新型ジル520誕生

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 この10月に開かれた「名古屋キャンピングカーフェア2015 Autumn」で、バンテックの新型ジル520(2015年仕様)が御披露目を果たした。
 同社は、この春に新型ジル(ZiL 5=five)を発表したばかりだが、ジル520は、それからわずか8か月でのデビューとなる。
 これで、ジルと並ぶ同社の人気キャブコンの “両横綱” がそろい踏みしたといっていい。

 新しいジル520には、どんな特徴が備わったのか。
 設計を担当したバンテックの木嶋伸介氏(写真下)に、直接お話をうかがうことにした。
 

ジル(ZiL five)との差別化をどう図るか

【町田】 木嶋さんは、新型ジルの設計も手掛けられたんですよね。
 ジルとジル520は、それぞれバンテックセールスを代表するキャブコンだけに、どちらも車両としての高品質性を同じように保たなければならず、かつ、両者の個性の差別化も図らなくてはならない。
 そういった意味で、とても難しいテーマを引き受けられたと思うのですが、ずばり、ジルとジル520では、どのような差別化を意識されたのですか?

▼ ジル(5=five) インテリア

【木嶋】 昔から、ジルとジル520は、それぞれレイアウトの違いによる明確なセグメントがあったのですが、このたび、ジルの全長が5160mmに延長されたので、ボディサイズで並ぶことになったんですね。
 そうなると、単にレイアウトが違うという差別化だけでは、それぞれのインパクトを薄め合うことになると判断したんです。
 では、どうすれば、それぞれの個性が際立つようになるのか。

【町田】 ぜひ、そこをうかがいたい(笑)。
【木嶋】 抽象的な言い方になりますけれど、ジル520は、ジルより半歩ほど先を行く線を狙ってみました。
【町田】 半歩先とは?

【木嶋】 ジルというのは、私たちの屋台骨を背負うような重要な車ですし、お客様の認知も行き届いています。
 ということは、新しい提案を盛り込みながらも、やはり多くのお客様の期待を裏切らないオーソドキシーな部分を残していかなければならない。
 それに対して、ジル520は、バンテックの最先端意匠をアピールできる車でもあるので、デザイン面においても機能性においても、僕個人としては少し冒険をしたつもりなんです。
 
 
エッジの立ったシャープな内装を実現

【町田】 具体的にいうと、それはどういうことでしょう?
【木嶋】 たとえば、シートの生地色を思い切って黒にしたこと。
 黒というのはシャープ感も出るし、ゴージャス感も出る。
 しかし、使い方を失敗すると、威圧感が出たりすることもあるんですよね。男性にはわりと好まれる色なのですが、女性のなかには抵抗を持つ方もいらっしゃるんです。

【町田】 しかし、壁色などの対比がうまく計算されているので、威圧感もなく、落ち着いた大人の雰囲気が出たと思いますが。
【木嶋】 そう言っていただけるとうれしいですが、僕としては、黒色のシートは、実は迷ったところなんです。だから黒い生地を採用しながらも落ち着いた色のクッションを配することで、黒のボリューム感を抑えるように工夫しました。
【町田】 あ、それは良い効果が生まれていますね。それによって、黒の高級感が引き立つようになりましたね。

【木嶋】 バンテックの内外装デザインの方向性の一つに、「外装デザインは男性向けに/内装は女性向けに」という考え方があるのですが、僕はこの車に限っては、「外装を女性向けに/内装を男性向けに」というものを狙ってみました。
 ジルの室内デザインが、男性にも女性にも好まれるソフィストケイトされたものを目指したつもりだったので、520では、思い切ってエッジの立った男性好みの内装をやってみたかったんです。

【町田】 ああ、狙い通りではないですか。逆に外装デザインはバンテックさんの一連のキャブコンのなかでは、ずいぶん優美な感じになりましたね。
【木嶋】 はい。ボディストライプやデカールの意匠などには、柔らかさとおしゃれ感を追求したつもりです。
 
