レクビィ「イゾラ(isora)」

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レクビィが見せた新しいバンコン開発の動き

 バンコンメーカーとして、トップビルダーの地位を確保し続けているレクビィ。
 同社のラインナップは、フル装備で乗り出し900万円にもなろうとするハイエンドユーザー向けの「シャングリラ」を頂点に、若者にも買いやすい300万円台に収めた「ホビクル」や「T-スタイル」まで、非常に多岐にわたる。

 その主力商品群となるのが、400万円台から600万円台のバンコンシリーズだ。
 ここには、ロングセールスを記録しているファイブスター、カントリークラブ、ハイエースプラスなどの歴史と伝統に彩られた名車が並び、バンコンのリーディングカンパニーにふさわしい品ぞろえを誇っている。

 これらの中軸ブランドのベース車の多くはトヨタ・ハイエース・スーパーロング。
 これほどの豊かな居住性を保証するボディは、現在それに代わるものがなく、国産バンコンのシャシーとしては最高峰に挙げられるだろう。

 しかし、レクビィの屋台骨を背負う中軸車種群に、新しい動きが見えてきた。
 
 
なぜNV350キャラバンなのか?

 このほど開発された「イゾラ」というバンコンには、ハイエースのスーパーロングではなく、日産NV350キャラバンが使われている。
 しかも、標準幅ボディ。
 長さこそ、ハイエース・スーパーロングにも迫る5080mmを維持しているが、幅は5ナンバーサイズの車と変わらぬ1695mm。
 スーパーロングよりも185mmも狭い。

 取り回しのよいナローボディを目指すのなら、最初からハイエースの標準ボディを採用してもよかったはずである。
 このシャシー選択には、どのような意図が秘められているのだろうか。

 レクビィで、同車の開発に関わる立場にもいた増田拓人(ますだ・たくと)さん(写真下)に、新型車「イゾラ」開発の背景を聞いてみた。


 
 
ナロー幅でトイレルームを実現するためには 

【町田】 レクビィさんがNV350をベース車に選ばれたのは、最近ではイズムがありますが、それ以外はハイエースが中心ですよね。そのなかでも500万円前後の主力車種の大半はスーパーロングです。
 ところが、400~500万円クラスのイゾラではNV350の標準幅ボディが使われている。ずばりその狙いは何だったのでしょうか。

【増田拓人】 私どものバンコンには、ファイブスターやカントリークラブ、あるいはシャングリラのように、リヤにFRP製防水パネルを張って、トイレ・シャワー機能を持たせた車種がけっこうあります。
 このイゾラも、その路線を踏襲した車なのですが、やはり、ハイエースのスーパーロングでは、大き過ぎるという声があることも事実なんですね。
 特に、東京や大阪のような首都圏になると、道も駐車場も狭くなる。それに対応するために、全幅1695のキャラバンを採用することにしました。
 それによって、横幅は取り回しのよいサイズに収まったのですが、リヤにトイレ・シャワールームを確保するには、最低5mの全長は欲しい。ハイエースの場合は、ちょうどそれに適合する設定がないんですよ。
 そのために、標準幅のキャラバンスーパーロングを採用することが決まったのです。

▼ シャングリラのトイレ・シャワールーム
  
  
 
家族構成によって決まるレイアウトや装備類

【町田】 トイレ・シャワー室というのは、「要らない」というユーザーさんと、「絶対に必要」というユーザーさんがくっきりと分かれる設備ですよね。特にバンコンの場合は、今では珍しい方に入るかもしれない。
 このトイレ・シャワーユニットを標準装備したという意図は、どういうところにあったのでしょうか?

【増田】 キャンピングカーのレイアウトや、その装備類のプライオリティーというのは、使用目的や家族構成によって決まってくるんですね。
 したがって、1台を人数の多いファミリーで使う場合は、トイレコンパートメントよりも、当然ベッドスペースが重視されることになります。
 しかし、ご夫婦2人でお使いになる場合は、一部の空間をトイレスペースが占めたとしても、ベッド寸法やキッチン機能をしっかり確保できる。
 そうなると、お年を召された方、特にご婦人の場合は車内に個室トイレがある方が安心できると思うんですね。

【町田】 分かります。自分の場合も、車選びのときにカミさんのリクエストによって、車内にトイレ室を持ったキャンピングカーであることが絶対条件でした。
 2人旅が中心となるような車では、トイレがあっても困ることはない。しかし、いざというときに、ないと困るのがトイレですよね。

【増田】 そうおっしゃるシニアの方は多いですね。このイゾラのトイレルームは、水道設備をオプションで付けることもできるので、温水仕様にすればシャワー機能を満足させることも可能です。
 シャワーフォーセットは外に伸びるようになっているので、散歩から帰ってきたペットを車内に入れる前に、その足を洗ったり、海水浴から帰ってきたときに、体の塩水を落としたり、スキー靴の雪を払ったりすることもできるようになっています。

