アストロキャンパーが輝いた時代 (アストロスター)

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こんなキャンピングカーもあったんだ !(第4回)
 
 
アストロキャンパーが輝いた時代
   
アストロスター
輸入元 ケイ・アイ・エムジャパン
1995年情報


 
 1990年代中頃の輸入キャンピングカーの世界は、シボレーアストロを軸に回っていたような感じがする。
  
 タイガーXL、アストロスター、マトランミニ、アストロポップアップキャンパー。
 さらに FRP製ハイルーフやエアロパーツで外装をドレスアップし、革張りシートやシャンデリアが室内を飾るラグジュアリーバンのようなものまで含めると、どのくらいの種類のアストロが日本に入ってきたか分からない。
 
 キャンパーにおいてもラグジュアリーバンにおいても、アストロは押し出しの強い “顔” をしていたから、街の中に紛れ込んで来るだけで空気を変える。
 スタークラフト、ティアラ ロイヤルスター、レインボースターなどといったコンバージョンモデルは、路駐しているだけで、そこにアメリカの匂いをまき散らした。

▼ レインボースターのカスタマイズド・アストロバン

 
 輸入モーターホームの世界に “アストロ台風” が押し寄せたのは、1993年である。
 当時、東京・世田谷区に事務所を構えていた輸入車ディーラー「USA」が導入した「タイガーXL」が、爆発的ブームを巻き起こしたのだ。
 
 1994年以降になると、タイガーの販売台数は、三菱商事やトーメン、ボナンザなどの大手ディーラーのモーターホームの台数を軽くしのいでいたはずである。
 私がUSAという会社を取材し始めたのは、1994年からであるが、97年に同社を訪れたときは、瀬田の交差点を見下ろす場所にデッカイ “USAビル” が建ち、最上階のワンフロアを独占する社長室からは、東京の全景が見渡せた。

 しかし、ここで紹介するのは、そのタイガーXLではなく、同じアストロをベースにしたもう一台のモーターホーム「アストロスター」である。

 タイガーXLが、洒落れっ気のある華やかなモーターホームであるとすれば、アストロスター(94年モデル)は、無骨で地味である。
 手元にある写真を比べてみると、タイガーの方は95年モデルであるため、フロントフェイスがクロームグリルとコンビネーションランプに変わっているが、アストロスターは貨物車仕様の角型2灯ランプのままなので、その差も現われている。

▼ タイガーXL(95年モデル)


▲ アストロスター(94年モデル)
 
 しかし、どちらもキャラが立っている。
 日本ユースを意識したキャンパーだけに、ともに全長が抑えられ、アストロスターで4900mm。タイガーで4877mm。 
 短く詰められた全長に対して、幅はともに 2mを保ち、縦横の比率が縮まっている。
 そのため、両者とも “ずんぐりむっくり” の体躯になっているのだが、それがリングに上ったレスラーのような精悍さを伝えてくる。

 アストロスターを手掛けたのは、当時神奈川県・川崎の高津区に店舗を構えていた「ケイ・アイ・エムジャパン」というディーラーだった。
 この店は、野外展示スペースも持っていたが、かなりの台数を収容できる屋内ショールームを備え、ジャンボリー/タイオガといった7~8m級クラスCを室内に4~5台並べても、まだスペースを余らせていた。

▼ ケイ・アイ・エムジャパン展示場

 そこの社長さん自身が輸入モーターホームをあれこれ使い回すのが趣味で、まだ日本ではそれほど知られていないビルダーを探し出しては、自分の希望を反映させたセミオリジナルのような車両を企画し、「日米共同開発」といったキャッチを使ってラインナップに加えていた。

 このショールームで「アメリカンサーフ」(写真下)というクラスCを見たことがある。
 それは、当時北米のマイクロミニで使われていたトヨタ製ピックアップT-100をベースにしたモーターホームで、後輪が2軸になっていた。


 
 社長さんの弁によると、「後輪のブレーキシューを増やして、制動性能を上げるための工夫である」とのことだった。
 それも理解できたが、たぶんに社長さんの趣味を生かしたスタイリング的要請から来たものであったような気もする。
 
 「アストロスター」は、ケイ・アイ・エムがこの「アメリカンサーフ」の製作を手掛けたビルダーに作らせたものである。
 ビルダー名を「アイスパシフィック・エクスプレス」といった。

▼ アストロスター運転席

 
 日本で大評判になっている「タイガーXL」の対抗車ということで、ケイ・アイ・エム側も、「アストロスター」にはさまざまなオーダーを盛り込んだようだ。
 
 日本の使用環境に合わせて、タイガーと同じように、2m×5mのサイズを維持すること。
 ファミリーユースを想定して、リビングは4人座れる対面型ダイネットにすること。
 さらに、不意のゲストや荷物置き場として使えるように、サイドソファーからもダイネットテーブルにアクセスできるようにすること。
 サイドソファーと干渉しないように、エントランスドアはバックパネルに設けること。



