インバウンド(訪日旅行)で脚光を浴びるキャンプ場泊

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外国人観光客はなぜ増えてきたのか?
 
 日本を訪れる外国人観光客が増加の一途をたどっている。
 日本政府観光局(JNTO)によると、2018年3月の訪日外国人数は、前年同月比18.2%増の260万7900人。3月として過去最高だったそうだ。
 
 国別でみると、この3月に時点においては韓国人がトップで、約62万人。続いて中国人が約59万人。台湾の観光客約39万人。香港の観光客約20万人となっており、アジア圏の人々の占める比重が高い。
 
 一方、欧米からの観光客は少ないといわれているが、それでも3月の集計によると、アメリカ人が約15万人。カナダ人約3.5万人。ドイツ人約2.5万人となり、これもまた増加傾向を見せている。
 このため、日本各地の観光収益も上り、今やインバウンド事業は日本経済の向上に欠かせない存在になってきた。
 
 専門家によると、このようなインバウンド市場が拡大した要因として、まず格安な運賃体系を打ち出した航空会社の増加が挙げられるという。
 さらには、アニメやゲームを通じて、海外の若者が日本のカルチャーに魅力を感じるようになってきたこと。また、「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録され、「食」の領域でも日本文化が海外に評価されてきたことも大きいようだ。

 これらの外国人が魅力を感じる日本の観光資源として、最近人気が高まっているのが「日本の自然」。北海道の自然の景観を堪能できる富良野あたりは、夏になると、今や日本人よりも外国人観光客でごった返しているとか。
 
 
自然を楽しむためにキャンプ場に泊まる外国人キャンパー

 そういう日本の自然を心行くまで享受したいという外国人の間で、近年利用率が増えているのがオートキャンプ場だ。キャンプ場は、四季によって様々な変化を見せる日本の自然を堪能する場所として最適であるばかりでなく、シティーホテルより宿泊代が安いという経済性も評価される傾向にあり、キャンプ場を宿泊拠点に選びながら観光地を回るという旅行スタイルが外国人の間で定着しつつあるという。

 「一般社団法人 日本オートキャンプ協会(JAC)」の堺廣明業務課長(写真下)によると、最近全国のキャンプ場から、訪日外国人観光客が目立つようになったという報告が増えてきたという。

 このような流れを見て、オートキャンプ協会では、毎年発行する『オートキャンプ白書』において、「訪日外国人キャンパーの増加率とその宿泊傾向」を探る調査項目を今年度から追加。さらに同協会のホームページにおいても、英語版の対応ページを設けたり、視覚的な理解を深めるためのアイコン化を強化する方針である。

 また、外国人キャンパーの観光スタイルとして、最近目立つようになってきたのがレンタルキャンピングカーによる旅行だとか。
 近年、国内のキャンピングカーブームを背景にレンタルキャンピングカー業者そのものが増えており、インバウンドを視野に入れて、外国人向けの情報サービスを強化したり、空港近辺に拠点を設ける会社も目立つようになってきたと堺課長はいう。 
 
 
外国人向けのレンタルキャンピングカー業も盛んに

 国内のキャンピングカービルダーや販売会社のなかにも、このようなインバウンド対策に積極的に取り組む会社が増えてきている。
 これまで国産バンコンを中心にキャンピングカー製造を進めてきた「かーいんてりあ高橋」(長野県)の高橋宣行社長は、昨年世界的なネットワークを持つレンタルキャンピングカー業者の「マクレント」(ドイツ)と提携して、「マクレントジャパン」を立ち上げた。


 
 これは、「日本でもレンタルキャンピングカーを安心して使えるシステムが整備されていることをマクレントの情報サービスを通して世界中に広報する」という目的で設立されたもの。そのため、レンタルシステムの概要や日本の交通事情などを知ってもらうための英語版マニュアルを用意している。さらに、アジア圏からの観光客の増加をにらみ、今後は韓国語、中国語のマニュアルも準備していくという。

 マクレントジャパンに参加している国内企業には、現在のところMYSミスティック、バンテック、レクビィ、ケイワークス、岡モータースなどのキャンピングカー会社が名を連ね、拠点を全国に広げている。

