日産キャラバン リチウムイオンバッテリー搭載車

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 2017年2月初旬に幕張で開催された「ジャパンキャンピングカーショー」では、キャンピングカーテクノロジーの最新の姿を伝えるプレゼンテーションがたくさん試みられた。
 その一つが、リチウムイオンバッテリーを搭載した「NV350キャラバン “グランピングカー” (キャラバン・キャンピング特装車ワイドボディ)」である。

 グランピングとは、「グラマラスなキャンピング」を意味する造語で、いわばゴージャスで快適な究極のアウトドア。
 すなわち、高級ホテルのような華やかさと贅沢さを備えた住環境を、満天の星がまたたく大自然のなかで実現しようという試みのことをいう。

▼ 今回の展示車両のベースとなったキャラバン・ワイドボディ

 日産自動車のブースで展示されたNV350キャラバン “グランピングカー” とは、そのような “贅沢キャンプ” を、まさにキャンピングカーの車内で満喫しようというコンセプトで開発された車だ。

 では、その中身とは、いったいどのようなものなのか?

 エアコン、テレビ、冷蔵庫、電子レンジ、DVDプレイヤー、オーディオ、各種照明など、キャンピングカーで使用される電装機器はけっこう多い。
 しかし、一般住宅と違って、電力供給が安定しないキャンピングカーの場合は、それらの電装機器を使用する時間が限られてしまう。

 キャンプ場やRVパークのように、AC電源が供給される環境で泊まる場合は使用時間を気にすることなく安心して電気を使えるが、長旅になると、道の駅や高速道路のSA・PAといった電気の供給が受けられない場所で休まざるを得ないこともある。

 そうなると、搭載している電装機器を使うとき、その消費電力がどのくらい残っているかということを常に意識しなければならない。走行充電が不充分な場合は、電気がなくなる時間は意外と早く訪れる。
 
 そのような不安を解消するために、これまでサブバッテリーの増設やバッテリーを補充電するソーラーパネルの設置、あるいは発電機の搭載など、さまざまな工夫が試みられてきた。

 しかし、エアコンや電子レンジなどの消費電力の大きい家電品を駆動させようとすると、そういう従来型の電装システムは、どうしても克服すべき問題が多少残ってしまうのだ。
 すなわち、バッテリー増設といっても鉛バッテリーの場合は重量が増えるという問題が出てくるし、発電機の場合は騒音に対する配慮に神経をつかう。

 こういう問題を解消するために登場した救世主がリチウムイオンバッテリーである。

  ▼ 日産のリチウムインバッテリー

 これは従来の鉛バッテリーに比べ、
 ・重量が軽い
 ・充電効率がいい
 ・発電容量が大きい
 ・寿命が長い
 などといった数々のメリットを持ち、キャンピングカーが搭載する家電商品を、まさに家庭と同じように使えるレベルに引き上げる夢のバッテリーといっていいだろう。

 ただし、これまでキャンピングカー用に製品化されたものは、まだ開発されて数年しか経っていないために、いったいどの程度信頼できるのか、それを確かめる実証的データが乏しかった。

 もうひとつの問題は、価格が高いこと。
 リチウムイオンバッテリーの場合は、1システムで100万円代の半ばから後半までの価格帯を覚悟しなければならない場合もあり、いざそれを組み込んだ完成車を購入するとなると、さすがに躊躇する人もいた。

 もちろん、搭載家電のすべてがリチウムイオンバッテリーを軸として設計されてくるので、トータルで考えればリーズナブルな価格でもあるのだが、費用対効果を考えると、やはり二の足を踏む人もいただろう。

 そこで登場したこの「NV350キャラバン “グランピングカー” 」。
 この車が画期的なのは、自動車メーカーの日産がこの車両の保証を実現したところにある。
 つまり、バッテリー部分の点検、故障、メンテナンス、リコールなどもすべて日産自動車が責任をもって負うということなのだ。

