチしようということだったのでしょうか?
【佐藤】 確かにそうともいえますが、やはりルネッタの方が技術的にもいろいろなものにチャレンジしていましたので、開発に時間がかかりましたね。
 とにかく軽キャンピングカーのもっともベーシックなものと、技術的にもデザイン的にも軽キャンピングカーの最高峰を狙えるものを二つ用意してみたかったんです。 
 
【町田】 両者の位置づけは。市場的にはどうなるのでしょうか?
【佐藤】 現在、軽キャンピングカーを買われるお客様の層が広がってきて、ニーズも多様化してきています。
 つまり、今までは軽キャンピングカーのリーズナブルな価格の魅力や、維持費の安さなどを評価して買われるお客様が多かったのですが、近年、軽キャンピングカーとしての “ステータス性” みたいなものさえ生まれてきて、他のジャンルのキャンピングカーに伍するような車格が備わってきたんですね。
 そうであるならば、
 「そういう高品質な軽キャンを求められる方々の欲求に応えられるハイレベルのものにチャレンジしてみようよ」
 … というのが、このルネッタを開発したモチーフになっています。

【町田】 確かに、乗用車においても、最近の軽自動車の性能やデザインのグレード感は上がってますものね。
【佐藤】 ええ、そうなんです。このルネッタのベース車であるスズキ・エブリイそのものが、4速オートマミッションのターボ付きということで、180万円もする車なんですね。
 その代わり、非常によく走るし、坂道も苦にならない。しかも燃費がいい。もちろん、最高グレードになると、もう普通車よりも充実した装備類を備えるようになっている。
 そういうベース車にふさわしい架装を施すとなると、いったいどういう仕様になるのか。数多くのキャブコンを手掛けてきた我々ですらも、ルネッタの開発はワクワクするようなプロジェクトになりましたね。
 
 
棚のアールに対するこだわり

【町田】 その意気込みは内装デザインの随所に溢れていますね。
 特徴的なのはリヤの棚。ああいう優美なアールを持つ家具というのは、軽キャンピングカーどころか、一般的なキャブコンですらなかなか見られませんよね。
【佐藤】 あそこは苦労したところなんですよ。この家具の担当者が泣いたところです(笑)。
 棚の形状を作るのに、いったん寝かせておいて、さらに曲げてアールを出している。ああいうアールは、人工物というよりも自然中にある植物のようなものしか持たない形状なんですね。
 一品仕上げなら時間をかければできるのかもしれないけれど、量産の目途も立てなければならない。
 でも、そういう苦労を重ねることによって、贅沢感も生まれると思うんです。

【町田】 棚の扉も凝ってるんですね。
【佐藤】 扉を開けると、照明がともるようになっています。その扉が全部で三つ。一つひとつの容量はたいしたことはないんですが、三つあると、そこそこの物が入ります。

家具は徹底的に軽く、小さく

【町田】 シンクを載せた家具などもスマートな作りになっていると思いましたよ。 
【佐藤】 家具はできるだけ小さく作っています。しかも軽い素材を使って、全体の重量を抑えています。
 かといって、家具の中抜き(中空構造)はやっていないんですよ。家具の芯を抜くと、強度も出ないし、見た目にも希薄な印象のものになってしまうんですね。素材そのものに軽量なものを採用して対応しています。

【町田】 シンク下の給水タンクがまた面白い形ですね。
【佐藤】 そう ! バンテックマークの入った5リットルの給水タンク(笑)。取り外しも簡単。しかも、中にホースが入っていて、フタのところをカチッと回すだけで、ポンプが回ると水が出てくるようになっています。

【町田】 排水タンクは?
【佐藤】 床下に10リットルのFRP製タンクを付けてあります。十分な強度を持たせているので、走行中に石が跳ねても、簡単には損傷しないようになっています。

【町田】 シンクと反対側にあるテレビの付いたボックスには何が入っているんですか?
【佐藤】 こちらにはインバーターが格納されていて、地デジのアンテナエレメントが入っていて、DVDプレイヤーもあります。
 インバーターはサイン波の125w。バッテリーはキャブコン並みの100Ah。
 とにかく電装系は軽キャンピングカーとしてはもっとも充実した仕様になったのではないでしょうか。
 だから、車内でパソコンをやってもいいし、19インチのモニターを使ってDVDを鑑賞したり、テレビを見るのもよし。アンテナには感度のいいものを選んでいますから、山の中に入っても、ある程度の受信ができると思いますよ。実際に名古屋のメッセ会場の屋内で、地デジ放送がくっきりと映りましたから。


 
 
限りなく “広さ” を追及

【町田】 これらの装備は、みなオプションなんですか?
【佐藤】 いえいえ、インバーター、100Ahバッテリーなどは標準装備です。テレビとDVDプレイヤー、アンテナエレメントはオプションですけどね。

