オバマはけっこういいヤツだ

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - オバマはけっこういいヤツだ
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

 
 報道によると、米国オバマ大統領の広島訪問が正式に決まったらしい。
 もちろん現役大統領が日本の被爆地を訪れるのは初のことらしいが、たぶん、アメリカの大統領が被爆地を訪問するようなことは、今後はないような気がする。

 オバマ大統領の任期も、あと1年を切ったというが、この人は歴代の大統領のなかでも悲運をかこった大統領という気がしないでもない。

 就任当初は絶大の支持率を誇ったが、その後は徐々に評価が後退し、今はどちらかというと、国内的には “無能なリーダー” というイメージで語られることも多いようだ。(最近の米国世論調査では、史上最悪の大統領という悪評まであると聞く)。

 「決定力」を持たない大統領。
 確かに、そういう評価があったとしても、議会の過半数を共和党議員が牛耳っているかぎり、民主党のオバマが実現できた政策などほとんどなかったことだろう。
 
 2016年度の米国大統領選びでは、マシンガンにベーコンを巻いて発砲するCMで自分の主張を訴えたテッド・クルーズのような共和党員を支持する人たちが、いかに “反知性主義的” であるか、それがくっきりと浮かび上がったように思う。

 反知性主義というのは、知性が欠けている状態をいうのではない。
 「知性的なもの」に対して嫌悪感を抱くことをいう。
 だから、クルーズやトランプを支持した層は、オバマの発言や表情から漂ってくる “知性の匂い” のようなものにたまらない嫌悪感を抱いたことだろう。

 そういうこともあって、オバマの打ち出した政策の大半は、共和党の反対などによって実現不能な状態になってしまった。

 日本の保険制度にならったアメリカの皆保険制度(オバマケア)も、共和党の反対を受けているうちに不完全なものになって、万全な状態になるにはほど遠い状態だと聞く。
 銃規制の問題も、全米ライフル協会を票田としている共和党の反対に遭って、問題提起すらできていない状況だ。

 「核兵器」の廃絶を訴えたオバマを、リアルポリティークの実情を理解しない “理想主義者” とみなす論調は多いが、理想を掲げない政治家などに国の将来を託す民衆などいるだろうか。

 いま「時の人」になっているトランプ大統領候補などが、「日本も韓国も自国を守りたいのなら核兵器を持てばいい」と平然と言ってのけているの対し、早急な実現が不可能でも、「核兵器の廃絶」を口にしたオバマ大統領の方が、人間的には信頼に足る。

 そもそも、オバマ大統領の悲運の始まりは、共和党出身の前ブッシュ大統領が始めたイラク戦争の尻拭いから始めなければならなかったところにある。
 もしイラク戦争が勃発していなければ、その後の中東の大混乱もなかっただろうし、現在のIS(イスラム国)の台頭もなかった。

 さらにオバマに対して悲運が重なったのは、やはりブッシュ政権下の2008年に全米を襲ったリーマン・ショックへの対応にかなりの労力と資金を費やさなければならなかったことだろう。

 そういった意味で、オバマという人は、アメリカの失策が続き、それによって衰退期を招いてしまった時代に大統領を引き受けた、“損な人” という印象を受ける。
 
 米大統領の広島訪問に関しては、アメリカ世論も複雑だという報道もあった。
 アメリカ国民の中には、「アメリカが広島・長崎に原爆を投下したからこそ、戦争を早期に終結させることができた」と信じる人がかなり多いと聞く。
 オバマ大統領の広島訪問が何事もなく、無事に終わることを祈る。
  
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

オバマはけっこういいヤツだ への7件のコメント

  1. ようこ より:

    町田さん こんばんは

    案外いい奴かも知れないけど、そうじゃないかもの
    バラク フセイン オバマ 2世
    彼が『チェンジ』を掲げて大統領になった時から
    こうなる事は、ある程度わかっていました。
    私はいまだに日本国籍なので投票権がありませんが
    あの時国民の感情に一番近かったのが共和党のマッケイン氏でした。

