国産キャンピングカー用フィアット・デュカト シャシー

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 2017年2月初旬に開かれた「ジャパンキャンピングカーショー」会場で、一般の見学者と、日本のRVビルダーの両方から熱い視線を集めた1台の車があった。

 イタリアフィアット社の商用車ブランドである「フィアット・デュカト(fiat Ducato)」のバンタイプボディである。
 写真で見てのとおり、中はがらんどうだ。
 

 この内装も組み込まれていないシャシーが多くの人の注目を集めたのは、「このボディを使って国産キャンピングカーを作ってみませんか?」という提案がFCAジャパンという輸入車ディーラーからなされたからだ。

 フィアット・デュカトといえば、1981年に導入されて以来、全世界で500万台以上生産されている商用車。
 スムーズで燃費のよいディーゼルターボエンジン(180ps)、乗用車ライクの運転感覚などに恵まれ、トランスポーターでありながら快適な操作フィーリングを実現した車として絶大な人気を誇っている。
 現在ヨーロッパにおけるキャンピングカーの4台に3台はデュカトであるといわれ、ベース車としての市場占有率は70%を超える。

, そのビッグブランドを使った “国産キャンピングカー” がついに誕生するのか?
 見学者の関心はその一点に集中した。
 
 その可能性はかなり高い。
 しかし、まだ決定されてはいない。

 というのは、輸入元のFCA(フィアット・クライスラー・オートモービルズ)ジャパンが採算ラインとして算出している台数が年間 “数百台” 。1社年間80台程度購入できるRVディーラーが5~6社ほど名乗りをあげないと実現が難しい数値なのだ。
 
 FCAジャパンとしては、契約台数や販売システムに関する取り決めは、購入を検討する日本のRVディーラー各社との相談によって決定するというスタンスなので、具体的な展開があきらかになるのは、1~2ヶ月先ということになる。

 しかし、この車両に対する日本のビルダーたちの関心はそうとう高い。
 数社に聞いてみたところ、「うちは名乗りを上げるつもりだ」と明確な答えを返してくれた会社もすでに登場しており、決定を保留していると言いながらも、魅力的なシャシーであることを認める会社が相当数にのぼった。

 ちなみに、国産ビルダーたちは、このフィアット・デュカトのベースシャシーを具体的にどう見ているのだろうか。
 A社のB社長はこういう。

 「デュカトベースの完成車も日本にはそうとう入ってきている。しかし、デュカトの欧州キャンパーは、基本的にシニア夫婦向けのレイアウトになっており、乗車定員はせいぜい4人で、就寝機能も大人2人がゆったり寝られるような構造のものが多い。
 しかし、日本にはミニバン文化が根付いているため、キャンピングカーにも6人乗車を求める人たちがけっこういる。
 デュカトの内装を国内で組むことができれば、そういう日本人マーケットを意識したレイアウトが可能になる。
 また、現在3タイプの車高が用意されているが、そのうちの超ハイルーフを使えば2段ベッドも楽に組み込めるため、商品力はそうとう高くなる」

 C社のD社長はこういう。

 「せっかく国内で設計できるのだから、ヨーロッパ車のスタイルを真似するのは面白くない。やるんだったら畳敷にするなど、徹底した “和のテイスト” を追求するのも面白いのではないか。
 そのように日本人でなければ作れないものを創造して、逆に海外のショーに持ち込んでみるという手もある。
 仮にそれが売れなくても、海外のユーザーに日本車の造形力をアピールすることはできる。そうすれば、日本のキャンピングカーの認知度も広がり、海外マーケットが開ける可能性も出てくる」

 E社のF社長はこういう。

 「バンボディながら、キャブコンと同じレベルの居住性が確保できそうだ。そうなると、走行性において、これまでの国産キャブコンよりもそうとう安定した走りを持つキャンピングカーが生まれることになる。アイデア次第で、これまでの国産キャンピングカーの流れを変える車になる可能性もある」

 かなり好意的な評価が大半を占めたが、なかには導入そのものを疑問視する声もあった。

 G社H社長の弁。

 「キャンピングカーベース車として魅力あるシャシーであることは間違いない。しかし、1社80台という台数が要求されることになれば、RVディーラーが抱え込むオーダーとしては、かなりリスクが高い。1年目はよいとしても、売れ残った場合、2年目がないのではないか?」

 このように正直に不安を訴える業者もいることにはいた。
 しかし、それでも1~2台なら手掛けてみたいというのが大半の声だった。
 
 
 今回、バンボディだけの展示となったが、フィアット・デュカトにはキャブコン用のシャシーもある。そのなかには、リヤフレームに、定評あるアルコシャシーを採用するタイプも用意され、キャブコンベース車としてのデュカトは、海外ではバンベース車以上に評価が高い。

 はたして、キャブコン用シャシーの国内導入はあるのだろうか。
 FCAのスタッフは語る。

 「RVビルダーさんのご希望があれば、当然それも考えます。しかし、キャブコンシャシーにキャビンを架装するとなると、現状ではキャブコン製作に慣れたビルダーさんに限られてしまうのではないかと考えました。
 そのため、とりあえず今回は、バンコンを製作されているビルダーさんにも関心を持っていただけるようにバンタイプを出展してみました。
 とにかく受け入れ窓口を広くして、多くのビルダーさんに購入を検討していただきたいというのが私たちの意図でした」