 これが意味するものは大きい。
 すなわち、「保証を付ける」と言い切れるほど、製品が安定していることを意味するからだ。

 なにしろ、このバッテリーは、世界で23万台も走っているという電気自動車の「日産リーフ」に用いられているものなのである。
 世界中で23万台走っているということは、日産のスタッフが計算したところ、「約27億kmの走行テストを経験してきた」と言い直してもいいということになる。
 その間、不具合の生じたバッテリーはゼロ。
 当然、そのバッテリーを流用したNV350キャラバン・キャンピングカーは、絶大な信頼性を獲得したものであると断言していい。

▼ 展示車に搭載されたリチウム・イオンバッテリー。整然と3系統に分かれている。非常にコンパクトに収まっているが、架装メーカーが勝手にこの位置を変えることはできない。

 では、このバッテリーを搭載した車を使うことによって、いったいユーザーはどういう恩恵に与かることができるのだろうか。

 キャラバンを使った数々のキャンピングカーを開発している「日産ピーズフィールドクラフト」の畑中一夫社長(写真下)は、こういう。

 「このバッテリーの総電力量は12kWh。これはとてつもない電気容量を確保したことになり、一度充電しておけば、電源供給のまったくない環境でも、エアコン、IH 調理器、電子レンジ、テレビ、DVDプライヤー、冷蔵庫などの電化製品を、2泊3日から3泊4日ぐらいまで、まったくストレスなく使うことができます」

 しかも、1.5kWを出力するバッテリーが3系統に分かれているため、消費電力の多い家電を同時に使うことができる。
 つまり、一つの系統でエアコンを回したまま、もう一つ系統で電子レンジを駆動させるなどといった芸当もできるようになったのだ。

 ただし、走行充電はできない。
 走行充電を可能にするシステム構築も可能だが、そこまで組み込むとなると機構も複雑になり、コストも膨れ上がってくるため、今回は見送られたという。

 充電する場合は、家庭のコンセントを使ったり、キャンプ場やRVパークなどでAC電源を借りて行うことになるが、所用時間はだいたい8時間程度。
 しかし、一度充電してしまえば、前述したように、2~3泊ぐらいならまったく問題のない電化生活を堪能することができる。

 この車、さて、車内で惜しみなく電気を使えるというメリット以外に、どんな楽しみ方があるのだろうか。
 前出の「日産ピーズフィールドクラフト」畑中社長は語る。
 
 「100Vのアウトプットがあるので、アウトドアで使えば、車自体を巨大なバッテリーとして活用することができます。
 たとえば、アンプなどにつないで野外コンサートもできる。
 また、山奥などの建設現場で工事を指揮する場所などに使うことも可能でしょう。電気の来ない場所でも、この車を1台持っていけば、IH 調理器や電子レンジを使って食事を作ったり、パソコン作業をしたりこともできます」

 さらに、この車はシティユースにおいて絶大なる力を発揮すると、畑中社長は付けくわえる。

 「なにしろエアコンが自在に使えるので、夏の暑い盛りでも、出向いた先が冷房の効いた “オフィス” になるんですね。
 つまり移動事務所として使えば、快適な商談スペースや休憩室として活用できます。搭載した家電を使って簡単にお湯も沸かせますから、お茶出しなどもすぐにできますし、冷蔵庫で氷を作るのも簡単。景色の良い駐車場などに停めておけば、夜はバー代わりにお客様を接待できます」
 と同社長は語る。
 
 日産としては、この車を17年度のうちに実売に漕ぎ付けたいという。
 各ビルダーへデリバリするときの価格はまだ未定だが、ベース車両の価格に、バッテリー代として150万円程度を載せたものに収まりそうだ。
 国産キャンピングカーがまた一つ大きな飛躍を遂げそうなベース車の誕生である。
 
  
リチウムイオンバッテリー スペック
 
【総電圧】 360V
【定格出力】 2.0kW
【総電力量】 12kWh
【充電】 単層/交流/100V/50-60Hz
【充電時間】 8時間
 
 
参考記事 「キャンピングカーメーカー対談」(畑中社長ロングインタビュー)from 『キャンピングカースタイル』
 
関連記事 「リチウムイオンバッテリー搭載車 日産NV350キャラバン“グランピングカー”」from『キャンピングカースタイル』
 
 

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