横浜線・相原駅前で飲む

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 昨日は、久しぶりに家の外に出て、酒を飲んだ。
 レンタルモーターホームを利用するアメリカ旅行をプランニングする「トラベルデポ」の小林社長が、「わが社のアメリカ在住の日本人スタッフである姫野氏が日本に一時帰国しているので一緒に歓談しませんか」と誘ってくれたからだ。

 集合場所は、B.C.ヴァーノンの開発者として知られる戸川聰(とがわ・さとし)氏が主催する「トレックス・ガーデン」(写真上・下が戸川氏)。

 私としては、酸素ボンベから鼻に酸素を流し込みながらの参加となったが、酒を飲める体調まで回復していたので、久しぶりに心地よい酒宴を楽しむことができた。

▼ トレックス・ガーデン事務所(中央が戸川氏)

 トラベルデポの小林社長とトレックス・ガーデンの戸川社長は肝胆相照らす(かんたんあいてらす)仲で、ビジネスパートナーとしての紐帯を強めつつもプライベートな交遊を深めている間柄。

 当日の集まりは、その小林社長が50歳の誕生日の直前の日であり、かつ戸川社長が80歳の誕生日を迎える日も近いということもあり、50と80というキレの良い人生の節目を数えるお二方を励ます祝宴という性格も濃かった。

 出席者には、両社が親しく交わっているユーザーたちも参加。
 招待客と両社のスタッフ合わせ、総勢9名。
 その9名で、トレックス・ガーデンのある横浜線・相原駅からほど近い居酒屋(写真下 中央が小林社長)で一次会をスタートさせた。

 芋焼酎のボトルを2本入れ、ロック、お湯割り、水割りなど各自好きな飲み方で酒を楽しみながら、鴨鍋で舌鼓。

 ほろ酔い気分で、居酒屋を出て、相原駅まで歩いて戻る。
 トレックスガーデンのある相原駅の東側には、まだコンビニがあり、居酒屋や焼き鳥屋が数件軒を連ねていたが、この居酒屋のある西口は、駅前なのに見事に店がない。
 
 まだ夜の9時半を少し回ったぐらいだというのに、こぎれいに整備された駅前ロータリーには人の姿もなければ、車も通らない。

 民家は並んでいるので、人が住んでいるのは分かるのだが、休日(勤労感謝の日)ということもあって、みな家の中でまったりくつろいでいるのか、話し声も聞こえない。

 だが、その静寂が心地よい。
 都心から少し離れた新興の地方都市が一様に持っている、“新しいさびしさ” みたいなものが気持ちいいのだ。

 爽やかな空虚感 … というのだろうか。
 あるいは、清潔な哀しみというのか。

 新しくてさびしい街というのは、村上春樹の初期短編に出てくる「どこにあるのかよく分からない静かな街」みたいに思えて、まるで小説作品の中に紛れ込んだような気分になるのだ。

 『風の歌を聴け』
 『1973年のピンボール』

 これらの小説には、主人公が “鼠” という友達とよく話し込む「ジェイズバー」というバーが出てくる。

 どこの町のどんなバーなのか。
 その詳細はほとんど描かれない。
 村上が青春時代を過ごした神戸の街中にあった店がモデルだろうともいわれているが、小説に出てくる「ジェイズバー」から漂ってくるのは、神戸のような繁華街の喧騒とは無縁の、静かでさびしい新興住宅街にぽつりと建っているというイメージなのだ。 

 この幻の「ジェイズバー」を求めてさまようことが、私が新興の地方都市を歩くときの唯一の楽しみといっていい。

 相原駅西口の階段を上がり、反対側の東口に降りる。
 こちらには、多少店ができ始めている。
 コンビニに居酒屋。
 そして、焼き鳥屋とハンバーガーショップ。

 このハンバーガーショップというのが、トレックス・ガーデンのスタッフの御用達のお店らしく、さっそく戸川さんが階段を上がっていく。
 
 店の名は『Dinner JOY(ダイナージョイ)』。
 近くの大学に通っている生徒らしい若者3人組がカウンターで、愛想のよい若いママさんの手作り料理を頬張っているところだった。