   
  
 
国産車初のエントランスミラー

【町田】 「ジルよりは半歩先」ということで、ほかにどのようなデザイン上のアイデアを盛り込まれたのですか?
【木嶋】 エントランスミラーですね。ステップを上がった右側に鏡があるのですが、この鏡の形状をデザインするのに、いちばん時間がかかりました。

【町田】 そこに鏡を配した理由は?
【木嶋】 まず、室内に入る前に、鏡があるだけで、明るい広がり感が生まれますよね。それと、奥様がドレスアップして車外に出るときに、自分の姿をチェックすることもできます。
 実は、今回の520では、前モデルのフォールディングテーブルを廃止したんです。キッチンカウンターをストレートに伸ばしたかったんですね。しかし、ただそれだけだと、威圧感も出てしまう。それを解消するという意味もありました。
 国産キャブコンでエントランスミラーがあるモデルは今までなかったので、この車ではそれをやってみたかったんです。

【町田】 さらにデザイン的な特徴を挙げるとなると、ほかに何がありますか。
【木嶋】 細かいところですが、テーブルの木口を2色にして分けています。そうすることによって、表面のメラニンを分厚く見せることができるので、見た目の安定感も生まれると思います。

【町田】 さて、いよいよ機能面の話に移りますが、520の前モデルと比較したときに、どういう機能が付加されたのでしょう?
【木嶋】 まず、トイレルームが広くなっています。それと、新たにクローゼットを設けました。ダイネット空間も、サードシートのスライドを意識して広くとっています。

【町田】 全長が変わらないのに、どこでそういう空間を創出できたのですか?
【木嶋】 今回テールランプをハロゲンからLEDに代えたので、リヤ部分のスペース効率が高まったんですね。
 ハロゲンを使っていたときは、後ろにメンテナンス口があったのですが、それを廃しました。そういう処理で100mmのスペースが生まれたんです。

【町田】 なるほど。それで全体的に余裕が?
【木嶋】 ええ。それもあるんですが、やはりエントランスの位置をどこに持ってくるかによって、クローゼットの大きさ、キッチンの広さ、ベッド寸法も変わってくるんですね。
 そのどれを優先させればいいのか。いろいろ考えて、まずクローゼットとベッド寸法から決めることにしたんです。
 
 
欧州車並みのクローゼットとパウダールーム

【町田】 どう処理されたのでしょう?
【木嶋】 実は、リヤベッドのサイズは前モデルと同じなんですよ。さらにいえば、リヤ2段ベッドの上段ベッドは、前モデルよりも60mm狭くなっています。
 というのは、いろいろなデータを照合すると、多くのお客様は2段ベッドがありながらも、その上段は荷物入れとして使っていることが多いことが分ったんですね。
 ならば、思い切って上段ベッドを縮めて、全体のスペース効率を上げようと。

【町田】 なるほど。その分を他のスペースに回そうと … 。
【木嶋】 そうです。たとえばトイレルーム。これ、壁色が黒なんですよ。黒を使うと、洗面台やミラーを置いたときに、優雅なドレッサールームの雰囲気が出るんですね。
 ところが、なかなか黒という色はトイレ室には使えない。
 なぜかというと、本来が狭い空間なので、少しでも広く見せるために、デザイナーとしては白壁のような明るい色を使いたくなるんですよ。
 しかし、今回トイレコンパートメントそのものを広く取れたので、黒い壁を採用することが可能になりました。個室の広さは過去最大になっています。
 ここには100Vコンセントも設けてあるので、AC電源に接続すれば、ヘアドライヤーやヘアアイロンも使えるようになっています。

【町田】 確かに、いい雰囲気ですね。「パウダールーム」という感じです。
【木嶋】 ありがとうございます。このトイレコンパートメントの反対側に本格的なクローゼットを設けています。
【町田】 ヨーロッパ車並みですね。欧州のユーザーは、キャンピングカー旅行中に街のレストランやオペラ見学などに出かけるから、ちょっとしたドレスやジャケットを仕舞っておけるしっかりしたクローゼットを求めますものね。

