シニア夫婦の「くるま旅」のコツ

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 『キャンピングカー白書』(2014年版)によると、キャンピングカーの購入動機として、「夫婦2人で旅行を楽しむため」という理由を掲げた人は52.0%にのぼるという。
 どうやらキャンピングカーは、現代社会におけるシニア夫婦の大切な旅行手段になってきたようだ。

 しかし、「2人のくるま旅」の場合、旦那さんが覚えておかなければならないコツがあるのだそうだ。

 あるキャンピングカービルダーの社長さんから、雑談の合間に、そのコツを伝授してもらったことがある。
 相手を、仮に「○○氏」とする。
 年齢は、60歳を超えた方である。
 以下、○○氏との雑談を、ほとんど加工することなく、そのまま記す。
 
  
夫婦のキャンピングカー旅行で
旦那が守らなければならないこと

  
 
【町田】 ○○さんは、キャンピングカーを作って売っていらっしゃいますけど、ご自分でも奥様といっしょにキャンピングカー旅行に出かけることはあるんですか?
【○○】 ああ、ありますよ。

【町田】 そういうとき、夫婦ゲンカしたりしないですか?

【○○】 昔はありましたけれど、今はもうないね。だって、あの狭い空間で、もし仲が悪くなったら逃げ場がないじゃないですか。
 だから、気まずい空気が流れ始めたら、すぐこちらから折れる。
 旦那は黙って女房の小言を聞いていればいいんですよ。もうひたすら隠忍自重(笑)。
 
 

  
   
【町田】 それが “○○家” の夫婦円満のコツということなんですね(笑)。

【○○】 だってそうでしょ。若い夫婦ならいざ知らず、お互いに年をとってくると、相手が何を好きで、何が嫌いかということも分かってくるじゃないですか。食べ物でも、趣味でも、考え方でも。
 で、ケンカが始まるのは、だいたい女房の嫌がることを旦那がしたときだよね。そういう失敗を繰り返していけば、学習しない旦那の方がおかしい。
 
【町田】 逆に、奥様の方が旦那の嫌がることをしたら?

【○○】 それはない。… というのは、女は、基本的に相手の嫌がることをしないもんなんですよ。ただ、自分の感情が害されたときに反発するだけ。
 だから、夫婦円満のコツは、旦那が奥さんにすべての主導権を譲ること。財布もね。そうすれば、女房は旦那のために一生懸命がんばるものなんです。
  
  
「俺が外で稼いでいるのに
文句があるか !」は禁句

  
 
【町田】 う~ん …… 。説得力を感じる話だなぁ。

【○○】 うちに来られるお客様を見ていると、そのことがよく分かりますね。夫婦で来られたとき、奥さんがお金を握っていて、奥さんの方が(キャンピングカーの)支払をしている家はだいたい円満家庭なんです。
 逆に、旦那がポケットから現金を出したり、カードを出したりする家というのは会計が少しずさんだったりするのね。
 それが奥さんからみると、心配のタネになったり、不信感のもとになったりするわけですよ。
 そういうことが不仲の原因になることはありますね。

【町田】 よく夫婦げんかしたときに、「俺が外で稼いでいるのに文句があるのか」と怒鳴る旦那さんがいますけど …

【○○】 あ、それは禁句だね。ぜったい言っちゃいけないこと。
 やっぱり女房の立場を尊重する気持ちがあれば、そのセリフは出ないはずなんですよ。
 だって、それは「女性を金の力で隷属させる」という思想が滲み出たものだから。

【町田】 なるほどね。でも、会社でバリバリ働いている男性は、「俺が一家の家計を支えている」という自負心を持ちたいでしょうね。「俺の力で女房・子供を食わせてやる」という気負いも大切だと思う男もいるでしょう。

【○○】 もちろんそうですけど、そういう気負いって、「俺は強い男だぞ」という過剰なうぬぼれにも繋がりかねないんですよね。
 女房・子供の幸せだけを考えてバリバリ働いているうちはいいんだけど、なんかの拍子に、自分の魅力を他の女性にも試してみたくなることってあるじゃないですか。

