ザ・ローリング・ストーンズのブルース

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 12月 3日(日)、BS-TBSの音楽番組「SONG TO SOUL」で、ザ・ローリング・ストーンズのブルースアルバム「ブルー&ロンサム」の特集を観た。
 ストーンズのこのアルバムはすでに、2016年に制作されており、かなり話題を呼んだ。
 そのとき、YOU TUBE でこのアルバムの曲をけっこう拾って聞き込んだ記憶がある。

 「ようやくブルースにたどり着いたな」
 というのが、正直な感想だった。


 
 

 このグループに関しては、デビューアルバム(↑)から買っていた。
 1964年にリリースされたファーストアルバムに収録された曲は、

 I Just Want to Make Love to You  (Willie Dixon)
 Honest I Do  (Jimmy Reed)
 Mona (Bo Diddley)
 I’m a King Bee  (James Moore)

 など、ブルースのオンパレード。
 さらに、

 Carol (Chuck Berry)
 Can I Get a Witness  (Brian Holland/Lamont Dozier 他)
  Walking The Dog (Rufus Thomas)

 といったロックンロールやR&Bで埋め尽くされていた。
 いわば、大半が黒人音楽のカバー集といえるようなアルバムだったのに、当時の私は、ザ・ローリング・ストーンズの演奏からはまったく “黒っぽさ” を感じなかった。

 ずっと後になってもこの思いは変わらず、ストーンズサウンドのルーツを解説するときに必ず出てくる「彼らのオリジンは黒人ブルースにある」という話を信用していなかった。

 BS-TBSの「SONG TO SOUL」では、チェスレコードの創始者であるレーナード・チェスの息子マーシャル・チェス(↓)が面白いことを言っていた。

 それが、次のような言葉だ。
 「ストーンズは、黒人ブルースをやろうとしたが、それができなかった。だから、結果的に “ストーンズサウンド” を確立させることができた」

 ストーンズのメンバーは、1964年にブルースの聖地であるシカゴに渡った。
 このとき、当時の彼らにとってはアイドル的な存在であったマディー・ウォーターズやチャック・ベリーが在席していたシカゴのチェスレコードに寄り、そこでレコーディングを体験している。

 このときの顛末をレーナード・チェスの息子であるマーシャル・チェスが観察している。
 後に、マーシャル・チェスは、ストーンズとずっと行動をともにすることになるが、彼らをからかうときに必ずいう言葉があるそうだ。

 それが、
 「あんたたちは、チェスレコードがつくり出すような黒人のサウンドを追求しようとしていたが、ついに成功しなかったね (笑)、だから逆に今のあんたたちがあるのさ」
 というセリフ。
 これは言い得て妙だと思った。

 もし、彼らがもっと器用で、黒人ブルースやR&Bの真似が上手だったら、案外1970年代ぐらいに消えていたかもしれない。
 白人なのに黒人音楽が好きというグループだったら、60年代から70年代にかけて、イギリスにはいっぱいいたからだ。

 しかし、ストーンズは、黒人音楽への情熱とリスペクトは溢れるほど持っていたにもかかわらず、黒人のサウンドを真似することが不得手だった。特に、ミック・ジャガーのボーカルは、声の調子をどう調節しようとも、黒人の声質に近づくことができず、「ミック・ジャガー」という人間のボーカル以外の音を出せなかった。

 「だからこそ成功した」
 というのは、マーシャル・チェスの言う通りである。
 
 “下手くそ” (?)な、ブルースコピーバンドとして誕生したザ・ローリング・ストーンズの54年目のブルースアルバムが、この「ブルー&ロンサム」。

 実は、オリジナル曲が1曲もないフルブルースアルバムというのは、これが初めてであるという。

 「もともと、ブルースアルバムなど作る気はなかったんだ」
 と、ギタリストのキース・リチャーズ(↑)はいう。
 オリジナルのニューアルバムをつくる “準備体操” として、みんなが練習しなくても演奏できるブルースで肩慣らしをするという意図しかなかったとか。

 そうしたら、みんなブルースにハマってしまい、次から次へと演奏し続けることになった。

 「そうやってレコーディングしたものを聞いてみたら、これアルバムになるんじゃないの?」
 という話になった、とキース・リチャーズは語る。
 
 今回のアルバムを聞いた私も、「ようやくストーンズがブルースを手に入れたな」と思った。 
 彼らの体内を駆け巡っていた黒人ブルースの血流が、息遣いとして吐き出されるのに、54年かかったのだ。

 (写真 左から)
 ミック・ジャガー 74歳
 キース・リチャーズ 73歳
 ロン・ウッド 70歳
 チャーリー・ワッツ 76歳

 たいしたジジイたちだ。
 
 私が、彼らのアルバムを初めて買ったのは17歳のとき。
 そのとき、ミック・ジャガーは23歳だった。
 私もまた、彼らと54年付き合ったことになる。
 
 
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