V670で日本のキャンピングカーシーンが変わる

このエントリーをはてなブックマークに追加
はてなブックマーク - V670で日本のキャンピングカーシーンが変わる
Share on Facebook
Post to Google Buzz
Bookmark this on Yahoo Bookmark
Bookmark this on Livedoor Clip
Share on FriendFeed

 
ジャパンキャンピングカーショー2018総括

 早いもので、2月初旬に幕張メッセで開催された「ジャパンキャンピングカーショー2018」から10日経った。
 このショーを見学するために、開催日前日(車両搬入日)から現地に泊まり、4日間かけてすべてを取材した。

 インタビューを行った出展者の方々は約30人。
 詳しく話を聞いた新型車両などの数は約40台。
 それらの談話を録音機器に収めた時間は20時間。
 録音された内容を聞き取りながら、メモに起こすのにかかった時間は60時間。

 これから少しずつその内容を、このブログや他のウエブサイトで紹介しようと思うのだが、実はちょっと気持ちがヘビー。
 というのは、“これはオフレコね” とクギを刺された談話が多く、今回あまりにも生々しさを感じる内容の多い取材になってしまったからだ。

 「オフレコね」といわれた話は、どれも無類に刺激的なものばかり。
 すぐにでも声を大にして叫んでしまいたくなるような内容ばかりだが、さすがにそれはできない。
 公表してもよいタイミングが来るまで、個人の心のなかに仕舞いこんでおくしかない。

 今回の取材では、なぜ “オフレコ話” が多かったのかというと、それはキャンピングカー業界が激動期を迎えているからである。
 どのキャンピングカーメーカーも、自社の生き残りをかけて、必死に新戦略を模索しているというのが、今の状況だ。
 まさに、「歴史的」という言葉が使えるほど、今この業界は大きな転換期を迎えている。
 早い話われわれは、これからまったく新しいキャンピングカーと、まったく新しいキャンピングカーづくりのシステムが生まれる時代の入り口に立っている。

 それは、あるキャンピングカーメーカーにとっては飛躍のチャンスを得たことを意味するだろうし、別のキャンピングカーメーカーにとっては存亡の危機として受け止められるようなものかもしれない。
 いずれにせよ、今回の「ジャパンキャンピングカーショー」からは、展示ブースの地下から真っ赤なマグマが噴き出してきそうな激動の気配が感じられた。

 業界を貫く激動の正体を一言で表せば、それは
 「グローバル化」
 である。
 
 日本の基幹産業は、製造業においてもサービス業においても、すでにグローバル化の波を受けて世界に漕ぎ出ているが、キャンピングカー業界だけは、静かな内海の波打ち際で、おだやかな商売を営んでいるように見えた。

 しかし、この業界のいろいろな経営者に話を聞くと、実はかなり前から「激動の時代」が来ることを意識して、さまざまな準備に取りかかっていたという。
 もちろん、それらの準備は、ひっそりと潜航した状態で進められていた。
 それが、偶然にも一気に噴き出したのが、このショーのタイミングだったようだ。

 その変化を一言でいうと、町工場の延長線上にあったキャンピングカー製造者の集まりが、ようやく巨大企業も擁する「産業」としての体裁を整え始めたということなのだ。

 「産業」とは、単に製造業として特化した状態を指すものではない。
 販売や流通を整備したものでもない。
 製造・販売・流通などを有機的に結合させながら、消費者に「文化」として受け止めてもらえる形態をとったものが「産業」である。
 今日、多くの日本の「産業」が、国際的な緊張感のなかでしのぎを削っていることを思うと、キャンピングカー業界も同じ意味で、国際的な緊張感のなかで生き抜いていく時代を迎えたのだろう。

 抽象的な話が長くなりすぎた。
 具体的な話に移ろう。


▲ バンテック「V670」

 今回、日本のキャンピングカー産業がグローバル化を遂げようとしている象徴的な例を挙げるとすれば、「VANTECH(バンテック)株式会社」がリリースした「V670」というキャブコンである。
 これは欧州キャンピングカーシャシーの70%を占めるといわれるフィアット・デュカトをベース車に採用した日本初のキャンピングカーである。

 なぜ、このフィアット・デュカトが欧州のキャンピングカーで多く採用されているかというと、ひとつはその抜群の走行安定性が評価されているからだ。さらに、欧州キャンピングカーメーカーからの大量オーダーを抱えている分、コストも下げられているということが大きい。


▲ V670内装

 日本のキャブコンシャシーといえば、現在はトヨタのカムロードが圧倒的なシェアを誇っているが、いかんせん開発されてから20年を経たシャシーだけに新鮮味に乏しく、カムロードの下のクラスを構成するマツダボンゴは小型トラックがゆえに、許容荷重も制限され、サイズ的にもライトキャブコンの域を超えることができない。

 そこに登場したフィアット・デュカトベースの「V670」。
 なにしろ、国際水準をクリアしている定評あるシャシーだけに、それに架装したキャブコンといえば、サイズ的にも走行性能においても、現在の国産キャンピングカーの理想形が実現されているといっても過言ではない。

