そこの旦那さん、奥さんから何と呼んでほしい?

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 世の中の奥さんたちは、旦那さんに声をかけるとき、なんて呼んでいるのだろうか。
 もちろん「ヘイ・ユー」とか「お~い(お茶)」とかいうわけはないだろう。
 
 なんとなく想像できるのは、「お父さん」か「パパ」だ。
 もちろん、子供がいる夫婦の場合だけど。
 
 ネットでちょっと調べてみたら、実際に旦那さんのことを「お父さん」もしくは「パパ」と呼んでいる妻は52.7%だという。
 
 ま、無難なところだろうな。
 この言葉には、要するに、「あんたは “男” としての役割は終わったから、あとは良い “父親” になればいいから」 というメッセージが込められているようで、旦那としては、少しさびしいけれど、それはそれで気楽なところもある。
 
 「お父さん」と「パパ」の次に多いのが、愛称を呼ぶケースだという。
 つまり、「ポチ」とか「チョコ」とか「ミケ」のたぐいだ。
 これが38.3%。 
 
 堂々と名前を呼ぶというのもある。29.8%。
 「おいヤスオ !」、「こらマサキ !」などというやつのことだろう。
 
 それ以下は名無し。
 「ちょっと」とか、「ねぇ」とか、「ほら、そこの人」 … みたいな呼び方を指す。
 
 「あなた」 というのも、この “名無し” の分類に入るらしいが、「あなた」という呼び名は、それを言われるタイミングによっては、ちょっと怖い響きを伴う。
 
 「あなた。夕べ酔っ払って玄関に入ってきたとき、女モノのサンダルを履いていたんですけど。いったいどこに寄っていらっしゃったの?」
 なんていうときの「あなた」は怖い。
 
 「あ、あれはね… (汗 !)、娘のアヤカの成人式のお祝いに買っておいたものなんだ」
 「娘に買ったプレゼントを自分で履いてしまうんですか? それに、あの子の名前はアヤカじゃありませんよ。誰それ ? 」
 
 こういうように、「あなた」 と呼ばれたときは、会話が最悪の方向に向かうことを覚悟した方がいい。
 
 では、私は、カミさんからなんて呼ばれているのか。
 正直にいうと、最後の「名無しグループ」なのだ。
 それも、「おい」、「こら」、「ちょっと」の3パターンのうちのひとつ。

 最近、そこに、「また」というのが加わった。

 「また、同じパジャマ着ている !」
 「また、風呂にも入らずに寝たのね ?」
 「また、酔っ払って転んだの ?」
 「また、きのうと同じ靴下はいていない ?」
 
 この「また」という言葉は、たいがい鼻をつまんで、顔を歪ませた状態て吐き出される。
 3日分ぐらい溜まった生ゴミを捨てるとき、人間はよくそんな顔をする。
 もしかしたら、「あんたはゴミ」 というメッセージなのかもしれない。
 
 ところで、うちのカミさんは、他人と話すとき私をどんなふうに呼んでいるのだろう。
 
 改まった席では、「うちの主人が申しますには … 」みたいな表現になるのだろうけれど、親しい主婦同士での会話となると、「うちのはねぇ … 」で片付いてしまうらしい。
 
 要するに、私が存在していることを表す言葉は、「の」という一文字だけなのである。
 まさに「物以前」というか、存在そのものが視野の中に入っていないというか。
 
 で、たまに息子と会話をしているときは、二人で私のことを「おじさん」と呼びあっているようだ。
 だから、犬もそれに同調するようになって、「おじさん」という言葉が出ると、なぜか犬も、私をシラッとした目で仰ぎ見るのである。
 
 おじさん
 
 要は「家族外人間」ということだ。
 力の衰えたスポーツ選手は、よく「戦力外通告」というものを出されるけれど、さしあたり、私の場合は、「家族外通告」。


 
 なんとなく、家族の前を通り過ぎても、誰も振り向かない透明人間にでもなったような気分の今日この頃である。
  
  

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