「運命に似た、恋」の斎藤工

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - 「運命に似た、恋」の斎藤工
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

    
 昔から、テレビの恋愛ドラマというものをあまり観たことがなかった。
 80~90年代に流行ったトレンディードラマの時代も、いっさい興味がなかったから、カラオケ屋に行ってCHAGE&ASKAの「Say Yes」とか「ラブ・ストーリーは突然に」などを歌っていても、それがドラマの主題歌であることなどまったく知らなかった。

 それほど恋愛ドラマに疎い(うとい)自分が、唯一毎回欠かさず観たドラマは、韓国製の『冬のソナタ』だった。
 これだけは毎週楽しみにしていたが、しかし、その後 “韓流” に染まることもなかった。

 だが、恋愛ドラマというのは、(いや恋愛ドラマに限らず、ドラマというものは)たまたま1回観てしまうと、なんとなくその後も気になって、つい見続てしまうものである。
 
 NHKで始まった『運命に、似た恋』(金曜日 夜10時~)の初回をついうっかり最後まで観てしまっために、なんとなくその続きが気になって、2回目も観た。
 きっと、最後まで観てしまうのだろう。

 配達クリーニング店に務める45歳のシングルマザーが、マスコミで騒がれているイケメン年下デザイナーと恋に陥るという話。

 高校生の息子の世話をするだけが生きがいのヒロインは、イマドキの話題などにまったく興味がない。
 だから、洗濯物を届けに行った相手が話題のカリスマデザイナーであることなど知るよしもない。

 が、“運命の神様” は、どこでいたずら心を発揮するか分からない。

 モテモテ男のデザイナー氏。
 なんの気まぐれを起こしたのか、彼は自分に言い寄ってくるセレブ美女よりも、このさえない中年女性の方に興味を持ってしまうのだ。

 このカリスマデザイナーとして登場するのが斎藤工( ↑ 35歳)。
 クリーニング屋のオバサン配達員を演じるのが原田知世( ↓ 48歳)。

 2人とも実年齢ぐらいの役を演じているのだけれど、若くて、イケメンで、女たちにモテて、才能もあり、社会的な地位も高いという男が、何が悲しゅうて10歳上のクリーニング屋のオバサンを相手にしなければならないのか ? … というありえない話なのだが、たぶん、そこが “恋愛から遠ざかって30年ぐらい” という年齢のオバサン族の心をくすぐるのであろう。

 このドラマ。まさに男役を演じるのが、斎藤工でなければ成り立たないような話でもある。

 第1話。
 軽トラに乗ってクリーニングの配達に来た原田知世に興味を感じた斎藤工が、車の前でちょっかいを出す。
 バックドアに知世を追い詰め、いきなりドアガラスに手のひらをドンと突く。

 驚く知世に対し、
 「あ、ごめん …… これ知ってます? 2~3年前に流行った壁ドン」

 こういう臭い演技を真顔でやって、なんとかサマになるのは、やはり斎藤工をおいてほかにいない。
 イケメン俳優は数多くあれど、他の男優がやると、みんなギャグにしかならない。

 だけど、斎藤工は、ギャグとキザの危うい境目を、まるでサーカスの空中ブランコ乗りのような涼しい顔でやってのける。

 実は、ずいぶん前から、私は斎藤工という男優を気に入っている。
 男の私から見て、“男の色気” というものを感じるのだ。
 別にバイセクシャルとか、トランスジェンダーとかいう好奇心ではなく、“人間としての色気” というのだろうか。
 たとえば、織田信長のような苛烈な男を主人公にした大河ドラマなんかで、彼を主役にさせてみたいと思っているのだ。

 で、この斎藤工。
 遅咲きのイケメンスターとして、数年前にようやく脚光を浴びたというのに、わずか1~2年ほどブレイクしただけで、NHKの朝ドラ『あさが来た』に出演したディーン・フジオカ(↓)に、あっという間に人気で追い抜かれてしまった感じだ。


 
 確かに、似ている。
 斎藤工とディーン・フジオカ。
 
 同類の匂いがするのだけれど、ディーン・フジオカにあって、斎藤工にないものがある。

 それは、清潔感だ。
 斎藤工よりも、後から出てきたディーン・フジオカの方がオバサンの人気を集めたのは、彼には “こざっぱりした清潔感” があったからだろう。

 確かに、甘い言葉で近づいてきても、ぜったい悪いことはしないという安心感がディーン・フジオカにはある。
 だから、彼には、道徳的な潔癖性を持った役がよく似合う。

 それに対し、斎藤工には道徳的な正しさよりも、倫理観の強さを感じる。
 たとえ、不倫妻と “男女の関係” に陥ろうが、心の奥底では強靭な倫理観をたぎらせていて、そういうただれた関係を鋭く嫌悪する感じが伝わってくる。
 それでも心を凍らせたまま不倫妻と寝てしまうというのが、彼の怖さだ。

 氷のように冷たい外貌。
 しかし、その内面にまで手を伸ばした者には、たちどころに地獄の業火で追い打ちをかける魔性の男。
 斎藤工にあって、ディーン・フジオカにないものは、その危険な香りだ。 

 まさに、彼は、獲物を射程距離に収めて密かに跳躍のときを見計らっている肉食獣の気配を持っている。

 そこが、冒険にはあこがれても冒険をしないオバサマ族にとっては、ちょっと怖いのだ。
 怖いということは、暑っ苦しいのだ。   

 だからオバサマ方は、けっきょく斎藤工よりも、よりジェントリーな雰囲気をたたえたディーン・フジオカや鈴木亮平、東出昌大、西島秀俊、大沢たかお、松坂桃李、岡田准一、向井理あたりの方がお好みである。

 でも、私は女じゃないけれど、もし私が女であったなら、斎藤工に邪ま(よこしま)な恋心を抱き、じゃけんに追い払われたいという気分がないでもない。
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">