ネット詐欺が横行するわけ

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 今ものすごい勢いで急増している「出会い系詐欺サイト」。
 これに引っかかる女性が増えているという。

 最近テレビのワイドショーの情報で知ったのだが、いま、独身女性に限らず主婦層まで、のきなみ「出会い系サイト」の “サクラを使った詐欺行為” にコロコロ引っかかっているらしい。
 その被害状況は、電話を使った「振り込め詐欺」よりもひどいとか。

 「出会い系サイト」というと、一般的には、性的な交渉を匂わす悪質勧誘というイメージがつきまとうけれど、最近のサイトでは、「会員の身の上相談に答えるだけの簡単な仕事があります」という、求人広告の体裁をとっているものが多いという。

 実際に相手と会わなくてもいい。
 スマホやパソコンを通じて、相談相手と簡単なメールのやり取りをするだけで報酬がもらえる、というのだから、これは確かにリスクの少ない魅力的な話に思える。

 で、それにうっかり引っかかって、登録してしまった女性はどうなるのか。

 やがて、“会員” と称する男性から、私生活上のちょっとした悩みや、不安を感じた出来事などを報告するメールが届くようになる。
 それも、決まって「弁護士」、「医者」、「航空機パイロット」などのステータスを持った男性ばかり。

 しかも、その “悩みごと” というのは、専門的な仕事上のことなどとは関わりがなく、自分の妻との心の行き違いなど、いわば素人でも相談に乗れるようなテーマがほとんど。

 だから、高校時代の同窓会とかクラス会のノリで、
 「女房の心理というのは、意外と単純なんですよ」
 とかアドバイスすると、相手から、「目からウロコが落ちました」とばかりに感心され、さらに自分に頼ってくる感じが強まるのだそうだ。

 回答している女性には、「自分が弁護士や医者のような知的な職業に従事している男性から認められている」という想いが芽生える。

 「弁護士みたいなエライ先生と対等に話し合うなんて、最初は無理だと思っていたけれど、案外、私のアドバイスなんかで救われる人もいるんだ!」

 そういう思い込みが、快感を招き寄せる。

 で、どうなるかというと、その “仕事” を斡旋した会社は、彼女に報酬を払うどころか、いろいろと名目をつけて、逆に支払いを請求してくる。

 さらに、その会社とグルになっていた(サクラの)男性も、「自分が後で払うから、とりあえず立て替えておいてください」とシャーシャーと言う。

 このようなメールのやり取りが詐欺行為だと被害者が気づくのは、すでに相当な額を振り込んでしまった後だとか。

 こういう被害に遭った人たちは、口々に「よもや自分がそんな詐欺に引っかかるとは夢にも思わなかった」と言うらしい。
 つまり、多くの人は、怪しいと思ったらすぐに引き返すつもりで話を進めていたのだ。

 ところが、ある段階でその慎重さが、スパッとなくなる時がくる。
 どういう時か。

 「自分が他者に認められた!」
 という快感を味わった時からである。

 つまり、彼女の「自己承認欲求」が、非常に理想的な形で満足させられた時からなのだ。

 「自分よりエライはずの弁護士先生が、私のアドバイスを喜んでくれた!」

 これは、恋愛サイトで「あなたが好きです」といわれる以上に、人間をうっとりさせるものらしい。
 
 
面と向い合っていれば、相手のウソはすぐ分かる
  
 もし、これが面と向かい合う「リアル・コミュニケーション」を通じたやりとりであったら、どうなっていただろう。

 ホストあがりのチャラい若者が、弁護士になりすましたところで、その不自然さを、相手になった女性はすぐに見破るだろう。
 男の目付きや、言葉を舌に転がすときの仕草、その他もろもろの動作で、女性は動物的な直観を働かし、相手の不自然さを見抜くに違いない。

 ところが、メールだけのやり取りでは、文面以外のことは、ほとんど分からない。
 その文面だって、弁護士なら弁護士らしい言葉づかいとか、医者なら医者らしい言葉づかいの定型フォーマットが用意されているわけだから、簡単に見抜けない。

 そんな不確かなコミュニケーションツールを、人類はあっという間に手に入れて普及させてしまったのだ。

 それは、人類が何万年かをかけて培ってきた、「相手の目を見、表情を探り、言葉に表現されたもの以外の情報から人間を見抜く」というスキルを無にしてしまったことと同じだ。

 そもそも、テレビの情報伝達そのものが、人を見抜く能力をスポイルする方向に向かっている。

 テロップ文化が、それだ。
 今のワイドショーなんかでは、登場人物がしゃべる内容を考える前に、カンペが用意され、その発言内容をテロップで補うような文化が進んでいる。

 「人の真意をさぐる」という現代人のスキルが退化してきているのは、今の世の中全体の流れなのかもしれない。
 
 
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