【町田】 そうなると浮気の危機が。

【○○】 そうなんですよね。… 面白いのはね、男の浮気って、心のすき間に忍び込んでくるものじゃないのね。逆に女房・子供のことを思って、心が充実しているときなんだよね。
 つまりね。心に張りがあって、仕事が順調にいったりするときってさ、けっこう男が輝いているときなんですよ。
 そういうときは、職場なんかで一緒に働いている女性にとっても、その男が魅力的に見えることがあるの(笑)。

【町田】 あっ、自分で経験してますね?(笑)
【○○】 んなぁことはないよぉ(笑)。

【町田】 確かに、そういうケースは、テレビドラマになんかにも出てくるなぁ。

【○○】 でしょ? 男の40~50って、最後の花を咲かせたくなる年なのよ(笑)。まだ女房の “お取り替え” が利く年齢だから。
 でもね、その結果、悲惨な運命をたどった男も多かったですよ。私が学生の頃から遊んでいた仲間で、バブルの時代に金回りがよくなって、遊び先で知り合った女性と “お取り替え” をしてしまった男性が何人かいたんですよ。
 でも、そのあと自分の会社が潰れたり、せっかく獲得した新しい女房に逃げられたりとかね(笑)。
  
 

   
夫婦で楽しい時間を過ごせるようになるのは、
60歳を過ぎてから

  
 
【町田】 その40~50の危険な年齢を乗り越えると、あとは安定するのかなぁ。

【○○】 というか、あきらめの境地になるんじゃない?(笑)。60を過ぎると、もう “お取り替え” する気力も体力も、お金もなくなってくるから。
 まぁ、夫婦がほんとうに楽しい時間を過ごせるようになるのは、お互いが60過ぎてからでしょうね。
 だから、その年齢が来る前に、円満な関係をつくっておくことが大事なんですね。

【町田】 それには、キャンピングカーによる「くるま旅」がいちばんだと?
【○○】 そう言いたいところだよね。我々の商売としては … (笑)。
 でも実際そうですよ。キャンピングカーで2人旅をしている夫婦で、不仲なカップルというのは一組もない。

【町田】 すでにその段階で、円満の障害となるようなハードルをひとつ乗り越えているということかな。 

【○○】 そうでしょうね。… というかね、家にいるときの気まずい空気を、キャンピングカー旅行って、吹き飛ばす力があるんですよ。
 たとえば、お互いに、ちょっと腹の虫が治まらないようなことがあって、夫婦間に沈黙が訪れたりすることがあるじゃないですか。家の中じゃ気まずいだけですよね。
 でも、不思議なもので、その沈黙が、キャンピングカー旅行で2人並んで夜空なんか眺めていると、“豊かな沈黙” に思えてくるの(笑)。

【町田】 錯覚するんだ(笑)。
【○○】 いや、錯覚ではなくて、「沈黙の意味」をお互いに問い直す … というのかなぁ。
 「あいつのここが許せない」という気持ちが、「やっぱり俺の方が悪かったかな」という反省に変わるんだよね。
 
 
密室だからこそ、お互いの心が
つながるキャンピングカー空間

  
 
【町田】 ああ… 、そういうことってありますよね。それが旅行の力かな。

【○○】 そうなんだよね。キャンピングカー旅行って、一種の “密室の移動” でしょ? 乗用車のドライブだって走行中はそうかもしれないけれど、キャンピングカーは泊まるときも密室だよね。
 そうなると、やることがないから、話し合うんですよ。
 最初は月々の支払いとか、子供や孫の近況とかいう日常的な会話からスタートするかもしれないけれど、だんだん出会ったころの思い出とかさ。

【町田】 昔いっしょに見た映画の感想とか。
【○○】 そうそう。
【町田】 「若い頃のあなたは、ほんとうに素敵だったわ」とか(笑)
【○○】 ハハハハ(笑)
 
 

    
 
【町田】 そういう時間って、家のなかでは、あんまり経験しませんよね。
【○○】 でしょ? だいたい旦那がリタイアして家にいると、旦那は日経新聞なんか読んで株やって(笑)。奥様は近所の奥様同士でランチ会に行ったり … 。そんな繰り返しで時が流れていく。