 
 基本的なレイアウトをそのように定め、あとはサイドオーニング、ルーフエアコン、発電機、温水シャワー機能などをフル装備にして、タイガーと競える650万円程度のプライスに収めた。

 当時、タイガーは2WDの165馬力エンジンで595万円。2WDの200馬力で610万円。4WDともなれば645万というプライスを掲げていたから、これは十分に張り合える価格であった。

 しかし、結果的に、この “アストロ対決” は、タイガーの圧倒的優勢のまま終わった。
 やはり、タイガーは、アストロモーターホームとしては先行していた強みと、あとはスタイリング的な華麗さで、アストロスターを寄せ付けなかったのである。

 しかし、モーターホームとしての実質的な機能においては、アストロスターの方が断然勝っているというファンもいることはいるのだ。
 私もそう思う一人である。

 5mクラスのキャブコンにおいて、夫婦2人で使うような場合、つまりリヤ2段ベッドを必要としない家族構成であるならば、サイドソファーの面積をたっぷり取ることのできるバックエントランスドアの方が断然使いやすい。

 サイドソファーというのは、不意に訪れた客人を招いたときにも困らないし、とりあえずの荷物置き場としても重宝する。
 疲れたら、そこに横たわって寝ることもできる。
 そして、(案外大事なことだが)、室内が広々と見渡せて、解放感が得られる。
 アストロスターは、それを実現した車であった。
 
 実は、私がいま使っているコマンダー(ヒュンダイSRX)は、このアストロスターのレイアウトをそのまま移植したような作りになっている。
 ダイネットテーブルとサイドソファーの位置こそ逆であれ、バックエントランスを上手に利用した間取りというのは、アストロスターのまんまである。

▼ コマンダー室内レイアウト

 で、面白いことに、コマンダーの外観は、タイガーXLなのである。
 バンク前に付けられた二つの窓。
 白地のボディーの横を這うブルーのストライプ。
 恥ずかしげもなく、よく “真似っこ” したものだと思う。

▼ コマンダー外装

▲ タイガーXL外装

 「アストロスターのレイアウトを採り入れたタイガーXL」
 コマンダーという車を考えた人は、大のアメ車好きの人間だったから、自分のオリジナル企画をそういう形で実現してみたかったのだろう。

 私自身は特にアメ車好きというわけではないけれど、開発者の趣味を反映して、私の乗っている車はアメ車っぽい香りがふんぷんと漂う。
 
 
ASTRO STAR  information

アストロスター
輸入元 ケイ・アイ・エムジャパン
コーチビルダー アイスパシフィック・エクスプレス
全長4900mm/全幅2000mm/全高2800mm
乗車定員7名/就寝定員5名

ベース車両 シボレーアストロ
エンジン形式 V6 ガソリン EFI
排気量 4300cc
最高出力 200ps
ミッション 4速AT
駆動方式 2WD(FR)/AWD

当時の価格 6,500,000円

標準装備(一例)
サイドオーニング/ルーフエアコン/電子レンジ/2ウェイ冷蔵庫/2ばーなガスレンジ/ステンレスシンク/小型シャワー/ボイラー式自動点火湯沸かし器/シャワー付きバスユニット/カセットトイレ/外部シャワー/清水タンク(84㍑)/排水タンク(110㍑)/LGガス(日本仕様)/オナン2.8kW発電機/ウォーターヒーター/キャプテンシート/ルーフエアコン/ダブルベッド/ダイネットソファーベッド/FFヒーター/収納庫他

…………………………………………………………………………
Tiger XL information 1994年情報

輸入元 USA
乗車6名/就寝4名
コーチビルダー プロバン
全長4877mm/全幅2108mm/全高2591mm
ホイールベース2819mm

当時の価格 
2WD 165ps 5,950,000円
2WD 200ps 6,100,000円
4WD 200ps 6,450,000円

シリーズ こんなキャンピングカーもあったんだ !
 
第3回「エクスクルーザー」
  
第2回 「スミティ」
 
第1回 「ㇾブコン 6×4」
   
   

カテゴリー: campingcar   パーマリンク

アストロキャンパーが輝いた時代 (アストロスター) への6件のコメント

  1. Bluebird より:

    町田さん、はじめまして。
    もう数年も前からブログを拝見していて、何度もその内容に共感していました。
    でも、コメントする皆さんがセンスのよいコメントを送っていらっしゃるので、どうも躊躇をしてしまっていました。

    でも今回はアストロスターを取り上げていただきました。
    これはもうコメントを送らないではいられません(笑)
    というのも、まさに私がオンタイムでアストロスターに乗っているからです。
    ブログで紹介されているとおり、タイガーと比べると無骨なデザインでとてもかっこいいとはいえません。
    後ろ姿はまるでプレハブを運んでいるトラックに見えてしまいます。

    だけどもその分中の使い勝手はすごくいいです。
    夫婦2人とトープードル3匹ですが、十分すぎるくらいの広さがあります。
    特にトイレはカセット式なので、自宅のトイレや浄化槽に簡単に流せます。