▼ イゾラのトイレ・シャワールーム

 
 
カラーコーディネイトにおける新境地
  
【町田】 イゾラは、室内のカラーコーディネートに、この車ならではの “味” がありますね。
【増田】 やっぱり落ち着いた色調を好まれるご年配の方の好みを意識してみました。
 今まで弊社のバンコンのインテリアは、どちらかというと、コントラストの強い配色が多かったんですよ。たとえば、ダークブラウンとオフホワイトの組み合わせとか。
 そういう色使いは当社が積極的に展開したせいもあって、今では他社さんのキャンピングカーでもよく見かけるカラーコーディネートとして認知されてきました。
 ただ、これほど普及してくると、多少飽きてきたという気持ちもあるんですね。そこで、うちとしても新しい色柄に挑戦してみたいという意欲が生まれてきて、それでイゾラのような配色を選んでみたんです。

【町田】 目にズバッと飛び込んでくる刺激はないのかもしれませんが、この色使いには落ち着いた優しさが漂っていて、車内に長く逗留しいても、飽きがこない感じがします。
【増田】 ありがとうございます。おっしゃるとおり、配色のコントラストを弱めた分、モヤッと霞んだような印象があるかと思いますが、実は細かい部分で凝っているつもりなんですよ。
 たとえばシート地の間に、ちょっとだけ黄緑のキャラクターラインを入れて、中間色の色柄に、わずかな “隠し味” を潜ませている。たぶん、そういったディテールの工夫が、このイゾラの個性をまとめあげているんでしょうね。
 
 
“アイランドキッチン” というアイデア

【町田】 そもそも「イゾラ」というネーミングは、何をヒントに生まれてきたんですか?
【増田】 イタリア語の「アイランド(島)」。この車のレイアウト上の特徴として、キッチンカウンターを二つに振り分けて、運転席からのウォークスルーを実現してみたんですよ。それを名づけて「アイランドキッチン」(笑)。それをそのままブランド名にしようと。


 
【町田】 ああ、輸入車のなかには「アイランドベッド」というレイアウトがありますものね。あれもベッドの両サイドに人のアクセスを確保している。つまり、人の動線を意識したキッチンということなのかな。
【増田】 そうですね。とにかく、この車では、徹底的にお客様の使い勝手を最優先した作りを貫いたつもりなんです。


 
 
ベッドメイキングに秘策あり !
 
【町田】 キッチンの他には、どういう部分にそれが反映されているのでしょう?
【増田】 たとえば、ベッドメイキングするときに、極力お客様の頭と手をわずらわせないような工夫を凝らしてみました。
【町田】 … というと?
【増田】 ご覧になっていただければお分かりになると思いますが、ベッド展開するときに、ソファーの背もたれを補助マットとして埋め込む方式を採っているんですね。
 そういう方式の場合、今までは「どのマットをどこに埋めればいいのだろう?」とお客様が迷うようなジグソーパズルのようなやり方を強いるスタイルが多かったんですよ。
 そこで、イゾラでは、どの補助マットを選んでも、パタッパタッと自動的にベッドスペースが埋まっていくように工夫しています。

【町田】 目をつぶってマットを選んでも大丈夫と?
【増田】 そうです。どのマットも、みな同じ寸法と同じ厚みで統一されていますから、マットの前後左右を気にすることなく、ベッドの隙間を見つけては、手に取ったマットをポンとはめ込むだけ。
【町田】 ほぉー。それはすごいですね。
【増田】 ベッド全体の寸法を計算するのには、すごく苦労しましたけれどね(笑)。

【町田】 ただ、ベッドにした状態でこのテーブルを残すときには、ポールの隙間部分を考えなければなりませんね。
【増田】 それも大丈夫なんです。どのマットにもすべてテーブルポールが入る部分を残した「切り掛け」を設けてあります。
 この切り掛けのところがポールに接する方向になるように注意するだけ。あとは、頭をひねることなく、機械的にパタッパタッと … 。

【町田】 う~ん …… すごい工夫ですね。確かに “ユーザー目線” で開発された車だということが分ります。
 ベッド展開というのは、 特にバンコンの場合は、ユーザーにとって一大作業ですものね。寝るためのスペースを確保するために、荷物をいったん外に出さないとならないようなキャンピングカーというのも、確かにありますからね。

【増田】 まぁ、この車のユーザーさんたちは、おそらく万年床で使われる人が多いんじゃないでしょうか。実際にワンちゃんプラスご夫婦というようなユーザーさんは、どんな車でもだいたい万年床状態ですからね。
 で、車内をベッド状態にしてから、お風呂やお食事に行き、車に戻ってから、ベッドの上であぐらなどをかいて、テレビを見ながら冷蔵庫の冷えたビールを飲む。そして、疲れたらそのまま横になる。
 そんな使われ方が多いように想像しています。
 
 
 アイデアの素は、お客様の “ため息”

【町田】 いずれにせよ、ベッドメイクは簡単にすませる方がいいことには変わりがないわけで、そのための工夫は実に行き届いていますね。補助マットのサイズをみな同じ寸法にしたり、すべてのマットに切り掛けを入れてみたり …… 。
 そういうアイデアはいったいどこから生まれてくるのですか?

