『嘘の戦争』 面白い ‼

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 TVドラマって、なんかの拍子に偶然チャンネルを合わせ、「ひょっとして面白いかも … 」と感じたものでないと、なかなか観る機会がない。

 そんなふうに、出会いがしら的にチャンネルを合わせてしまい、その後ずっとハマってしまった最近のドラマに、『嘘の戦争』(フジテレビ系列 火曜日 21:00)がある。
 元SMAPの草彅剛君が主演する詐欺師の話だ。

 草彅君が演じるのは、少年の頃に自分の家族を殺され、犯人たちへの復讐に燃える青年の役。

 敵は大財閥の一家。
 その会長というのが、若い頃そうとうな “ワル” で、自分の利益を守るため、人を使って草彅少年の父・母・兄妹を殺させておきながら、巨額の報酬で刑事や弁護士を手なづけ、殺人事件を「父親が起こした一家心中」に見せかけて、自分自身は頬っかぶりをしたまま、逃げ込みを図ったという男なのだ。

 草彅君は詐欺師としての腕を磨きつつ、巧妙な騙しのテクニックを使って、自分の家族を殺した連中への復讐を開始する。 
 … というストーリーで、第三話まで観たけれど、なかなか面白いわけ。

 ま、そうとう強引なシナリオで、“作り物っぽい” 粗雑さがすぐ露呈してしまうドラマなんだけど、にもかかわらず、ハラハラドキドキ感が途切れないのは、ひとえに草彅剛の演技力だと思った。

 いや、「演技力」という言葉が正しいかどうかは分からない。
 それほど上手い役者でもないからね、彼は。
 ただ、ミョーな存在感がある。

 そんなに美男子でもないし、立ち居振る舞いに迫力が伴うこともなく、SMAP 時代もキムタクの後ろでただ踊っているだけの地味な存在であった草彅君ではあるけれど、役者としてドラマや映画に登場すると、なんともいえない不思議な雰囲気をまき散らす人だなと、昔から思っていた。

 その奇妙な魅力を漂わせる草彅君が、このドラマでは一層存在感を増した感じだ。

 とらえどころがないのだ。
 彼が演じている詐欺師の「一ノ瀬浩一」という人物が、いったい何を考え、何をもくろみ、何を面白がって生きているのか、そういうキャラクター的な嗜好がまったく浮かんでこないという、まさに “詐欺師” の役ぴったりの演技を見せてくれる。

 その表情は、ときとして、茫洋として、とりとめもなく、
 ときに、仏や菩薩のごとく深い慈愛に満ち、
 ときに、人間の感情を失った無機質な人形のようになり、
 ときに、優しさだけが取り柄の、気の弱い青年の顔になり、
 ときに、地獄の釜をひっくり返して激怒する夜叉、羅刹のような形相を見せる。

 そのどれもが “復讐に燃える一ノ瀬浩一” という人物の素顔であり、同時に、どの表情にも、彼の本心は宿っていないようにも見える。
 そこから、「ははぁ … 詐欺師ってのはこういう雰囲気なのかぁ !」と思わせる説得力のようなものが浮かびあがってくる。

 そういう不思議な空気感が、草彅君の演技力から来たものだとしたら、草彅剛という “アイドル” はいつの間にか、そうとう熟練の役者に成長していたということになる。

 このドラマは、草彅剛が主役を務める『嘘の戦争』と、木村拓哉が主役を張る『A LIFE~愛しき人~』(TBS)のSMAP 決戦だという声もある。
 同じ時期に始まって、放映時間帯も似たようなものだからだ。

 なるほど。
 確かに、SMAP 解散後のキムタクと草彅の初のドラマ対決だから、メディアが面白おかしくとりあげるのも分かるような気がする。

 で、ネット情報によると、その第一回目の対決においては、『嘘の戦争が』の視聴率が11%ぐらいで、『A LIFE … 』が14%ぐらいとか。
 いちおうキムタク側の勝利ということになっているらしいが、どうもキムタク番組の方が評判が悪い。
 「キムタク主演なんだから、もっと視聴率が取れて当たり前。14%の視聴率では惨敗に近いのでは?」という言い分もあるらしいのだ。
 
 そういう世間的な裁定がどれだけ正しいのか、よく分からない。
 なにしろ、キムタクドラマなんて最初からまったく観る気が起こらないからだ。

 そのため、ドラマとしての魅力はどちらが上かという評価は私にはまったくできないけれど、「役者としての魅力」ということで限定的に論じるならば、これはもう断然草彅君の方に軍配が上がるのではないか。

 草彅君は「アイドル」を脱して、「役者」の領域に足を踏み入れつつあるけれど、キムタクは「役者」に成長しきれずに、いまだに “トップアイドル” でなければ自分は満足できないという駄々っ子の精神構造にとどまったままだ。

