話題性よりも普遍性

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 この「ホビダス」の趣味ログにアクセスできない時間が増えるにしたがって、仕方なく二つのブログを掛け持ちするようになった。
 
 私以外にも、昔から活躍していたほとんどの「ホビダス」ユーザーがここから引っ越されて、別のブログサービスに移動している。「ホビダス」では、まったくログインできない日が2~3日続くこともあるから、無理からぬことだと思う。
 
 私も最近は、新しく始めたもう一つの「はてなブログ」の方の更新頻度が高くなってきている。

 こうして、「ホビダス」と「はてな」の二つのブログサービスを掛け持ちするようになって、いろいろ見えてきたことがある。
 (これは前にも書いたことがあるが)、近年「ブログが衰退してきた」という声を耳にする一方で、「ブログを書くことで救われている」人も増えているという気がするのだ。

 「ブログによって救われる」
 という言葉が適切かどうかは分からない。

 ただ、「はてな」ユーザーのブログを閲覧していると、切実なテーマを抱えている人がけっこういるということが分かってきた。

 あるブロガーは、競争社会のなかで生き抜くことの辛さをぼやく。
 別のブロガーは、会社から不本意な人事異動を言い渡されたことをグチる。

 もう少し深刻になると、認知症を患った家族に対し、献身的に介護しなければならないという義務感を募らせる一方、面倒なことに関わりたくないという気持ちを抑えきれない自分を責める記事を書く人がいる。
 
 さらに、「自分の書くテーマが決まらない」と嘆くブロガーもいる。
 何かを書きたいのだが、人に読んでもらう価値のあるものが書けない。そのため、1日の大半をアイデアを絞り出すことで費やしてしまう。
 そうなると、ブログを書くこと自体が苦痛になってくるが、強迫神経症にかかったように、ブログをやめられない。
 
 また、別れた恋人から受けていた悲惨な仕打ちを連載しているブロガーもいる。
 そうすることで、その人は少しずつ別離の悲しみから距離をおこうとしているのだろう。
 
 
 もともとブログというのは、ネット上に公開する “個人の日記” なのだから、どのような内容でも、本人が公表したいと思っている心情を綴ることができる。

 なかには、「こんなあからさまな告白をして恥ずかしくないのだろうか?」
 と思えるような記事を書く人もいるが、Facebookなどと違って匿名OKの世界だから、プライベートな部分の核心を秘しておくことは可能なのだ。

 そのように匿名性を維持したまま、彼らは、固有の悩みを明かし、他者との交信を求めている。
 励ましの言葉を求めていたり、有益なサジェスチョンを求めていたり、場合によっては、ただ読んでくれることだけを求める人もいる。

 それぞれ希求するものは異なるけれど、みなコミュニケーションを望んでいることだけは確かだ。

 おそらく、それが「はてなブログ」というものの存在意義なのだろう。
 ここには、仲間同士の交流を深める巨大な共同体が形成されている。

  とにかく、みな( この私も含めてだが  )「自己承認要求」が強い。

 その点においては、ツィッターやフェイスブック、インスタなどに参加している人と同じだが、インスタ系のコンテンツが、「本当の自分よりも、“見てもらいたい” 自分」を中心に構成されているの対し、ブログの人々は「本当の自分」を評価してほしいという傾向が強い。

 たぶん、そこが、SNS系をやっている人たちと、ブロガーの最大の違いだ。
 ブロガーは本当の自分をさらすことに抵抗感を持たない代わりに、みな理論武装をする。
 「自分はこういう趣味を持ち、こういう思想を持ち、何をめざしている」
 ということを、はっきりと言葉で表現する。

 では、最終的に、彼らは何を目指しているのか?