 もちろん現在では、この「V670」はまだ “参考出品” の域を出ない。
 今後市販化されるためには、さまざまなハードルをクリアしなければならない。


▲ V670 フロントビュー

 問題は、この車のメインマーケットがどこなのかということだ。
 国内市場を考えると、現在日本に輸入されている本場モノのフィアット車と競合せざるを得ず、バンテックはそれらに太刀打ちできる魅力を、どうこの車に付与するかというシビアな課題を突き付けられることになる。価格設定においても、そうとう厳しい試練が待ち受けているはずだ。

 しかし、逆に、この「V670」をバンテックの海外戦略車種として位置づけると、意外な勝機が見えてくることも確かだ。
 それは、電装テクノロジーなどの分野で、まだ欧州車が手に入れていないエキゾチックな “ジャパンテクノロジー” を披露できたときだ。
 もちろん内装デザインにおいても、上品な “和テイスト” が要求されるだろう。
 だが、洗練されたジャパンテクノロジーと和テイストがうまく融合したあかつきには、V670は、欧州市場で「クールジャパン」を体現した車に化ける可能性がある。
 バンテックが、今後この車にどういう筋書きを盛り込むのか、今のところ定かではないが、私はこの車には、同社の海外戦略が込められていると見る。

 ※ 詳しい記事は、こちらをどうぞ(↓)
 https://camping-cars.jp/camping-car/3622.html
 「バンテックV670の登場で国産キャンピングカーが変わる」(キャンピングカースタイル)
 
 これからしばらくは、「ジャパンキャンピングカーショー2018」で見分した日本のキャンピングカー業界が迎えている転換期の様子をレポートしていきたい。
 
 

カテゴリー: campingcar   パーマリンク

V670で日本のキャンピングカーシーンが変わる への6件のコメント

  1. Get より:

    お邪魔します。

    早速チェック。

    ありました! 結構早いTipですね。
    日本キャンパーの動画アクセスはどれも高数値人気のようです。
    これ、アップされたばかりのようですが、いずれアクセス数も伸びるでしょう。

    https://youtu.be/KTr2VBp-LV0

    • 町田 より:

      >Get さん、ようこそ
      リンクとして張っていただいた動画、非常に興味深く拝見しました。
      ありがとうございます。
      会場の外が雨模様のようですので、これは初日の金曜日に撮られたものかもしれませんね。

      あらためて動画を見て、「しまった、あのブースを取材する時間が取れなかった!」と悔やむ気持ちも多少こみ上げてきました。
      やっぱり3日ほどの期間では、出展者の全てを回ることは難しいですね。

      いつもいろいろな角度からの情報のサポート、ほんとうにありがとうございます。
       

  2. solocaravan より:

    とてもワクワクする記事に刺激を受けました。今後の投稿を楽しみにしております。
    トレーラーの新車や裏話もぜひ取り上げてください!

    • 町田 より:

      >solocaravan さん、ようこそ
      solocaravan さんもブログで取り上げていらっしゃったエメロード406も取材してきました。そのうち、ここか別のWEBサイトで紹介してみようと思っています。
      おっしゃるように、このトレーラーはUダイネットに座るときに少し窮屈ですね。
      ビジュアル的には、カトーモーターさんがリリースした「ビッグボール」というトレーラーと、エアストリームジャパンさんの「ベースキャンプ」というトレーラーの造形に面白みを感じました。でも、実際に使えるかどうかというのは、また別の判断が要求されるのでしょうけれどね。
       

  3. Take より:

    そうですか、Vはヴァンテックの、そしてフラッグシップカーVegaの、そして勝利のVですか…。
    するとさしずめ我が車は、世界的な王様だったのでしょう。栄枯盛衰諸行無常、ってところでしょうかねェ(笑)
    車の使い方は人それぞれで、僕の場合は、趣味が写真を撮って、夜にBlogにアップする、と言ったところですので、きれいな風景の一本道でもハザードを出して止めるのは憚れる大きさと、増えてきた立体駐車場Onlyの町、とするとこの大きさが逆に禍になってきています。水回りいらないかな、リアは全面ベット(固め)の上にちゃぶ台で食事や作業もいいかな、なんて思っています。電気(エアコン含む)だけは欲しいからソーラがあればな、そんな車は果たして現れるんでしょうかねェ?

    • 町田 より:

      >Take さん、ようこそ
      実は私もバンテック社がかつてリリースした “世界戦略車種” (?)に乗っています。
      バンテックさんは「V670」の前に、やはり外国製シャシーを使った国産キャブコンを作っているんですね。「コマンダー」です。これは韓国のヒュンダイトラックがベースなんですね。
      内装デザインや装備品はそうとう古くなっていますけれど、外形デザインはいまだに古さを感じさせない。けっこう気に入っています。

      ただ、飼っていた犬が亡くなってからは、なんだか寂しくて、あまり旅に出ないようになってしまいました。
      キャンピングカーはペットと伴に旅することができるというのが、大きなメリットに感じられていたのですが、犬なしで出かけると、かえって不在感が増してきて、まだ辛くなります。
       

コメントをどうぞ

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

*

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong> <img localsrc="" alt="">