 実は、この『A LIFE … 』というドラマの番宣のために、キムタクは二つのバラエティー番組に出演している。
 一つは、『関口宏の東京フレンドパーク2017新春ドラマ大集合SP』(TBS)という単発のバラエティー。
 もう一つは人気長寿番組になりつつある『モニタリング』(TBS)。

 たまたまこの二つを私は観ていた。
 ひでぇんだ、キムタクの “俺さま” ぶり。

 『東京フレンドパーク』では、ドラマ『A LIFE … 』の番宣のために、共演する竹内結子や松山ケンイチらとチームを組んで、ホンジャマカの恵・石塚組とエアホッケーに興じた。

 恵・石塚チームと対戦するキムタクのパートナーは松山ケンイチ。
 たかがゲームなのに、キムタクは異常なほどの集中力を発揮し、エアホッケーのルールギリギリの戦術を駆使して、連続得点をあげた。
 その間、松山ケンイチは、ホッケー台から少し離れたところに立たされたまま、ゲームの成り行きを傍観させられただけ。

 で、ゴールをあげたときのキムタクのスタジオ全体を揺るがすかのような雄叫び。
 サッカー選手が得点したときのような誇大なパフォーマンス。
 他の出演者たちは、お義理でキムタクに拍手を送っていたけれど、その表情はみな困惑ぎみで、キムタク一人が出演者の中で浮きっぱなしだった。

 『モニタリング』でも、キムタクは “天皇” だった。
 彼が登場したのは、ドラマにおける寿司屋で撮影するシーン。
 その撮影スタッフの中に、小道具係に変装した仕掛け人の笹野高史がおり、わざとキムタクに変な形で絡んで、視聴者の笑いを取るという設定。

 ところが、実はキムタクの方が本当の仕掛け人で、笹野の存在に気づいていながら、知らない素振りを見せつつ笹野のちょっかいを誘い出すというカラクリになっていたのだ。

 それを知らずに、笹野は、キムタクが自分のために買ってきたシュークリームを、スタッフからの差し入れだと思い込んで、一つつまんで食べてしまう。
 シュークリームが一つなくなったことを知って、「誰が食ったんだ?」と不機嫌な表情になるキムタク。
 もちろん演技なのだが、その不機嫌振りがほんとうに怖いのだ。
 他人に対して、しょっちゅうこんな風に怒っているという感じが如実に伝わってくる。

 俳優としてははるかにキムタクの先輩格に当たる笹野だが、さすがにこれには緊張する。自分が仕掛けられているとも知らない笹野の表情には、リアルな怯えが走る。

 笹野は映画でキムタクと共演しているから、怒り出すと収拾がつかなくなキムタクの厄介さを知っているのだろう。
 「申しわけありません、私が食べてしまいました」と膝を折って神妙に謝る笹野。

 それを見たキムタクが苦笑いしたところで、「モニタリング終了」となったわけだが、観ている私はちっとも笑えなかった。
 笹野の怯えた表情は、もうお笑い番組の域を超えていた。

 なんで、キムタク風情にそんなに神妙に謝らないといけないわけ?
 たかがシュークリーム一個で。

 つまり、それだけ、撮影現場ではキムタクが独裁者として振舞っているということなのだろうと思った。

 こういう怒りん坊のキムタクを、「カッコいい」と評価する一部のネットの声がある。
 私には、そういう評価を与える人たちの神経が分からない。
 自分をカッコよく見せたいがために、他人をピリピリと緊張させ、怯えさせるような人間のどこが「カッコいい」といえるのか。

 もしかしたら、「カッコいい」という概念を勘違いしている人たちが増えているのではなかろうか。
 他人を威嚇する怖さがあったり、震え上がらせる力を持った人間が「カッコいい」というように。
 でも、そういう「カッコよさ」って、絶対それに反発を感じる人たちの反感を誘う。
 たぶん、晩年のキムタクの人生は寒々としたものになっているだろう。
 
 がんばれ、草彅、中居、香取、稲垣 !
  
 
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『嘘の戦争』 面白い ‼ への2件のコメント

  1. 江草乗 より:

    私もこのドラマはずっと観てました。
    ドラマの中の「嘘」に見事にだまされた
    視聴者の一人です。
    展開が予想できずに、見るたびに「やられたあ!」と
    思う、そんな楽しみがありました。

    • 町田 より:

      >江草乗さん、ようこそ
      そうとう古い当エントリーにご丁寧な感想をお寄せいただき、誠にありがとうございます。

      このドラマ、放映後もことさら大きく取り上げられることはありませんでしたが、けっこう楽しく見ておりました。おっしゃるように、「おぉ、そう来るかい !」という意表を衝く展開の連続でしたね。

      草彅君の演技も良かったけれど、ライバル役で出ていた藤木直人の切羽詰った憎々し気の演技も記憶に残りました。
      水原希子も可愛かったなぁ …
       

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