【木嶋】 はい。この車はそういうところまで意識しました。
 また、キッチン周りの機能性を高めることにも気を配りました。
 たとえば、引き出し式の食器入れ・調味料入れ。もちろんそれ以外のいろいろなものが収納できます。
 こういう機能は新型ジル520ならではの特徴になっていると思います。


  
  
間接照明で、明るさとおしゃれ感を追求

【町田】 バンテックさんの水回りの設計思想には、昔から清水タンクからの水が出るフォーセットのほかに、飲料水タンクからのフォーセットがありますね。今、どこでもペットボトルのきれいな水が簡単に手に入る時代になったと思いますが、このシステムをずっと採用されている理由は?
【木嶋】 けっこうお客さんの要望があるんですよ。やはり、清水タンクといえども、水を長く貯め込んでおくと、衛生面で問題が生じる可能性もありますよね。だから、歯を磨くだけでも、清水タンクとはまた別に、飲料水タンクの水を使いたいという方がけっこういらっしゃいます。

【町田】 ああ、分かります。旅行中にペットボトルの新鮮な水がいつでも手に入るというわけでもないから、これは便利ですね。
【木嶋】 ええ。20リッター入りますから、飲み水としてだけでなく、顔を洗ったり、口をすすいだりするときにも重宝すると思います。

【町田】 そのほかの機能的な特徴として、どんなものがありますか?
【木嶋】 間接照明をたくさん採用して、明るさとおしゃれ感を追求しました。特にリヤベッドの足元には間接照明をたくさん設けましたから、ベッドから降りてトイレなどに立つときに便利だと思います。
 あとは、上段ベッドに昇るときのラダーを用意しています。
 このラダーは、実はバンクベッドに昇るときにも使えるんですよ。そのために、あえてリヤ上段ベッドとバンクベッドの高さが同じになるように調整しています。
【町田】 わぁ、凝っている ! 
 

 
 
ダイネットの足元へのこだわり
 
【木嶋】 それから、下駄箱なども引き出し式を採用して、使い勝手を向上させています。
 あとは、対面ダイネットの足元もわざと一段高くしているんですよ。これ、ダイネットに座るときにつまづかないかと心配される方もいらっしゃるかもしれませんが、こうすることによって、足元の安定感が確保されるし、床暖房にもなっています。それに段差の間に照明を埋め込んでいるので、足元を照らすこともできますしね。

【町田】 いろいろ細かいところまで配慮されているんですね。
 すでにこれで完成形だと思うのですが、今後の展開として何か考えていらっしゃることがありますか?
【木嶋】 あとは、これでクルーズを出すかどうかですね。やっぱりお客様の中にはトラックそのものを愛していらっしゃる方もいて、「エルフが好きなんだよね」という声もあります。それにエルフだと後輪ダブルタイヤという安心感も加わりますから。

【町田】 それの登場はいつですか?
【木嶋】 思案中ということにしてください(笑)。要望が多ければ具体的な検討を始めます。
【町田】 いろいろご説明をいただき、より520の魅力がはっきりしたように思います。ありがとうございました。
  
 
ジル520 HP (↓)
http://www.vantech.jp/lineup/zil520/index.html
 
参考記事 「バンテック京都店オープンとバンテック車の開発思想」

参考記事 「バンテック『ルネッタ』」

参考記事 「ジル・ノーブルにかける開発者たちの熱い思い」(2013年記事)

参考記事 「バンテック『ジル520クルーズ』」(2012年記事)
  
  
「キャンピングカースーパーガイド2015」 発売中
定価 700円+税 756円

※ 上記の新型ジル520は収録されておりません


 
発売 日版IPS 東京都文京区湯島1-3-4 TEL:03-5802-1859
発行 自動車週報社 
  
 

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