 デュカトを買ったあとのサービスシステムはどうなっているのだろうか。

 FCAでは、この車の導入が決定したならば、パートナーを組んでくれる国内のビルダー/ディーラーと提携し、サービスネットワークを構築していく予定だという。

 サービス工場の機能としては、5m以上の室内高を持ち、耐荷重3~3.5トンのリフトを有していることが条件。
 そのようなキャパを持った認証工場に専用テスターを配備し、種々の工具なども用意してテクニカルトレーニングを受けてもらうことになるそうだ。

 パートナーを組むときの条件は厳しいが、FCAではパーツの安定供給はもとより、車両の保証やリコールの対応も考えているというから、購入後の信頼度は高いかもしれない。

 はたして、フィアットベースの国産キャンピングカーは誕生するのだろうか?
 もし、この “物語” が実現したら、それは国産キャンピングカーの新しい歴史の始まりともいえそうだ。

フィアット・デュカト概要(ボディサイズ L )

【車両寸法】 全長5998mm×全幅2050mm×全高2524mm
【室内寸法】 全長3705mm×全幅1870mm×全高1932mm
【エンジン】 直4 マルチジェット インタークーラー付ディーゼルターボ
【排気量】 2287cc
【最高出力】 131kW(177ps)/3500rpm
【最大トルク】 400Nm(40.8kgm)/1500rpm
【ミッション】 ATモード付6速シーケンシャル(コンフォートマチック)
【ハンドル】 右ハンドル
【車両重量】 2055kg
【燃料タンク】 90リットル
【駆動方式】 FF
【サスペンション】 前 マクファーソンストラット/後 リーフリジット
【燃料消費率】 15.1km/㍑
  
 

カテゴリー: campingcar, news   パーマリンク

国産キャンピングカー用フィアット・デュカト シャシー への6件のコメント

  1. より:

    お久しぶりの書き込みとなります。
    当方もこのデュカトを一番の目的にキャンピングカーショーに行きました。
    ハイエースよりベース車が高いので最終価格が気になりますが、周りのデュカト乗りに聞いても評価が高く、現行カムロードベースから乗り換えるとしたら最右翼です!

    • 町田 より:

      >雷さん、ようこそ
      今回の幕張ショーの目玉の一つは、やはりこのデュカトの “ドンガラ” であったように思います。

      もうそうとう前から、国産ビルダーの開発者の口からよく漏れてきたため息は、「日本にもデュカトのようなベース車があったらいいんだけどね」というものでした。

      あるビルダーさんからは、「うちはデュカトのキャブコン用シャシーが出たら、それに載せられるようなキャビンをすでに設計し終わっている」とこっそり教えられたこともあります。
      確かに、これは楽しみなシャシーですね。

      価格ですが、あのバンボディがいったいいくらぐらいで売り出されるのか、インポーターからは一切その話が出てきません。
      ただ、うわさでは「400万円台の後半から500万円台ではないか?」と推測されているようです。
      ある高級バンコンを開発されているビルダーの社長さんは、「あのデュカトにうちの内装を組み込むとなると、1千万円の車にならざるを得ないだろう」とささやいていました。

      だから、そうなると、そういう “高級車” がはたして日本のマーケットで一般的な認知を受けるのかどうか。若干微妙な問題も出てきそうですね。
       

  2. okamoto より:

    大変重要な問題点として駆動方式がFFという点があります。日本の冬は雪道走行の場面が多いので特に上り坂の場合、重架装した車ほど駆動力に不安があります。日本は山岳道路が多いという点からFRないしは4WDが最適と思われます。

    • 町田 より:

      >okamoto さん、ようこそ
      おっしゃるとおりです。
      FFベース車に重量のかかる架装を施した場合、フロントタイヤにかかるトラクションが減って、路面との摩擦係数が少なくなるため、走行が不安定になることは多く指摘されていることですね。リヤオーバーハングに重い架装物が載せられると、さらにその傾向は強まります。
      そういった意味で、okamoto さんがおっしゃるように、確かにFR車の方が、架装して重くなった場合はリヤにトラクションがかかるので、FFよりは雪道に強いことは事実です。
      しかし、極端な上り坂でないかぎり、FFキャンパーで雪中走行を無事にこなしてきたという報告例もたくさんあります。
      このあたり、万が一のトラブルを防ぐには、FFユーザーがどれだけ自車の特性をしっかり把握しているかにかかってきそうですね。
      貴重なご指摘、ありがとうございました。
       

  3. 天海陸 より:

     ジャパンキャンピングカーショー2017から半年が経過しましたが、Fiat Ducatoの日本導入の話の現状がどうなっているのかいまだに見えません。
     個人的には首都圏での運用を考えると、Adria社のTwin500とか、Hymer社のSidneyのような5.0m未満の車体も導入してもらいたいなと思っています。
     現在、Ducatoベースでの車体の購入を検討しているところなので、早くこの話の行方が知りたいです。

    • 町田 より:

      >天海陸さん、ようこそ
      返信が遅れて申し訳ございません。

      デュカトシャシーの日本への導入は、今のところ微妙な状況のようです。決定が遅れている理由は、聞くところによると、FCAが日本以外の東アジア全域のリサーチに入っており、日本マーケット以外でも量販の目途が立ってからの日本導入になりそうだという話があるとか。
      ということは、日本市場以外での量販の目途が立たないということになれば、日本市場への参入も見送られるという可能性もあるということです。
      日本のビルダーの力を世界に示すよい機会となるシャシーだけに、ぜひ導入を実現してほしいですね。
       

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