【増田】 それは、スタッフ全員のブレインストーミングみたいな作業から生まれるんでしょうね。
 実は、キャンピングカーの開発には二通りのスタイルがあるように感じているんです。
【町田】 その二つとは?

【増田】 一つは、強力な指導力を持ったリーダーがイニシアチブを取って、自分の個性を打ち出したキャンピングカーを作っていく。うちでいえば、シャングリラなどはそういうタイプの車だと思っています。
 もう一つは、開発に携われる人たちが、営業スタッフなども巻き込んで、みんなで少しずつアイデアを出しあっていく。
 特に、“お客様目線” の車を作るには、それがけっこう重要なことなんですね。そういう全方位的な視野に立てば、強烈な個性は出てこないかもしれないけれど、代わりに一人の人間では見落としてしまうようなディテールの輝きを拾うことができると思っているんです。

【町田】 なるほど。面白い見方ですね。
【増田】 で、大事なのは、展示会やショールームでお客様の漏らす “ため息” を拾うことだという気がしています。
 というのは、企画会議とか販売戦略会議などという公式の場には、その “ため息” の部分は上がってこないから。
 もちろん、会議の席上では、「こんな装備は要らないと言っていたお客様がいた」とか、「このレイアウトはいいよね」と言ったユーザーさんがいたなどという事例はアップされます。
 しかし、ほんとうに大事なのは、お客様の無言のためいきのようなものから伝わってくるもの。それを見逃さない感性が営業の現場にいるスタッフには必要になってくると思うんです。

【町田】 その “ため息” って何ですか?
【増田】 どう言ったらいいんでしょう …… 。キャンピングカーイベントの会場などで、お客様が車内を覗きこんだときに漏らす微妙な息づかいですね。「ほぉー」とか「へぇー」に近いもの。
 その一瞬の息づかいのなかに、そのお客様が室内を見て、「いいなぁ」と思ったり、「これ変だな」と思ったりする心模様が表れる。
 それを見逃さないことですね。
 で、そのお客様が何か質問してくるときには、もう身構えていらっしゃるから、当たり障りのない感想になったりすることもある。


 
 
キャンピングカー開発はジャムセッションだ !

【町田】 なるほどね。お客様と販売員の心理戦の様相を呈してきましたね(笑)。
【増田】 いえいえ、そんな大げさな問題ではまったくないんですけど(笑)、会議のときに、現場の人たちがそういうお客様の表情を思い浮かべるだけで、何かのヒントが生まれることはあるように思います。

【町田】 分かります。実はけっこう大事な話。新しいレイアウトでも新装備でも、まだこの世に生まれていないものは、それを表現する言葉も生まれていない。
 そういうときには、相手の表情やしぐさなど、言葉にならない部分を的確に取り出す作業は必要になると思うんです。
 それはキャンピングカー開発に限らず、新しいものを創造するときの基本原理ですね。

【増田】 生意気な言い方かもしれませんが、キャンピングカー開発って、音楽でいうジャムセッションのようなものかもしれないという気がしています。
 たとえば、いま言った「お客様の言葉にならない“気分”」のようなものを会議の場で探り当てていくということは、参加者がみな楽器を抱え、基本のキーだけ決めておいて、ベース奏者がその根音を奏で、ドラムスがそれに合わせてリズムを取り、それを聞きながら、ギターがフレーズを作っていくようなもの。そういうインプロビゼーションの世界に思えてしかたがないんですね。

【町田】 面白い表現ですね !
【増田】 いえいえお恥ずかしい話ですけど、ブレインストーミングとは、そういうことだと思っています。
【町田】 増田拓人さんは、非常に素敵な感性をお持ちですね。きっと将来素晴らしい車を開発されることでしょう。
 
イゾラWEB情報 (↓)
http://www.recvee.jp/01_camper/01_line/28_isora/index.html
 
 
参考記事 「Shangri-LaⅡ(シャングリラ2)」
 
参考記事 「レクビィ増田社長インタビュー」 
 
参考記事 「レクビィ『シャングリラ』」 2014年情報
 
 

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