豚すき

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 食材の低コスト化を図るために、この前すき焼きに使う肉に、豚を使ってみた。

 もともと私は、牛よりも豚の方が好きで、家庭で食べるしゃぶしゃぶも、牛ではなく、「豚しゃぶ」。
 これを、ゴマダレではなく、ポン酢とおろしで食うと最高にうまい !

 ステーキでも、牛を焼くより、豚の生姜焼きか塩コショウ焼きの方がうまいと思っている。

 だから、「すき焼きだって、豚で十分いけるはず」と踏んだ。

 結果は …… 。

 ま、 味として「合わない」わけではない。
 でも、すき焼きの場合、やはり、豚は牛の味に一歩ゆずる。
 肉の等級なども関係するのかもしれないが、牛肉のしっとり感が豚には乏しいのだ。

 たぶん、あの牛を使ったすき焼きという料理は、文明開化の時代の日本人の “牛料理” に対する憧れと英知が結集したスペシャルメニューだったのだろう。
 あらためて思うと、「すき焼き」というのは、牛肉料理の中でも奇跡のような完成度を誇っている。
 
 なんたって、牛の肉は、当時ベラボーに高かった。
 「文明開化の味だ」と珍重されても、庶民にはそうおいそれと食べられるような食材ではなかった。
 だから、牛肉を素材にしたときは、「少ない牛肉の量でいかに満腹感を得るか」という涙ぐましい努力が日本人に強いられた。

 すき焼きの豆腐、しらたき、ネギというサポート食材は、みな牛肉の少なさをカバーするために選び抜かれた素材なのだ。

 どれも、味がたっぷりと染み込む食材である。
 それを、牛肉と同じ鍋の中に入れ、コトコトと煮ていくことで、豆腐を食っただけでも、あたかも牛肉と錯覚するぐらいの味を染み込ませることが可能になる。

 割下も、日本人の風味を満足させる醤油ベース。

 基本的に醤油のしょっぱさは、ご飯の量を要求する。
 つまり、醤油は、少ないおかずで大量のご飯が食べられるような調味料なのだ。

 その醤油に、ほのかな甘みを加え、さらに乏しい牛肉でも満足感が得られるような細工を施す。
 そうすれば、鍋の牛肉を横目で眺めながら、“肉味” の豆腐としらたきを食べるだけで、もうバクバクとご飯が進む。

 日本の庶民が考えた涙ぐましい牛肉料理。
 その歴史と伝統は、そう簡単に、豚がとって代われるようなものではなかったのだ。
 
 事実、“豚すき” は、最初の一片を口に含んでみて、「まずい」とは思わなかったが、どこか違和感が舌に残った。

 …… もう少し、割下に、豚肉がなじめばいいのだろうか?
 そうすれば、牛に近い味が出るのだろうか?

 そう思って、割下が肉になじむまで、じっくり煮込むことにした。

 深夜にかかる夕食だった。
 外は雨。
 すき焼き鍋の中で煮えていく豚を静かに見続ける。

♪ 豚は夜更け過ぎに、牛へと変わるだろう、Oh Oh … サイレンナァ、ホーリーナァ

 気づくと、そんな歌を口ずさんでいた。
  
 

カテゴリー: ヨタ話   パーマリンク

豚すき への4件のコメント

  1. 木挽町 より:

    おいしそうですね。肉じゃがを「豚肉」で作る派と「牛肉」で作る派のどちらが多いんだろうと思いました。

    • とおりすがり より:

      四国は牛ですね 。といっても愛媛生れの私と鹿児島生まれの女房の少しのサンプルですが。

      • 町田 より:

        >とおりすがりさん、ようこそ
        ああ、四国は牛なんですか。
        あのへんは、いい牛肉がたくさんありそうですね。

    • 町田 より:

      木挽町さん、ようこそ。
      そうですよねぇ、肉じゃが。

      あれはやっぱり「牛」かな。
      でも、豚の肉じゃがもうまそう。
      たぶんジャガイモはどっちでも合うと思いますよ。
       

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