今日から捜査一課

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 テレビの刑事ものドラマなどを観ていると、よく「捜査一課」という言葉が出てくる。
 警察官が主人公になるドラマでは、この「捜査一課」と名乗る刑事の方が、普通の刑事よりもカッコよい場合が多いのだ。
 他人にものを尋ねるときも、黒い定期入れをひらひらと振って見せて、「捜査一課です」とかいえば、ほとんどの人は口答えすることなく、素直に対応してくれるようだ。

 そこで、私も65歳になったのを機に、自分の活躍の場を広げるために、そろそろ「捜査一課」を名乗ってもいいのではないかと思うようになった。

 「俺さぁ、今度捜査一課を始めるからな」
 と、この前刑事ものドラマを観たあと、カミさんにそう言ってみた。
 すると、この手の会話には驚かなくなったカミさんは、読んでいる新聞から目を離すことなく、
 「それでいつから始めるの?」
 と、物憂そうな声で聞き返してきた。
 
 こういうのは間を置いてしまうと決意がにぶるので、即断即決が大事だと思い、
 「今日からだよ。もう今から俺は捜査一課なの」
 とはっきりと告げてやった。

 そのあと、台所で食器を洗いながら、考えた。
 捜査一課になったはいいのだが、まず何をやればいいのか、それが思い浮かばない。
 そこで俺は、皿を洗いながら、隣でそれを拭き取っているカミさんに聞いてみた。

 「いちおう捜査一課を始めたんだけど、まず、俺に何かやってもらいたいことがあれば、遠慮なく言っていいぞ」

 すると、この手の会話にあまり反応を示さなくなったカミさんだが、それでも皿を拭く手を休めることなく、うつろな表情のまま、こう聞き返してくるわけよ。
 「あなたが捜査一課なら、私は何課ぐらいなの?」

 意表を衝く質問に、多少俺はどぎまぎしながらも、
 「そうさなぁ … 。旦那が捜査一課の場合は、普通は妻は捜査二課ぐらいじゃないか?」
 「じゃ、犬は?」
 「捜査三課ぐらいだろ」

 その場で、わが家の捜査一課から三課までの担当責任者が決まった。

▼ 待機中の捜査三課

 さて、部署は決まったのだが、犯罪が起こらない。
 犯罪が起こらなければ、せっかくオープンした捜査三課までの部署が開店休業になってしまう。
 
 現在、家族のなかで、誰がどのような犯罪を犯し、誰がそれを取り締まるのか、いろいろとアイデアを練って相談しているところだが、さすがにもう「捜査一課」という言葉を出しても、カミさんも犬も反応しなくなった。
 
 

カテゴリー: ヨタ話   パーマリンク

今日から捜査一課 への2件のコメント

  1. 木挽町 より:

    なんか楽しくていいですね。「反応しなくなった」っていうオチがセンスあります。

    • 町田 より:

      >木挽町さん、ようこそ
      いやぁ、まぁ、こんな生活なんです。実際に … (-_-;)
       
       

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