試食コーナーの暗闘

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 世の中の “ヒマなジジイ” がやることはだいたい決まっている。

 定年退職して、1日中やることもなく、朝に女房から500円硬貨を渡されて、
 「それで今日一日外で遊んできて。お昼はそこから出すんですよ」
 とか言われて、家から追われるジジイたちの行動パターンはだいたい決まってくる。

 ファストフードの店に立ち寄り、コーヒー1杯で何時間もネバること。
 ホームセンターのガーデニングのコーナーに行き、買いもしないのに、鉢植えの花を眺めたり、花の種を調べたりすること。

 そして、デパ地下に行き、あっちこっちの食料品コーナーを回って、買いもしないのに試食品を食べあさること。

 こんな症状が一つでも表れたら、急性 “ヒマジイ” 症候群に罹患している可能性が高い。

 今日の俺なんか、まさにそれよ。
 カミさんから500円硬貨1枚渡されて、散歩しながらコンビニの肉まん食って、デパートにぶらりと入り、『諸国名店とうまいもの大会』という会場をめぐり、なんとたっぷり1時間、鯖の切れ身やら黒糖かりんとう、お好み焼き、たくあん、塩こんぶ、玉こんにゃくなどの試食品をあさりまくった。
 肉まん2個しっかり食べた後にだぜ !

 で、つくづく思った。
 「下流老人まっしぐらだな … 」
 って。
 あちこちの試食品コーナーを回り、がつがつ試食品を食べあさることへの羞恥心が消えてしまったら、それはもう “下流老人” の証拠なのだ。

 で、試食品コーナーを1時間も回っていれば、同じ店の前を何回も通る。
 店員たちからも顔を覚えられる。
 「ね、今度はうちの黒糖まんじゅうを食べてみて」
 とかいわれると、やはり立ち止まって、手を伸ばしてしまう。
 そのとき、ちょっとホッとする。

 …… もうこの店の試食品を3品ぐらい食ったけど、まだ嫌われていないな … とか思うと、心から安堵する。

 このへんの塩梅が難しい。
 もう1回だけ試食品に手を伸ばすと、今度こそ下流老人に見られるだろうな、とか、思うわけよ。
 そういう「食い意地」と「羞恥心」のせめぎ合いの中に身をおくスリルが快感でもある。
 
 今日は「食い意地」の方がまさった。
 今後、俺はどうなっていくのだろう。
  
  
 
  

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