 はっきりしていることは、自分の主張の正当性だ。
 「正統性」というと、語弊があるのかもしれないが、別の言葉でいえば「普遍性」だ。

 自分の意見は、けっして孤立無援の奇異な意見ではなく、多くの人たちと価値を共有できる普遍的な意見になっている。
 … ということを、彼らは目指している。

 「話題性」よりも「普遍性」。
 SNS系のコンテンツがいちばん大事にしているものが「話題性」だとしたら、ブロガーが目指しているものは「普遍性」。

 マイノリティーとして声を発し、最終的には、自分の意見をマジョリティーの思想として定着させる。

 ブロガーたちの目指すものは、簡単にいってしまうと、そういうことかもしれない。
 
 
https://campingcarboy.hatenablog.com/

カテゴリー: コラム&エッセイ   パーマリンク

話題性よりも普遍性 への2件のコメント

  1. よしひこ より:

    とても御無沙汰してのコメントします。
    確かに今は、ネット上の個人コンテンツというのか、フェイスブック、ツイッター、インスタグラムが主流で、ブログは低調ですね。時系列はブログが先なので、自分は単にFBやツイッターに付いていけなくなったのかなと思ってました。でも、ツイッターは当初からこれは有名人がやるものだなという感じがしたし、FBは仲間内でいわゆる「リア充」を見せ合うもののようだなと思ってきました。なので自分はブログ派であると堂々と言いたいのですが、自分のブログはもう完全に自分の「備忘録」化しておりまして(苦笑)、まあたまに誰かの参考になればいいかなくらいの感じで、更新の頻度も低下しています。その点、町田さんのブログはブランドと読者を維持されているので、凄いなと思います。
    このところの町田さんのブログ考を読んで、なるほどと思うところがいろいろありました。ブログよりもSNS、パソコンよりもスマホ、文字よりも画像、知識よりも情報、思考よりも感覚、ストックよりもフロー等々、今はそれぞれ前者よりも後者が優勢な時代なのですね。あるいは本当の自分(正当性、普遍性)よりも、見てもらいたい自分(話題性)を発信するのが優勢な時代なのですね。
    ただ本質的な価値においてブログよりSNSが優位にあるとは決して言えないのでしょうから、SNS優勢の時代がずっと続くのかというと、そうではない。だろう。とは思うのですが、あまり自信はないです。(苦笑)
    それはともかく、今の世間で類似の考察は見当たらないので、町田さんのブログ考察が読めて有り難く感じました。

    • 町田 より:

      >よしひこ さん、ようこそ
      ご無沙汰しております。お元気そうで何よりです。

      ≫「自分のブログはもう完全に『備忘録』化しておりまして(苦笑)……」

      とんでもない! ご謙遜を。
      相変わらず、歴史や人文思想を中心とした鋭い考察を続けていらっしゃって、実に読み応えのあるブログになっていると思います。
      いろいろな参考文献を駆使しながら、独自の手法で世相を切っていく手腕にはいつも感心しております。
      また、「気になるブログ」の筆頭に拙稿を掲げてくださるなど、とても光栄に思っております。ありがとうございます。

      さて、今回のコメント拝読し、同じ気持ちを共有されている方のご支援をいただいたようで、とても力強い気持ちになりました。

      もちろん、ブログよりはSNS … 、という流れはもう止まることはないでしょうね。
      しかし、ブログがなくなるかというと、決してそうではない … というのが、「はてな」というところを観察して感じました。
      むしろ、SNS系のコミュニケーションに物足りなさを感じている人たちの熱い思いが沸騰しているという気分を抱きました。

      現代人は、誰もが「見てもらいたい自分」を強調したいと思うと反面、「本当の自分は何だろう?」という疑問や不安も同時に抱え込んでしまったように思います。
      そういう人々がブログを頼ってきているという思いを持ちました。
      つまり、ブロガーには、「ツィッターやフェイスブックから移行してきた人」が多いんですね。(もちろん大部分の人は平行してこなしていますけれど … )

      そういうブロガーたちは、やはりどこかで、よしひこさんが追求されているような歴史、人文思想、宗教などのテーマに興味を持っているように感じます。現在はまだそういうテーマを理解するほどのデータ蓄積がないとしても、そういう方面の情報に好奇心を持っているという感触は伝わってきます。

      私もまた、そういう読者に興味を抱いてもらえるようなテーマや切り口をこれからさらに磨いていきたいと思っています。
       

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