セントラル自動車「エクスクルーザー」

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こんなキャンピングカーもあったんだ !(第3回)
 
進み過ぎていたキャブコン

エクスクルーザー(Excruiser)
開発・発売 セントラル自動車
2004~2006年情報

 時代の先を行き過ぎたキャンピングカーは、往々にして、評価の定まらないまま終焉の時を迎えることがある。

 その革新性や斬新さは評価できたとしても、あまりにも進み過ぎた車は、購入対象として検討される前に、「いやぁちょっと待てよ。乗った人の話を聞いてから」と顧客層から二の足を踏まれることが多い。

 キャンピングカーの世界は、意外と保守的である。
 「使い勝手」という言葉が、いまだにキャンピングカー評価のキーワードになるくらいだから、開発された車が、いかに地球環境に貢献しようが、リサイクル性を訴えようが、そんな抽象的なテーマよりも、ベッド展開の簡便さとか、収納スペースの容量などといった現実的課題の方が、多くのユーザーにとっては大事である。

 また、ビルダーにとっても、ベース車の供給を自動車メーカーに頼らざるを得ない以上、地球環境の保護に貢献するキャンピングカーなどというものは、作りたくても手を出せる領域ではない。

 セントラル自動車が2004年にリリースした「エクスクルーザー」というキャブコンは、まさにそこに一歩踏み込んだ車だった。
 ABS樹脂という100%リサイクル可能な素材をキャンピングシェルや内装材に使い、軽量化とエコロジーの追求をテーマに掲げたキャンピングカーだったのである。 


 
 当時、キャブコンの外装素材の大半がFRPだった時代に、これは画期的なことだった。
 ちょうどその頃、乗用車においても環境問題を考慮しない車両開発が疑問視される風潮が生まれ、石油資源の有限性を意識した燃費の向上、大気汚染を防ぐための排ガス浄化、そして素材のリサイクル性などが大きなテーマになっていた。

 そのなかで、FRPというのは、当時リサイクルの目途が立たない素材の代表であるかのような扱いを受けていた。
 そこに登場したリサイクル率の高いABS樹脂を使ったキャンピングカーというのは、いわば業界の “素材革命” の推進者と目されるような存在になったのである。

 セントラル自動車がABS樹脂の採用に踏み切ったのは、やはり同社が、世界の自動車界をリードするトヨタ自動車の系列会社だったからに他ならない。

 実際に、このプロジェクトの立ち上げには、トヨタとも関連のある12社の異業種間ネットワークが構築され、キャンピングカーにABS樹脂を使うことよる強度、剛性、断熱性を確保するための徹底的な研究が行われたと聞く。

 セントラル自動車の並々ならぬ決意は、そのベース車の選択にも表れていた。
 日本では発売されない米国トヨタ製のピックアップトラック「タンドラ」が採用されたのだ。
 当時、同社は業務として、北米産のタンドラの逆輸入も手掛けていたから、それをベースにしたキャンピングカー開発というのは、他社との差別化を図る有力な材料になりえた。

 4700ccの排気量を誇るエクスクルーザーのV8・DOHCエンジンの叩き出すパワーは240馬力(2006年には282馬力になっている)。国産キャブコンとしては比類ない動力性能に恵まれた車だった。

 内装も斬新だった。
 床が透けて見えるシースルーのテーブル。
 人工大理石調のフロア。
 白亜のABS樹脂を使った壁とドア。



 この時代のキャンピングカーは、まだナチュラルな質感を生かした木工とファブリックが主流だったから、エクスクルーザーの室内に一歩踏み入ると、まるでプライベートジェット機に乗って空を飛翔するような異次元感覚に襲われた。

 レイアウトも異色だった。
 進行方向に向かって縦向きの2段ベッドを備えたタイプ(プレジャー)と、リヤに横向きのベッドを置くタイプ(プラウド)の2パターンが用意されていたが、そのどちらにもダイネットベッドの設定がない。
 ダイネットには、ホールド性に優れたトヨタ純正シートが設置され、就寝機能よりも移動時の快適性の方が優先されていたのだ。



 
 この車に対する中古車としての評判はけっして悪くない。
 エコロジー志向の素材的先進性が評価されたというよりも、タンドラベースのボンネットキャンパーという希少価値性が魅力的に思われたからだろう。
 
 しかし、ロデオやギャラクシーといった他のボンネットキャンパーに比べ、市場に深く浸透することはなかった。
 
 ABS樹脂といわれても、果たして耐久性はどうなのか?
 強度はほんとうに保障されているのだろうか?
 
 セントラル自動車は、ユーザーたちの素朴な疑問にしっかり答えきれる時間的猶予もなく、親会社の意向によってキャンピングカー部門から徹底することを余儀なくされた。 

 何から何まで異色づくめのエクスクルーザー。
 このような車が、今から10年ほど前に生まれていたというのは、やはり「早すぎた」といわざるを得ない。
 
 しかし、この車が、そのままの状態でいま復活してきたら、誰もが諸手を挙げて歓迎するだろうか。
 それもちょっと微妙な気がする。
 
 改めて内装を見てみる。
 なんとなく、レトロである。
 60年代とか、70年代ぐらいのSF映画に出てきそうなインテリアなのだ。
 “未来的” ではあるのだが、それは現在の視線で眺めれば、「終わってしまった未来」である。

 この車の真価を評価する時代は、いったいいつ訪れるのだろう。
 
 「異次元空間を永遠に飛翔し続ける幻の名車」
 エクスクルーザーというキャンピングカーには、その言葉を賛辞として捧げたい。

 なお、エクスクルーザー以外にも、ハイエースベースの数々のキャンピングカーを「トヨタブランド」として送り出してきたセントラル自動車だが、2008年にはキャンピングカー事業から撤退し、2012年には関東自動車工業に吸収合併され、解散している(Wikipediaより)。
 
 
Excruiser information

全長5980mm/全幅2075mm/全高2885mm
乗車定員7名/就寝定員5名

ベース車 トヨタ・ダンドラ(初代)
エンジン種類 V8 DOHCガソリン
排気量 4700cc
最高出力 240ps/4800rpm
最大トルク 43.5kg-m/3400rpm
ミッション 4速AT
駆動方式 4WD
ホイールベース 3260mm
当時の価格
2WD V6 3.4リッター 6.121,500円~
4WD V8 4,7リッター 6,961,500円~

標準装備(一例)
エントランスドア/電動ステップ/ジェネレーターボックス/センターテーブル/2人掛けシート2脚/ユーティリティルーム/クローゼット/ルーフサイド収納ボックス/ロンリュームフロア/フォーセット/シンク/外部給水口/給水タンク(50㍑)/排水タンク(70㍑)/カセットコンロ/電子レンジ/冷蔵庫(56㍑)/バンクベッド/2段ベッド/ベンチレーター/リヤヒーター/無指向性アンテナ/室内スピーカー/サブバッテリー/走行充電システム/外部電源入力/100Vコンセント・12Vコンセント他
オプション(一例)
サイドオーニング/カセットトイレ/温水シャワー/電磁調理器/FFヒーター/ルーフエアコン/ジェネレーター/フロント・リヤ各種専用強化サスペンション他
  
   
シリーズ こんなキャンピングカーもあったんだ !
 
第1回 「ㇾブコン 6×4」
 
第2回 「スミティ」
 
 

カテゴリー: campingcar   パーマリンク

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