    古いアメ車というとどうしても「故障」という2文字が浮かんで、購入をためらっている方がいるかと思いますが、私のスターは故障知らず。
    それよりかアメリカ大陸育ちの豪快な走りを堪能しています。
    「アストロ」としての故障はお約束のワイパーモジュールくらいで、自分で簡単に交換ができました。
    部品はネットで検索すると腐るほどありますし、田舎に住んでいますが整備は町工場で十分。
    しいて難をあげれば車高、車重があるため近所のオート○○○や黄色い帽子さんではオイル交換ができないことくらい。
    シェル部分は現在オナンの発電機が調子悪いくらいで、FFヒーターをはじめ冷蔵庫、ルーフエアコン、ともに完全動作します。

    すでに21年を経過(1994年式)していることを思うと、私個人としては「ア車」は頑丈という印象が強いです。
    特にシェル部分の剛性は特筆ものです。

    時々ネットオークションなどで出品されることがありますが、国産と比べるとかなり安く出品されていますのでお勧めですね。

    • 町田 より:

      >Bluebird さん、ようこそ
      「アストロスター」に対する貴重な体験レポート、ありがとうございました。
      この車の使い勝手の良さを評価されているユーザーさんはけっこういらっしゃって、14~15年ぐらい前にも、やはりこの車のオーナーから、その “惚れこみ具合” を色々うかがったことがあります。
      そのときは、別のキャンピングカーに乗っていたのですが、「なるほど。こういうレイアウトが使いやすいのか」と感心した記憶があります。

      「アメ車はけっこう頑丈だ」という話は、アメ車のオーナーからはよく聞きますね。モーターホームも、初期トラブルが出尽くしてしまうと、そのあとはいたって壊れにくいという話も聞きます。

      アストロスターは、けっこう思い出深い車で、ケイ・アイ・エムでは、当時の営業担当員の方が、アストロスターを説明するときに、「これは日本のキャンピングカーとはまったく違う乗り物ですよ。これは “モーターホーム” なんです。家としての機能が、日本のキャンピングカーなどとは全く違うものなんですから」と、真剣な顔で強調されていたときの表情すら浮かんできます。
      どうぞ、いつまでも大事に乗ってあげてください。

      ところで、Bluebird さんは音楽もそうとうお好きなんですね。
      ブログ拝読して、そう感じました。
      昔、吉祥寺の「Sometime」で、ヘレン・メリルとジョン・ルイスの演奏を聴いたというのは、すごいですねぇ !
      「Sometime」は、私の家から歩いて20分程度のところにあります。
      私も昔は、よく通いました。

      Bluebird さんのブログは写真もきれいですね。
      車の中から、外の景色を写されるとき、室内も車外もピントが合っているし、露出も合っているのですが、ほんとうにお上手ですね。
       

  2. 木挽町 より:

    シボレーアストロ。文句なし。カッコいいです。シボレーのなかで名車に入るのはサバーバンとアストロなのでは?と思えるほど。アメ車は日本車を凌ぐ品質がありますし、ユーティリティーとしてのコンセプトも明確で、完成度の高いクルマだったような気がします。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      シボレーのバンは、ミニバンにせよ、フルサイズバンにせよ、みなグリルがカッコいいですよね。自動車としての信頼度ではフォードの方が勝っているんでしょうけれど、フォード系よりもスタイル的なカッコ良さがあって、私も好きです。
      特にアストロは、見た目のインパクトが強烈ですよね。コンバージョンモデルがあれほど流行ったのも十分に納得がいきます。
      買うまでの気はありませんでしたけれど、アストロのラグジュアリーバンには、ちょっと興味を持った時期がありました。
       

  3. フジムラ より:

    初めましてアストロスターと出会って6年目になります。現在千葉市在中です。
    すでに北海道 九州 大阪数回と元気に動いてくれて、大好きです。家族や親戚 仲間に最高の時間を作ってくれています。自分は大工でして、内装や便利さの為改造しました
    まずキッチンをとって130リットルの大型冷蔵庫を思い切って入れて 家庭用エアコンと家庭用プロパン給湯器も付けてシャワーが快適に使えるようになってます。
    発電機が壊れて今はポータブルになってます。最近浮気して最新型のキャンピングカーの能力を見ますと 明らかにスターのコンパクト能力に惚れ直してしまうくらいです。平成7年度 21年目今年も仲良くワクワク出来たらと思います。スターの皆んなで集まれたら最高でしょうね〜 皆さんもワクワクな一年を過ごしてくださいね。

    • 町田 より:

      >フジムラさん、ようこそ
      貴重な体験レポートをいただきながら、返信がたいへん遅くなったことをお詫び申しあげます。
      コメントを拝読すると、お仕事で磨かれた腕を生かし、たいへん有意義な改造を施されたようですね。
      きっと素晴らしい使い勝手を実現されているのでしょう。

      アストロスターはとても使い勝手のいいモーターホームであると思います。
      いつまもで大切に使ってあげてください。
       

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