【町田】 味気ないよね。

【○○】 そういうときに、キャンピングカーが1台あって、一緒に旅に出るというのは、ひとつの「シニア文化」だと思うんですよ。
 キャンピングカーの狭い空間というのは、お互いを再発見する空間なわけだから、いわば “夫婦の活性化空間” (笑)。
 その意味は、当人同士も気づいていないだろうし、社会も気づいていない。
 でも、それは確実に、ひとつの「シニア文化」を形成しているんですよ。

【町田】 キャンピングカー業界は表彰されてもいいね(笑)。
【○○】 ほんとうだよ(笑)。
  
  
旅行中は、奥様の失敗に
けっして小言をいわない

  
 
【町田】 夫婦2人のキャンピングカー旅行で、旦那が何か気を付けなければならないことって、ほかに何かあります?

【○○】 行く先も、選ぶ道も、すべて奥様の好きなように任せること。運転中だって、「あなたこっちの道へ行ったら?」と言われれば、「はい」と答えて、そのとおりにする。
 「あっちへ行って何が見たい」、「こっちへ行ってあれが食べたい」と言われれば、すべて「はい」(笑)。
 最初からビシッと予定を立てる旅なら、そうはいかないかもしれないけれど、キャンピングカー旅行って、基本的に「予定なし」の旅が可能だからね。予定を決めないところで生まれるハプニングを楽しめるのがキャンピングカー。

【町田】 だけど、その奥様の行き先選びが、非常に不合理だったり、無駄な時間を費やすコースだったら?

【○○】 そこは我慢(笑)。結果的に女房が失敗したことが分っても、そこでけっして嫌味を言わない。
 「お前がこっちの道に行こうと言ったから、遠回りになっちゃったじゃないか」
 なんて小言をいって女房を機嫌悪くさせたら、せっかく女房に従ってきた旅を台無しにしちゃうでしょ。それは自分にとっても損なんですよ。


        ↓
 
  
疲れたらホテルに泊まる
  
 
【町田】 ほかに、旦那が気を付けることは?
 
【○○】 あとは、キャンピングカーだからといって、何が何でも車内で泊ろうとすると無理が出ますね。
 だいたい自動車旅行というのは、どんな良い車を使っても疲れが出るんですよ。
 だから、疲れたときは、少しお金がかかっても、思い切ってホテルに泊まる。それが奥さんの疲労を取るだけでなく、自分の疲れも軽減させることになりますしね。

【町田】 よく車中泊で、食事をカップ麺ですまそうとして、旦那が、「なぁ、家で食うカップ麺は味気ないけど、こういうところで食うカップ麺はうまいだろ?」って … 。
 
【○○】 ああ、それはいちばん駄目なケース(笑)。一度や二度は、そういう環境を楽しむのはお互いに面白いと思うけれど、それが続くと駄目ですね。
 基本的に、奥様が旅行を楽しむときは、グルメの比重が大きいんですよ。
 海なんか見える駐車場で、男がカッコつけながら一人カップ麺を食べるのは、映画のシーンみたいで、それは一つのロマンだと思うけれど、それはあくまでも “男のロマン” 。
  
  
キャンプ場で旦那が作る野外料理に
奥様は愛情を感じる

  
 
【町田】 よくキャンプ場などに行って、旦那がいろいろ料理を作って奥様を慰労することが喜ばれるといいますけど。
 
【○○】 う~ん …… 。でも、それは条件が付きますよね。
 だってね、…… まぁ日頃料理を作り慣れている男性は別ですよ。でも急にフライパンを振ったって、慣れないとそんなにおいしいものはできないですよ。
 それに、男料理はコストがかかる。
 食材だって、日頃スーパーなんかに行って研究していないと、いちばん高い物を買ってくる(笑)。
 でも、そうやって旦那さんが一生懸命料理を作ってくれるということに対して、奥様は愛情を感じるのではないかな。
 だから、行動としては正解ですね。

【町田】 最初は慣れなくても、野外料理から料理全般に目覚める旦那さんはいますよね。
【○○】 そうですよね。それは旦那にとっても、新しい趣味を持つことになるから、いいんじゃないのかな。
  
  
冷蔵庫の意外な活用法
  
 
【町田】 キャンピングカーの車内で調理する場合 … といってもキッチン機能が充実した車でないと駄目でしょうけれど、そういう車内調理が可能な場合、うまい料理を作るコツってのがあるんですか?
 