    黒人初の大統領という事で世論は二分していたけど
    何故黒人の大統領が要望されたのか
    マイノリテイが望んだから? いいえ
    彼のスポンサーはウォール街、生保・損保業界、銀行・証券業界、製薬業界
    この8年間に彼らの利益誘導のための法律をいくつも通して、きっちり恩返ししてる。

    就任後『マーシャル法(戒厳令)』に署名し、FEMAに大幅な権限を与えた
    『国防権限法』『大統領令』『国防資源の準備』数えきれない法で
    アメリカ人の多くは、自由が大幅に制限されてしまったと感じています。
    これは、キリスト教徒の白人大統領では、なせなかった事らしい。
    米国は共産圏国に似てきました。

    いつでも規制の声があがると銃が売れる国で
    彼が大統領になってアメリカ国内の銃器の売り上げが急増した
    これはオバマやバイデンが銃規制に前向きで、銃規制強化を懸念した
    人々のせい、銃の総数は3億で国民一人あたり1丁とか。
    なくせる筈が無いのに無くすと言うか?核自粛も同じようなもの。

    別名『モンサント保護法』と云われている GMO遺伝子組み換えに
    GOサインを出した。
    最近 その法案を廃止にする動きが強くなってきているのは喜ばしい
    中間選挙ではグローバルリーダーのシナリオ通りに、完膚なきまで叩かれた
    現代の独裁者は独裁者には見えない
    やると言ってて出来ないことはすべて共和党のせいに出来るし。

    民主党の目玉商品だった『医療制度改革』
    オバマケアの目指すのは国民健康保険のような公的保険ではなく、
    従来の個人が民間の健康保険を購入する枠組みの中で、保険会社に
    価格が安く購入しやすい保険の提供をさせるだけ。
    現在国民の6人に一人が無保険で、その人達が皆保険に加入したら
    いったいいくら儲かるでしょうか。今でもバカ高い保険料だけど
    オバマケアは中間層に負担をかけて低層を保護する形になるもの。
    米国の病院がどんなに高いか、日本の人達はあまりご存知ありませんが
    いつだったか息子が麻酔で親不知を4本抜歯した時に、80万くらいでした。

    閉めは『環太平洋経済連携協定』TPP関連法案
    日本では農業団体が危機感を持っている様ですが
    資本家に有利なこのルールを、民主党が当然反対し、共和党が賛成にまわり
    捻れ構造状態。
    外務省の公式ページを開くと、農業のみならず
    製造業
    NPO/NGO
    食品
    ビジネス団体
    医療/ヘルスケア
    労働組合
    日本の関心団体
    自動車
    繊維/履物
    金融/保険
    酒類
    エネルギー
    サービス
    小売
    議会
    著作権団体
    に及びます。なかでも保険/医療/薬品は怖いです。

    政治と宗教にはふれてはいけないと思っていたのですが !
    ​ 

    • 町田 より:

      >ようこ さん、ようこそ
      なるほど !
      さすが、やはりアメリカに住んでいて、その政治や社会の実情をよくご存じの方が見ると、いろいろな角度から見えてくるものがあるんですね。
      日本にいて、しかも日本のメディアが流すニュースのわずかな情報から憶測するのとだいぶ違う世界が展開していることが分かりました。

      オバマ大統領が、ウォール街、生保・損保業界、銀行・証券業界、製薬業界との関係を深くして、利益誘導のための政治を行っているという話は聞いたことがありますが、それは民主党、共和党を問わず、現在のアメリカの政治ではもう止めようがないというところまで来ているのだろう … と解釈していました。
      そして、それならば、まだ共和党政治家よりもオバマの方がマシだろうぐらいに思っていたのですが、どっこいオバマ自身の考え方に問題があったということなのでしょうね。

