人造アザラシがソファーで寝ている時代

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 人間とロボットが共存する時代というのが、もうそこまで迫ってきている。
 実際に、オフィスの受付嬢をヒト型ロボットに代理させたり、家政婦ロボットが家庭の調理を代行したりする実験はすでにあちこちで始まっている。

 そのようなヒト型ロボットでなくても、すでに工場で無人搬送車として活躍する機会型のロボットや、耕運機のように農作業をするロボットも実用化されているようだ。

 次の課題は、人間と “心の交流” ができるロボットの開発だとか。

 そこまで来ると、もう「AI (人工知能)+ロボット」の複合体ということになるのだろうが、実際に、ディープラーニング(機械学習)機能を盛り込んだ “人と話せるロボット” はすでに登場している。

 このような、人と交流できるロボットに関しては、ペットロボットの分野が伸張著しいようだ。
 
 かつて「アイボ」という犬型ロボットが開発されて話題を呼んだが、いま注目を浴びているのが、アザラシの赤ちゃん型ロボット「パロ」(写真下)。
 多数のセンサーや人工知能の働きによって、人間の呼びかけに反応し、抱きかかえると、なついてスリスリしてくる。
 
 で、チョイとだっこ。
 
 
 
 自分は生きた犬を飼っているけれど、確かに、抱いたときの感触はかなり “ケモノっぽい” 。
 ときどき、気持ちよさそうに目を閉じたりして … 。
 ま、犬・猫を飼えない環境にいる人にとっては、「とりあえず、これでもいいかな … 」という気分になるはずだ。

 で、この赤ちゃんアザラシロボットの「パロ」ちゃん。
 企画・開発は、日本の独立行政法人産業技術総合研究所(産総研)というところ。
 2002年には、世界一の “癒しロボット” としてギネスブックにも認定され、実際に、アメリカでは医療機器として承認されているらしい。

 どういう環境で使用されるロボットなのか。
 
 一つは認知症の高齢者や自閉症の子どもたちがいたりする介護施設。
 精神的疾患を抱えている人たちには、生きた動物を使った「アニマルセラピー」が効果を上げるといわれているが、動物が媒介とする感染症やアレルギーにも注意しなければならないため、実際に、アニマルセラピーが可能な環境は限られている。

 その点、この「ロボットアザラシ」はそういう心配がなく、かつ飼育・管理の手間もかからないため、コスト的にも楽。
 国内やアメリカだけでなく、スウェーデン、イタリア、フランスなどの医療・福祉施設でも研究が行われ、良好な結果が示されているとか。

 保証期間1年  ¥360,000
 保証期間3年 ¥420,000
 (法人向けリースも可)

 たぶん、21世紀後半は、こういう愛玩用ロボットを家族のように扱いながら生きていく単身者も増えていくだろう。

 実際に、人間に生き物のような反応を示すロボットではなく、じっとしている人形のようなものなら、すでにそういう兆候が始まっている。 

 着せ替え人形のように、フィギュア感覚でいろいろなファッションを組み合わせて遊ぶスーパードルフィー(↓)趣味の若者は、男女とも増加中だし、お金のある中年男性が恋人感覚で遊ぶラブドールはますます精巧化が図られて、こちらもマーケットを広げている。

▼ ラブドール
 

 こういう愛玩用の人形たちが 、やがてAI と合体し、人間にハグしてくれたり、会話を交わしたりしてくれるのは、もう時間の問題だという気がする。

 そういうことが当たり前の世の中というのは、どういう世界なのか。
 想像するとワクワクするような、やっぱり不気味なような。

 人形って、やはりどこか怖いこともある。
 

 
 どんなに美しく作られたラブドールだって、それが置かれた環境によっては、ホラー・ドラマに登場する 異形の生き物に変化しないとは限らない。

 押井守が制作したアニメ『イノセンス』(2004年)は、愛玩用に作られた人造少女たちが、密かに人間に反乱を起こすという話だった。

▼ 『イノセンス』

 美しすぎるロボットは、怖い。
 なぜなら、もし「美しいロボット」を作ることが人間の使命となったら、ロボットの造形にかける人間の情熱は限りないものになっていくだろう。
 人間は、死を賭すような精魂を傾けて、ミロのビーナスやモナリザを創ってしまう動物なのだ。
 美を競うロボットたちは、やがて生身の人間が得られる美しさの限界を超えていくだろう。

 生きている人間の美しさを超えた「美」って、それは何だ?
 オバケと紙一重ではなかろうか?

 人間と交流するロボットのデザインが、下のペッパー君のようにマヌケなお顔になっているのは、ロボット開発を行う技術者たちが、そのことをよく分かっているからだと思う。
 
 
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

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