 

    
 
【○○】 たいていのユーザーさんたちは、
 「車内で食事するときは、スーパーで出来あいの惣菜を買ったり、電子レンジで冷凍物をチンするだけだよ」
 と、よくいいますけれど、オーブンなり電子レンジが使えれば、けっこういつもの家庭料理が楽しめるんですよ。

【町田】 そのコツは?
【○○】 冷蔵庫ですよ。特に冷凍庫付きのね。つまり、出かける前に、もう下ごしらえした食材を用意しておくんですね。
 で、それを冷凍庫に保存して移動すれば、行く先々で、それを解凍するだけで家庭料理が楽しめる。
 
【町田】 冷凍庫付きとなると、輸入車じゃないと無理かな。
【○○】 いえ、そんなことはないです。国産車だって、しっかり探せば冷凍庫付きの冷蔵庫を搭載している車もありますから。
 そういう車だったら、家庭の冷蔵庫に入れておいたものを、さぁっとそのままキャンピングカーの冷蔵庫に移し替えればいい。
 特に、食事療法が必要な人などは、そういう食べ慣れた物の方が安心できますよね。
 
【町田】 ま、飽きたら外食すればいいんだしね。
【○○】 そうです。家庭料理から外食。冷凍ものからカップ麺まで(笑)。どんな食事でも楽しめるのがキャンピングカー旅行です。
   
 
夫婦の2人旅ネタ
「寝る場所を選ぶ権利は、夫にあるのか妻にあるのか」
 
   

カテゴリー: campingcar, コラム&エッセイ   パーマリンク

シニア夫婦の「くるま旅」のコツ への2件のコメント

  1. 木挽町 より:

    微笑ましいなかに切実なものを感じました。ある程度の年齢になると、煩わしいことは極力避けたいもの。お互いの存在が煩わしくなければ何をしても許容範囲に入るんだろうなと思いました。キャンピングカーライフを楽しめる夫婦がいる反面、キャンピングカーが原因で喧嘩になる夫婦もいらっしゃることでしょう。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      村上龍の書いた小説のなかに、『55歳からのハローライフ』という短編集があります。そのなかに収録された『キャンピングカー』という作品では、定年退職を迎えた主人公が、キャンピングカーを購入して、奥さんと日本一周を楽しむことを計画します。
      ところが、主人公は、奥様をびっくりさせようと思い、キャンピングカーの購入を直前まで秘密にしてしまうんですね。

      案の定、それを奥さんに打ち明けたとき、奥さんは喜ぶどころか、定年後の経済状況に不安を感じ、その購入に反対。
      けっきょく主人公のキャンピングカー購入計画はとん挫することになってしまうのですが、この話が教えてくれることは、たとえ奥さんを喜ばせようという動機であっても、旦那の独善性が問題であったということなんですね。

      キャンピングカーというのは、やはりある程度の高額商品であるので、奥さんといっしょになって、購入計画を練るという手続きを踏まない限り、男の夢物語に終わってしまうということなんだろうと思います。

      そういった意味で、木挽町さんがおっしゃる >>「キャンピングカーが原因で喧嘩になる夫婦」というのもあるでしょうね。

      村上龍の『55歳からのハローワーク』という小説は、定年を間近に控えたサラリーマンの心の危機を描いたなかなか面白い小説集です。私自身もけっこう勉強させてもらいました。(↓)
      ただ、ここから何かの教訓を得たといっても、それを実生活で生かすのはまた難しい問題もあるかもしれませんけれどね(笑)。
      http://campingcar.shumilog.com/2014/08/10/55%E6%AD%B3%E3%81%8B%E3%82%89%E3%81%AE%E3%83%8F%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%83%A9%E3%82%A4%E3%83%95/
       

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