      銃規制の問題も、すでにアメリカ国民一人あたりに一丁の割合で銃が浸透してしまっている以上、もうこの段階では、「銃に対しては銃で対抗する」という考え方に切り替えないかぎり、国民の安全を守ることはできないという意見も述べる日本人もいました。
      しかし、そうは言われてみても、私などは心情的に解せないという気持ちの方が強く、銃を規制するという考え方の方がまっとうであると思い込んでしまっていました。
      このことも、銃のない日本で暮らしているかぎり、銃社会の問題をリアルに考えることは難しいということなのかもしれません。

      医療改革制度も、くわしく勉強してみないと、軽々しい意見を言えない問題であったのですね。
      アメリカの診療費が高額であるという話も聞いておりましたが、その代わりお金のある人は世界最高レベルの医療システムの恩恵にあずかれるという話もあって、つくづくお金のある人にとっては暮らしやすい国なんだなぁ … という感想を持ったことがありました。
      そういうときは、ついつい低所得者層レベルの視点から物事を眺めてしまうクセがついているので、他国のことながら不公平感を感じることもありました。

      「TPP」に関しては、日本では、一般的に自民党(の甘利氏が)「苦労しながらも粘り腰で交渉をまとめた」と好意的に評価する空気が濃いように感じていますが、私個人としては、おっしゃるように超大手企業の利権ばかり優先する法案であるように感じていました。
      もちろん日本の農業団体のなかには危機感を持っている人も多いようです。
      しかし、それだけにとどまらず、著作権なども絡む法律の部門、また薬品の部門など、日本ではそうとう苦しい立場に追い込まれる企業や団体が増えるように感じております。
      そうった意味では、(「自国の産業保護」が主目的でしょうけれど)、TPPに反対表明しているトランプ候補の方が、“裏表” がないのかもしれません。

      いろいろ勉強になる事例を細かにお教えいただき、たいへん参考になりました。
      やはり、こういう国際政治や世界経済を総括的に扱うテーマを語るときは、少ない情報に頼ってイメージで判断するだけでは正確さに欠けるということなんでしょうね。
      そのことに気づかせていただき、ほんとうに感謝申し上げます。

      なお、ご指摘いただいた「誤字」の件は、ようこさんのコメント欄に “侵入” して僭越ながら訂正させていただきました。
      また、コメントください。楽しみにしております。
       

  2. ようこ より:

    長々と書いてしまいました、読みかえしたら
    上記に誤字があった~o~。 『覚ま』ではなく『様』
    あはは 訂正しないではいられない性格なんです
    ごめんなさい。

  3. ようこ より:

    おはよう 町田さん

    イエイ ♪ 気にかかっていた誤字を正して下さっって ありがとうございます !
    お手数をおかけしました ^__^)。
    昨日コメントを書きこんでから 余計な事を書いてしまったのではと
    ちょっとだけ悩みました。

    でも、公明正大なお人柄の町田さんのブログだからこそ反対意見じみた事も
    書けたのだなあと思い直しました。
    彼が大統領に就任した時に、夫は何はともあれ黒人の大統領が誕生した事に
    意義があると言いました。
    然しそれを嫌う国民も多くなり以後差別化が目立ってふえました。

    町田さんの御指摘どおり共和党、民主党を問わず紐付きでない政治家はいません。
    だからこそ自費を投じてやっている?トランプ氏に期待を寄せる国民がいるのではないかと思います。

    私も原発や銃には反対、それがまっとうな考え方だと思いますが真っ当な事が
    通らない世の中の仕組みがあるようです。
    グローバル化が進んで資本主義がアフリカや南米に浸透した後の世界を想像します。

    欧米や日本等の先進国と云われている国々が、今普通に手にしている食物はおろか、生命になくてはならない水、空気、土等を維持するのが困難になるのでは無いでしょうか。

    あ~ヤダ すごく悲観的になってしまいました、ビルゲイツが北欧で貯えている
    GMOでない種子が人類に平等に使用される事を願ってやみません。
    近頃とても気がかりなのは子供達が接種されている多種類のワクチンです。
    http://www.know-vpd.jp/children/children_explan.htm

    • 町田 より:

