巨大化する軍産複合体

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トランプ大統領のアジア歴訪の目的
 
 アメリカのトランプ大統領のアジア歴訪の目的はビジネスのためだったのではないかと思えるくらい、トランプ氏は各国で精力的に商談をまとめて帰国した。

 11月12日(日)の「サンデーモーニング」(TBS)によると、中国で開かれた米朝会議の席で、トランプ大統領は、習近平主席から天然ガスの共同開発や航空機の購入など、総額28兆円におよぶ商談を提示され、今回の主目的であった北朝鮮制裁問題などを煮詰めることなく、無邪気に喜んで手打ちにしたという。

 また、その前の日韓首脳会談では、文在寅(ムンジェイン)大統領に数十億ドルに及ぶアメリカ製兵器の購入を約束させた。

 もちろん日米首脳会談においても、防衛省が頭を抱えるくらいの高額兵器購入を迫り、それを日本側に了承させている。
 日本はこれまでにもアメリカから大量の兵器を購入するようにうながされ、軍事予算は年々上がる一方で、2017年度の日本の軍事費は3,596兆円。これは、第一次安倍内閣が発足した2012年度の軍事費(1,356兆円)に比べると、その2.6倍に膨れ上がった額だという。

 特に、今アメリカが売りたがっているイージス・アショア(地上配備型ミサイル迎撃システム)などは一基およそ800億円といわれているが、日本政府はその大量購入も検討せざるを得ない立場に立たされた。

 このような兵器販売に力点を置くトランプ政権のもとで、現在アメリカの軍事関連企業は空前の好景気に沸いているという。

 オスプレイを製造しているボーイング社の株価は、トランプ政権が生まれてからこの1年で87%上昇。イージス・アショアや高高度ミサイル迎撃システムのTHAAD(サード)を製造しているロッキード・マーティン社の株価も、ここ1年で32%上昇した。

 トランプ政権下で業績を上げた軍事関連企業と政府の結びつきはますます強くなり、軍需企業の副社長クラスの人間が次々とトランプ政権に入閣。国防省副長官や政策担当国防次官などに指名されるようになった。

 「サンデーモーニング」(TBS)に出演していたジャーナリストの高橋浩祐氏は、番組のインタビューに対して次のように語った。

 「今アメリカの議会は、上院も下院とも軍需産業と結びつきの強い共和党が牛耳っている。そのため軍産複合体型の体制ができあがり、政界と軍事関連企業の癒着がますます強まっている」

 “軍産複合体” とは、軍部・軍需産業、政治家などの強い結束状態を指し、世界の軍拡競争を煽りながら、様々な国との武器取引で利潤を生みだしていく総合的システムである。

 前述の高橋浩裕氏によると、「第二次大戦以降、アメリカは10年に一度くらいの割合で大きな戦争を必要とする社会になってしまった」という。

 それがベトナム戦争であり、湾岸戦争であり、アフガン紛争、イラク戦争であった。これらの戦いにおいては、もう勝敗はそれほど重視されなくなってきている。なぜなら、今のアメリカにとって「戦争」とは、これまでつくってきた兵器の在庫処理イベントであり、新たに開発された兵器のテストの場であり、消費した兵器に代わる新しい兵器増産のチャンスを与えてくれるものだからだ。

 その結果、現在のアメリカにおいては、軍事産業が国を支える基幹産業の頂点に登りつめ、経済を活性化させ、雇用を促進し、今の好景気を支えているという。

 それにともないアメリカの軍事費もどんどん膨れ上がり、現在の軍事費は、アメリカがベトナム戦争に介入した1965年当時の10倍以上だといわれている。

 アメリカにおけるこのような軍拡路線の拡大は、世界にも飛び火し、今は世界中が軍拡の時代に入ってきた。スェーデンの研究機関の調査によると、2016年の世界の軍事費は、10年前に比べて2,640億ドル(30兆円)の増加になっているとか。

 世界が軍拡経済の道を歩み始めたため、各国の民間研究機関も軍事技術の研究が大きな比重を占めるようになった。現にアメリカにおいては、ペンタゴンとCIAが軍事研究を意欲的に進める企業に対して、奨励金を無利息で手渡すようになっているという。今後は、その奨励金欲しさに、企業の方からペンタゴンとCIAにすり寄って資金援助を申し込む機会が増えるだろうと予測している専門家もいる。

 現在のトランプ政権が北朝鮮の核攻撃に脅威に感じているふりをしているのは、日本や韓国にアメリカ製兵器を購入させるための宣伝材料だったのではないか? と考えるむきもある。

 現に、日本政府も、「北朝鮮のミサイル攻撃に備える必要がある」という名目がある以上、アメリカがリクエストする高額兵器購入を断り切れなくなる。

 新型兵器の開発が “戦争の抑止力” であるうちはいいが、兵器製造で経済を回していくためには、どこかでその製造物を消費しなければならない。すなわち、トランプ大統領の政治というのは、戦争経済を前提として政権運営を進める政治なのだ。

 彼の本心は、北朝鮮を軍事力で叩くことで、自国の優秀な兵器の宣伝を行い、ついでに兵器の在庫調整をしたいというところにあるのかもしれない。地上から北朝鮮の軍事的脅威がなくなっても、イランをはじめ、彼が戦争をしかけたい国はいくらでもあるのだから。
 
 

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

巨大化する軍産複合体 への1件のコメント

  1. Milton より:

    私は国防や国際政治に関しては無知ですので、下手なことは言えないですけど、これに関しては就任当初から予想されていた展開と言っていいでしょうね。

    環境保全や国際協調よりも、国内の軍事産業を最優先する政治。

    ある意味で、コアな支持層をまったく裏切らないのが、トランプ流と言ってもいいかもしれません。

    肝心なことは、外交上どこまで日本が、トランプが主導するアメリカの外交政策に深入りするのか、そこではないでしょうか?

    それと、なんで日本の外交政策は、共和党とは歴史的に密接な関係を構築できても、民主党とはいまひとつ噛み合わないのか、そこも謎なんですよね。ロン・ヤス時代からの伝統なんでしょうかね。

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