 ここのママさんは幼少期をアメリカで過ごし、アメリカ料理でその舌を鍛えたとか。
 だから、店のたたずまいもアメリカ料理が引き立つアメリカンテイスト。

 「本場仕込みのオリジナルハンバーガーも絶品だが、ここはチリビーンズがおいしい」 
 と戸川さん。

 バドワイザーの小瓶をラッパ飲みしながら、そのチリビーンズを口に運ぶと、確かにふくよかな味わいが舌に広がり、ビールと絶妙のハーモニーを奏でた。

 店を出ると、今度はすぐ近くにビストロ風の洒落た店舗が現れた。
 戸川さんによると、こちらの店はできて半年ぐらいしか経っていないという。

 …… ちょっと入ってみたいなぁ、と思っていたら、戸川さんの方から「ちょっと寄ってみませんか?」と背中を押された。

 お店の名前は『しみるワイン専門 マルクウク』というのだそうだ。
 ここに来るまでに、すでに2軒も寄ってきたので、お腹はいっぱい。
 店がお薦めする自慢のワインだけをいただくことにした。
 
 まいう~ !
 そんなにワインに親しんだことのないこの私にも、「これはうまいワインだ」ということがすぐに分かった。

▼ もう酔っぱらっていて、手元が狂ったためひどい写真になった。でも、この店の画像はこれ1枚しかない。あしからず

 ちらっとメニューを見ると、「エビのアヒージョ」「森林鶏の胸肉ロースト」「キノコとアンチョビのパスタ」など、都心のハイセンスなお店で出てくるようなお洒落な料理がずらりと並んでいた。
 今度、お腹を空かせたときに、ここに来てみたいもんだと思った。

 それにしても、横浜線相原駅って、面白い。
 今日立ち寄ったお店は3軒とも、ぜんぶ店主が若かった。
 彼らは若いからこそ、この “何もない駅前の風景” に、自分たちの夢の城を建てることに情熱を燃やしているのかもしれない。
 こういう街は、これから人気を集めてそうだ。

 深夜11時に、トレックス・ガーデンの佐藤氏のお見送りを受けて、「しみるワイン専門店 マルクウク』を出る。
 振り向くと、周りの静かな民家に紛れ込むように、店の灯りもぼんやりと闇に溶け込んでいる。

 またしても、街全体を覆う静寂。
 おとぎの国の町のような雰囲気だ。
 きっとこの街には “ジェイズバー” がある。
 
 
関連記事 「トレックス・ガーデン open」

関連記事 「モーターホームでアメリカを走る」(連載読み物)
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

横浜線・相原駅前で飲む への2件のコメント

  1. motor-home より:

    町田さん

    先日は遅い時間までお付き合いいただき有難うございました!皆でワイワイと語るモーターホームの旅談議、本当一番楽しいひと時です!是非、戸川さんと仲間の皆さまが『アメリカ モーターホームの旅』を敢行される時に、前夜祭をロサンゼルスで開催したいですね!

    町田さんとも今度はクラスAでの『アメリカ モーターホームの旅』が実現できることを楽しみにしてます!

    • 町田 より:

      >motor-home さん、ようこそ
      こちらこそ、お世話になりました。
      おかげさまで、ほんとうに楽しい一夜を過ごさせていただきました。
      皆さま素晴らしいキャラクターの持ち主ですね。
      戸川さんの情熱も若い頃よりもさらに燃え上がっているように見うけられ、北米モーターホームの世界は、バラ色の未来が広がっているということを確認できた晩だったようにも思います。

      体長が整ったのちには、ぜひまた “アメリカンモーターホームの旅” を楽しみたいと思っております。
      今後ともよろしくお願い申し上げます。
       

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