 このような訪日外国人の間に広がるキャンプ場人気の高まりやレンタルキャンピングカーの利用状況を、キャンプ場管理者たちはどう観察しているのだろうか。
 
 
キャンプ場も外国人対応に本腰を入れ始めた

 「外国人観光客の来場は実際に増えています」
 というのは、千葉県・山武市で「有野実苑キャンプ場」を運営している鈴木章浩代表(写真下)。同キャンプ場は成田空港にも近いため、空港近辺にあるレンタルキャンピングカー業者から車を借りた訪日観光客の利用率が高い。
 そういう空港近くのレンタカー会社からキャンピングカーを借りて千葉周辺の観光地を周遊し、最後にレンタカーを返すための調整場所として同キャンプ場に宿泊するケースが多いのだとか。


 
 訪れる観光客を国別でみると、目立つのは台湾、香港、韓国からの来場者。
 「台湾あたりはキャンプブームが訪れているらしんですよ。でも夏は暑すぎて自国ではキャンプができない。そこでみんな日本にやってくるんです。当キャンプ場だって夏は30度くらいあるんですが、それでも彼らは涼しいというんですね(笑)」
 と鈴木さん。

 キャンピングカーばかりでなく、普通の乗用車を借りてキャンプ場にやってくる外国人観光客も多い。
 その場合、キャンプ道具などはどうしているのだろうか。

 鈴木さんが見るに、
 「けっこう自分で調達してこられる方が多い」
 とか。
 「東アジア圏でキャンプブームが広がっているとはいえ、まだコールマンやスノーピークといったブランドもののキャンプ道具を扱う直営店が少ないらしいんです。そういうものを求める人たちはみな訪日したときに買い求め、日本のキャンプ場で試してから自国に持ち帰る。キャンプ用品メーカーさんの話によると、そういうケースも増えているそうです」(鈴木さん) 
 同キャンプ場では、今後外国人キャンパーたちのニーズも研究し、彼らのリクエストを実現するためのリサーチを重ねていくという。
 
 
 外国人観光客の増加を実感しているのは、福島県のキャンプ場「猪苗代湖モビレージ」(写真下)でも同じ。

 「国別でいうと、アジア系の人が目立ちますが、当キャンプ場では欧米系の方も来られます。
 そういうキャンピングカー先進国のお客様は、さすがに日本人以上にキャンピングカーライフを熟知されているので、使い方に困る様子もなく、安心して見ていられます」
 と語るのは、同キャンプ場を運営する小松克年さん(写真下)。

 日本のキャンピングカーユーザーは、宿泊時間に余裕がないときは「道の駅
などで仮眠するケースも多いが、外国人利用者は、宿泊期間が短くとも、必ずキャンプ場を訪れるそうだ。
 「たぶん治安の問題で、海外ではキャンプ場以外の場所に宿泊することは危ないという認識があるからではないか」
 と小松氏は推測している。
 
 
外国人には、「自然体験」と「文化体験」
を結合させるような旅行スタイルが好評

 こういう訪日キャンパーの増加に、仕事を通じて貢献しているのが、キャンプコーディネーターで、アウトドアライターでもある佐久間亮介さん(写真下)だ。佐久間さんは日本だけでなく、海外においても豊富なキャンプ体験を持ち、そこで得たノウハウをご自身のブログやキャンプ系媒体で発表され、日本のキャンプ文化の向上に一役買っている。

 佐久間さんによると、外国人キャンパーが日本のキャンプ場を評価するときの着目点のひとつに、「四季の変化を堪能できる」ということがあるという。外国にもそれぞれ四季はあるが、日本のように春、夏、秋、冬が景観や気候において明確な変化を見せ、各季節に応じた文化体験が用意されている国はめったにない。
 
 日本では四季に応じたライフサイクルが独特の発展を遂げ、日本の風土と見事に溶け合うほどの洗練度を見せている。
 初夏の田植えや茶摘み、秋の米や野菜の収穫。そういうタイミングをとらえて各地で催されるさまざまな祭り。そういう日本固有のライフサイクルや文化事業は、いま外国人観光客にもっとも喜ばれる観光資源になっている。

 佐久間さんは、日本を訪れる外国人キャンパーに向けて、日本を旅行するときのプラニングをコーディネートし、かつ日本のキャンプ場に対しては、訪日キャンパーたちが快適にキャンプライフを楽しめるようなノウハウを伝授して、キャンプを通じた国際親善に協力している。
 
 2020年の東京オリンピックを控え、訪日観光客の一層の増加が見込めるなか、キャンプ場を中心とした新しい観光スタイルが定着してきていることに、メディアのさらなる注目が集まりそうだ。
 
 

カテゴリー: news, コラム&エッセイ, 旅&キャンプ   パーマリンク

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