【町田】 それにしても、多機能な装備を収めた家具を左右に配しながら、ずいぶん広々とした印象が生まれていますね。
【佐藤】 それはいちばん気をつかったところですね。
 キャンピングカーというのは、人と荷物の両方を収容する容量がなければならないわけですが、荷物は狭いところに押しやられても文句を言わないけれど、人間は狭いと圧迫感を感じますよね。ましてや軽キャンピングカーならなおさらのことです。
 だから、いかに “広さ” を確保するか。
 もちろん、広さを数値的に追求することも大事ですが、それと同時に、「視覚的な広さ」を感じさせるデザインマインドも重要ですよね。この車の家具設計は、その両方をぎりぎりのところまで詰めて仕上げています。

【町田】 ベッド展開すると、どのくらいの広さになりますか?
【佐藤】 このままだと、マット長は160cm。ただ延長マットが用意されているので、フロントシートを前に引けば、さらに25cmぐらい伸びます。そうすると、185~187cmのベッドが生まれます。


 
 
12V電子レンジに秘策あり

【町田】 いま12Vの電子レンジがディスプレイされていますけれど、これは「アイテムとして十分に活用できるよ」というアピールなんですか?
【佐藤】 あ、そうなんです。やっぱり電子レンジは便利なので、しっかり活用してほしい。そのための仕掛けも施してあります。

【町田】 “仕掛け” とは?
【佐藤】 この電子レンジは、普通はシガーライターの12Vのソケットに接続して使うようになっているんです。
 しかし、シガーライターから取る場合は、すごく能力が低い。物を温めるのに時間がかかるんです。
 もちろん、この電子レンジは、12Vのバッテリーから直接電気を引くことも可能なんですよ。その方が効率がいい。
 ただ、バッテリーから取るときは、接続端子がワニ口(わにぐち)になっているんですよ。それをバッテリーのプラス端子とマイナス端子に噛ませて使うことになるんです。

【町田】 ちょっと面倒ですね。
【佐藤】 そうなんです。慣れないと危険だしね。そこでルネッタには専用の40Ahソケットを付け、電子レンジのコードには専用プラグを付けて、大きな電力をバッテリーから安全に取り出せるようにしました。
 実は、このほかにも、まだまだこの車ならではの仕掛けがあるんですよ。

【町田】 何でしょう?
【佐藤】 リヤゲートを開けて使うときのテーブル。このポールの部分にネジがない。でも、カチャッと入って抜けない。
 実は、マグネットを使っているんです。だから簡単に入って、持ち上げても抜けない。

【町田】 これはバンテックさんのオリジナル?
【佐藤】 そう。スタッフのアイデアのひらめきと、材料を探す努力の賜物(たまもの)ですね。
【町田】 まだまだ仕掛けがありそうですね(笑)。
【佐藤】 ベッドマットの寝心地が素晴らしいんです。天下の帝人のVラップという中綿を使っています。それだと軽いし、寝心地がもう別世界。
 さらに ……

【町田】 さらに?
【佐藤】 今回は間に合わなかったんですが、オプションでプルダウン型の2段ベッドを用意する予定です。
 といっても、ベッド長は160cmぐらいですが … 。それでも背の高くない大人の人やお子様なら十分に寝られるはずです。
 
 
開発者自身が欲しくなる車

【町田】 そうなると、すごい商品力になりますね。市場の評価が楽しみですね。
【佐藤】 とにかく、「外装架装をまったくしていない軽キャンピングカー」としては、もっともハイグレードのものを狙った車として皆様に認知していただければうれしいです(笑)。
 その分、いちばん高い車種は、285万円という価格になりましたけれど、ただ、エブリイのワゴン車にはグレードが三つあって、いちばん安いベース車に架装したものならば30万円ぐらい安くなります。

【町田】 架装内容は変わらないのですか?
【佐藤】 キャンピング架装している部分はまったく変わりません。ベース車の装備内容が変化するだけです。
 ベーシックなグレードになると、リモート格納ドアミラーとか、電動オートステップ、ワンアクションパワースライドドア、アルミホイールなどといったものが付かないことになるんですね。
 でも、エブリイのワゴン車は全車4速オートマのターボなので、走りはどれも同じです。

【町田】 ちょっと欲しくなったな、この車。
【佐藤】 実は私自身が、これを買って乗ってみたいな、と思っているところなんですよ(笑)。
 

バンテック「ルネッタ」 HP ↓ http://www.vantech.jp/lineup/lunetta/index.html

  
関連記事 「バンテック『ピース』 (PEACE)」

関連記事 「軽キャンピングカー時代の第2幕」

参考記事 「バンテック京都店オープンとバンテック車の開発思想」
 
   
「キャンピングカースーパーガイド2015」 発売中
定価 700円+税 756円

※ 上記の新型車「ルネッタ」は収録されておりません


 
発売 日版IPS 東京都文京区湯島1-3-4 TEL:03-5802-1859
発行 自動車週報社 
  
 

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