      >ようこさん、ようこそ
      イエイ ♪
      オバマ大統領が誕生したとき、確かに、アメリカ初の黒人大統領だと大いに話題になりましたね。
      でも私はあんまり人種的な差異というものを感じませんでした。
      彼の風貌は、白人や黒人という人種の枠組みを超えて知的に思えましたし、トークの内容もスマートだったしね。

      最近、日本の自民党に属する(弁護士出身の)丸山和也議員が、オバマ氏を指し、「アメリカでは黒人が大統領になっている。アレって早い話奴隷ですよ」と発言して物議をかもしました。
      丸山議員は、アメリカ政治のダイナミズムを称揚するための例として、“奴隷大統領説” を持ち出したのですが、仮にそこに善意があったとしても、認識のプアさには目を覆いたくなります。

      たとえ、自説を強調するためのインパクト効果を狙ったものであったにせよ、「アレって早い話奴隷ですよ」という言葉が放つ下品さに気づかないというのは、政治家としてサイテーだと思うんですね。
      ま、トランプ氏などの発言は、そういったレベルを超えた豪快さがあるのかもしませんが。

      で、ようこさんがおっしゃる「(原発や銃には反対という)真っ当なことが通らない世の中の仕組みがある」というご意見は、まさにその通りだと思いました。現実政治の場においては、“真っ当な主張” がむしろ人々を過酷な生活に追いやったり、対立者を迫害したりする歴史を繰り返してきましたからね。

      それにしても、ご指摘のとおり、我々がいま普通に手にしている食物や水、空気が手に入らなくなってくる世界というのは、どんどん近づいてきているように思えます。専門家のなかには、「20世紀は石油の争奪戦の時代であったが、21世紀以降は水と食物の争奪戦になるだろう」などと予言していた人もいました。

      子供たちへのワクチンの問題も深刻ですね。
      ワクチンの入手が困難になっていると同時に、抗生物質に対する対抗性を強めた菌が増えてきて、抗生物質そのものが効力を持たないケースが出てきているとか。

      確かに、こういう話題を追求していくと、悲観的になってきますが、人間の歴史のなかで人々がこうむる “悲惨さ” の規模は、昔からそんなに変わっていないのかもしれないという気もしています。
       

  4. クボトモ より:

    今日は記念すべき日となったオバマ大統領の広島訪問でした。
    先ほどスピーチの全文を読み終えたところです。
    政治については様々な意見、見方が有るとは思いますが、
    それでも、生命というものに対する考え方だけについて言えば、
    公の場であのような言葉を残したオバマ大統領は、
    「けっこういいヤツ」なんじゃないかな、と思えました。
    そもそも政治なんてものは私利私欲が渦巻く駆け引きの場。
    クリーンな政治で世の中を変えた政治家なんてほとんどいないに等しい。
    根本のところで、やっぱり命の重さを尊重できる人を信じたい。
    けっして無くならないかも知れないけれど、
    戦争反対の意は唱え続けたい私の意見です。

    • 町田 より:

      >クボトモさん、ようこそ
      今回のクボトモさんのご意見、私もまた全面的にクボトモさんの見方に賛同いたします。
      現実的な国際政治の場において、確かに地球上の核兵器を廃絶して、「0(ゼロ)」に持っていくということは、たぶん実現しないでしょう。
      オバマ氏もそのことは分かっているでしょうね。

      でも、それを世界に提案したオバマ氏の気持ちは、真摯に「核兵器ゼロの地球」を願っていたと信じます。

      アメリカの世論には、「広島への原爆投下が、太平洋戦争を早く終結させるために有効だった」という意見が強いと聞きますが、ニュースなどを追っていると、アメリカ市民のなかにも、今回のオバマ氏の精神を支持する人たちが増えてきたと伝えていました。

      トランプ候補などが、「日本も韓国も北朝鮮の脅威に対抗するために、自前で核兵器を装備した方がいい」と発言しているらしいですが、今回のオバマ演説は、そういうアメリカの核賛成派への牽制にもなったかもしれませんね。
       

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">